p453
11. German pressure for immediate war on Serbia and Conrad's objections.

　ベルヒトルトが国交断絶後にセルビアと戦争をするつもりがなかったのは疑いの余地がない。 7月24日、彼はグレイに、ベオグラードでの期限付きのdemarcheが結果を出さずにに終了した場合、暫定的に国交断絶と軍事準備の開始が続くだろうとの文書を送っていた。それは作戦ではなかった。

宣戦布告に関してはしかし、彼は言葉通りにはせず、実際、メンスドルフに対し、彼自身の個人的な意見として、セルビアには、オーストリアの要求を全面的に受け入れ、動員のために君主国が負担した支出を返済することで、オーストリアの要求に従う時間がまだあるだろう。、とグレイに言うように指示していた。

したがって、7月25日の国交断絶からコンラッドが8月12日に設定した作戦開始までの期間に、列強側はベオグラードに屈服するよう圧力を加え、それによってあらゆる複雑な事態を回避する十分な時間があっただろう。そして、セルビアが服従することは、おそらくベルヒトルトと、（7月26日にベルヒトルトがギースルに語ったように、この中断はまだ戦争を意味するものではないと繰り返し述べていた）フランシス・ヨーゼフ双方の願いだったのかもしれない。 2（See pp. 374-7）

　しかし、ベルヒトルトがイシュルにいる間に、25日午後2時12分にベルリンを出た駐独オーストリア大使セジェーニの電報がBallplatzに届いた。それは、25日午後8時にウィーンに到着した。そこにはこうあった。

　ここ（ドイツ）では、セルビアによる最終的な否定的な返答の後に、我が国（オーストリア）からの宣戦布告と軍事作戦が続くことは、世界的に当然のことと考えられている。ここでは、軍事作戦の開始が遅れると、他国の干渉誘発の大きな危険とみなされます。彼らは私たちに、既成事実fait accompliを持って世界に対峙するよう緊急に忠告しています。 3（Oe-U. VIII, 10656. See p. 426）

　26日の朝、執務室に戻ったベルヒトルトはこの電報を見つけ、参謀長のコンラッドと駐墺ドイツ大使チルシキーを呼び出すことにし、その会話を午後4時10分にベルリンに報告した。

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　ベルヒトルト伯爵は、第三者による介入のリスクを可能な限り回避するために、ベルリンは軍事作戦を最大限迅速に行い、できるだけ早く宣戦布告することが賢明であると考えている、という駐独オーストリア大使セジェーニ伯爵の電報を私に読み上げた。

ベルヒトルト大臣はこの点について話し合うためにすでにフォン・ヘッツェンドルフ男爵を呼んでおり、私がベルヒトルト大臣と一緒にいる間に彼は現れました。参謀長のコンラッドに対し、私はベルヒトルト伯爵も完全に共有する我々の立場をやんわりと主張した。

フォン・ヘッツェンドルフ男爵は、不十分な兵力で遠征を開始することを避けることが何よりも必要であると主張した。セルビア北部辺境のハンガリー軍団は当然、非常に短期間で行進の準備が整うだろう。しかし、オーストリア軍のセルビア西部国境への展開には通信不足のため時間がかかり、それまで事態を持ちこたえる必要がある。

彼は8月1日頃に総進撃を開始すると計算した。しかし、今後数日以内にボスニア国境へのセルビア軍の武力侵攻が起こるだろうと彼は想定していたので、正式な宣戦布告は間違いなく必要だろう。 1（ DD. I, 213.）
1 コンラッドの本には、26 日の講演の最初の部分に関する詳細、つまりチルシキーが出席している間に話された内容は記載されていないが、しかし、他の貴重な情報も得られる。「午後12時30分に同じ日（7月26日）、私はベルヒトルト伯爵と一緒にいました。そこで私はチルシキー氏に会いました。その後、マッチオ男爵とフォルガッハ伯爵も登場しました。チルシキー氏はいくつかのメモを読み上げた。 ...彼は、スウェーデンが、ポアンカレ氏に、もしロシアと戦争になったら、断固として三国同盟の側に立つだろうと伝えたと述べた。私は、この声明をロシアに知らせることが賢明だと思う、そうすればロシアはより慎重になるだろうと言いました。イタリアでは報道陣の態度は良好だったとドイツ大使は語った。しかし、サン・ジュリアーノは非常に心配しており、もしオーストリア＝ハンガリーの行動によって大戦争が勃発したとしても、イタリアには三国同盟に基づく約束を維持する義務はない、と述べていたので、私は次のように口を挟んだ。『これはカドルナの影響ではないかと心配しています。彼は、私からはフランス好きだと言われていた』

ベルヒトルト伯爵は、もし我々が何らかの領土を獲得するのであれば、イタリアはおそらく取引を行って領土を獲得したいのではないかと述べた。 チルシキー夫人は、急いで行動せず、適切な時期に補償について話し合うことをイタリアに伝えるよう私たちに忠告した。彼は続けて、パリでのドイツの離脱とブラティヌの興奮について語り、しかし、ルーマニアのカロル国王は三国同盟の側に留まるだろうと付け加えた。」

