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INTRIGUES OVER KAVALA IN 1913
　第二次バルカン戦争により、カヴァラのブルガリア人はギリシャ人によって、アドリアノープルのブルガリア人はトルコ人によって、征服がなされ、戦前の外交官の手法を明らかにする非常に興味深い外交的陰謀が導かれた。彼らは、同盟国が、自分の利己的な利害が絡んでいるときには、互いに与え合うようなサポート、あるいはむしろサポートの欠如に、奇妙な光を投げかけている。

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実際、カヴァラ問題は、各々の外交グループに内部分裂を引き起こす原因となった。その結果、その結果、フランスとロシアの新聞は非難の応酬となり、 Novoe Vremia 紙はフランスとロシアの同盟の見直しを要求したくらいであった。178 同様に、ウィーンのNeue Freie Presse 紙は、独墺間のこれまで信じられないくらいの「亀裂と深刻な弱点」や「30年以上にわたり、私たちのその土の中の樫の木のような意識」を、悲しみを込めて後悔した。 179

同盟国同士がこのように互いに対立している間、フランスとドイツの大臣たちは、それぞれの同盟国の望みを打ち砕くという希望と協力の成功を互いに祝福し合っており、エドワード・グレイ卿は、通常の外交的役割のこの奇妙な逆転を、ヨーロッパの平和にとっての幸先の良い前兆として喜んで観察した。180

　カヴァラは、サロニカとダーダネルス海峡のほぼ中間に位置するマケドニアの城壁に囲まれた町と港町であった。そこそこ良い港は、エーゲ海沿岸のブルガリア人にとって最高の港であった。カヴァラは豊かな農業地帯の中心近くにあり、年間数百万ドル相当の最高級トルコ産タバコが生産されていた。トルコ人とスペイン系ユダヤ人を除けば、その住民は主にギリシャ人であったが、内陸部は主にブルガリア人であった。181

ギリシャ人とブルガリア人はともにこの島を欲しがった。第一次バルカン戦争ではブルガリア軍が先にこの島に到達し占領したが、その後のバルカン諸国間の戦争では、ブルガリアは四方八方から攻撃を受け、ギリシャ人に島を明け渡さざるを得なかった。どちらの場合も、いつものように、言語に絶する残虐行為が行われた。

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　カヴァラの最終的な運命については、列強の意見がまったく異なることがすぐに明らかになった。バルカン問題では通常正反対の立場をとるオーストリアとロシアは、どちらもカヴァラをブルガリアに譲ることに非常に熱心だった。そこでベルヒトルトとサゾノフは、その方法はまったく同じで類似しているものの、目的はまったく異なる陰謀を始めた。

一方、ドイツとフランスは、カヴァラをギリシャに譲ることを同様に主張した。直接的な関心が薄かったイギリスとイタリアは、最初はカヴァラをブルガリアに譲ろうとしたが、すぐに両国ともギリシャ人が切望する港に留まることを容認した。エドワード・グレイ卿が述べたように、「ギリシャ人を追い出すのは困難だろう」からである。182

　ベルヒトルトは、カヴァラをブルガリアのために確保しようとすることで、二度のバルカン戦争での征服によって規模と自尊心が膨れ上がったセルビアに対するより強力な対抗勢力を確立しようとした。またベルヒトルトは、（ブルガリアの）フェルディナンド国王の政府を三国同盟側に引き入れ、ソフィアでのフランスとロシアの陰謀を挫折させ、ブルガリアとルーマニアの和解をもたらすことも望んだ。

ベルヒトルトがこうした希望を抱くようになったのは、7月末苦境に立っていたブルガリア政府が、三国同盟＋ルーマニアに加わるという前向きな申し出をしたという事実によっていた。183

もしこれが実現し、ブルガリアとルーマニアが和解すれば、ヨーロッパ戦争が起こった場合、ルーマニアはブルガリアに対する防衛のために自国の南の国境に主力を残さざるを得なくなり、ロシアに対して主力を向けるというより大きな行動の自由を享受できるだろう。そのため、ベルヒトルトはブカレスト交渉の初めに、率直で忠実な同盟国としてドイツに通知すべきだったにもかかわらずそれをせず、、密かにブルガリア人にカヴァラを（渡すことを）約束してしまった。

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For this concealment he was　

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フランスが自国の同盟というよりは三国同盟国からこの問題を学ぶことになるのを放置したにもかかわらず、カヴァラ問題はロシアにとって「第一級の重要性」があった。。185

　なぜドイツとフランスは、このカヴァラ問題でそれぞれの同盟国を支援しなかったのだろうか?

