CHAPTER III
THE SYSTEM OF SECRET ALLIANCES,1890-1907 : Formation of the Triple Entente
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Franco-Russian Rapprochement, 1887-1891
　1891 年の仏露協商は 1894 年の同盟へと発展したが、これは両国に存在した疑念、孤立感、ドイツに対する苛立ちの自然な結果であった。パリとサンクトペテルブルクの共和制と絶対主義の政府形態の根本的な対照にもかかわらず、両国間の和解は三国同盟に対する明らかな対抗手段であった。

　ビスマルクが三帝同盟と再保障条約でロシアに寛大な約束をしたにもかかわらず、アレクサンドル 3 世は、Ferdinand of Coburgがブルガリア公に選出されたことに大いに苛立っていた。Ferdinand of Coburgはブルガリアの王位を受け入れることを躊躇していた、あるいは少なくとも躊躇しているふりをしていたが、ビスマルクの裏切りの陰謀によってひそかに説得されて最終的に受け入れたとツァーリは信じていた。

ビスマルクは、ドイツはブルガリアに興味がなく、ロシアはそこで好きなように行動できると公然と主張していたが、ウィーン駐在のドイツ大使は、Ferdinand of Coburgがブルガリアの王位に就いた場合、ドイツがロシアに対して支援することを秘密裏に保証する手紙を書いたとされている。その手紙はフランス人の手に渡り、フランス人によってツァーリに届けられた。ビスマルクは後にその手紙は偽造であるとツァーリに確認させたが、アレクサンドル3世が一時期、ビスマルクに対するフランス人の恨みをいくらか共有していたことは間違いない。1

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アレクサンドル3世は、コンスタンティノープルとバルカン半島への無私無欲のビスマルクの保証と、トルコ軍の訓練にドイツ軍将校を派遣したこと、およびトルコの将軍ムクタール・パシャが受けたドイツ軍の演習に対する熱狂的な歓迎を調整させることができなかった。

フランス人と同様、彼は 1887 年に公表された三国同盟の更新に疑念と苛立ちを覚えた。その条件は秘密であったため、オーストリアとイタリアの東地中海におけるロシアの野望に有害な攻撃的な計画がそこに含まれているのではないかと彼が疑ったのも無理はなかった。

三国同盟の更新直後、1887 年 7 月にイタリア首相となったクリスピは、これ見よがしにウィーンを訪問し、その後Friedrichsruでビスマルクと会談した。帰国の途上、彼はFrankfurter Zeitun-g紙に、イタリアはブルガリアに幸運を祈っているが、「他のヨーロッパ諸国と同様、イタリアもロシアのコンスタンチノープルへの進出を恐れる理由が十分にあることは間違いない。地中海がロシアの湖になることは許されない」と伝えた。2

　これらすべての不満に、さらに別の不満が加わった。1887 年の夏、ロシアは突然、ルーブルの価値が下落し、ベルリンでロシアの証券に対抗する組織的なキャンペーンが行われていることに気づいた。これは、5 月の勅令が、当然のことながら、ロシアの信用に対するドイツの信頼を揺るがしたためである。この勅令は、西ロシアにおける外国人による土地の取得や相続、または地所の管理者としての雇用を禁止した。ドイツ人はロシアで多くの土地を所有し、その多くが地所の管理に従事していたため、この勅令は不当な財産の没収のように見えた。
　
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これは当然のことながら、ロシアの信用に対するドイツの新聞のキャンペーンにつながった。ビスマルクがこれらの新聞攻撃を扇動したわけではないかもしれないが、少なくとも彼は、ロシアがドイツの善意にいかに依存しているかをロシアに認識させようとして、これらの攻撃を好意的に受け止めていた。3

　しかし、ロシアはビスマルクがこの報道キャンペーンを扇動したのではないかと疑っており、そのため、ロシアはパリで借り入れをすべきだ、という汎スラヴ主義の要望通りにしようとしていた。当時フランスは、投資先を探していた。イタリアとの商業紛争で、フランス資本がイタリア市場から締め出されていたからである。4

パリでフランス銀行家グループが結成され、フランスで発行される一連のロシア融資の交渉を開始した。最初の融資は5億フランで、ついに両国政府によって承認され、1888年12月にパリ証券取引所に上場された。

当然ながらドイツは、最終的には政治的な意味を持つかもしれないこの手続きに疑念を抱いた。ドイツの新聞は買い手を怖がらせようと全力を尽くしたが、融資は大成功を収めた。当時としては比較的大きな金額だったが、86.45 フランで発行された 4% の債券は魅力的な利回りを提供し、すぐに大勢の応募があった。ロシアは翌年、さらに 2 回の融資契約を結んだ。1 回は 7 億フラン、もう 1 回は 12 億フランである。どちらも同じくらいの成功を収めた。

こうしてフランスは、当時予想していたよりもさらに進んだ金融の道を歩み始め、必然的に何千人もの国民が、ロシアの野望に経済的にも政治的にも関心を持つようになった。時折、フランスのより健全な精神の持ち主が警戒し、融資はそれほどうまくいかなかったが、大部分のフランス人は、共通の敵に対する同盟国になるかもしれない国、そしていつか、多くのフランス人が心に抱いているrevancheに協力するかもしれない国に高い利益を上げて投資するために、明らかに無制限の貯蓄を放棄する用意があった。5

