| The RUSSION ORIGINS of the First World War by McMeekin CHAPTER S I X Russia and the Armenians 2 |
| 第一次世界大戦年表 ボスニア・ヘルツェゴヴィナの併合とエーレンタール アルメニア人大虐殺 The RUSSION ORIGINS of the First World War Introduction The RUSSION ORIGINS of the First World War 1 Chapter 1 The RUSSION ORIGINS of the First World War 1Chapter 1 The RUSSION ORIGINS of the First World War 1Chapter 2 The RUSSION ORIGINS of the First World War 1Chapter 2 The RUSSION ORIGINS of the First World War 1Chapter 3 The RUSSION ORIGINS of the First World War 1Chapter 4 The RUSSION ORIGINS of the First World War 1Chapter 5 The RUSSION ORIGINS of the First World War 1Chapter 6 The RUSSION ORIGINS of the First World War 1Chapter 6 The RUSSION ORIGINS of the First World War 1Chapter 7 The RUSSION ORIGINS of the First World War 1Chapter 8 The RUSSION ORIGINS of the First World War 1Chapter 9 The RUSSION ORIGINS of the First World War Conclusion |
| p158 ＜ユデーニチの覚書＞ 「オスマン帝国のアルメニア人の武装について」は、彼が直面していた痛ましいジレンマを概説した。トルコ人との決着をうずうずしているオスマン帝国のアルメニア人義勇軍にすでに圧倒されていたロシアの司令官は、窮地に陥った同胞たちに清算の日が来たことを何の疑いも持たなかった。軍が西部戦線に集中したために「ロシアの支援を剥奪され」、「アルメニア人はもっぱら自分たちの力だけで自分たちを守らざるを得なくなるだろう」と彼は書いた。ロシア・オスマン戦争とバルカン戦争の最近の状況に基づいて、トルコはおそらく「（ロシアの）勝敗にかかわらず、アルメニア人を抑圧し残虐行為を行う」だろう。 最初のケースでは、「退却するイスラム教徒が進路上でアルメニア人を虐殺」することになる。2つ目は、ロシアに対する勝利のフラッシュにより、トルコ人が「アルメニア人を殲滅するという彼らの重要な目標を実行する」ことが容易になるだろう。したがって、ティフリス司令官のコーカサス軍参謀長ユデーニチ中将は、自己成就的預言の容赦ない論理により、オスマン帝国のアルメニア人が自衛できるように「少なくとも2万丁のライフルとそれに付随する弾薬」をトルコに密輸することによって、スパイのようにオスマン帝国のアルメニア人の「殲滅」を阻止することを提案した。 これは、コーカサスとペルシャの国境沿いに秘密の武器庫を設立し(北ペルシャの密輸ルートはダシュナクによって長年使用されていた)、、武器に同行して配達を担当する信頼できるアルメニア人の配達員を選ぶことによって、「極秘に」行われなければならないだろう[44]。 この注目すべき文書は 2通りに解釈できる。一方では、アルメニア人はユデーニチが、1915年の「大量虐殺」を予見し、それを阻止するために武装しようとした預言的な同盟者であると容易に主張することができた。しかし（もう一方で）、オスマン帝国のアルメニア人に対するロシアの長期にわたる同盟がルビコン川を渡り、戦時中のあからさまな裏切り行為に及んだのと同じくらい、ユデーニチ報告書を、意図的な忌まわしい証拠として読み取ることも容易にできる。 ユデーニチがオスマン帝国国境を越えて武器を密輸することを最初に提案したとき、トランスコーカサスにおけるアルメニア人ボランティア「バンド」の結成が長い間進められていた。 この展開は1914年8月末までに成熟に達しており、スーションによる奇襲攻撃が、表向きロシアがオスマン帝国に対する戦闘事由を与えることになるまる2か月前であり、そして、同月エルズルムで開催されたアルメニア革命連盟の大会で、ポルテへの（ほぼ確実に不誠実な）忠誠宣言と並行して行われたのは偶然ではなかった。 ロシアがアルメニア義勇軍団を武装させた証拠は、トルコがロシアに宣戦布告する十分な理由であると見る人もいるだろう。