　カイザーのギリシャ親善は、毎年春にコルフ島を訪れ、アキレイオンを建設したことでさらに強まった。当然、義兄（ギリシャのコンスタンティヌス1世）に政治的支援を与えることも期待されていた。コンスタンティヌス王は、カイザーとのつながりを可能な限り活用することに躊躇しなかった。7 月 31 日、「ティノ」の指示で、「ゾフィー」は「ウィリー」に電報を送り、ギリシャのカヴァラ領有権を主張するルーマニアのカロル王に好意的な言葉をかけて欲しいと頼んだ。それを受けて皇帝は、控えめで思いやりのある言葉でカロル王に電報を送った。「カヴァラについて何かできることはありますか? この問題には同情的に対処します。心からお祝い申し上げます。成功をお祈りします。- ヴィルヘルム」186

　しかし、こうした個人的な考慮よりはるかに重要なのは、ドイツ政府が、ギリシャのカヴァラ領有権を支持することで、アテネにおける親仏家の影響を打ち消し、ギリシャを三国同盟の足元に確実に引き入れ、東地中海と小アジアにおけるギリシャの戦略的、外交的支援を確保することを期待していたことだ。これは、現時点では十分に実現可能と思われた。

第二次バルカン戦争でブルガリアとの死闘に脅かされていたヴェニゼロス首相は、「コンスタンティヌスが国王であり大臣である限り、ギリシャは三国協商に加わることはない」とドイツに保証して、ドイツの好意を求めた。
　
第二次バルカン戦争でブルガリアとの死闘に脅かされていたヴェニゼロス首相はドイツに対して「コンスタンティヌスが国王であり大臣である限り、ギリシャは三国協商に加わることはない。ギリシャは列強のあらゆる煩雑さから逃れたいが、ルーマニアやトルコとの緊密な協力によって、スラブ人に対する対抗勢力として三国同盟に役立つことを望んでいる」と保証し、ドイツの好意を求めた。187

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数日後、ベルリン駐在のギリシャ大使テオトキスは、カヴァラ、南アルバニア国境のいくつかの地域、およびエーゲ海諸島に対するギリシャの主張を支持する見返りに、「ギリシャはいつでも三国同盟に参加する用意がある」と明言した。188

しかし、ドイツ外務省はテオトキスが権限を超えたことを正しく疑い、遅延した回答を出した。一方、ベルリンの役人は、忠実にウィーンとローマの同盟国にテオトキスの提案とそれに関する疑問を直ちに伝え、アテネでその確認を求めた。

　ヴェニゼロス首相は、テオトキスは実際には彼の指示を超えており、ルーマニアとの同盟を提案することしか許可されておらず、三国同盟との同盟を提案することは許可されていないと答えた。

ヴェニゼロス首相は、コンスタンティノス王は最近即位した際に三国同盟への参加を希望したが、彼自身はどちらのグループとも同盟することに反対しており、三国協商にその旨を伝えたと付け加えた。したがって、今になって態度を一変させると、悪意があると思われてしまう。しかし、彼はコンスタンティノスに、もし国王が三国協商への参加という彼の希望を実行したいのであれば、自分は辞任するつもりだと伝えた。そして、国王のギリシャ政策の三国同盟への支持に向けた新たな方向性を議会で支持するためにできる限りのことをすると、気前よく付け加えた。

ベートマンとカイザーは、首相の寛大な行為を利用するようコンスタンティノス王に促す代わりに、この重要な時期にヴェニゼロス首相が辞任すればギリシャにとって悲惨な結果になるかもしれないが、ルーマニアと交渉するのは良いことだと助言した。

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ドイツは、自国がギリシャの国境を保証し、バルカン半島の複雑な問題に巻き込まれるような場合には、ヨーロッパの平和を維持するという自国の政策を危険にさらすことになろうから、とてもそんなことはできなかった。しかし、ギリシャが三国同盟に向かうことをドイツは喜んで歓迎するだろうし、この問題は現在の危機が終結した後に有利に取り上げられるかもしれなかった。189

　一方、ドイツはギリシャの新たな姿勢を奨励するため、オーストリアがブルガリアの（カヴァラ）領有権を擁護するという反対の立場を主張したにもかかわらず、（ドイツが）カヴァラに対するギリシャの主張を支持することが不可欠であると決定した。