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　こうして財政基盤が整うと、フランスは次のステップとしてロシアに銃器を供給することになった。パリを訪れたアレクサンドル3世の弟、ウラジミール大公は、フレシネが進めていた軍の再編成に加わった。ピエは新しいルベル銃に大いに感銘を受けた。要請に応じて、その模型を与えられた。交渉が続き、最終的にフランスがルベル銃に似た銃器をロシア向けに50万丁製造するという契約が結ばれた。６

　ヴィルヘルム2世も外務省顧問も、「パイロットであることを降り」、再保障条約を放棄した後にフランスとロシアの同盟が結ばれるとは考えていなかった。しかし、そのような可能性を減らすために、外交における自身の個人的な影響力を過大評価していたカイザーは、ベルリン会議中および会議後にビスマルクが追求したフランスに対する融和政策に戻った。

カイザーは、数え切れないほどの善意の礼儀、祝辞や弔辞の電報、マダガスカルに対するフランスの保護領の承認、そしてドイツの利益が関係しないその他の植民地問題における外交的支援によって、フランスの好意を得ようとした。

カイザーはベルリンの労働者会議のフランス代表団長ジュール・シモンに特別な厚意を示した。彼はドイツの美術展に参加するようフランス人芸術家を招待した。この招待は最初は受け入れられたが、後にフランスの新聞の抗議により拒否された。彼は母親のフリードリヒ皇后のパリ訪問を手配した。しかし、これは最終的に非常に敵対的なデモにつながり、フランス政府の精力と皇后が予定より早い列車でパリを出発したことで、深刻なスキャンダルはかろうじて回避された。7

このことは、（フランスを通して）新たな愛国主義の爆発とロシアとのより緊密な関係への新たな願望につながった。8

　ロシアとも、カイザーは古い友好関係を維持しようとした。カイザーはビスマルクの解任によってドイツの政策が変わることはないと何度も保証した。

1890 年 8 月、カイザーはナルヴァでツァーリを訪ね、両君主の関係、およびカプリヴィとギールスの関係は友好的であるように見えたが、後者は再保障条約に代わる何らかの書面による合意を得ようとしたが失敗した。

しかし実際には、ロシアはドイツがイギリスに接近していることを疑い始めていた。ドイツがザンジバル近くの広大なアフリカ領土に対する権利を放棄し、代わりに北海のヘルゴランドを獲得した 1890 年 6 月 14 日のこのヘルゴランド＝ザンジバル条約は、この方向を示しているように思われた。9

ヘンリー・M・スタンレーがこの取引を皮肉を込めて表現したように、ソールズベリー卿がサスペンダーボタンと引き換えに服を譲ったのなら、理由があるに違いないと、ロシア人は自分たちで主張した。

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ロンドンのモーニング・ポスト紙は「イギリスの孤立の時代は終わった」と報じた。1890 年夏のカイザーのイギリス訪問は、風向きが変わったことを示すさらなる兆候のように思われた。 1890 年 5 月 6 日の帝国議会開会式で、彼が三国同盟に言及したことは、彼はそれを世界平和の保証として語ったのだけれども、ドイツ軍を約 18,000 人増強する新しい陸軍法のおかげで、フランスだけでなくロシアにとっても不安をかき立てた。10

1894 年の仏露同盟
　このような状況から、ロシアはついに、より接近した関係のために、フランスの反応を見るようになった。

仏露同盟、そしてその後の英仏の軍事・海軍協定が最終的にどのような形にまとめられたかを考えると、これらの最初の正式な交渉が通常の外交代表ではなく、フランスとロシアの軍当局によって進められたことは興味深い。

1890 年に 2 週間ロシアの演習に参加したボワデフル将軍は、ロシアの陸軍大臣やロシアの参謀長オブルチェフとほぼ毎日会談した。オブルチェフはフランス人の妻と結婚しており、長い間仏露同盟の熱心な支持者だった。ボワデフルとロシアの将軍たちはすぐに、「両軍が攻撃を受けてその結果を恐れる場合、両軍は同時に行動しなければならない」という原則で合意に達した。 11

これはEntente Cordialeへの第一歩であり、書面による合意はまだ締結されていなかったが、パリ駐在のロシア大使はまもなくこれを「花崗岩のように堅固」とみなした。12

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それは、フレデリック皇后事件と、東地中海におけるロシアの野望を阻止するためにイギリスが三国同盟に固執しているのだ、というフランスとロシアの疑念の高まりによって、さらに強固なものとなった。

ちょうどこのとき、フランスが三国同盟からイタリアを離脱させようとし、ビスマルクの解任によって三国同盟が弱体化し失効するかもしれないというフランスとロシアの双方の期待にもかかわらず、三国同盟は更新された。

しかし、北アフリカのstatus quoに対するイタリアのさらなる支援の約束の要求のため、三国同盟は難なく更新されたわけではなかった。オーストリアとドイツは、イタリアの希望をある程度飲ませざるを得ず、イギリスがこの新しい条件に固執することに同意せざるを得なかった。13