ロシアの活動に対するオスマン帝国軍の監視は、トルコに対するロシア諜報機関と同じくらい徹底していた。 p159 例えば、カルスのトルコ総領事館は、1913年7月にはロシアの工作員がトルコ国内のアルメニア人反乱軍に武器を密輸していたと報告した[45]。 しかし、ポルテは1914年11月の戦闘事由（宣戦布告）の概要を説明する際に、ロシアによる反オスマン帝国的なパルチザンの動員には言及しなかった。その理由を理解するのは難しくない。トルコ人もロシア人に負けず劣らず秘密作戦に積極的だったのだ。 エンヴェルの悪名高い民兵スパイ組織、テスキラト・イ・マフスサは、ロシアがアルメニア人を動員している間も、アゼルバイジャン人、チェルケス人、カシア人、タタール人、その他のコーカサスのイスラム教徒志願兵を反ロシア・パルチザンバンドに参加させるべく懸命に活動していた。46 1877年の戦争のときと同様、両国とも意図的に何千人もの脱走兵や不満分子を相手側から引き込んだ。民族と宗教の選別という醜いプロセス全体（忠実でないキリスト教徒がロシアに、イスラム教徒がトルコに逃げる）は、現在と同様に当時の西側の感覚を傷つけるものだったため、両者ともそのような成功を公言することを望んでいなかった。 両帝国が同じゲームをしていしたという意味では、ロシアからの挑戦を責めることはできない。 アルメニアの大惨事の根源は、両国の他の集団の間で横行していた裏切りと協力の事実というよりも、むしろロシアの巨大な帝国的野心とそれを達成するための限られた手段との間のギャップにあった。 ポルテにおいては、ロシアが（まだ）正式な保護国ではなかったしても、1913年から1914年の改革運動において、事実上専有権を宣言していたトルコ東部6州の併合を目指していたことが、ほぼ確信されていた。（訳注；c.f.p151 アルメニア人東部 6 州とはヴァン（Van）、エルズルム（Erzurum）、ビトリス（Bitlis）、エラズー（Erazığ）、シヴァス（Sivas）、ディヤルバクル（Diyarbakır）を指す ) 同様に、ダーダネルス海戦とそれをめぐる外交は、これまでの500年の歴史とまではないにしても、ロシアがコンスタンティノープルと海峡の征服を目指していたことを完全に明らかにした。 これらの前線のいずれかの近くでロシア人を援助し扇動していると噂されたトルコ側内部のグループは、単に不誠実であると疑われるだけでなく、1915年4月から5月にガリポリ半島から来たオスマン帝国のギリシャ人のように、緊急の軍事的必要性を理由に移住させられた可能性が高い。（予想に反して、その運命の年について、トルコのプレスでは、反アルメニア人のレトリックよりも反ギリシャ感情のほうがはるかに多かった。）47 オスマン帝国がロシアに対する敗北でどれほどの損失を被ったかを考えれば、最終的にアルメニア人も同様の標的にされたことは少しも驚くべきことではない。 p160 対照的にロシアは、トルコが戦争に勝ったとしてもそれほど大きな損失を被るわけではなかったが、彼らにはコーカサスのイスラム教徒の忠誠心を心配する十分な理由があった。 エンヴェルが想定した汎トゥルニア主義（すべての「チュルク語」族が単一の帝国に統合されるという考えであり、ロシアの中央アジア草原の大部分に対する帝国の主張を暗示した）に関するゴシップにもかかわらず、現実的なオスマン帝国の戦争目標が、最近失われた領土、特にバルカン戦争で没収されたエーゲ海の島々や1877年の戦争でロシアに持っていかれた3つの州であるElviye-i Seldse（Kars, Ardahan, Batum）の奪還を超えたものであったという証拠はほとんどない。 それでも、エンヴェルのサルカミシュ攻撃（c.f.p127）は、アルダハン州とカルス州でアルメニア人の反イスラム暴力のパニック的な波を引き起こすのに十分な脅威であった。オスマン帝国情報筋は、約3万人のイスラム教徒民間人が（アルメニア人によって）殺害されたと報告した。最近の研究では、その数はさらに多く、チョロキ渓谷だけでも 45,000 人に達していたことが指摘されている。 1915年1月初旬、アルダハン州のアルダハン-メルデネク道路を走行中、アゼルバイジャン下院議員マフムード・ユスフ・ジャファロフは「道路の両側に非武装のイスラム教徒の集団墓地」を目撃した。犠牲者の正確な数が何であれ、コーカサスのイスラム教徒に対するキリスト教による復讐殺人の波は深刻で、コーカサスの総督を長年務めたI.I.ボロンツォフ＝ダシコフ伯爵は、さらなる残虐行為との結びつきを禁じる一連の法令を発令し、同時に約1万人のイスラム教徒を前線近くの敏感な地域からロシア内陸部へ国外追放するよう命じた。カスピ海にある刑務所島は、コーカサスのイスラム教徒の強制送還者を保管するために設立され、約 5,000 人の最初のグループが 1915 年 1 月末までにそこに到着した[48]。 