　私たちは、横暴で干渉的なドイツ外交官の目に明らかに躊躇したり変わりやすいと思われることを好まず、ドイツの立場に同意を表明したベルヒトルトの態度についてはこれ以上深く考えるつもりはない。

　むしろコンラッドの見解を検討してみよう。アルバニアにおけるセルビアの作戦がオーストリアに戦争の口実を与えているように見えた1913年9月以来、彼は動員を実行するには16日が必要であり、動員が完了する前に宣戦布告して作戦を開始することはできないと述べていた。

極度の外交的緊張と列国からの圧力の時期を予見して、ベルヒトルトは1913年9月29日、可能な限りの軍隊でセルビアの町シャバツを即時占領することを提案した（馬場優　オーストリア＝ハンガリーとバルカン戦争 p245）。「最後通牒と侵略」が彼の公式だった。

p455
彼はセルビア人たちに、「あなたがたがアルバニアを離れるまで、我々はシャバツに留まるつもりだ」と言いたかったのだろう。

だがコンラッドは反対した。「セルビア人は私たちをそこに座らせたままにして私たちを笑うか、あるいは私たちを攻撃するかのどちらかです。 1つ目は致命的なコースで、2つ目は戦争だ」と。彼は、特別に訓練された軍をもってしても、準備なしにセルビアに侵攻することは不可能であると説明した。 1

数週間後の10月20日、ベルヒトルトは平時軍の軍隊でセルビア領土を占領するという考えに立ち戻り、コンラッドは、ポティオレクの兵力はボスニア・ヘルツェゴビナ全土でわずか2万5000人だが、動員すれば8万人になるだろうと答えた。 2

さて7月26日、ベルヒトルトは動員から攻撃までに長い待ち時間があるという事実に非常に狼狽したが、コンラッドはこれを変えることはできず、その間は列強の介入に対して断固たる態度をとらなければならない、と率直に告げた。 3

　こうして1913年の議論は1914年7月に再開された。ホヨスがベルリンに持ち込んだベルヒトルトの当初の計画は、最後通牒も動員もなしにセルビアを無条件で奇襲攻撃するというものだったことが思い出されるだろう。

そこで7月（2）6日、ベルヒトルトはコンラッド参謀長に試験動員を命じるべきだと提案した。しかしコンラッドは、動員は特定の戦争を考慮してのみ行われると答えた。 4

さて、7月26日の駐独オーストリア大使セジェーニからの（ウィーンは直ちにセルビアに宣戦布告すべきであるとベルリンは考えているとの、ベルヒトルト宛の）電報は、新たな問題を提起した。チルシキーが去り、ベルヒトルトがコンラッドと二人きりになった後、ベルヒトルトはこう言った。

　（ベルヒトルト）「さまざまな影響を止めるために、できるだけ早くセルビアに宣戦布告を送りたいと考えています。あなたはいつ宣戦布告を望みますか？」
コンラッド：「すぐに作戦を開始できる段階になって初めて、たとえば8月12日に。」
ベルヒトルト：「外交状況はそう長くは続かない。辺境で衝突が起こらないとは言い切れない。

　コンラッドは、それほど緊急ではないので、数日待ってもよいだろうと考えた。最終的に両国は宣戦布告を延期することで合意したが、外交上の理由により、急ぐ必要がある場合には、この問題は再度議論されることになった。 5
5　コンラッドは、モンテネグロはできるだけ長くこの問題に参加しないようにし、ブルガリアはルーマニアにを煽るべきではないと提案したと付け加えた。「しかし、最も重要なことはロシアの態度がどうなるかを知ることであり、8月4日までに、遅くとも5日までにそれを知ることが望ましいだろう」ベルヒトルト「それは無理だ！」と言った。

要約するとこうなる。もしその日までにロシアが我々に敵対するだろうと我々が確信しているのなら、我々は真っ直ぐにロシアに敵対するべきだ、さもなければセルビアに対して敵対するだろうが、もし後でロシアが我々に敵対してきたならば、我々はこうするだろう。最初の相手は北側の戦争では弱いほうでなければならない」

この遅れがベルヒトルトに不安を与えた。 27日の朝に本題に戻り、ベルヒトルトはコンラッドに即時宣戦布告に同意するよう、ホヨスを派遣した。その宣戦布告は、すぐに交戦開始にはならなかったとしても、 fait accompliと共に少なくともドイツが望む「世界と対峙する」効果を達成するものとなるだろう。

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コンラッドは、「外交上の配慮が必要と思われる場合に限り」同意した。１そこでベルヒトルトは急いでその知らせを駐墺ドイツ大使チルシキーに伝え、これまで見てきたように、チルシキーはその知らせ（ウィーンがあらゆる介入の試みを阻止するために、翌日か遅くとも翌日にはセルビアに対して宣戦布告を発することを決定したこと）をベルリンに電報で送り、その電報は午後4時37分に到着した。

　あらゆる介入の試みを阻止するために、明日、遅くとも明後日には正式な宣戦布告を発することがここで決定された。２（DD. I, 257）

　ベルヒトルトの行動が、ベルリンを喜ばせたいという願望によって決定されたことは明らかである。 1933年1月20日にルチアーノ・マグリーニに宛てた手紙の中で、彼は「7月25日のセジェーニの電報の内容は、オーストリア・ハンガリー両国の決定と措置に一定の影響を与えた」と述べている。これまでに起こったことすべてについての私たちの知識を考慮すると、これは簡単に信じることができる。