　<三国同盟が更新されたという事実は、1891 年 6 月 29 日の演説でイタリア首相ルディーニによって世界に公表された。同時に、彼はイタリアとイギリスの既存の協定にも言及し、イギリスが何らかの形で三国同盟に加わったというフランスとロシアの疑念を強める機会を作った。このような四国連合は、表面上は現状維持のみを目的としていたとしても、ダーダネルス海峡を開通させたいロシアと、西地中海におけるアフリカ植民地帝国の発展を完了していなかったフランスにとっては非常に迷惑なことだった。BR> 三国同盟が更新されたという事実は、1891 年 6 月 29 日の演説でイタリア首相ルディーニによって世界に公表された。同時に、彼はイタリアとイギリスの既存の協定にも言及し、イギリスが何らかの形で三国同盟に加わったというフランスとロシアの疑念を強める機会を作った。このような四国連合は、表面上はstatus quoのみを目的としていたとしても、ダーダネルス海峡を開通させたいロシアと、西地中海におけるアフリカ植民地帝国の発展を完了していなかったフランスにとっては非常に迷惑なことだった。

　数週間後、ジェルヴェ提督率いるフランス艦隊は、ツァーリのクロンシュタット訪問の招待を受け入れた。アレクサンドル3世とギールスは、三国同盟に対する疑念に加え、ベツレヘムの聖誕教会の扉の使用をめぐるローマカトリックとギリシャ正教の聖職者間の論争に関して、フランスがとった強硬な態度にも警戒していた。14

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彼らはまた、パリでさらに借り入れをするためには、フランスとの友好関係を確かなものにしておくことが重要であると認識していた。15

（ツァーリの）クロンシュタット訪問は、特にフランス人にとって、フランスとロシアの結束を異例に示す機会となった。それは、三国同盟の更新に対する反撃として世界に知らしめられるはずだった。

ツァーリと皇后はフランスの旗艦に乗り込み、水兵と会話を交わし、ジェルヴェ提督とその士官たちに千もの礼儀正しさを示し、彼らをペテルゴフに招待した。

これまで、絶対主義ロシアでは、ラ・マルセイエーズの演奏は、公共の場だけでなく、路上で聞こえる可能性のあるピアノでさえも、厳しく禁じられていた。しかし、この禁止令は緩和され（フランス艦隊の撤退後に再び禁止となったが）、ロシアの独裁者が、1793年のサンキュロットの行進曲を楽隊が演奏する間、頭に帽子をかぶって立っていたというニュースが海外で大々的に報道された。10

、それは感動的な瞬間だった。「1890年に成人した私たちは、」と20年後にポアンカレ大統領は書いている。「あの曲がフランスで皇帝アレクサンドル3世の友好的な態度によってもたらされた驚異的な効果を、今日でも感動せずには思い出せない。それは、共和主義者にとっては、伝統と形式が私たちや私たちの制度から最もかけ離れた政府による共和国の承認であっただけでなく、フランス自体にとって、長きにわたる孤立の終焉と、フランス復活の外的な兆候でもあった。」17

　クロンシュタットでの示威活動は、フランスで信じられないほどの喜びと熱狂をもって迎えられた。一般の人々は、同盟はすでに確実であり、長い孤立の時代は過ぎ去り、フランスは今やドイツに対してより強硬な態度を取る勇気があると信じていた。

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それはブーランジェ抜きの新しいブーランジェ主義を生み出した。しかしフランス内閣は、パリの民衆の熱意が時期尚早であることを知っていた。同盟や協商を結ぶには二国の協力が必要であり、クロンシュタットの儀礼的な礼儀では署名された拘束力のある合意にはまだ程遠いことを知っていた。

そのため、彼らは急いで同盟を提案した。両政府は、危険が生じた場合に互いに協議し、三国のいずれかが動員されたら同時に動員することに合意するべきである。同時動員の条件は、ロシアとフランスの参謀本部が合意に達することで解決できる。18

　しかし、フランスがアルザス＝ロレーヌ奪還に攻撃的な計画を持っているのではないかと恐れたギールスは、協定を曖昧にし、平和が脅かされる可能性のあるアフリカや中国などの地域にまで適用範囲を広げたいと考えた。フランスが次のような書面による協定を締結できたのは、数週間後のことだった。

「1. 両国を結びつける心のこもった合意 [Entente Cordiale] を明確にし、聖別するため、また両国の心からの願いである平和の維持に一致して貢献したいという願いから、両政府は、一般的な平和を脅かす性質のあらゆる問題について協議することを宣言する。

「2. この平和が実際に危険にさらされた場合、特に両国のうちの一方が侵略の脅威にさらされた場合、両国は、そのような事態が現実のものとなった場合に両政府が直ちに同時に採る必要のある措置について理解していくことに同意する。」19

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この協定は、両政府が危機に際して互いに協議する義務を負うという、かなり曖昧で限定的な性格のもので、パリとサンクトペテルブルクの間にまだ存在していた意見の相違を露呈していた。

フランスは、ライン川の向こう側からの攻撃を常に恐れ、いつの日か失った州を取り戻すという密かな希望を抱き、主にドイツとの戦争を考えていた。フランスは、この時点では北アフリカや中国でのロシアの支援をあまり望んでいなかった。後の出来事が示すように、これらの地域ではイタリアやイギリスと妥協案をいつでもまとめられるからである。また、フランスはロシアがダーダネルス海峡を開いてコンスタンティノープルを支配することを望んでいなかった。