もしエンヴェルの攻撃がカルスやその先まで続き、ニコライ大公が、イギリスをガリポリ作戦に誘導する手段として予測していたロシアの士気の崩壊そのものを引き起こしていたら、、歴史家たちは、ロシアの恐ろしい革命の際のイスラム教徒の国外追放と、コーカサスのイスラム教徒に対するロシア・アルメニア人の1915年の残虐行為の範囲と意図についての議論してきたかもしれない。 結局そういったことはなく、1月にサルカミシュでオスマン帝国第3軍が被った大惨事と、翌月の連合国のダーダネルス海峡攻撃のクラッシュにより、戦略的勢いが完全に（ロシアの方に）好転し、コーカサスイスラム教徒に対するロシア側の恐怖は緩和された。そして、来るべき残虐行為の背後にあるオスマン帝国の厄介な守りを生じさせた。 勝敗に関わらず、トルコには無差別殺人の意図があったとのユデーニチの主張には同調できない。トルコ軍がロシア軍に勝利していれば（訳注；この可能性はほぼゼロだった）、あるいは連合国がダーダネルス海戦、その後ガリポリ作戦を行っていなければ、1915年のアルメニアの悲劇のようなことは起こっていなかったことだろう。戦争の運命は気まぐれで、事前に結果が決まることはない。 p161 このことは、1915 年 1 月の(Sarikamishの戦いでの)トルコ軍の勝利という反実仮想的なケースだけでなく、ダイナミックなロシアの勝利という正反対のシナリオにも当てはまる。つまりコーカサス軍がサルカミシュの雪の吹きだまりに取り残され粉砕された残党を単に包囲する（実際はそうだった）以上に、トルコ軍を敗走させ、退却するトルコ軍を西にアンカラに向かって追撃したであろうということ。 混乱しながらも明らかに親ロシア的な戦闘結果は、世界最悪の事態を生み出した。トルコ人は絶望的で逃走中（だがまだ倒されていない）、ロシア人は自信過剰だが用心深い。そして最も重要なことは、アルメニアの革命家たちが、今にもオスマン帝国の完全な崩壊が起きると予想し、これを実現するのに役立つロシアの多大な援助を期待しており、基本的にはハルマゲドン（世界最終戦争）の準備をしていたということである。 アナトリア東部におけるアルメニア人全体の蜂起に対するロシアの作戦計画は、サルカミの（戦い）のずっと前、実際、トルコが実際に参戦するよりも前から進められていた。「我々の指示なしには」何事も行わないというサゾーノフの指示に従い、ティフリス司令部はヴォロンツォフ＝ダシコフ総督とともに、1914年9月にロシア側に可能な限りのイヴェント統制を与えることを目的とした慎重で段階的な戦略を練り上げた。 オルトゥ、ギズマン（カグルズマン）、イグディル（イグディル）など、国境のロシア側の辺境の町に小規模のアルメニアゲリラ細胞（それぞれ100人未満）が創設されることになる。各監房には、1人当たり対応する弾薬を備えたライフル銃1丁に加え、国境を越えてトルコに密輸する余剰武器250丁も受け取ることになった。ペルシャ北西部のホイとディルマンでも同様のゲリラ集団が結成されることになった。密輸ルートが容易だったため、これらの人々はトルコ国内のアルメニア細胞向けに追加のライフル銃2,000挺を受け取ることになった。どちらの場合でも、武器はトルコが宣戦布告するとすぐに、最初の現金とともに払い出される予定だった。 コーカサスの総督を長年務めたI.I.ボロンツォフ＝ダシコフ伯爵は、ロシアがトルコでアルメニアによる破壊活動を行うには、合計で月10万ルーブルの費用がかかると見積もっていた。これらの補助金は、それを偽装するために、ペルシャ占領予算から捻出されれていた[49]。 p164 ロシアは1914年の秋を通じてアルメニア人の武装蜂起の計画を続けたが、ガリポリ遠征の特徴と同じ自信に満ちた倦怠感が漂っていた。エルズルム（オスマン帝国第三軍の司令部があったことは重要な意味を持つ）のロシア領事A・A・アダモフは、敵対行為の開始後にトルコを離れた際に、アルメニア情勢についての長い分析を書いたが、これは以前のユデーニチの覚書とほぼ同じくらいひどいものだった。 1914年11月1日のアダモフ報告書は、戦争前夜のトルコ東部国内からの最新情報を示していたため、サゾノフによって直ちにスタフカに転送された。アダモフはロシアの将軍たちに、「エルズルムのアルメニア人だけではなく、エルジンジャン、シヴァス、マナ・ハトゥン、カイセリを含む周囲のすべての都市でも、言うまでもなくラグジュや農村地帯では、トルコのくびきから解放してくれるロシア軍の到着を待ちわびている。 」と告げた。 常にロシアを警戒し、ドイツ領事と強い絆を築いてきたエルズルムのダシュナクたちでさえ、アルメニア改革協定の物語を受けて、「ついにあらゆる反対を放棄し、完全にロシア愛国者になった」と同氏は報告した。