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9. The Grey-Tichnowsky conversation of 27 July; the German Government's duplicity; a telegram from Szogyeny.

　27日月曜日の朝、リヒノフスキーは日曜日の夜に戻ったグレイを訪ねた。グレイはセルビアの返答は「決して不可能だとは思えない程度に」オーストリアの要求に従ったものだと彼に語った。

彼（グレイ）は、ウィーンに対する我々（ドイツ）の影響力を利用して、ベオグラードからの返答を満足のいくものとして、あるいは交渉の基礎としてみなしてもらうよう我々に訴えた。

　リヒノフスキーはレポートを作成する際に、グレイは非常に真剣に話しており、初めてユーモアから外れているように見えたと付け加えた。彼の確信は・・・

もし今戦争が起これば、オーストリアの行動は、善意の欠如の兆候とみなされるため、もはや英国の同情と英国の支援を当てにすることはできないだろう。ここにいる誰もが確信しており、私も同僚からも同じことを聞いている。事態の鍵はベルリンにあり、もしベルリンが本気で平和を意味するのであれば、オーストリアはグレイの言う、無謀な政策の追求の抑制ができるだろう。 1 （1 DD. I, 258. 本書pp. 410-11参照）

　この電報は同日、他の2通も追って、午後5時に送信された。それぞれ、午後5時と午後6時27分に送られた。それらのうちの最初のものは、「英国との将来の関係全体」、「我が国の外交政策における最も重要な点」がこれから決定されるだろうと述べた。

もしドイツがオーストリアを戦争させないようにしたのなら、「我々とイギリスの関係は、予見可能な将来を通じて、過去18ヶ月間彼らに予兆してきた秘密的かつ親密な性格を持つことになるだろう」。逆の場合は、「私たちを最終的に結びつけた糸を再構成することは二度と不可能だと思います。」警告メッセージは次のように続いた。

（リヒノフスキー電報１通目）
　ここでその印象は強まり、エドワード・グレイ卿との会話ではっきりと気づいたのは、セルビア問題全体が三国同盟と三国協商の間の強さの試練に向けて進行しているということである。

サー・E・グレイが表明したように、今の機会を利用してセルビアを潰すというオーストリアの意図がさらに明白になった場合、英国は、自分のグループの士気や軍事的敗北を容認するつもりはないことを示すために、フランスとロシアの側につくだろうと私は確信している。

このような状況で戦争が起これば、イギリスが我々と敵対することになるだろう。セルビア政府の広範なコンプライアンスを考慮すれば戦争は回避できたかもしれないという感覚は、英国政府の態度にとって決定的に重要となるだろう。

　これらの電報のうちの 2 つ目は、グレイは、次のように警告し続けた。

（リヒノフスキー電報２通目）
グレイは、オーストリア・セルビア紛争とオーストリア・ロシア紛争を明確に区別する。 彼は、オーストリアとロシアの紛争に発展しない限り、オーストリアとセルビアの間に干渉するつもりはなかった。しかし今や、オーストリアとロシアの紛争、ひいてはヨーロッパの紛争に発展する恐れがあるため、彼は介入せざるを得なくなっている。

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したがって、オーストリアとロシアの紛争は、オーストリアとセルビアの紛争から切り離すことはできません...グレイが私に言ったように。オーストリアとセルビアの亀裂の解決は、オーストリアとロシア間の理解にかかっている。両国の和解がなければ、すべての調停は無駄になります。

オーストリア－ハンガリーの行為がロシアの深刻な利害官営を危険にさらしていること、そしてもし我々がオーストリアに圧力をかけなければ、ロシアは自身の意志に反して介入せざるを得なくなることを誰も疑っていないのに、どうやって紛争の局地化を主張できるだろうか？私はただ、お遊びで人々に肩をすくめさせているだけです。

　もしセルビアの返答に基づくウィーンとサンクトペテルブルクの間の合意が、セルビアに対する軍事的手段を用いずに達成できたとしたら、E.グレイ卿は望みをすべて達成したことになっただろう。彼が避けたいのは、オーストリアとセルビアとの武力闘争であり、これがヨーロッパの平和を乱すことを恐れているからだ。同氏は本日、ロシアによる予備役招集は行われていないことを認めた。 1（DD. I, 266）

　これらの電報を読んだ後、ベルリンでゴシェンに宛てて書かれた27日の会話に関するグレイ自身の記述をもう一度見ると、彼は、リヒノフスキーが彼に与えたとされる力強さ、温かさ、緻密な推論を示すにはほど遠く、口にしたような議論はしていなかったという印象を受ける。

This is not so much the case in the first telegram which is approximately identical with that of Grey, as in the second and third.