一方、ギールスはドイツに対しては、大きな敵意を抱いていなかった。彼とアレクサンドル3世は、依然として（独露）両国間の伝統的な友好関係を維持することに熱心だった。彼らはもともと、ホーエンツォレルン家に対抗する同盟を望んでおらず、フランスのrevanchを支援するためにドイツとの戦争に巻き込まれることを恐れていた。

ロシアにとって主な敵は（ドイツではなく）イギリスであり、イギリスは海峡と中東の両方でロシアの巨体を阻止していた。しかしフランスは当然、新しいロシアの友人を喜ばせるために、この遠い過去の火中の栗を拾う気はなかった。

　こうした利害の相違、そしてギールスの病気とツァーリのフランスに対する根強い不信感のせいで、フランスが協商にもっと拘束力のある実際的な形を与えることができるまでには、何ヶ月もかかった。

1891 年 11 月にギールスがパリを訪問した際、リボーは彼に、ドイツが、備えをしていないロシアとフランスに突然の奇襲攻撃を仕掛けるという危険性を指摘した。両国が「理解しようとことに同意する」だけでは、取り返しのつかない惨事に見舞われる前に十分な防衛措置を講じる時間はないだろう。突然の戦争の際に即座に発効するすべての軍事協定について、平時に事前に合意しておく方がはるかに価値があり実際的だろう。

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協商は軍事会議によって補完されるべきであり、その会議では、突然のドイツ侵攻があった場合、ロシアとフランスは即座に全軍を動員し、すでに合意されている計画に従って最大限の相互利益を確保することとされている。ギールスは乗り気ではなかったが、その考えをツァーリに提案することには同意した。20

そこで（フランスの）ミリベル将軍は、そのような軍事会議の基礎を作り上げた。彼は、三国同盟軍の総兵力（ルーマニア軍も含む）を、仏露連合軍の315万人に対して281万人として詳細に見積もった。フランスは、その兵力の6分の5をドイツに投じる。ロシアも同様に、オーストリアではなくドイツに攻撃を集中するよう促された。

　「肝心なことは、主たる敵の殲滅を目標とすること。他の敵の敗北は必然的に続いてくる。一言で言えば、ドイツが敗退すれば、仏露軍はイタリアとオーストリアに自らの意志を課すだろう。」 21

　ミリベル将軍の草案は、ロシアの要望を満たすために若干の修正が加えられ、ギールスの病気とツァーリの旅による長い遅延の後、最終的に「軍事協定草案」として形を成した。それはフランスとロシアの参謀総長、ボワデフルとオブルチェフによって署名され、1892 年 8 月 17 日にツァーリによって原則的に承認された。しかし、どちらの国の大使や外務大臣も署名しなかったため、まだ拘束力があるとはみなされなかった。

そこには 2 つの重大な政治的困難があった。（１つの問題点は、秘密条約にせざるを得ないことだった）。ツァーリは、絶対的な秘密が保持され、文書がフランス大統領と首相だけに知られるようにすることを非常に望んでいた。「もし閣議で議論されれば、それが公になるという致命的な結果を招くことになるのではないかと私は恐れている。そうなれば、条約は無効になってしまうだろう」と彼は言った。22

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もう一つの難点は、フランス憲法が共和国大統領に秘密条約の締結を認めていなかったことである。交渉の当初から、「フランス憲法の欠陥は、行政が強大になりすぎるのではないかという恐れから、国家元首から条約締結の重要な特権を奪い、その結果、外交政策から秘密の利点を奪った」と認識されていた。23

この 2 つの難点と、前述の利害の本質的な相違により、さらに 1 年半の遅延が発生した。

　一方、いくつかの出来事が起こり、ツァーリのフランスに対する良心の呵責と不信が和らぎ、ついに拘束力のある協定を受け入れる準備が整うことになった。

1892 年の新ドイツ軍法により、ドイツ軍は 6 万人増加したが、歩兵の任期は 3 年から 2 年に短縮された。ロシアとドイツの通商条約については合意に至っておらず、両国の間では関税戦争が繰り広げられていた。2４

1893 年 7 月のシャム危機は、当時考えられていた以上にフランスとイギリスを戦争に近づけたが、フランスがアジアにおいてさえイギリスに対して強硬な態度を取る用意があることを示した。特にイギリスが三国同盟に近づいているように見えたため、ロシアはそうした状況を好んで見ていた。

その結果、アレクサンドル 3 世は、1893 年 10 月にロシア海軍をトゥーロンに派遣することで、クロンシュタットの賛辞に応えた。ロシアの将兵は、トゥーロンとパリの両方でフランス人から並々ならぬ熱狂をもって歓迎された。しかし、パリの新聞は、フランス政府からの賢明な助言を受けて、ロシアとの同盟がアルザス＝ロレーヌの奪還に役立つという愛国主義的な社説や示唆を控えた。

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ツァーリはフランス政府の穏健さと強さに好感を抱き、1894 年 1 月 4 日に締結された公式外交文書の交換を承認し、1892 年 8 月 17 日の軍事条約に拘束力を持たせた。25