アダモフは、自棄になっているわけでもないので、この地域のエルズルム・ダシュナクと他のアルメニア人パルチザンは「ロシア人が目前に来るまでは、蜂起を起こす危険はないだろう」と約束した。 反政府勢力は慎重に「武器を秘密保管庫に隠し」ていたが、戒厳令下にある国では即時の仲裁報復を恐れて「敢えて武器を持ち出そうとはしなかった」。このため、アダモフは「ロシア側のわずかな遅れが、（アルメニア人への）救援に向かう際に彼らの完全な破壊につながる可能性がある」と不気味に警告した。 オスマン帝国のアルメニア人にとっては不幸なことだったが、作戦の遅れはロシア軍のDNAに組み込まれていた。トルコが11月に参戦したとき、ボロンツォフ＝ダシコフの9月の計画は達成には程遠いものだった。ウルミアの副領事P・P・ヴヴェデンスキーがティフリスに報告したように、1914年12月14日までにペルシャ北西部のアルメニア人バンドは少なくとも「党派作戦の準備ができていた」と報告した51。 トルコのコーカサス戦線では事態はよりゆっくりと進んでいたが、12月18日、フンチャクの指導者ヤコブ・トゥラビアンが国境でのアルメニア人バンドの組織化を支援するためロンドンとコペンハーゲンを経由してティフリスに到着した際、ユデーニチは少額の勲章を受け取った。アルメニア人志願兵はヨーロッパ全土でこの運動に参加しており、アメリカでも同様であったが、トゥラビアンのような奇特な著名人を除けば、ほとんどのアルメニア人志願兵がコーカサスに行くのは困難であった[52]。 p165 ガリポリの戦略集からそのまま抜粋した言葉で、サゾーノフは西側の外交官に対し、アルメニアのゲリラ戦士志望者たちに、旅費を自費で支払い、武器を購入するならロシアのために戦うことを歓迎すると伝えるよう指示した[53]。 サゾーノフの痕跡は、ロシア内の無謀で利己的なアルメニア人の策略のいたるところにあった。もしそれが軍人だけに任されていたとしたら、ティフリスの司令部は、ゲリラ戦に理想的であり、アルメニア人よりもはるかに機動力に優れていたクルド人に対して、より独占的に協力したかもしれない[54]。 しかしサゾーノフは、ティフリスがアルメニア人に武器を提供するよう繰り返し主張した。。つまり、オスマン帝国のキリスト教徒の保護者であるというロシアの主張が、トルコとの戦争の要点だった[55]。 何よりも、アルメニア人は自分たちの後援者が誰であるかを認識しなければならなかった。1914年12月17日、トルコ国境のアルメニア人バンドがついに行動の準備を始めたとき、サゾノフの副官K.N.グルケヴィチはユデーニチに指令を送り、「いかなるアルメニア人の蜂起命令も、ロシア外務省の事前の合意を得た後にのみ発せられなければならない」というサゾーノフの規定を再確認した。56 この時点でのティフリス司令部でのこの件に関する激しい会話に基づけば、この命令は今後数週間以内に発令されるだろうと信じる十分な理由があるが、その考えは、1914年12月下旬のサルカミシュでのトルコ軍の攻撃によって意味を失うことになってしまった。 サルカミシュ（の戦い）前にトルコ東部で起こり得るであろうアルメニア人蜂起に関するサゾーノフの立場を要約すると次のようになる。ロシアは、アルメニア人革命家が最終的に問題に陥った場合にもっともらしい否定ができるように、ヨーロッパやアメリカにおいてアルメニア人革命家を募集（または資金提供）していると見られてはいけない。ロシアはトルコにおけるアルメニア人のパルチザン活動に対する拒否権と完全な作戦統制権を持たなければならない。 そして最終的には、アルメニア人は、もしオスマン帝国の権威を打倒することに成功すれば、ロシアに感謝しなければならない――そうすれば解放された全領土をロシアの軍隊が占領することになるだろう。 ＜コーカサスの総督ダシコフからの提案＞ ロシアは、サルカミシュ（の戦い）後のアルメニア人蜂起の見通しについて、あまり楽観的ではなかった。アレッポ北方の高地ゼイトゥンから来たオスマン帝国のアルメニア人反乱軍指導者の代理が1915年2月中旬にティフリスに到着し、ロシアの武器弾薬を受け取った場合に「トルコ[軍]の通信を襲撃する」準備ができている1万5000人の兵力を用意していると主張した。（ゼイトゥンはオスマン帝国第三軍への南部の主要補給路の一つにまたがっていた。） ヴォロンツォフ＝ダシコフは興味をそそられたものの、何も約束せず、ティフリスの司令部はトルコ国内から遠く離れていて、武器を入手する方法がないと主張した。 p166 しかし、ゼイトゥンのアルメニア人を手ぶらで送り出すことを望まなかったコーカサスの総督を長年務めたI.I.ボロンツォフ＝ダシコフ伯爵は、バジリの海峡覚書を彷彿とさせる「提案」を行った。（その内容は）おそらくは、フランスかイギリスが地中海沿岸にキリシアのアルメニア人のために秘密の武器貯蔵場を手配してはどうか、というものだった。 