ヴィルヘルム通りとバルプラッツ（オーストリア政庁）の間で続いて起こった激しい衝突で、ベルリン当局は、（カヴァラを領有するという）ギリシャの主張を諦めさせて、三国同盟にギリシャが加わる見込みを失うというリスクを冒すわけにはいかないと指摘した。

彼らは、さもなければギリシャが三国協商の波に逆戻りしてしまうことを恐れた。ベルヒトルトも、ブルガリアにカヴァラを約束した自分も態度を翻して三国同盟にブルガリアが従う見込みを失うリスクを冒して自らを愚かにすることはできないと反論した。彼は、そうすればフランスとロシアの陰謀がソフィアで勝利するのではないかと恐れた。ベルリンはまた、ギリシャの申し出が先に出され、より信頼性が高く、ドイツによって2つの同盟国に忠実に直ちに伝えられたのに対し、ブルガリアの申し出は後から出され、フェルディナンド王の裏切り者の性格を考えると非常に不確実であり、さらにベルヒトルトによってドイツから不誠実に隠蔽されたと、非常に適切に指摘した。190.

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　フランスの政策については、バルカン戦争に関するフランスのイエローブックを引用した M. ポアンカレによると、「フランスの関心は常に同じだ。つまり、全面戦争にならないような戦争をすることだ。フランスは、敵対行為の再開を防ぐという希望だけから、ロシアに対抗してドイツが（ギリシャの側に）味方したのと同じく、ブルガリアに対抗してギリシャの側に立ったのだ。」191

しかし実際には、カヴァラ問題におけるフランスの政策は、ギリシャに対するフランスの伝統的な友好政策、フランス製の銃を供給されたギリシャ軍の訓練に派遣されたフランス人教官、ギリシャへの借款とカヴァラ地方のタバコ独占（ブルガリアは、それが手に渡れば没収すると脅していた）へのフランスの多額の投資によっても決定づけられており、これらすべてがフランス世論をギリシャ親近主義に傾かせていた。

しかし、イズヴォルスキーによれば、何よりもそれは「ドイツがアテネで優位に立つのではないかという恐れ」、近東におけるフランスの利益が損なわれるのではないかという恐れ、そして地中海におけるイタリアというライバル国に対抗するためにフランスはギリシャ海軍の戦略的支援を得なければならないという恐れによって、決定づけられたのだという。192

　バルカン諸国自体に関しては、ギリシャ、セルビア、ルーマニアはブルガリアのカヴァラ領有権主張に断固として反対した。ブカレスト講和会議は、ブルガリアが勝者側の要求する条件（カヴァラのギリシャの領有）の受け入れを拒否すれば、潰れるするかも知れないと思われた。

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（カヴァラをブルガリアに譲ることに非常に熱心だった）オーストリアとロシアはこのことに気づき、それぞれの同盟国から支持されていないと知ると、それぞれの国は、間接的にブルガリアの立場を守ろうとした。

オーストリアとロシア両国は、それぞれ別々に、そして若干異なる言葉で、カヴァラ条項、あるいはブカレスト条約全体を、列強諸国が後日改訂すべきだと提案した。（オーストリア＝＝ハンガリーとバルカン戦争　p218では、ルーマニアがそれを要請した、となっている)

しかし、バルカン半島の 3 大勝利国（ギリシャ、セルビア、ルーマニア）にとって非常に不快なこれらの提案は、当然のことながら、カヴァラ問題を直接議論したときと同じドイツとフランスからの反対にも遭った。その理由はほとんど同じだった。

カヴァラ条項、ブカレスト条約全体を列強諸国が後日改訂すべき（カヴァラをブルガリア領とすべきだ）だという提案は、ルーマニアのカロル王がカイザーに送った電報の公表によって、無効となった。その電報では、講和内容は（改定の余地なく）確定されていて、「カイザーのおかげで、それは確実なものとなっている」と書かれていた。193

カイザーは、心からの祝辞を電報で返信した。だが慎重で思慮深いベートマンは、オーストリアの感情を害することを恐れて、これらの電報を公表することの妥当性に疑問を抱いた。しかしカイザーは譲らず、外務省次官ツィマーマンは、この文書の公表はウィーンにとっては「ほとんど受け入れられない」ものであったとしても、ベルヒトルトの「改訂への熱意」を牽制する利点があると考えた。そのため、この文書はブカレストのヴォルフ電信局によって1913年8月10日に公表され、ブカレスト和平条約が最終的に調印された日、オーストリアで少なからぬ反感を招いた。194