　交換文書も軍事条約も軍人のみが署名した正式な条約ではなかったため、批准のためにフランス議会に提出する必要もなかった。軍事条約の条項は最高軍事官僚のみが知っていたため、フランスで急速に成立したり消滅したりする内閣に明かす必要さえなかった。軍事条約の文書は封筒に入れられファリエール大統領の手書きの注釈が付けられていた。「軍事条約は、条約の効力を与えるギールスの手紙によって承認される。」

ヴィヴィアーニは、1914 年 8 月 4 日に戦争資金の援助を求めるために演壇に上がったとき、この文書を小脇に抱えて下院に向かった。彼は、求められれば読む用意をしていた。しかし、誰も要求しなかったため、慎重に自分のポートフォリオに保管した。26

この文書は、1918 年にフランスのイエローブックに掲載されるまで、公表されることはなかった。こうして、秘密保持とフランス憲法の要件に関する 2 つの困難が効果的に解決された。

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　1894 年 1 月 4 日に条約の効力を与えられ、極秘のフランス・ロシア同盟の基礎となった軍事条約は、非常に短く、単純で、明快であるため、全文を引用する。

　「フランスとロシアは、平和を維持するという共通の願いに動かされ、三国同盟の軍隊による攻撃によってどちらかが挑発された防衛戦争の必要に備えること以外に目的を持たず、以下の条項に同意した。

「1. フランスがドイツ、またはドイツに支援されたイタリアによって攻撃された場合、ロシアはドイツと戦うために利用可能なすべての軍隊を使用する。

「ロシアがドイツ、またはドイツに支援されたオーストリアによって攻撃された場合、フランスはドイツと戦うために利用可能なすべての軍隊を使用する。

「2.三国同盟または三国同盟を構成するいずれかの国の軍隊が動員された場合、フランスとロシアは、事態の兆候が最初に現れた時点で、事前の合意を必要とせず、すべての軍隊を即時かつ同時に動員し、可能な限り国境近くまで輸送するものとする。

「3. ドイツに対して使用しなければならない利用可能な軍隊は、フランスが130万人、ロシアが70万人から80万人である。これらの軍隊は、ドイツが東と西で同時に戦わなければならないように、全速力で全面的な行動を開始するものとする。

「4. 両国の軍隊の参謀は、上記の措置の実行に備え、その実行を容易にするために、常に協力して計画するものとする。両国は、平時には、三国同盟の軍隊に関する、現在または将来入手するすべての情報を相互に伝達するものとする。戦時における連絡の方法と手段は、事前に検討し、準備するものとする。

「5. フランスとロシアは別々に講和を締結してはならない。

「6. 本条約は三国同盟と同じ期間とする。

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「7. 上記のすべての条項は、絶対に秘密にされる。」 27

　1894 年のフランス・ロシア同盟は、1879 年の独墺同盟や 1882 年の三国同盟と同様に、その起源は本質的に防衛目的であった。これは、条約自体の前文や、条約締結の交渉に関する現在入手可能な全記録から明らかである。28 （交渉の途中で、アレクサンドル3世は、フランスが戦争を挑発した場合には条約が無効になるという条項を挿入することを望んだが、ボワデッフル将軍が「これは防衛戦争のために締結されたものである」と指摘したため、その考えを放棄した。）

当初、両国の責任当局の間には、同盟を、ドイツやその他の大国に対する侵略に利用したり、三国同盟国やイギリスとの衝突につながる危険で野心的な政策を支援するために利用したりする意図はなかった。

汎スラヴ主義が、バルカン半島と極東におけるロシアの「歴史的使命」の実現を期待し、フランスの愛国主義者がアルザス＝ロレーヌの回復とフランスの植民地権力の拡大を期待したとしても、ロシアとフランスの責任ある大臣たちは、（仏露同盟の意義を）よくわかっていた。

フランス内閣はファショダやモロッコでのロシアの軍事支援を当てにしていなかったし、ロシアも極東やバルカン半島でのフランスの支援を当てにしていなかった。フランスとロシアの同盟が本質的に防衛的連合から潜在的に攻撃的な連合へと変化したのは、ずっと後のデルカッセ、イズオルスキー、ポアンカレの時代になってからだった。

　確かに、同盟は当初から、ナポレオン戦争以来広まっていた、最善の軍事的防衛は攻撃的な戦争を行うことだという軍国主義の教義を体現していた。ドイツによる動員に続いて、フランスとロシアの軍隊が即座に動員されることになった。

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動員は、実際に敵対行為を開始することと同等であると明確に理解されていた。1892 年 7 月の軍事会議の交渉において、

「オブルチェフ将軍は、三国同盟の軍隊動員に関する最初のニュースを両国が受け取った場合、ロシアとフランスの軍隊を即時かつ同時に動員する必要があることを最終的に強調しました。さらに、フランスとロシアのこうした動員は、戦争行為へという肯定的な結果にそのままに続いていくであり、一言で言えば（動員＝）「侵略」と切り離せないものであることを理解しています。」 29

　同様に、ボワデフル将軍は、軍事会議が承認された翌日にツァーリと会談した際、次のように述べた。

　「動員は戦争の宣言である。動員とは、隣国に同じことを強いることである。動員には戦略的な輸送と集中の実行が含まれる。そうでなければ、100万人の兵士を国境に残したまま、同時に同じことを行わないことは、後で移動する可能性をすべて奪うことになる。それは、ポケットにピストルを入れたまま、隣国が自分の額に武器を当てるのを許しても自分の銃を抜かないような状況に自分を置くことになるのだ。」[アレクサンドル3世は]「まさにそのように理解している。」と答えた。30