ゼイトゥンのアルメニア人たちと会っただけで――彼らはオスマン帝国のキリキアからティフリスまで（おそらく北ペルシャを経由して）たどり着くためにロシアから多大な援助と激励を受けたに違いない――ヴォロンツォフ＝ダシュコフは極めて挑発的な行為を犯したのだ。 その後、このやっかいな難題は（サゾノフ経由で）ロンドンとパリに投げ込まれ、ロンドンやパリでは、それは、オスマン帝国の首都を脅かすダーダネルス海戦の最盛期である2月から3月にかけてずっと投げ回され続けた。コーカサスの総督を長年務めたI.I.ボロンツォフ＝ダシコフ伯爵は膨大な書類を作成し、その後に不可避的な噂が続いた。 オスマン帝国当局がこの陰謀の糸口を把握するのに時間はかからなかった。1915年4月初旬にアルメニアの反政府勢力はオスマン帝国の武器輸送車列とゼイトゥンの軍兵舎を攻撃し、トルコ兵らが（ゼイトゥンの2万人のアルメニア民間人とともに）山への逃亡を余儀なくされる前に、彼ら約500人を殺害した後、不吉な結果がもたらされた。58 イギリスとフランスが最終的にゼイトゥンのアルメニア人に武器を送ることに躊躇したのは事実だが、オスマン帝国がこれを確実に知ることはできなかった。そしてゼイトゥンでの陰謀は氷山の一角に過ぎなかった。 フンチャクの代表団は1915年4月の第1週にティフリス司令部に対し、アルメニアのパルチザンが「キリキア全土」で蜂起する準備をしていると報告した(vo vsei Kilikii)。アルメニア人らの主張によれば、アダナからアレッポに至るオスマン帝国のこの山岳地域全域に、シス、ハシン、ドルチョルとともに抵抗の中心地であったゼイトゥン近郊のフルヌズを含む3,000以上の武装革命細胞が創設されたと主張した。ジェイハンの鉄道の難所近くの海岸沿い（1915年3月初旬にアルメニア人諜報員が上陸するのが目撃されており、おそらくカイロからイギリスの軍艦で運ばれたものと思われる）。59 フンチャクたちはトルコにおける反政府勢力の活動の規模について誇張はしなかった。1915年4月までに、ロシアの軍事諜報機関は「キリキアでの一斉蜂起」、ビトリス、ヴァン、ム§でのアルメニア人と政府の間の「血なまぐさい衝突」、そして「エルズルム..ゼイトゥンとその周辺での組織的虐殺」の報告を嬉々として伝えていた。60 p168 オスマン帝国の情報筋もまた、1915年4月、ビトリス県のヴァン区域と、ジェイハン/ドルチョル近郊のキリシア（ダイナマイト50キロが発見された）、ゼイトゥン、アレクサンドレッタイスケンデルン）とアレッポの間（ダマスカスへの供給線をまたぐ地域）のハタイの両方で反乱鎮圧作戦が激化したことを確認している。この事件では「[オスマン帝国]第4軍の後方地域で、アルメニア人ゲリラが銃と爆弾を使用して武力攻撃」を行った[61]。 1915年4月、オスマン帝国当局に対する待望のアルメニア人の蜂起がついにキリキアとアナトリア東部に広がり始めたとき、ロシアのコーカサス軍はどこにいたのか? ゼイトゥンやヴァンの反政府勢力に大量の武器を届けることに失敗し、ましてやエルズルム、エルジンジャン、シヴァス、カイセリ、あるいはアダモフ報告書の標的となった他の都市にまでは及ばず、ティフリス司令部は、同月後半の連合軍水陸両用上陸作戦に対し、エベルガールトの黒海艦隊とほぼ同じ位置にいた。つまり安全な距離から熱心に見守っていたのだった。 トルコのアルメニア人たちは、ガリポリに上陸したＡＮＺＡＣ軍、イギリス軍、フランス軍のように、ロシアが自国の利益のために戦う意志がない（あるいはその能力がない）ことに対して、血で代価を支払うことになってしまった。 ＜1915年ヴァンの反乱・アルメニア人大虐殺 ＞ ヴァンの反乱（訳注；オスマン帝国に対し、ヴァン区域のアルメニア人が起こした反乱で、オスマン政府がアルメニア人の支配状態を強化することにより意図的に蜂起を扇動した。1915年の4月19日から5月17日まで続いた。オスマン帝国の撤退/アルメニアの勝利となったが、8 月にオスマン帝国軍によって奪還された）は、アルメニアの悲劇を完璧に表している。地元のダシュナク族は、前年春のクルド人の略奪以来、ロシア人と緊密に連絡を取っていた。 ヴァンにおけるダシュナク族と政府軍の間の暴力的な衝突は、1914 年 9 月にはすでに報告されていた。1914年9月24日、オスマン帝国第3軍は、ロシア人が国境を越えて武器と弾薬を密輸している証拠を報告し、この密輸を幇助した者は「直ちに処刑される」と警告した[62]。 冬の間中、辺境地域は活気に満ち溢れており、ヴァンから逃れたアルメニア人の脱走兵がロシア軍の元へ渡った一方、トルコに戻ってくる脱走兵も目撃されていた。1915年初頭までに、オスマン帝国第3軍は、ティフリス司令部が「ロシア人が機関銃と大砲を装備していたアルメニアのギャング」について「オルトゥ、ザルルカムルシュ、カグルズマン、に設置した」という、実行可能な、そしてほぼ正確な情報を集めた。