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THE AUSTRIAN ULTIMATUM TO SERBIA OF OCTOBER 18, 1913
1913 年夏、第一次バルカン戦争と,アルバニア独立の決定の後、ロンドン大使会議は、生存とその存続が可能なアルバニア国家の誕生に貢献することを期待して、3 つの委員会を設置することに合意した。1 つはアルバニアとギリシャの南の国境を定める委員会、もう 1 つはセルビアとモンテネグロの北の国境を定める委員会、3 つ目は国際管理委員会で、列強がアルバニアにふさわしい君主を見つけて合意するまでアルバニアを統治しようと試みる委員会であった。195

　しかし、国境委員会が現地で作業を開始する準備ができるまでには長い遅延があった。自動車が頻繁に故障し、馬や徒歩での移動に頼らざるを得ない状況で、ようやく険しい山岳地帯に出発した時でさえ、さらなる遅延と困難があった。

南部では、地元のギリシャ人役人が、住民の大半がギリシャ語を話し、ギリシャのコンスタンティヌス王国への編入に熱狂的であると思い込ませるために、あらゆる種類の無知で無駄な努力に訴えた。村々からは、ギリシャ風の服装をした農民の行列が、声を振り絞って”統一か死か”と叫んで現れた。

しかし、委員会は、彼らがこの機会のために連れてこられたものであり、アルバニア人とイスラム教徒を屋内に閉じ込めて沈黙させるために強引な手段が使われていると確信していたため、アテネで公式の抗議を行わなければならなかった。

北部では、セルビア人はそれほど無知ではなく、より慎重だったが、委員会のメンバーは、セルビア軍にしばしば止められたり逮捕された。２つの国境委員会において、6大国の代表はまもなく、ロンドンの政治的態度に応じて3つのグループに分かれる傾向があった。フランスとロシアの代表はあらゆる機会を利用してギリシャ、セルビア、モンテネグロを支持したが、オーストリアとイタリアはアルバニアに可能な限り広い範囲を与えることに固執した。

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些細なことで口論し、何度も委員会の仕事を崩壊させそうになったこの2つの極端なグループの間で、イギリスとドイツの委員は満足のいく妥協点を見つけようとし、同時に、現地の事実とロンドンから受け取った指示に従った決定を誠実に下そうとした。196

　アルバニア国境を確定する委員会の遅れとセルビアとアルバニアの相互的な敵意により、国境紛争が勃発した。セルビア軍がアルバニア領を再占領した。この挑発に対し、アルバニアはセルビア軍を攻撃し敗走させることで報復した。セルビアはその後、軍の一部を動員した。

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セルビアの新聞は、懲罰遠征とアルバニアの相当部分の占領を要求した。スクタリとアドリアノープルの事件は列強の無力さを証明したと指摘され、列強は、beati possidenteの国々を追い出すよりも fait accompliに屈する可能性が高かった。

列強の中には、ロンドン会議の決定を尊重するよう、個別にはセルビアに警告した国もあったが、会議全体としての効果のあるまとまった警告をもたらすことは、できなかった。

エドワード・グレイ卿の忍耐は尽きかけていた。イギリスの利益の観点からは、バルカン半島のいなかがトルコ人、ギリシャ人、セルビア人、ブルガリア人、アルバニア人であろうと誰だろうと、彼は無関心だった。彼は、自分の役割を正直な仲介者と考え、バルカン半島での努力をヨーロッパの平和維持というイギリスの唯一の利益に役立てるよう向けるべきだと考えた。

しかし、彼はほぼ毎日のように続く苦情とそれに対する反論に疲れ果て、ついには「彼は、『アルバニア』という名前をできるだけ聞きたくないと思うようになり、苛立ちに負けてアルバニア製フルートをテーブルの上に置きすて、バーニー提督とイギリス軍を意識的に思い出した。and one would not be surprised if, yielding to his feeling of irritation, he laid the Albanian flute down on the table and recalled Admiral Burney and the English contingent." 」197

　このような状況下で、またセルビア軍がアルバニア領の占領を継続しているという事実を考慮して、ベルヒトルトとオーストリア参謀総長コンラッド男爵は、どのようなより抜本的な措置を取るべきかを再度検討した。