　同盟のこうした「攻撃・防御」の両性質は、後にフランスとロシアの参謀本部が毎年詳細に策定した技術的取り決めにも見られる。31

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防衛戦争の最善の形態は敵の主力に対して攻勢をかけることであるという一般に受け入れられている原則に基づき、フランスとロシアの参謀は「状況がどうであろうと、ドイツ軍の敗北が連合軍の第一かつ主要な目標であり続けるという点では完全に一致していた。三国同盟におけるドイツの相対的な軍事力が大幅に増加していることを考えると、これは以前よりも今[1913年]の方がなおさらである」32

　フランスとロシアの同盟は、ドイツが侵略を試みる場合に、ドイツを粉砕することを主な目的としていたが、当初はライン川の向こう側で深刻な疑惑や敵意を引き起こすことはなかった。

その理由の 1 つは、同盟の存在があまりにも秘密にされていたため、パリ駐在のドイツ大使が同盟成立後数か月間、楽観的に、同盟の存在を信じようとしなかったからである。33
33　Cj. G.P.、VII、261-343; IX、335-425; 1895 年 12 月になっても、ミニスター伯爵は「ロシアの [フランスに対する] 愛はプラトニックなものであるにすぎない。プラトニックな愛はたいてい憎しみで終わる」と確信していた。G.P.、IX、423。ファショダ事件後の 1898 年 12 月になっても、ウィーン駐在のドイツ大使で皇帝の親しい友人であったオイレンブルク伯爵は、「正式な同盟は存在しないと確信し」、エジプトやその他のアフリカでの争いでフランスがロシアを当てにできないと確信していた。ランボルドからソールズベリーへの 1898 年 12 月 5 日の手紙。戦争の起源に関するイギリス文書、19U-1918、I、p。 102.

1895 年のフランス議会での演説や、1896 年のニコライ 2 世のパリ訪問、1897 年のフォール大統領のロシア訪問の際に「同盟」が公然と言及された後も、ドイツは不安を感じていなかった。なぜなら、三国同盟の力は依然としてこの新しい同盟に匹敵すると考えていたからである。また、勢力均衡を保っているイギリスが、フランスやロシアのような長年の敵国とは決して手を組まないだろうとも考えていた。

仏露同盟の存在はしかし、ドイツに 2 つの隣国に対する新たな敬意を抱かせ、数え切れないほどの国際問題でこれらの国と協力する用意を一層整えた。この意味で、仏露同盟は当初は、ヨーロッパの平和を確保する傾向があった。すなわち、「1 つの剣は別の剣を鞘に収めている」という諺の意味において。。

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　この新しい同盟は、フランスとロシアの孤立を解消するという目的を十分に果たした。この同盟によってフランスは、イギリスに対して強硬な態度を取ることができるようになったが、三国同盟と武力で対抗できるほどの強力な同盟、あるいはその意志を持つ同盟にはなれなかった。

こうした状況は10年ほど続いた。同盟が1894年に発効してから1904年に英仏協商が成立するまでの間、三国同盟と露仏同盟の均衡は十分に保たれていたため、どちらの同盟も武力でそれを乱すような危険を冒すことはできなかった。（この頃は確かに、国際条約が平和の維持のために機能していたのだ）

　大陸におけるこの多かれ少なかれ均衡した状況は、ドイツがロシアおよびフランスと協力する一連の一時的な外交的連携にまでつながった。1894 年、ドイツとフランスは、ケープ・カイロ鉄道のためにイギリスがコンゴの領土の一部を取得するのを阻止するために協力した。34

1895 年、ドイツはフランスおよびロシアと協力し、日本に中国から奪った征服地の一部を返還するよう強制した（三国干渉）。35

1900 年、ロシアは、同じ 3 か国がイギリスとボーア人の間の調停を試みるべきだと提案した。ドイツはそのような措置でイギリスを敵に回すことを望まなかったものの、協議には同意した。もしフランスが領土の相互保証、ひいてはアルザス＝ロレーヌの再放棄を伴うドイツとの協定を締結することを望まなかったならば、三国はそれを試みた可能性は十分にあった。36
36 G.P、XV、406 注釈、499-550; XVII、105、222f.; XXIV、173; Bourgeois ct Pages、pp. 286-289; Sidney Leo、King Eclmtrd VII、I、761-773。現在の英仏版によると、皇帝が調停提案を扇動し、フランスとロシアにその不名誉を負わせようとした。G.P. の文書によると、その逆で、ロシアが提案を発案し、フランスとロシアが提案の不名誉をドイツに負わせようとした。確かに、正式な提案はロシアからドイツに最初になされた。リーが言及したロシアの電報がより完全な形で出版され、Die Grosse Politik の電報と比較されない限り、この件のマキャベリ的な扇動者がムラヴィエフか皇帝のどちらであったかを確実に判断することは難しい。最近の英国文書 (I、235 頁以降、247 頁以降) は、ムラヴィエフが最初に調停提案を始めたというドイツの主張を裏付けているように思われる。