63 p169 1915 年の 2 月と 3 月には、オスマン帝国軍諜報部のかなり紫っぽいくどい説明を信じるならば、ヴァン、ビトリス、エルズルム付近で、電信線の切断、爆弾の爆発、トルコ軍と警察の兵舎への攻撃、そして「イスラム教徒の村の略奪と破壊」などの重大な反乱活動の最初の報告があった。アルメニアの反乱軍が「ゆりかごの中の赤ん坊さえも虐殺した」からだ。 サゾノフが明言したように、これらのアルメニアのパルチザン活動がロシア外務省によって事前に承認されていたかどうかにかかわらず、「想像を絶する規模の大惨事」を恐れ始めていたオスマン帝国の第3軍司令部にとって、それらは確かにロシアに触発されたもののように見えた。64 1915 年 4 月 13 日か 14 日ごろ、パルチザンがヴァンから政府軍を追放し、街の周囲にバリケードを築き、トルコ人にとって最悪の悪夢が現実となった。アルメニア人がヴァンに何人の兵力を投入できたのか正確には誰にも分からないが、最終的にオスマン帝国の憲兵3大隊、第3軍から派遣された第1遠征軍、そして数え切れないほどのクルド人ハミディエ民兵を相手に4週間以上も都市を制圧していたのだから、相当な数だったに違いない。 戦闘は容赦なく、トルコ人とクルド人が城壁の外でアルメニア民間人を虐殺している間も、アルメニア人は町内で捕らえられたイスラム教徒を派兵した。ヴァンで10万人以上のイスラム教徒が殺害されたというオスマン帝国の当初の主張は確かにかなり誇張されているが、恐ろしい残虐行為が双方によって行われたことは十分に明らかである。ロシアのコサックが観察したように、「トルコ人とクルド人はアルメニア人を捕虜にしなかったし、アルメニア人もクルド人やトルコ人を捕虜にしなかった。」65 アルメニアの歴史家たちは、ヴァンの反乱をトルコの大量追放計画に対する予防的な「ワルシャワ蜂起」の一種として説明する傾向がある（トルコ側が主張するように、前線地域からのアルメニア人の「移住」を正当化する出来事ではない）が、しかしそれは確かに当時の見方ではなかった。 ティフリス司令部は、1915年5月初旬に2回に分けてヴァンからのメッセージを受け取った（メッセンジャーの服の裏地に縫い付けられていた）。一方、アルメニア人たちはまだ都市を占領しており、これは、電信が遮断されたにもかかわらず、ダシュナクが依然として自分たちがロシア軍を支援していると信じていたことを示唆しており、逆もまた同様であり、2番目のメッセージに明記されているように、アルメニア人は「ロシアの助けを毎日期待していた」66 ティフリスのアルメニア語新聞ムシャクは、アルメニアのパルチザンがヴァンをロシアに引き渡した、と公然と自慢したが、その編集者は国境地域でのパルチザンバンドの組織に直接関与していたため、誇りを持ってのことだった[67]。 p170 1915年5月20日に「ヴァンのアルメニア人」からコーカサスの総督を長年務めたI.I.ボロンツォフ＝ダシコフ伯爵に送られた誇らしげな電報によると、都市がロシア軍の手に落ちた後（ロシア側は明らかに発信ケーブル線を復旧させた）、少なくとも3,000人のアルメニア人「志願兵」がコサック軍のヴァンへの凱旋に同行しており、これはティフリス司令部による募集が結局無駄ではなかったことを示唆している[68]。 しかし、ヴァンのアルメニア人の物語はハッピーエンドではなかった。この蜂起が都市をロシア軍の手に落ちさせた一因となったのはほぼ確実だが、いつものようにロシア軍は試合終盤に到着した。ロシア軍がパルチザン反乱と連携して4月初旬か中旬までに市内に到着していたら、市壁の外に住む何千人もの罪のないアルメニア人の命は、一ヶ月に及ぶ恐ろしい包囲中に市内に閉じ込められた不運なイスラム教徒の命とともに救われたかもしれない。 実際には、反乱が始まってからほぼ5週間後の1915年5月18日に、コサックの最初の前衛が馬で町に入った。この時までに都市は廃墟と化し、アルメニア人地区はオスマン帝国の大砲によって爆撃され、イスラム教徒地区はアルメニア人パルチザンによって破壊されていた。アルメニア人、クルド人、トルコ人など数万人が同様に死亡し、その大多数は民間人であった。 以前はそうではなかったとしても、ヴァンは今ではアルメニア人の町となっており、何マイルも離れたところからアルメニア人難民が街に押し寄せていたにもかかわらず、数少ない生き残ったイスラム教徒のほとんどは逃亡してしまった。 1915 年 8 月にオスマン帝国軍によって奪還されるまで、ロシア占領下での町の再建はほとんど始まっていなかった。ヴァハカン・ダドリアンは以下のように主張する。-今やほぼアルメニア人のみとなった人口に予想通り悲惨な結果がもたらされ、そのうち約5万人が5月にロシア人への都市の引き渡しに協力したことへの報復として即座に虐殺された[69]。 タナー・アクカムはさらに踏み込んで、トルコ軍がヴァンを奪回した際に「都市のアルメニア人全員を殺害した」と主張した70。 