もしウィーンが今回行動を控えていたら、ベルリンはオーストリアを同盟国としてふさわしくないとみなしただろう。もし作戦が8月12日より早く開始できないのであれば、特にベルリンはその遅れを全く歓迎していなかったので、少なくとも宣戦布告はする必要があった。実際、ヤーゴは、コンラッドが8月12日までには、野に展開できない、と報じた、既述した26日のチルシキーの至急報を読んだとき、セジェーニに不満をぶちまけ、27日午後5時50分に電報を打った。　

　国務長官ヤーゴは、チルシキー氏がコンラート・フォン・ホッツェンドルフ将軍から内密に、セルビアに対して必要な軍事力を持って攻撃を進めるために、我々の動員は8月12日まで完了できない、と電報で伝えたと私に言った。国務長官ヤーゴは、軍事行動の開始日が大幅に延期されたことを遺憾に思っていると私に語った。 3（Oe-U. VIII, 10792.）

　ベルリンのバイエルン公使レルヒェンフェルトは、今度はヘルトリングに次のような手紙を書いた。

　ここで、オーストリア・ハンガリー両国が、少なくとも2週間か10日より早く攻撃を開始する立場にないと宣言したことは、まあさもありなん、といったところだろう。 4（Dirr, p. 154）

　駐独オーストリア大使セジェーニの至急報とともに受け取られた以上2 つの文書（3，4、）は、ドイツ政府の真の意図と責任を明確に示している。セジェーニの27日の至急報の正当性を非難する歴史家たちは、至急報と文書が互いに完全に裏付けられていることをよく知っているが、それらが引用されることは決してない。

こうした歴史家たちの一人は、（オーストリアからの）セルビアへの宣戦布告を、ウィーンがセルビアの返答によって好印象を得て、そして26日にベルリンが、ウィーンが好意的な考慮をすべきだというグレイの願いを伝えたとき、ベルヒトルトが、何もせずにおくことに疑いを持ち始め、「26日の正午頃」コンラッドに質問を投げかけた事実（試験動員を命じる提案）によって説明をしている。1
1　Fay, II, p. 417.　文書証拠から最も遠い意見は、Barnesの意見である。彼ほど事実と異なる発言を敢えて行ったドイツ人はいない。彼は次のように書いている。「ドイツは、セルビアの大規模な服従に感銘を受け、ロシア介入の可能性に警戒し、エドワード・グレイ卿に促されて、7月27日、オーストリアに対し、軍事活動の停止とセルビアとロシアとの交渉開始を求め始めた。この政策の更なる進展を阻止するために、ベルヒトルトは7月28日正午にセルビアに宣戦布告し、戦争勃発により、オーストリアのセルビア政策に関する交渉はもはや不可能であると主張した。(Barnes, p. 211)

別の場所で彼は次のように述べている。「ドイツは・・・オーストリアのセルビアに対する宣戦布告に反対した。 ロシアの介入の可能性がヨーロッパ全体の戦争を引き起こす恐れがあるとして、ドイツはオーストリアに対し、オーストリア・セルビア紛争に関してサンクトペテルブルクとの対話を開始するよう厳しく圧力をかけたが、オーストリアは4日間全く譲歩せず、オーストリアが同意のシミュレーションをしたときも、 7 月 31 日には遅すぎた」(Barnes、p. 223)

しかし、この文書は次のことを証明している：
(i) ドイツはオーストリアにセルビアに対する軍事行動の停止を決して求めなかった。
(ii) オーストリア参謀総長の助言に反し、ドイツの圧力を受けてオーストリアがセルビアに宣戦布告した。
(iii) 27 日夜のベートマンの電報は、オーストリアへの示唆は含まれておらず、さらにヤーゴのセジェーニへの発言によって無力化されたものであったが、宣戦布告が発令された後の 28 日午後になって初めてベルヒトルトの手に渡った。

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さて、この問題が、駐独オーストリア大使セジェーニの25日（夕）の至急報の結果（セルビアの返答に不満がある場合、ベルリンは、オーストリア＝ハンガリーは宣戦布告し、ただちに軍事行動を開始すべきであると考えている）として、26日の朝、チルシキーの面前でコンラッドに投げかけられたことが示された。ベルリンが何の意見も表明せずにグレイの願いを単純に伝えることは、ウィーンに対して、それを考慮しないように忠告したに等しいことはさらに明白であったが、それについては、こうした歴史家たちは沈黙している。

確かに、27日のウィーンの宣戦布告決定に関する報告の中で、（27日のウィーンがあらゆる介入の試みを阻止するために、翌日か遅くとも翌日にはセルビアに対して宣戦布告を発することを決定したことを知らせた）チルシキーの至急報は、何よりも「いかなる介入の試みを阻止する」という事実が問題だった。

だがベルヒトルトは、チルシキーに対して、ベルリンからの圧力のせいでその（宣戦布告）決断を下したことを、ほとんど公言できなかった。彼は、ヤーゴがそれ（宣戦布告）を要求する際に述べ、そしてーそれに伴うリスクは別として—それ自体は例外的ではない理由を主張した。