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この同じ年、ドイツ、フランス、ロシア、イギリスの軍隊も義和団の乱を鎮圧するために並んで行進した。ツァーリが第 1 回ハーグ会議を提案したことは、善意からではあったが当時としてはナイーブなもので、ヨーロッパを驚かせた。ドイツとフランス、さらにはロシアの多くの役人も、ツァーリの提案を妨害しているように思われる不名誉を招くことなく、会議の範囲をできるだけ制限する努力に加わった。この問題に関する何十通もの電報を最もよく要約しているのは、デルカッセがパリ駐在のドイツ大使に伝えたとされるconfidenceである。

　「会議に関する我々（フランス）の関心は、貴国と全く同じです。貴国は現時点で防衛力を制限したり、軍縮提案に踏み込んだりするつもりはありません。我々は全く同じ立場にあります。我々はどちらもツァーリを助け、この問題を回避する方法を見つけたいと考えていますが、それぞれの防衛力を弱めるようなことには巻き込まれたくないのです。完全な失敗を避けるために、仲裁に関していくらかの譲歩をすることはできるかもしれませんが、それによって大国の完全な独立が制限されることは決してあってはなりません。ツァーリはともかく、ロシアの無分別な行動（第 1 回ハーグ会議）によってかき立てられたヨーロッパの世論も助けなければなりません。」37
37 G.P., XV, 186. この会議全体において、ドイツの無遠慮な態度により、軍備制限に関するツァーリの提案を阻止したことで、ドイツが不当に非難された。

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　最後に、以下に述べるように、カイザーは三国同盟と仏露同盟を統合して壮大な「大陸同盟」を結成するという提案を頻繁に口にしていた。カイザーは、5大国すべてがこのように統合されれば、ヨーロッパの平和が保証されるだけでなく、植民地問題全般におけるイギリスの過剰な支配を抑制できると考えていた。

　要するに、仏露同盟の最初の数年間は、ヨーロッパの平和を危険にさらすよりもむしろ強化する傾向があった。三国同盟に対する健全な対抗勢力が確立された。どちらのグループも、相手を安全に攻撃できるほど優位に立っていたわけではなく、武力による脅しで相手を支配しようとさえしなかった。

しかし、1894年から1904年の10年間に、最終的にこの均衡を崩す傾向となった2つの変化が起こった。それは、秘密同盟システムの発展において最も重要なものであった。イギリスが華麗なる孤立と引き換えにフランスとの英仏協商を結んだことと、イタリアが同盟国に対して疑わしい忠誠心を示したことである。

ENGLAND AT THE PARTING OF THE WAYS, 1890-1898
　一般的に言えば、イギリスの伝統的な政策は、何世紀にもわたっての「名誉ある孤立」であった。イギリスは「手を自由に」することで、ヨーロッパにおける大陸諸国間の勢力均衡を享受し、それがどういった規模であっても、イギリスの影響力は、決定的であった。

イギリスがヨーロッパの政治に積極的かつ断固として介入したのは、ある国が圧倒的に強くなろうとしたり、イギリスの海峡支配と海上覇権を脅かしたりする時だけであった。普仏戦争後の数年間、イギリスは依然として、伝統的な政策を堅持していた。ビスマルクは1879年9月、1887年11月、1889年1月の3回、ドイツとの同盟についてイギリスに打診したが、いずれの場合もビスマルクの「探り」は無駄に終わった。その理由の1つは、ソールズベリー卿がそのような政策に対して議会の承認を得られないことを恐れたためである。38

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イギリスは、1887 年にイタリアとオーストリアと協定を結んだだけで、同盟を結ばない方針からそれ以上逸脱することはなかった。この協定では、3 か国は、東地中海とトルコの平和とstatus quoに対する共通の希望を表明した。39

この協定はイギリスに軍事的義務を課すものではなかったが、イギリスには、三国同盟との友好関係を確認するものだった。ビスマルクの失脚後もこの友好関係は続き、ヘルゴラント＝ザンジバル条約や若き皇帝の個人的なつながりやイギリスへの訪問によって、当初は（英独関係が）強められたように見えた。　

　しかし、仏露同盟が結成された頃、イギリスは（ドイツと）袂を分かつことになったようだった。

孤立は素晴らしいことだったが、常に安全で快適だったわけではない。大陸のどちらの同盟グループにとっても海上では互角だったが、ドイツとフランス、あるいはドイツとロシアがイギリスに対抗して結束した場合、イギリスは不快な外交的敗北に直面する危険があった。

ローズベリー卿は、その無頓着で精力的な政策で、すでにいくつかの不快な経験をしており、それが後味の悪いものとなっていた。彼は、コンゴ共和国の境界を確定した 1884 年の条約の署名国に相談することなく、ナイル川上流域のコンゴ共和国の領土を、タンガニーカ地方のコンゴ共和国の領土の一部と引き換えに譲渡する条約に署名した。この領土には、イギリスのケープ・カイロ鉄道が通る予定だったのだ。フランスとドイツは、この条約はドイツ領東アフリカを包囲する傾向があり、以前の条約に反するとして抗議した。

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ローズベリーは、ソールズベリー卿が残した覚書に基づいて行動しており、その困難さについては知らなかったと謝罪し、この取り決めを撤回せざるを得なかった。40