一方、ヴァンでの短命で最終的には無駄に終わったアルメニア人の反乱は、今日でも歴史家が議論している恐ろしい一連の出来事を引き起こした。「アルメニア人虐殺」の伝統的な物語は、1915年4月24日にコンスタンティノープルでアルメニア人の著名人240名が逮捕され、それが始まったと主張している。しかし、主にトルコ人の学者によって行われた、現在公開されているオスマン帝国のアーカイブの新しい研究調査は、、1915年3月初旬に内務大臣タラート・ベイによって発令されたゼイトゥンとドルチョルにのみに適用された小規模な「移転」令を含む、いくつかの追放命令が実際にはこの日よりも前にあったことを示している。 p171 マラスに関する同様の命令は 4 月初めに出された71。 しかし、国外追放運動が半公式、または公式になり、あるいはタナー・アクカムが言うように「戦略的」理論的根拠から「虐殺的」理論的根拠に移行したのは、キリキア人、特にヴァンの反乱が深刻化してからのことである72。 オスマン帝国初の大規模な「移転」令は、1915年4月24日という重要な日に発令されたが、それは大半のアルメニア人がその国外追放運動の行き過ぎを非難していた内務大臣タラート・ベイではなく、陸軍大臣エンヴェル・パシャによって発令されていた。（とはいえ、彼はタラートのかなり曖昧な指示に基づいて法令を作成したのであるが）73 この文書はヴァンとキリキアの反乱の激化を背景に発行され、ちょうど連合軍無敵艦隊がガリポリ攻撃に集結していた矢先、前線に近い反乱地域のアルメニア人人口を10パーセント未満に減らすようアンヴェルは命じた。一連のフォローアップ法令の中で、エンヴェルはさらにアルメニアの政治指導者の移転を命じ、アルメニア人の「反乱軍」を国境地帯から排除し、その後イスラム教徒とともに再定住させるようタラート内務省に勧告した[74]。 ほぼ5週間後の1915年5月31日になって初めて（政府がヴァンでの流血事件の全てを知ってからではなかったが）、タラートはアルメニア人の移転と移送を必要とする強制的な政治的状況に関する悪名高い法令を公布した。それは東部６州に適用された。75 最後のひどいエスカレーションは 1915 年 7 月に起こり、ガズィアンテプ、アンティオキア (アンタキヤ)、マラス、ウルファ、ゼイトゥンでの新たな一連の武装蜂起（アルメニアのパルチザン活動は、その時までにオスマン帝国のトマン軍3個師団全体を拘束するのに十分なほどのものだった）により、タラートは国外追放キャンペーンを初めて、サムスン、シバス、トラブゾン、ウルファ、メルシン、アダナなど、前線よりかなり後方のアナトリア地域にまで拡大する口実を得た。 アルメニア人の国外追放令は、トルコで決して普遍的に適用されたわけではなかった。少なくとも理論上は、アルメニアのカトリック教徒とプロテスタント、女性、子供、高齢者、兵士とその家族、そして特定の余人をもって代えがたい職人（バグダッド鉄道で働く人々など）には免除があった。しかし、これらの免除は意図的に無視されることが多く、1915年の夏までにアルメニア人追放が推定上の戦略的根拠をはるかに超えて、一般化した民族浄化作戦に変わったことは疑いの余地がない。76 p172 アルメニア人追放キャンペーンの人的被害は壊滅的であった。「移住」した人々のほぼ全員は、家や持ち運べなかったあらゆる個人財産を失い、その補償は理論上は政府によって与えられるはずだったが、実際には補償されなかった。 アルメニア人作家たちが主張しているように、1915年に亡くなった数十万人のうち、間違いなく多くの人がトルコとクルド人の処刑部隊の手によって命を落とした。しかし、かなりの人々は、ずっと以前にタウラスとアマナスの山道沿いにいなかったら（残酷なことに、多くの場合、ほとんどが通行を拒否されていたバグダッド鉄道の視界内にいた）、シリア砂漠の「恐怖の道」に沿って飢えか渇きで亡くなった可能性が高い。 この数字については学者によって意見が異なるが、今日のほとんどのトルコ人作家でさえ、国外追放キャンペーン中に約50万人のアルメニア人が死亡したことを認めている（ただし、第一次世界大戦中、トルコ東部とコーカサスでほぼ同数のイスラム教徒民間人がアルメニア人またはロシア人の手によって死亡したと主張する人もいる）。 アルメニア人作家らは、意図的な解放的絶滅作戦で150万人か200万人が死亡したと推定している。国外追放前後のアルメニア人人口に関する最新の人口統計調査に基づいて、アナトリアのアルメニア人住民の計画的な追放（意図的な絶滅ではないにしても）についてアルメニア人の主張を信じている稀有なトルコ人歴史家フアト・ダンダルは、最近、死者数が66万4,000人というもっともらしい数字に達した[78]。 ＜ロシアの大撤退と重なった不運＞ それは恐ろしい、恐ろしい話であり、これまで何度も語られてきた話である。