Facit indignatio versum（憤慨が詩を作る）。そしてリヒノフスキーの憤りは、非常にあからさまになり始めたグレイが使った言葉に基づいており、ドイツ政府に影響を与えずにはいられなかった。

その影響力は、その日に解散する予定だったイギリス艦隊が集結命令を受けたという知らせが27日にベルリンに届いたことでさらに強まった。これは、首相の基本的な計算が間違っており、起こり得る大陸戦争では、英国は中立を維持できない、ということを意味したのだろうか？

ベートマンはまだそうは考えていなかった。しかし、午後4時37分にリヒノフスキーからの最初の電報を受け取ったとき、そして他の2通は午後8時40分に受信し、彼は午後11時50分に駐墺ドイツ大使チルシキーに電報を打った。最初のテキストの最後の段落を省略したもので、次のようになる。

（ベートマン→駐墺ドイツ大使チルシキー　27日PM11:50 DD. I, 277　Mc Meekin JULY1914　Count down to war p235）
　ここにいる誰もが確信しており、私も同僚からも同じことを聞いている、事態の鍵はベルリンにあり、もしベルリンが本気で平和を目指すのであれば、オーストリアはグレイの言う、無謀な政策の追求を抑制できるだろう。

代わって、彼は次のように書いた。

　私たちが会議についての英国の提案を拒否した後には、もはや英国の提案を拒否することは不可能です。あらゆる調停行動を拒否することによって、我々は全世界から大火事の責任を負わされ、真の戦争屋の代表になってしまう。これでは、戦争は強いられたんだ、とアピールすべき、国内における我々の立場はなくなってしまう。

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セルビアが明らかに非常に譲歩したため、我々の立場はさらに困難になっている。したがって、ロンドンとパリは常にサンクトペテルブルクに対する影響力を行使しているため、我々は調停者の役割を拒否することはできず、検討のために、英国案をウィーン内閣に提出しなければならない。 英国の提案と、ウィーンと直接交渉したいというサゾノフの願望について、ベルヒトルト伯爵の意見が欲しいです。 1（DD. I, 277　Mc Meekin JULY1914　Count down to war p235）

　5時間後、つまり 28日午前5時に、首相はカイザーに次の書簡を送った。

（ベートマン→カイザー　28日AM5時）
　私は謙虚に、リヒノフスキー王子から届いたばかりの電報を陛下に提出します。陛下の指示に従い、エドワード・グレイ卿の提案をベルヒトルト伯爵に提出しました。それに対してオーストリアがどのような態度をとるかはオーストリア自身が決めることになるだろう。ロンドンとパリは常にサンクトペテルブルクに対する影響力を行使しているのだから、もし私たちが調停役の役割を制限的に拒否するのであれば、私たちは大火の責任者として、また真の戦争実行者として全世界の前に立たなければならない。そうなると、一方では自国の現在の良好なムードを維持することが不可能となり、他方ではイギリスが中立を放棄することになるだろう。 2（DD. II, 283）

　したがって、ウィーンがセルビアの返答を受け入れるか、それを交渉の基礎とみなすためにドイツは説得を行うべきだというグレイの最新の嘆願（訳注；グレイの主張とカイザーのそれが合致していた）は、ヴィルヘルムの指示に従ってベートマン・ホルヴェッグによってベルヒトルトに提出された。

ヴィルヘルムが宰相に会うためにポツダムに来たときには、まだセルビアの回答を見ていなかったので（関連する電報はまだベルリンに到着していなかった）、さらにベートマンはその会談の後、ヴィルヘルムとそれ以上連絡をとらなかったので、たとえポツダムでヴィルヘルムが、オーストリア・セルビア・ロシア紛争をロンドンの四大使会議に付託するという26日のグレイの提案（この提案はすでにベートマンによって拒否されていた）の受け入れに賛成しなかったとしても、彼は少なくとも、英国に対しては、もっと思慮深く接することが賢明であると考えていたに違いない。そうでなければ、ヴィルヘルムの「指示」に対する宰相の言及は意味をなさないであろう。