しかし、彼の本当の精神状態は全く異なっていた。即時宣戦布告と交戦開始を求めた25日のセジェーニの電報にはまだ返答していなかった。彼の返答は、27日午後11時10分だった。彼は差し迫った宣戦布告を発表する立場にあったが、こう付け加えた。

　決定的な打撃を全力で与えるためには、軍事作戦の開始は、配備が終了するまで延期されなければならない。これには一定の時間が必要となるだろう。なぜなら、ここ数年の経験が、戦争が確実になる前には、大規模な軍事措置を始めるべきではないことを警告しているからだ。 2（Oe-U. VIII, 10783）

　このようにベルヒトルトは、準備が完了する前に作戦を開始する必要がないことだけでなく、本当に戦争が起こるかどうかを確認する必要性によっても、その遅延を正当化した。

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　これは、ベルヒトルトがまだ宣戦布告に続いて敵対行為が必然的に起こるとは考えていなかったことを示しており、「ここ数年の経験」から判断すると、宣戦布告と敵対行為の開始の間に2週間あれば、不要であろう何らかの介入や戦争の惹起の余地を与えるかもしれない。ベルヒトルトは、すでに述べたように、7月28日にも、Mereyに宛てた電報で同じ考えを繰り返していた。

　近年の経験から警告されているように、私たちは戦争が本当に起こると確信するまでは大規模な軍事措置を開始したくなかった。 1（Oc-U. VIII, 10910. See p. 387.）

　宣戦布告後に戦争を回避できる唯一の方法が、セルビアの無条件服従だった。 この中でベルヒトルトは、7月14日のフランシス・ヨーゼフ皇帝への報告書に書いた内容「動員が行われた後でも、もしセルビアが時間内に譲歩すれば、平和的解決は可能かもしれない」を堅持した。 2（Oc-U. VIII, 10272）

これらすべてから与えられる印象は、結局、ベルヒトルトは、セルビアをすべての点で譲歩させて悲劇を回避するという摂理の奇跡を、まだ望んでいたということである。彼が宣戦布告を、あらゆる調停の申し入れを打ち切るか、列国にベオグラードに圧力をかけるよう促したり、セルビアとの決別を求める世論や報道をなだめる方法として考えていた可能性は、極めて高い。

　7月26日と27日に彼に届いたニュースは、三国協商はセルビアのために全面戦争を起こす気はなく、毅然とした態度をとることでセルビアを降伏させることになるだろう、と彼に思わせるようなものだった。

7月25日、セジェーニは、フランス内閣は大規模な戦争を回避することに熱心であるというヤーゴの印象と、ロシアが今のところ軍事的措置を検討していないというサンクトペテルブルクからのプルタレスのニュースを報告した。3（Oe-U. VIII, 10658, 10659.）

25日、Szecsenはパリから電報を送り、ヨーロッパでの戦争は非常に不評であり、バーティはロシアがこの戦争に挑戦しないだろうとの意見を伝えた[4]（Oe-U. VIII, 10679）。

サンクトペテルブルクからもまた、ザパリは、英国とフランスの両国が局地化を迫っているという印象をカルロットに電報で伝えた。5（Oe-U. VIII, 10688）

27日にウィーンに到着した至急報も同様に楽観的だった。 Szecsenは再び、紛争解決を望むフランスの願いについて書いた。 6（Oe-U. VIII, 10741）

セジェーニは、ベルリンはロシアの予備役4階級を召還したという確証はなく、サゾノフはプルタレスに「オーストリア・ハンガリー帝国がロシアに対して敵対的な態度をとった場合にのみロシアは動員するだろう」と語った、と述べた 7 。（Oe-U. VIII, 10788）

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サンクトペテルブルクからの報告によると、ザパリはサゾノフの方が穏やかで融和的であると感じており、ザパリが説明したオーストリアの目的は「完全に正当」であるとサゾノフは考えていたとのことだった。 2日間で、ロシアの態度は憤りから「反対方向への外交的動き」に変わった。 1（Oe~U. VIII, 10835.）

　このような見込みのあるなニュースがあれば、ベルヒトルトが紛争の局地化が達成されたと信じて、全速力で前進すべきだったという反論もあるかもしれない。駐墺ドイツ大使チルシキーもまた、26日にイギリス大使に対して述べた意見を、ベルヒトルトに表明せずにはいられなかったはずである。

ロシアは、オーストリア＝ハンガリーがセルビアの領土を併合しないという保証を得ているので、オーストリア・ハンガリーがセルビアに課そうとしている懲罰の間は沈黙を守るだろう。。。。フランスも対峙できる状態にはまったくなかった。。。。イタリア大使は、ドイツ大使も全く同じ言葉を自分に対して抱いており、それはサンクトペテルブルクのドイツ大使とオーストリア大使の同様の意見に基づいていると述べた。 2（BD. XI, 150）

　しかし、おそらくベルヒトルトは、戦争が局地化する可能性についてはベートマンほど信じていなかったし、さらに彼の気質が、大胆な冒険に耽るような性格ではなかったと思われる。いずれにしても、ベルリンから促された場合を除いて、ベルヒトルトはテンポを速める兆候をまったく見せなかった。