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　コンラートは、オーストリアは今こそセルビアと最後の決着をつけるべきだと再び主張した。彼は、サンクトペテルブルクから戻ったばかりのホーエンローエ公爵から、オーストリアがセルビアに対して迅速かつ精力的に行動すれば、ロシアは介入しそうにない、後よりも今だ、なぜならロシアは、ルーマニアを三国同盟側から三国協商側へと引き入れようとしているからだ。

これは、最近羊飼いに変装してルーマニアを回っていたノプスカ男爵の見解でもあった。彼はコンラートに、現地の世論はオーストリア＝ハンガリーに完全に反対しており、ルーマニアはロシアとフランスの指導部に完全に屈しつつある、と報告した。しかし、ベルヒトルトは臆病でためらいがちで、ジェスチャーと中途半端な対応で満足する傾向があった。198

　10 月 3 日と 13 日の長い閣僚会議で、オーストリアの役人たちは、何をすべきか真剣に議論した。3 つの見解は、それぞれコンラート男爵、ティサ伯爵、ベルヒトルト伯爵によって代表された。

コンラートはいつものように、特にルーマニアがオーストリアから離脱し、ロシアとフランスの影響下に入っている中で、手遅れになる前にセルビアをきっぱりと処分しなければならないと主張した。セルビアは、ドイツ帝国におけるバイエルンやザクセンのような地位を与えられ、（ボスニア・ヘルツェゴビナ併合のように）オーストリア＝ハンガリー帝国への平和的併合を受け入れざるを得なくなり、二重帝国を「三連邦国家」に再編成する「三元主義」を伴うことになる。あるいは、これが不可能な場合、コンラートはセルビアに最後通牒を突きつけ、満足のいく回答が得られない場合には、即時かつ積極的な戦争を主張するつもりだった。

戦争後、―オーストリアが勝利するだろうことは疑いようもなかった―オーストリアはセルビアの一部を併合し、ルーマニア、ブルガリア、ギリシャにセルビアの他の一部を差し出すことで、ルーマニア、ブルガリア、ギリシャを満足させることができるだろう。ルーマニアにはティモク地方、ブルガリアとギリシャにはマケドニアを提供する。これはブカレスト条約の効果的な改正となり、オーストリアにとって非常に有利となるだろう。

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しかし、セルビアのいくつかの町を単に占領すると宣言するような中途半端な手段は試みられるべきではない。オーストリア軍は、いったん動員されたら、セルビアの領土を征服するまで、武器を置くことを期待されてはならない。軍の士気は、3度目の戦争につながらない動員（つまり、1909年と1912年に続いて）には耐えられない。要するに、「平和的手段によるセルビアの完全な併合、または武力の使用」である。199

　1913 年 6 月 6 日にハンガリーの首相に就任した全権を握るマジャール人の指導者ティサ伯爵は、セルビアの危険性を認識しながら、外交行動に頼ろうとしていた。

彼はロンドン会議が幻滅をもたらしただけだったことに同意し、オーストリア＝ハンガリー帝国が独自の政策を打ち出すことを支持した。

セルビア人、モンテネグロ人、ギリシャ人、イタリア人がアルバニアをres nullius として扱い続けることは許されなかった。彼は平和的取り決めによって、あるいは武力行使によって、セルビア人をさらに二重帝国に組み込むことには断固反対した。それは実行不可能であり、帝国自体に不利であり、ヨーロッパの反対に遭うことは確実であった。

セルビアにはアルバニアの領土から軍隊を撤退させるよう熱心に要請すべきである。これで十分でなければ、最後通牒を送り、外交的、そして必要であれば軍事的敗北さえも与えるかもしれない。しかし、いかなる場合でもセルビア領土は併合されるべきではない。

ティサは、和解に近づいているトルコとブルガリアを味方につけることで、反オーストリアのバルカン諸国（セルビア、モンテネグロ、ルーマニア、ギリシャ）を相殺できると期待していた。こうした外交的再編により、三国同盟と三国協商の間のヨーロッパの勢力均衡と並行する、有利なバルカンの勢力均衡が再構築されるだろう。また、ハンガリー首相であるティサ自身が反対していたオーストリア＝ハンガリー軍の大幅な増強による財政的負担も回避できるだろう。