グレイの提案を引き継ぐにあたって、ベートマンが誠意を持って行動したかどうか、すなわち、ベルリンがセルビアの回答をウィーンに受け入れてほしくなかったのかどうかは、不明である。

　ドイツの歴史家たちは皆、彼が誠意を持って行動していたと主張し、7月27日のチルシキーへの電報は、オーストリアに妥協と調停を受け入れさせるという誠実な努力に対するドイツの態度の変化の最初の兆候であると主張している。

しかし、これは決して事実ではない。

確かに、ベートマンは態度を変えたが、それは48時間後（29日深夜）だった。 27日夜、首相がやろうとしていたのは、グレイを混乱させることであり、ベルリンは本気で紛争を回避しようとしていて、もしも戦争が起これば、それはロシアのせいであり、したがって英国は、中立を保つことができるだろう、と信じ込ませることだった。

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これを確信するには、チルシキーへの電報の本文を注意深く読まなければならない。そこには、セルビアに対する軍事作戦を開始するというオーストリアへの圧力を直ちに撤回する記述はなかったし、ベルリンが翌日の28日か遅くとも29日に宣戦布告を行う、と予想していたウィーンの宣戦布告を延期すべきであるという示唆もない。

それどころか、首相はヨーロッパの大火について冷ややかに語っているが、それを防ぐために何もしていないし、彼の唯一の懸念は、自分がそれを引き起こしたように思われないことであった。

したがって、ウィーンがイギリスの提案に従うよう勧めるメッセージは送られず、ベルリンはイギリスの提案を受け入れるだけでせいいっぱいであった。

ベートマンが知りたかったのは、単にこの問題に関するベルヒトルトの意見だけであったのだ。これがすべて、というわけではないが。

首相は、起こり得る欧州戦争におけるドイツとオーストリアの団結に関わる問題について、自分なりの意見を持たざるを得なかった。ベートマンの意見は、オーストリアは不屈の姿勢を保ち、寸暇を惜しんでセルビアを攻撃すべきだというものだった。このことはすべて、ベートマンがチルシキーに電報を送る２時間以上前の２７日午後９時１５分にオーストリア大使セジェーニがベルヒトルトに送った驚くべき悪名高い至急報の中で明白になっており、ここに全文を再現する。

（駐独オーストリア大使セジェーニ→ベルヒトルト　27日PM9:15 Oe-U. VIII, 10793　Mc Meekin JULY1914　Count down to war p236）
　国務長官ヤーゴは極秘形式で私に、おそらく（最終的には）、イギリスからの調停提案がドイツ政府によって閣下（ベルヒトルト）に知られる可能性がある、とはっきりと告げました。

同氏によると、ドイツ政府は、イギリスからの調停提案には一切関与せず、検討の対象にしない決定さえしており、英国の要求に従うためにのみ提案を通過させるという最もしばりの強い保証をしているという。

その際、（ドイツ）政府は、現時点ではイギリスがロシアやフランスと共通の大義を立てるべきではないことが最も重要であるという観点から進んでいる。したがって、これまで良好に機能していたドイツとイギリスの間の電信回線を切断する可能性のあるすべてのことは、避けなければなりません。

もしドイツがサー・E・グレイに対し、彼の要望をオーストリア・ハンガリーに伝える気はないとはっきりと言ったとしたら、イギリスはドイツが調停国（のひとつ）となれば、グレイの要望はすぐに考慮されるだろうと信じているが、その場合、今述べたように、何としてでも避けなければならない状況が生じるだろう。

ドイツ政府はさらに、英国やウィーンについてのその他のいかなる要請に関しても、オーストリア・ハンガリーについての介入の要求を決して支持するものではなく、単に後者（英国）の要望に従うためにそれらの要求を引き渡すだけであることを後者に最も強く保証するであろう。
The German Government would, moreover, in respect of any other request of England to Vienna, assure the latter most emphatic¬ ally that it in no way supports any such demands for intervention in regard to Austria-Hungary and only passes them on to comply with the wish of England.