ベルヒトルトがコンラッドとの会話でほのめかした「ある種の影響」とは（ｐ455 そこではしかし、”さまざまな影響”となっている）、同盟国であるドイツが行使したものにほかならない。そして、それらと宣戦布告との関連性は非常に明白であるため、宣戦布告を他の理由に帰することは不可能であり、（他の理由は）せいぜい二次的な重要性しかない可能性がある。

したがってドイツには、動員競争を開始し、ひいてはヨーロッパ戦争の勃発につながったこの最初の宣戦布告に対する責任がある。（訳注；これはどうみても、ドイツに戦争責任を押し付けるためのこじつけである。素直に考えれば、戦争への道は、オーストリアの宣戦布告よりも、最後通牒に対するセルビアの意思決定の方が重要であろう。それは、セルビアの背後にいたロシアに握られていた。1909年、1913年にセルビアが譲歩したのは、ロシアが譲歩したから、なのであった）。

(i) オーストリアの要求をセルビアが拒否した場合には直ちに宣戦布告し、交戦を開始すべきである、と駐独オーストリア大使セジェーニにウィーンへの書簡を書かせたのはドイツである。
(ii) ドイツは、7月26日のベルヒトルトとコンラッドとの会話の中で、代表の駐墺ドイツ大使チルシキーを通じて同じコースを「力強い支持」をした。
(iii) ドイツは、セルビアに対する行動が、8月12日より早く開始できなかったため、27日に遺憾の意を示した。
(iv) ドイツは、午後 4 時 37 分のオーストリアの決定対して、異議を唱えなかった。それは27日、オーストリアは28日、遅くとも29日にはセルビアに宣戦布告し、その二日のうちのどちらかに、ヨーロッパの平和にとって極めて重大かつ危険な重大な一歩が踏み出されるであろうというものだった。ドイツは（戦線布告の）延期を要求せず、同盟国を拘束しようともしなかった。なぜならオーストリアはそのとおり行動することでドイツの要望を満たしていたからである。オーストリアの唯一の欠点は、もしあったとしても、8月12日より早く軍事作戦を開始しなかったことである。

12. The Austrian declaration of war on Serbia
　このこと（オーストリアの宣戦布告に対するドイツの責任）を明らかにしたので、今度は宣戦布告をもたらすためにベルヒトルトが行った動きに注目したい。（宣戦布告は）フランシス・ヨーゼフ皇帝の同意を得る必要があり、これが27日にベルヒトルトによって作成された彼への報告書の目的であった。

　7 月 25 日にパシッチ氏がギースル男爵に手渡したセルビア政府の非常に巧みな表現の答弁書を参照すると、内容的には全く無価値だが、形式的には礼儀正しいものであるため、宣戦布告によってはっきりとした状況が生み出されなければ、三国協商が紛争の平和的解決を達成する試みを行うことは不可能ではないと考えている。

第4軍団司令部の報告によると、セルビア軍は昨日、Temes-Kubin近くのドナウ川汽船から我が軍に発砲し、反撃によりかなりの小競り合いとなった。このようにして実際に敵対行為が始まっており、国際法において、軍の完全な移動の自由を確保することは、より賢明であるように思われる。そしてこのことは、戦争状態の開始によってのみ効果がもたらされる。。。。断っておきたいのですが、アイディス国王とフレデリック大公殿下、バルカン半島軍の最高司令官、そして参謀長は、明日の朝の宣戦布告の発令に異論はありません。 1（Oe-U. VIII, 10855.）

　ベオグラードまたはクラグイエヴァツのセルビア外務大臣に郵送する予定だった平文電報の草稿が添付された。

　セルビア王立政府は、1914年7月23日付でベオグラードでオーストリア・ハンガリー大臣から手渡された帝国および王室の書簡に対して満足のいく返答をしなかった。政府は自国の権利と利益の保護に努める必要があり、この目的のために武力行使に訴える必要があると判断しており、セルビア軍がすでにTemes-Kubin近郊の第一軍と赤軍の分遣隊を攻撃しているため、なおさらそうである all the more so 。。したがって、オーストリア＝ハンガリーは、この瞬間からセルビアとの戦争状態にあるとみなしている。
　オーストリア＝ハンガリー共和国の外務大臣ベルヒトルト伯爵。
　
　私はセルビアに対する宣戦布告を含むセルビア外務大臣宛ての電報の同封草稿を承認し、あなたに必要な権限を与えます。
バート・イシュル、1914 年 7 月 28 日。フランシス・ジョゼフ

こうして賽は投げられた。

　ベルヒトルトはセルビアに対する宣戦布告をどうやって遂行すればよいのかわからず、早くも7月22日には、ドイツ公使館を通じてベルリンに宣戦布告を行うよう要請していた。

p461
　しかし、ヤーゴは、「外交上の用法に慣れていない国民に、我々がオーストリア＝ハンガリーを戦争に追い込んだという印象を呼び起こすかもしれない」という理由でこれを拒否した。そこで駐墺ドイツ大使チルシキーは25日に、次のように報告した。　

　この場合、宣戦布告はセルビア政府に電報または郵便で送達され、同時に、その情報がないという口実をセルビア政府から奪うために、すべての列強国に伝達される。 1（DD. I, 138, 142, 206）