同様に、1893 年のシャム紛争で生じた誤解においても、ローズベリーは、フランスが強硬な態度を取ったことに気づいた。ローズベリーは激怒し、日曜日に、内閣に相談することなく、バンコクのイギリス軍司令官に電報を送り、ヴィクトリア女王をひどく驚かせた。ローズベリー自身も、それが月曜日の朝にイギリスが目覚めて、フランスと戦争状態になる結果になったかもしれないと認めた。41

　エジプトにおけるイギリスの危険なほど弱い立場により、イギリスは大陸諸国の多かれ少なかれ一致した反対に常にさらされていた。

エジプトはイギリスの首に巻き付けられた縄のようなもので、海の女王から外交的譲歩を絞り出したい大国なら誰でも締めることができた。フランスはシャム論争でそのようにすると脅し、ドイツはトルコの鉄道利権でそのようにしていたと思われている。42

このような事件は「名誉ある孤立」という言葉の空虚さを露呈させた。グレイ卿が1892年から1895年にかけての最初の外務省での経験を語るとき、まさにこう言っている。「イギリスとフランスまたはロシアの間には、ちょっとした挑発で争いや敵意が湧き起こる絶え間ない摩擦があった。悪意のうねりは決して止まらなかった。イギリスの利益は、世界の多くの地域でフランスとロシアの利益と接触していた。そして、利益が接触するところでは、悪意の雰囲気は常に危険である。最も暗い疑惑は、暗い空の下の濁った空気の中で有害な植物のように、その中で育つ」43

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　こうした考慮から、イギリスの政治家たちは次第に「名誉ある孤立」はもはや不可能だという結論に至った。

1895年、ソールズベリー卿はドイツに対し、トルコを分割する時が来たとほのめかすことで、イギリスの態度の変化を示した（「デルカッセ外交Jの再検討p38～）。

イギリスはかつては、衰退したトルコ帝国を復興させる政策を追求していたが、ソールズベリーはついに、これは望みのない仕事だという結論に達した。彼は賭ける馬を間違えていた。トルコは分割した方がましだ、あるいは少なくともオスマン帝国が最終的に崩壊した場合に備えて、分割した部分を暫定的に割り当てた方がよい。

　スルタンの失政はトルコを着実に弱体化させ、トルコの抑圧下にあるキリスト教徒はますます落ち着きを失い、アブドゥル・ハミドの多かれ少なかれ暗黙の承認と黙認のもとで行われたアルメニア人の恐ろしい虐殺は、ヨーロッパに衝撃を与え、奮い立たせた。

ソールズベリー卿の提案は、トルコを分割するにあたり、エジプトはイギリス、トリポリはイタリア、サロニカはオーストリア、コンスタンチノープルまたは海峡の支配権はロシアに渡すというものであった。このような分割は、事前に友好的な合意を結び、3大国それぞれに公平な割り当てを確保するというものであり、それに伴う大きな困難を克服できれば、近東問題の解決に大いに役立ったかもしれない。

　残念ながら、ベルリンはソールズベリーの（トルコ分割）提案を受け入れなかった。当時ドイツの政策を主に決定していたマルシャルとホルシュタインは、非常に疑念を抱いていた。彼らは、フランスとイタリアを満足させることは難しいだろうと予見していた。

さらに、ドイツは何を得られるのか? 彼らは、トルコを分割しようとすると、解決するよりも多くの問題が生じ、列強を戦争に巻き込む可能性さえあることを恐れていた。彼らは、ソールズベリーの提案は、イギリスが混乱に乗じて利益を得る機会を得るために、ロシアと三国同盟の間に不和を生じさせることを意図しているのではないかと疑っていた。

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したがって、ソールズベリー卿が1か月後、カイザー・ヴィルヘルム2世がイギリスのヨットレースに参加していたカウズで、カイザーに直接提案を再度行ったとき、カイザーは冷静な返答をし、トルコの維持に努め、スルタンのキリスト教徒の臣民を保護するために適切な改革を強制することが最善であると信じていると語った。こうして、ソールズベリー卿は問題を放棄した（訳注；それは英国が、“パクス・ブリタニカ"放棄の意思を鮮明にした決定的瞬間であった）。44

　1898年までに、政治情勢は、イギリス内閣にとって、孤立政策を放棄することが賢明であることをさらに明らかにした。

中央アフリカでは、ニジェール国境をめぐるフランスとの摩擦が深刻であった。フランスはまた、ナイル川上流に向かって東に勢力を拡大していた。スーダンへの探検遠征を率いるマルシャン少佐は、ファショダでキッチナーによってまだ阻止されていなかった。南アフリカでは、イギリスとボーア人の摩擦が着実に増加し、数か月後には、イギリスが戦った中で最も屈辱的で犠牲の大きい戦争が勃発することになった。クルーガー電報は、ドイツ皇帝とその臣下がボーア人に強い関心を抱いていること、そしてドイツが南アフリカ共和国に与える可能性のある秘密であれ公然であれ、あらゆる支援を終わらせることが望ましいことを示した。

最後に、極東では、ドイツはキアウチャウの海軍基地の租借権を確保したばかりだった。ロシアはシベリア横断鉄道の延長により満州を経済的に掌握しつつあり、旅順港の租借権によって北京を脅かし、極東における英国の海軍と商業の優位性を深刻に危うくする足場を得ることになった。英国の新聞は、内閣がロシアをいかに阻止するかを知りたがっていた。