例えばつい昨日、イギリス政府は、駐ロンドンのドイツ大使リヒノフスキーを通じて、そしてここにいるドイツ大使自身の代理人を通じて、直接、ドイツ国務長官ヤーゴに連絡を取り、我々（オーストリア）によるセルビアへの文書のトーンダウンに関してイギリスの希望を支持するよう要請した。ヤーゴは、確かにE・グレイ卿の願いをかなえ、閣下に対する英国の願いを引き継ぐだろうが、セルビア紛争は、ドイツも関与していたオーストリア＝ハンガリー君主国の威信に関わる問題であったため、自分自身（セジェーニ）はそれを支持することはできないと答えた。

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したがって、国務長官ヤーゴは、E. グレイ卿のメモを駐墺ドイツ大使チルシキー氏に渡しましたが、閣下に提出するように指示することはありませんでした。そこで彼は英国の内閣に、（ドイツが）英国の要望を直接拒否したわけではないことを知らせることができ、それをウィーンに転送することさえできた。

結論として、国務長官は私に自らの立場を繰り返し述べ、誤解を避けるために閣下に、先ほど付け加えた件でも、英国の希望を配慮することには、（ドイツは）調停国としての立場に少しも賛成ではなかったということを保証してほしいと私に頼んだ。1（Oe-U. VIII, 10793）

この驚くべき文書は、以下を証明している。
(i) ベートマンが午後 11 時 50 分にウィーン（のチルシキーに）に送った電報が、リヒノフスキーの至急報を伝え、グレイの調停案をベルヒトルトに提出したことの唯一の目的は、グレイの目にドイツのアリバイを作ることだった。

(ii) ウィーンはこの提案と、「これまで良好に機能していたドイツとイギリスの間の電信線を切断」しないために、ドイツがウィーンに提出する義務があった他の提案の両方をきっぱりと拒否することになった。

ドイツ政府の罪と二枚舌にこれ以上強い光が当たるはずはなく、ドイツの無実を宣伝する人々はそれによって沈黙するはずだった。しかし、彼らはいつもの便法に頼っており、確かにヤーゴのスピーチの重大さを考慮して、特別な熱意を示している。彼らは、駐独オーストリア大使セジェーニは自分に言われたことを誤解し、Prince Hohenloheに取って代わられようとしていた老いぼれである、と主張している。

ヴェルサイユ講和会議で4人のドイツ専門家からなる委員会の尋問を受けたベートマン・ホルウェグとヤーゴは、至急報の最初の2つの文で駐独オーストリア大使セジェーニが主張した発言はしていない、と否定した。ヤーゴは、駐独オーストリア大使セジェーニと話すのは難しく、しばしばイライラさせられると感じた、と述べた。

ドイツまたは親ドイツの歴史家が行った別の主張は、至急報の形式は特定の点で不明瞭であり、事実と矛盾する記述をしている、というものである。たとえば、「ドイツ政府はさらに」という文で、後から出てくる「後者」という言葉は、イギリスとウィーンのどちらを指すのか。どちらも中性であるため、性別ではどちらとも一致する。Renouvinは、それは英国を指すというMontgelasの支持を受け入れている。 [2Renouvin, pp. 121-5. ]ドイツの歴史家Hermann Lutzは、セジェーニの記述は、その瞬間までのベルリンの行動全体と宣戦布告への圧力に確証があり、そしてそれは、「いかなる介入の試みも阻止するため、明日、遅くとも明後日には宣戦布告がなされる」と報じた27日のチルシキーの電報に対するベルリンの態度と完全に一致している、つまりベルリンはこの決定に異議を唱えず、したがってそれを承認したと述べた、と指摘している。

ベルヒトルトは、1934 年 1 月 29 日の現在の筆者宛の手紙において、これはその前の文でのみ言及されているグレイのことを指していると解釈している。

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10. Bethmann Hollweg’s double game and the motive of his demarche at 'Vienna.
　駐独オーストリア大使セジェーニがおそらく夕食に行く前に急いで書き上げたであろうメッセージのあらゆるフレーズを詳細に検討して読者をうんざりさせる必要はない。あれやこれやが不正確であるかどうか、あるいは同じことがウィーンを指しているのかロンドンを指しているのかはあまり重要ではない。たとえそれがロンドンに言及しようがしまいが、これはここで私たちが懸念している至急報の一般的な重要性を変えるものではない。

さて、経験豊かな駐独オーストリア大使セジェーニ（その至急報は通常はチルシキーによって読まれていた）が、ヤーゴだけが発表できる立場にあるニュースと信頼を詰め込んだヤーゴの口から発せられた演説の一部がすべてでっち上げだったなどということが考えられるだろうか？そして、そのような場合、彼の目的は何だったであろうか？　さらに、国務長官ヤーゴから知らされていない限り、どうやってベートマンの次のステップについて事前情報を与えることができたのであろうか？