　こうして歴史上初めて宣戦布告が電報によってなされたのである。

しかし、この方法にも不都合がなかったわけではない（Mc Meekin JULY1914　Count down to war12 p244）。パシッチは1915年にマグリーニに、7月28日午後1時にベルヒトルトの電報を受け取ったとき、そして同じ電報が陸軍司令部にも届いていたことを少し後に知り、その信憑性について彼の心に疑問が生じた、と語った。それは、セルビアに攻撃をさせ、戦争の責任をセルビアの肩に負わせようとするオーストリアの策略かもしれない。

1時間後、ドイツ大臣Griesingerに消息を尋ねたところ、Griesingerは何も知らず、何も言えないとの返答を受け取ったことで、パシッチの疑惑はさらに高まった。そこでパシッチは、オーストリアとの直接の電信通信が遮断されており、調停の進行中にどのようにして電報がブカレスト経由で届いたのか分からなかったため、この電報はでっち上げだと考えようとしたと述べた。

Griesingerは全く闇の中で自分自身を宣言し続け、パシッチと同じくらい疑問を持ったため、彼はサンクトペテルブルク、ロンドン、パリに電報を送り、自分が受け取った奇妙な電報について伝え、オーストリアがセルビアに宣戦布告をしたのは本当かどうかを尋ねた。やがて、肯定的な返事が返ってきた。

　しかし、Temes-Kubinでの戦闘はなかった。そして29日、ベルヒトルトはフランシス・ヨーゼフにこのことについて知らせたとき、送信された電報から文末までの「なおさらそうである‘all the more so’」という言葉が省略されていたことを説明した。

このためTittoniは、年齢がフランシス・ジョゼフの意志力と精神力にもたらした衰弱を利用して、「セルビアに対する宣戦布告の直接の理由に関しても」皇帝を欺いたというベルヒトルトに対して各方面から提起された非難を、自分自身と結びつけることになった。2（Tittoni, Nuovi Scritti , p. 61）

しかし、オーストリア側では、いかなる政治的人物も皇帝にそのような策略をあえて仕掛けることはなかったこと、彼の精神は明晰で意志は強かったこと、そしてベルヒトルトは実際に軍当局からテメスクビンでの戦闘に関する知らせを受け取り、それを確認せずに使用し、根拠のないものであることを知って是正を発表した、ということが主張されていた。

7月27日にボールプラッツにいたギースルは、この事件（Temes-Kubinでの戦闘）が問題ではなかったことが27日の夕方になって初めてわかったと、筆者に宛てた書簡で述べた。

p462
セルビアの予備兵を乗せた汽船がハンガリーの銀行に近づくのをライフル銃で阻止された。それゆえ、セルビアの侵略に疑問の余地はなくなり、7月27日から28日の夜、ベルヒトルトは宣戦布告から告訴を削除した。オーストリア側はさらに、戦争に対する老皇帝の同意（その必要性を彼は今完全に確信していた）を得るのに、そのような類いの方便は必要なかったと主張していた。

そして、作家ベルヒトルト自身が 1932 年 11 月 23 日に現在の筆者にに宛てて、次のように書いている。

　皇帝が「戦争に使われた」という見解は全くの誤りである。陛下は明晰な頭脳と損なわれていない判断力を完全に備えており、自らの崇高な使命を確信しておられました。このような深刻な問題に対する決断において、彼は自分の良心だけを参考にし、自分が「押しのけられる」ことを決して許しませんでした。

ドイツの積極的措置の主張、同盟の下での援助の確約、そして一方での公式および非公式のセルビアの不満足な態度こそが、皇帝にとって決定的な要因であり、皇帝は、7月中に平和維持の可能性についてますます懐疑的になった。

Temes-Kubin近郊での、セルビアからの攻撃に関する未確認の軍事報告書がある時点で届いたことが決定的に重要だったという見解は、根拠のない伝説である。政治的産物、要求を含む文書に対する満足のいかない返答が、最終的な結果を導き出す決定に作用したのである。

　これらすべては間違いなく真実であり、７月5日にはフランシス・ヨーゼフがコンラッドに対し、もしドイツがオーストリアとともにあるのであれば、ドイツはセルビアと戦争するだろう、と語っていたことは記憶に新しかろう。１（Conrad, IV, p. 36. See p. 135）

しかし、上で述べたように、国交断絶の知らせがイシュルに届いた25日と、その2日後にギースルに与えられた謁見の際に、老皇帝がはっきりと、国交断絶はまだ戦争を意味するものではない、と述べたのも事実である。そして彼が、戦争が避けられることを望む人の口調で話したことについても。 2（ See p. 375）

したがって、ベルヒトルトが、これらの可能性のある最後のためらいを克服するためには、たとえそれが捏造であることを知りながらも、でっち上げではないにしても、少なくとも自分の目的のためにTemes-Kubinのエピソードを利用した可能性があることは理解できる。 [3]
3　オーストリア陸軍省報道局のゼーリガー大佐による暴露によれば、フランシス・ヨーゼフは、ベルヒトルトが、「セルビア人」がボスニア領土を襲撃し、そこでの戦闘で約400人の兵士が死亡した、との電報を読み上げるまで、宣戦布告への署名を拒否したという。これは実際には、国境紛争で憲兵４名が負傷したという趣旨の電報の改ざんであった。