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ティサの計画は、要するに、セルビアに対する領土分割ではなく、外交的屈辱によってオーストリアの衰退しつつある威信を回復し、可能であれば戦争を回避するというものだった。オーストリアが動員に頼らざるを得なくなった場合、セルビアが土壇場で屈服し、動員費用を支払うことに同意すれば、オーストリアは依然として戦争は回避しなければならない。200

　コンラートの軍事行動に関する明確な計画やティサ伯の外交行動に関する計画とは対照的に、外務大臣ベルヒトルト伯は何をすべきかについて明確な考えを持っていなかった。彼は、危機に際して責任ある地位に就くよう求められた人物としては最も無力で無能な人物だった。彼は賛否両論を述べ、相反する勢力の間で臆病に、そして不確実に揺れ動いた。彼は、ドイツとイタリアが彼を支持しないのではないかと恐れ、セルビアに対する軍事行動の決定を躊躇した。彼はまた、ロシアの干渉の危険を恐れた。フランツ・ヨーゼフに戦争を承認するよう説得する難しさを感じ、フランツ・フェルディナンドが戦争に反対していることも知っていた。彼は最終的に、アルバニア国境に関してセルビアに当面いくらかの譲歩を与え、その間に全般的な外交状況が改善することを期待して、将来のための軍事準備を行うべきだと考えるようになった。201

　議論の結果、財政と小規模な軍備増強に関する提案が採択され、翌年 11 月に代表団に提出されること以外は、明確な決定は下されなかった。セルビア人がディブラ近郊のいくつかの村を焼き払い、アルバニア人を虐殺したため、住民が海岸に向かって逃げていたにもかかわらず、ベルヒトルトは 10 月 14 日にセルビアに「友好的な要請」を出し、セルビアが自ら定める期日までにアルバニアから軍を撤退させ、ロンドン会議の決定を尊重するよう要求した。

p470
サゾノフとピションはまた、2 週間後にサゾノフがツァーリに提出した報告書からわかるように、パシッチに対して、軍を直ちに撤退させるよう勧告した。

（サゾノフ→ツァーリ）
　私がパリに滞在していた時期は、セルビア軍がアルバニア領内のいくつかの戦略拠点を占領した結果、オーストリアとスロベニアの関係が新たに緊張した時期と重なっていた。オーストリアがこの件で外交的に容易に勝利したいという願望に屈するのではないかと恐れ、ピションと私は、オーストリアからの脅威に屈するよりも、ロシアとフランスの友好的な助言に従う方が望ましいとセルビア政府に伝えるよう、パリのセルビア大臣に助言した。ヴェスニッチは完全に同意し、その旨を直ちにベオグラードに電報で伝えた。ピションは、セルビアの借款をパリ証券取引所に承認させるために、全力を尽くすと私に約束した。」203

　しかし、セルビアの首相はこの良いアドバイスに従わなかった。おそらく、彼がそれを間に合わなかったからかもしれないが、もっと可能性が高いのは、熱心な汎スラヴ主義ロシア大臣Hartwigの影響と、「黒手組」として知られるセルビア軍将校の秘密結社からの陰の圧力を受けていたからだろう。 204

p471
それどころか、パシッチはオーストリアに対し、セルビア軍の撤退はアルバニアの今後の状況次第である、と答えた。アルバニアの無政府状態は、セルビアの平和を愛する国民の安全を危険にさらしていた。彼はロンドン会議が以前の決定を見直し、セルビアにいくつかの新しい戦略的ポジションを割り当てるよう要請した。

同時に、フランス政府から新しい借款が承認されたばかりのモンテネグロ205 はアルバニアの領土を占領し、列強が保護し統治することになっている人々（アルバニア人）に対する総動員を命じようとしていると報じられた。

モンテネグロがセルビアと合併して「大セルビア」を形成するという噂が再び広まった。ウィーンには、セルビア、モンテネグロ、ギリシャが、この不幸で混乱した国（アルバニア）を本気で再占領し、無力な列強に新たなfait accompli.を突きつけようとしているように見えた。206
　
　一方、ベルヒトルトはドイツに状況を報告し、アルバニアの存在はアドリア海へのスラヴ人の進出に対する障壁として必要である、と繰り返し述べ、オーストリアがこれ以上事態を黙認することは国益の放棄に等しい、と宣言した。

p472
したがって彼は、「スラヴの洪水をせき止めることに大きな関心を持つドイツが、この問題でオーストリアを道義的にしっかりと支えてくれることを期待している。なぜなら、ロシアもフランスも戦争を望んでいないので、これは道義的支援の問題にすぎないと見ることができるからだ。したがって、セルビアが単にはったりをかけているだけであると期待することもできる」と述べた。207