しかし、これがすべてではなく、さらに重要な考慮すべき点がある。すなわち、今回の駐独オーストリア大使セジェーニの至急報は、問題視された、あるいはされなかった他の彼の至急報と同様に、一連の外交文書の中で非常に必要なリンクを形成しているということである。それがなければ、オーストリアの対セルビア宣戦布告に先立つ数日間のベルリン、ひいては間接的にウィーンの行動を論理的に再構築することは不可能になるだろう。

さまざまな国の文書を研究する際に、まっさらな心で文書に取り組む学徒に特に衝撃を与える事実があるとすれば、それは文書が完璧に組み合わさっているということである。たとえば、グレイとの会話のリヒノフスキーのバージョンは、グレイからランボルドやゴシェンに送られたのと同じ会話の完全な相関関係が見出される。ベルヒトルトとチルシキーの会話などにも同様のことが言える。

それは何ら不思議なことではない。通常、大臣も大使も、自分たちが聞いたり言ったりする内容を改ざんする動機を持っていないからである。しかし、その一致は学徒が期待するすべてを超えており、フランスの外交文書で時々あるように、矛盾を明らかにするバージョンを見つけたとき、偽と真実を区別するのにほとんど困難はない。しかし、今回のセジェーニの至急報では、そのような調査を行う必要はない。それは他のすべての既知の文書と完全に一致しており、実際、一連の不可欠なつながりだからである。

　　このことをさらに確信させるために、まず「閣下（つまりベルヒトルト）の知られる可能性がある」英国の調停提案が何であったかを調べてみよう。それは26日にイギリスが提案した大使会議のためのものだったのか、それとも27日朝にグレイがリヒノフスキーに対して出したもの（それは、ドイツが、ベオグラードからの返答が満足のいくものであるか、あるいは交渉の基礎としてみなされるよう、ウィーンに対する影響力を利用しようとした案だった）だったのか？ドイツの歴史家は一般に後者を想定している（Mc Meekin JULY1914　Count down to war p236）。

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実際、ヤーゴが、グレイの大使会議の提案が「おそらく（最終的には）ベルヒトルトの知るところになる」だろうなどと、これほどの用心深さと謝罪をもってウィーンに報告させるためにセジェーニを誘導した動機は何だったのだろうか？　この提案は27日午後、ロンドンのメンズドルフからの電報によってウィーンに知らされたが、すでにベートマンとヤーゴによってきっぱりと拒否されていたのだ。

　もしヤーゴがそのことに言及するつもりだったなら、彼（セジェーニ）はオーストリアとの連帯のしるしとして、それ（グレイの大使会議の提案）を拒否したというニュースを、そのほのめかしに添えていただろう。彼（セジェーニ）は決して、想像したことはなかったであろう。他人（ヤーゴ）の代わりに友人（ベルヒトルト）に不快なメッセージを伝えなければならず、そのことで恨みを抱かないように、そしてメッセージに注意を払わないように懇願する人の葛藤の雰囲気を。

実際、大使会議に関する英国の提案がベルリンからウィーンに決して伝えられなかったという事実は、 DD. I, 277（ベートマン→駐墺ドイツ大使チルシキー　27日PM11:50）で完全に明らかにされている。そこには次のように述べられている。「私たちが会議についての英国の提案を拒否した後には・・・」。

DD．I, 277 （PM11:50）がウィーンに伝えているのは、グレイとの会話を報告した7 月 27 日のリヒノフスキーの電報であり、グレイはセルビアの返答を「満足のいくものとして、あるいは交渉の基礎として (p442冒頭）」ウィーンが考慮するようベルリンに善意を尽くすよう求めていた。

したがって、セジェーニが（PM9:15に）伝えたヤーゴの謝罪メッセージは、2時間半後にベートマンがセジェーニチルシキーに電報で送った指示の予告発表にすぎなかったのだ。そして（セジェーニ→ベルヒトルト　27日PM9:15 Oe-U. VIII, 10793の）「おそらく」というのは、ヤーゴがセジェーニと話したとき、ベートマンはグレイの最後の提案をウィーンに伝えるべきかどうかまだ迷っていて、実際に決断したのが午後11時50分だったということだけを意味し得る。