そして、これが事実であることは、Temes-Kubinの事件がなかったことをすでに知っていた7月28日、ベルヒトルトが、セルビア人がTemes-Kubinで敵対行為を開始したため、それは避けられないと宣言したという事実から判断できるだろう。 4（OeU. VIII, 10915）

p463
　すでに7月26日、ベルヒトルトはメンズドルフに宛てた電報の中で、グレイがリヒノフスキーに表明し、チルシキーがベルヒトルトに伝えた願いにどう答えるかを後者（メンズドルフ）に指示することに、あまり率直ではなかった。ドイツ政府はオーストリア政府に影響を与えて、セルビアの返答を好意的に受け止めさせることができると考えているのかもしれない。 1 （BD. XI, 11 j）

ベルヒトルトがメンスドルフに宛てた7月26日の電報は、次のようになっている。

　閣下がこの問題を外務大臣に再度取り上げ、外務大臣がリヒノフスキー王子に手紙を書いているまさにその瞬間、つまり昨日の午後3時に、セルビアはすでに総動員を命じていたことを指摘するのが好都合であると私は考えています。これは、ベオグラードには事件の平和的解決への傾向が存在しなかったという証拠である。 2（Oe-U. VIII, 10733）

　そして28日、ベルヒトルトは同じ意味合いで再びメンスドルフに電報を打ったが、セルビアの動員は純粋に予防措置であり、セルビアが攻撃することを仮定してオーストリアと戦うことは決してできないし、戦う気もないことは十分承知していた。

このようにベルヒトルトは、攻撃目標がセルビア側の動員にあると考えて真実を歪曲しており、彼の策略はその効果をまったく発揮できなかった。 28日の駐墺ロシア大使シェベコとの会談は、さらに単純ではなかったが、駐墺ロシア大使シェベコは、ロシアでの短期間の休暇から戻り、サゾノフから与えられた指示を実行した。サゾノフは7月26日にサンクトペテルブルクで駐露オーストリア大使ザパリと会談していた。それは結局、状況を救う最初で最後の「直接会話」であった。

　ここでもう一度言っておくが、これらの直接対話は、プルタレス・駐露ドイツ大使の提案で行われたものだった。彼は、セルビアの声明に関するロシアとオーストリア間の合意（当時はベルリンの意図ではなかった合意）を心から望んでおり、ウィーンがその要求の一部を和らげてくれるかもしれないということを、サゾノフに期待をかけていた。

駐露オーストリア大使ザパリとの会談の成功に勇気づけられて、サゾノフは、セルビアが受け入れられるようにオーストリアの声明のいくつかの点を言い換えることについて、サンクトペテルブルクで彼と話し合う権限を駐露オーストリア大使ザパリが持つようにすることをベルヒトルトに求めるというプルタレスの提案を、受け入れた。この意味で、彼は駐墺ロシア大使シェベコに電報を打ったのである。

後者はすでに一度ボールプラッツに電話しており、おそらくまだ届いていないであろうサゾノフの嘆願には触れずに、マッキオと状況について一般的な話をした。 4
4　この話に関するシェベコの報告の中で、次の一節が注目に値する。「ここで、明らかに危機の全過程を通じて戦争屋の役割を果たしてきた駐墺ドイツ大使チルシキーからの保証の影響を受けて、彼らは、セルビアとの紛争が局地化する可能性と、セルビアに重大な打撃を与えても損害を受けない可能性を考慮している。」

その後の29日付けの電報で、シェベコは、駐墺ドイツ大使チルシキーが彼に対し、「自身の意見では、オーストリアに対するいかなる圧力も失敗に終わるだろう」と言ったと報告している。この声明に、私は驚かなかった。なぜなら、彼自身が、オーストリアのセルビアに対する「積極的な」手続きの熱心な支持者であるから。（その扇動者ではないにしても）。

駐墺ドイツ大使チルシキーに対するこうした印象は注目に値する。なぜなら、この横暴な外交官がボールプラッツで行使した圧力と彼がベルヒトルトに与えた影響を過大評価することは、不可能だからである。

p464
セルビアに宣戦布告することに熱心だったベルヒトルトは、27日は「自宅にいない」と決めており、危機を打開するための提案を求めるつもりだったブンゼンの訪問も避けていた。 1 （BD. XI, 175）

ベルヒトルトは、宣戦布告後の28日まで駐墺ロシア大使シェベコに会わなかったが、もちろんその時は否定的な返事をした。28日午後11時40分に駐露オーストリア大使ザパリに電報で送られた彼自身の会話の説明は、以下である。

（ベルヒトルト→ザパリ）
　私の返答では、そのような提案（セルビアが受け入れられるようにオーストリアの声明のいくつかの点を言い換える）は受け入れられないことを強調しました。私たちが満足のいくものではないと述べた返信声明の本文に関する交渉は、ここにいる誰の理解も承認も得られないだろう。