しかし、「大量虐殺の意図」、「テント」、アルメニアの安全保障の脅威の真の規模、そして死傷者数をめぐるあらゆる政治的・学術的辛辣さの中で、明らかに問われず答えのない疑問がひとつ残っている。 ロシア人はどこにいたのか？（c.f.p168) 長年にわたる外交的いじめ、トルコ国内でのアルメニア革命家との秘密会合、パルチザンバンドへの資金提供と武器供与、そして差し迫った軍事介入の無数の約束を通じて、1915年のアルメニア蜂起が呼び起こされた。なぜロシア人は、これらの親ロシア派パルチザンがオスマン帝国軍によって鎮圧され、クルド民兵や男性、そして彼らの仲間のアルメニア人が一斉に（en masse）国外追放されるのを傍観し見ていたのだろうか？ p173 ロシアの弁護をすれば、最初に西ガリシア、次にポーランドの大部分とバルト海地域が敵の手に落ち、1915年夏のロシア自身の「大撤退」を背景に、アルメニア人に対する修正の瞬間が起こった。 1913年から1914年の改革運動中にサゾノフにとってそして、1914年秋にロシアの対トルコ戦争の行方を計画していたユデーニチにアルメニア問題は説得力のあるものに思えたのと同じように、1915年5月2日に起こったドイツの大躍進であったゴルリツェ・タルヌフの戦い後、ちょうどオスマン帝国人追放キャンペーンが始まったとき、スタフカがトルコのコーカサス戦線を強化するために武器、弾薬、兵力を節約することはまったく不可能だった。 トルコのアルメニア人にとって不運だったのは、ドイツ軍に対するロシア自身の正念場と全く同じタイミングで、オスマン帝国政府の怒りが彼らに降りかかったということだった。 1915年のロシアの戦略的無力による犠牲者はアルメニア人だけではなかった。東欧撤退が始まる前に50万人以上のユダヤ人も前線地域から追放されたが、残った多くのユダヤ人が、反ユダヤ主義ポグロムの標的となっていたため、彼らは幸運だった79。 結局、ロシアの撤退は「およそ200万人の民間難民の流出を引き起こした」80。 8月4日、最後のアルメニア人の反乱がトルコ東部で鎮圧されつつあったとき、ワルシャワがドイツ軍に占領された。9月までにバラノヴィチ自体が陥落し、スタフカは東への撤退を余儀なくされた。ドイツの前衛の速度を遅らせた唯一のことは、ロシアの「焦土政策」によってさらに不毛になった北ヨーロッパ平原の不毛地帯に彼らが進入する際に補給部隊が追いつけなかったことだった。公正な順序で行われた退却が軍を救ったことが後に明らかになったが、当時ペトログラードのパニックは非常に大きく、政府はほぼ崩壊した。有名な話として、皇帝ニコライ2世は1915年9月に陸軍指揮官を引き継ぎ、愚かにも大衆を結集させたが、その後彼は、ロシアの行き詰まった戦争努力（つまりユダヤ人は別として）の主要なスケープゴートとなることになった。 p174 しかし、連合国間の事情からすれば、この大撤退の物語は、ロシアの常習的な日和見主義と遅刻を改めて浮き彫りにしている。 フランス人がスタフカに繰り返し語っていたように、ドイツ人を倒すのに最適な時期は1914年8月であり、その時はシュリーフェン計画の原則により東プロイセンが大きく開いたままであった。翌年の春までにドイツは戦略的機動力を回復したが、フランスが要求したような壊滅的な打撃をドイツに与えるには遅すぎた。 ロシアのガリポリ(作戦）への貢献は微々たるものだったものの、ロシア同盟国について少しでも（結果の）相違をもたらすには少なくとも3か月遅すぎた。 同様に、アルメニア人の蜂起と連携してトルコ東部に侵攻する時期は、オスマン帝国第3軍が行動を起こす前の1914年11月、遅くとも1915年の3月から4月までであった。それは、アルメニア人の反乱軍のほとんどがロシア人を待つことに飽きて自ら行動を強行しようと決めたときだったのである。 1915年5月18日までに、コーカサス軍の最初の先遣コサック連隊がついにヴァンまで到達し、オスマン帝国のアルメニア人はすでに、ロシアの空虚な約束のために大挙して死に始めていた――その夏、ロシアのテキトーなトルコ東部侵攻が逆転した後は、さらに多くの人々が死に始めたことであった。 ダシュナク族やハンチャク族が自衛のために武装したことを責めるのは無理がある。彼らの間違いは、反乱軍に対する必然的な残忍な反撃が始まったら、ロシア騎兵隊が彼らを保護するために間に合うように到着すると期待したことにあった。 これらの革命家たち、そして彼らが代表していると主張したオスマン帝国のアルメニア民間人たちは、解放できない、あるいは解放する気のない軍の解放志願者として、帝国軍の貪欲さと無力さの独特の混合物によるロシアの犠牲者となった。 世界大戦が始まってわずか12か月で、ロシアは外交面を除くすべての重要な面で失敗した。揺れ動く国民の士気を引き締めるために、スタフカの一部の人たちは、今や新しいものを開く時期が来た、と信じられないことを結論づけた。 |