　ベルリン外務省はベルヒトルトに、必要な精神的支援を保証し、オーストリアのアルバニア存続への努力を支援するよう、ドイツの外交代表に指示した。エドワード・グレイ卿がベオグラードとロンドン会議で影響力を発揮し、列強の決定が尊重されることが促され、「ベオグラードでウィーン内閣からの警告が無視され続けるなら、ベルリンでのベルヒトルト伯爵の陳述の形式と内容から、オーストリアが独自に行動する恐れがある」と付け加えた。208

p473
しかし、エドワード・グレイ卿は週末には町を留守にしていた。彼の部下である次官のエア・クロウ卿は、エドワード卿の指示がなければ何も行動を起こさなかった。エア・クロウ卿の反応もかんばしくなかった。彼は、これは単に暫定的に占領されたアルバニアのいくつかの戦略的拠点の問題に過ぎないと考えていた。もちろん（セルビアは）アルバニア領土の隅々まで撤退する必要があり、イギリスはこれに協力するだろう。しかし、グレイがセルビアに即時撤退を要求することや、期限付きの撤退を要求することに賛成するとは、エア・クロウ卿は考えていなかった。209

　突然、10月17日から18日にかけての真夜中、ドイツの道義的支持に感謝しつつもそれ以上のことは何も言わなかったベルヒトルトは、ベオグラードに最後通牒を送った。それはセルビアがアルバニアの領土を尊重し、8日以内に軍隊を撤退させるよう要求するもので、「さもなければオーストリアは残念ながら、要求の実現を確実にするために適切な手段に訴えざるを得なくなるだろう」という内容だった。210

　ベルヒトルトの予想外の決断力の発揮は、ヨーロッパ全土を驚愕させた。サゾノフにとってそれは非常に残念なことだった。なぜなら、彼が予見していた通り、オーストリアは外交的に楽勝したからだ。しかし、彼は、ベルヒトルトの「奇襲政策」について、同盟国がそれを阻止できなかったことに公正な不満を述べた。「オーストリアが重大な決定を下す前に、事前に我々に尋ねてくる限り、彼は完全に満足していた、と彼は言った。しかし、残念ながら、最後の事件が示すように、これは保証されていない。オーストリアは常に同盟国にfaits accomplisを持って臨み、条約署名を尊重せざるを得ないのだ。」211

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ベオグラードでは、パシッチとHartwigは、この最後通牒を怒りと落胆をもって知った。特に、深刻な事態の危険性に突然気付いたすべての大国から、セルビアはロンドン会議の決定を尊重すべきだという強い警告がすぐに出されていたためである。ルーマニアでさえ警告を加えた。そこでセルビアは直ちに譲歩することを決定し、占領下のアルバニア領から撤退するよう軍隊に命令した。セルビア首相のパシッチは「オーストリアの圧力を受けてではなく、ロシアの友好的な助言を尊重してそうする」と述べた。212

　アルバニアに関連した 1913 年のこれらの出来事は、1914 年 7 月にオーストリアがより大きな挑発を受けて取った行動を説明するのに役立つ。ロンドン会議の決定は、オーストリア自身の意見では、失望と幻想以外にはほとんど何ももたらさなかった。

スクタリのモンテネグロ人やディブラのセルビア人に反抗された時の、アルバニアの利益を保護する上でのオーストリアの遅れと無力さは、サラエボでフランツフェルディナンド大公が殺害された後、オーストリアが、セルビアに対する直近の不満の元を別の列強会議に提出することをまったく望まなかった理由をある程度説明している。「ロンドン会議の経過は思い出すだけでも恐ろしいものであり、すべての世論はそのような光景の繰り返しを拒否したことだろう。」 213

一方、オーストリアが自らの責任において迅速かつ精力的に行動し、最後通牒を発したとき、セルビアは直ちにオーストリアの要求に耳を傾け、ロシアは干渉せず、ウィーン外務省は当面の目的を達成した。

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　オーストリア＝ハンガリー帝国にとって危険をはらんでおり、バルカン戦争後にさらに明らかになったバルカン情勢のもう一つの要因は、ルーマニアで起こった変化であった。