大使も知っていたように、ここでもハンガリーでも深い一般的な興奮が世論を掌握しており、さらに今日我々がセルビアに宣戦布告したことを考えると、そんなことは、なおさら不可能であった。。。。さらに、我々の声明を受け取ったときのセルビアの態度は、平和的解決をしようとするものではなかった。なぜなら、セルビアは、満足のいかない答えを返す前に、（25日PM3時に）総動員を命令し、それによって事前に我々に対して敵対行為を行っていたからである。

それにもかかわらず、私たちはさらに3日間待ちました。さて昨日、セルビアはハンガリー国境で我々に対して敵対行為を開始した。このため、我々はこれまでセルビアに対して示してきた長きに亘る熱意を持ち続けることが不可能となった。セルビアとの関係を平和的路線で徹底的に修復すること（Sanierung）を達成することはもはや不可能となり、私たちは、実際の状況において君主国の尊厳にふさわしい唯一の方法でセルビアの挑発に応じなければならないことに気づきました。 2（Oc'U. VIII, 10915）

　この文書の中で、ベルヒトルトはオーストリアの声明ではなくセルビアの返答の本文について議論するという提案を拒否していることに注意されたい。サゾノフはその時点ではまだセルビア側の返答文を見ておらず、駐露オーストリア大使ザパリとの会談の中で、オーストリア側の声明のいくつかの点をセルビアが受け入れられるように書き換える方法について議論することを提案していた。そして実際、駐墺ロシア大使シェベコが28日にサンクトペテルブルクに電報を打ってベルヒトルトと話したのもこの流れだった。

ベルヒトルトは、[オーストリアの]声明の本文についての議論に入ることを拒否した。セルビア人の返答は、将来に対する彼らの約束が不誠実であることの証拠となったから、なおさらだ。オーストリア・ハンガリー政府は現時点で、バルカン半島と国内における自国の威信を回復するためにセルビアに打撃を与えることを決定しており、紛争の局地化に関しては、ドイツからの支援と他の大国の平和への愛を頼りにしていた。 3

　ベルヒトルトが駐墺ロシア大使シェベコに語った内容をベルリンに報告する際、駐墺ドイツ大使チルシキーは次のように電報を打った。

　ベルヒトルト伯爵は、駐墺ロシア大使シェベコは表面上は非常に融和的だったが、内心は明らかに動揺していたようで、その肌はチョークのように白いと私に語った。

p465
大臣は友好的な口調で、大使である彼はここ最近のウィーンと君主国の国民の雰囲気に気づいているだろうし、セルビアについてこれ以上議論することはオーストリア・ハンガリー政府にとって全く不可能になっていると認識しているだろう、と答えた。つまり、単に押し流されてしまうだろう。 1（ DD. II, 356.）

　チルシキーの至急報は、ベルヒトルトがサンクトペテルブルクとの会話ではなくベオグラードとの会話を拒否していると報告しているが、一方サゾノフはシェベコを根拠に、ベルヒトルトがサンクトペテルブルクとウィーンとの会話を拒否しているとプルタレスに語った。 2（DD. II, 365）

この矛盾にベートマンは当惑し、29日夜に動揺した電報の1つを送った。

　表向きには、セルビア人がテメス・クビンで敵対行為を開始したため、宣戦布告がなされた。ベルリンの意向に従って、ドイツによる調停を求めるグレイの嘆願が拒否された理由としてのベルリンへの至急報の中で、チルシキーは、同じ理由を主張した。これに関連して、ベートマンの電報が27日午後 11 時 50 分に送信され28日午前5時半にウィーンに到着したことをここで繰り返しておきたい。　

それを受け取った駐墺ドイツ大使チルシキーは、その日宣戦布告が行われることを知っていたので、すぐにベルヒトルトに会いに行くべきだった。彼がしたこと、あるいはしたと言ったことは、宣戦布告が出された後の午後にやっと行くというものだった。

午後4時55分、彼はベルリンに2通の電報を送る立場にあり、1通目は宣戦布告が午前11時になされたと伝え３（DD. II, 311.）、もう1通では、ベルヒトルトは、英国の調停案を伝えてくれたことに対して、ドイツ首相に心から感謝していると報告した。

まもなく彼は、セルビア側での敵対行為の開始とその間に行われた宣戦布告の後に、彼が、イギリスのdemarcheは遅すぎるとしていたことを理解した。 4（DD. n, 313）

　ブンゼンは、25日午後4時10分に、ほぼ同じ意味でグレイに次のように報告していた。

　ベルヒトルト外務大臣は、セルビアの返答に基づくいかなる議論も受け入れられないと、静かに、しかし断固として述べた。。。。これは直接関係する両当事者の間で直接解決されなければならない問題であったのだから。５（BD. XI, 230）

　ウィーンとベルリンの両パートナーは、事前に取り決めた策略で他国の目をくらませ、セルビアに対する懲罰的な遠征への同意を得ることを望んでいたが、これを反故にする約束が何であれ、セルビアを粉砕するか、（セルビアを）少なくとも二重君主制の属国に格下げすることで終わらずにはいられなかった。

しかし、彼らは自らだけを欺き、致命的行動を取ることをドイツに要求し、そしてオーストリアにその同意を求めた。ドイツが最初に認識した、彼らを惨敗に導く運命にある大火の亡霊が目の前に現れたとき、彼らはどちらもそれを元に戻すことはできなかった。

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