　ほとんどの歴史家はこの見解を取っているが、ドイツ防衛において最も有能で温厚なアメリカ人のFay教授は、別の説を証明している(origin p344）。彼の動機は明確であり、実際に彼自身が次のように述べている。「もしセジェーニの電報が信頼できるものであれば、それはベートマンの行動の誠実さに不吉な光を投げかけたことだろう。 1（Fay, II, 414）

そして、ヤーゴのほのめかしが27日のグレイの提案に対するものであったことは疑いの余地がなく、またセジェーニがヤーゴから聞いたことをベルヒトルトに報告したことの信頼性を非難する正当な理由もないので、それは実際のところ、27日夕方の調停に向けたドイツ側のdemarcheの「誠実さに不吉な光を投げかけている」と言えるかもしれない。

　このdemarcheがどのように行われたのかを再構築してみよう。グレイはリヒノフスキーとの会談で、およそ次のように推論した。ドイツはウィーンに関して好きなことを何でもできるし、セルビアの返答は実質的にオーストリアの要求にほぼ完全に従っているのだから、ドイツがオーストリアを説得することで、平和への愛を証明することになる。この返答に満足するか、これを交渉の基礎とみなすか。

リヒノフスキーはベルリンに対し、英国の要望に応えるよう感動的に訴え、さらなる拒否の危険性を指摘した。

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しかし、ベートマン首相は、一方ではまだ（グレイ提案否定の）危険性を確信しておらず、ヨーロッパに「紛争の局地化」を受け入れるよう誘導することで、自らの栄光をカバーしたいと望んでいたが、他方では、簡単に（グレイ提案からの）退却の合図を送る立場にはなかった。なぜなら、これが問題全体の鍵であるが、そもそもオーストリアをセルビアに対して即時行動に駆り立て、宣戦布告まで追い込んだのはドイツだったからである。

極めて奇妙な運命により、グレイとの27日朝の会話を報告するリヒノフスキーの通信は27日午後4時37分に到着した（p443）。オーストリアの対セルビア宣戦布告は28日か遅くとも29日に行われる、とのチルシキーの電報が届いたまさにその瞬間だった（時系列　7月27日　 Mc Meekin JULY1914　Count down to war p231）。

　ベートマンはどうするつもりだったのか？彼は極めて勇気ある行為を行い、自分のとった方針の誤りと「紛争の局地化」の不可能性を認め、宣戦布告の延期と交渉の意思を表明するようウィーンに訴えたのだろうか？

（オーストリアを）撤退させるにはちょうどよい時だっただろう。その後では、撤退は不可能ではないにしてもさらに困難になったことだろう。しかし、ベートマンはこれを理解できたのか、できなかったのか。

彼は明らかに、自分は毅然とした態度で立つことができると考えており、（ポツダムでカイザーから受け取った命令に従った）最善の解決策は、グレイの新しい提案を、それを拒否するアドバイスを添えてウィーンに伝えることであると考えていた。そしてグレイの提案に従い、ドイツの潔白と平和への愛をグレイに信じてもらうためにドイツの調停が行われている、とロンドンに伝えることだった。

では、なぜ彼はチルシキーに送った電報の中で、このアドバイスをウィーンに公然と伝えなかったのだろうか？これは親ドイツ派の歴史家が反対者に尋ねるであろう当然の疑問である。

彼らは、ベートマンがウィーンに何かを言いたければ、それを駐独オーストリア大使セジェーニという欺瞞に頼らずとも、直接的に言えたことだろう、と正当に反論しよう。

しかし実際には、その欺瞞は簡単に説明できる。グレイを満足させるふりをしながらベルヒトルトには（セルビアに）屈しないように忠告する宰相の二重の策略は、ヴィルヘルムが承認するものではなかった。

セルビアを直ちに攻撃するようウィーンに圧力をかけていることについては、カイザーには秘密にされてきており、ヤーゴがセジェーニに何を言ったかも、カイザーには知らされていなかった。セジェーニは、ヴィルヘルム通りに文書記録を残すことが望ましくないメッセージをボール広場に伝えなければならないときの仲介者として使われるようになっていたのだ。

おそらくベートマンは、ヴィルヘルムが自分の策動を認めず、独自の激しい行動に出るのではないかと恐れていたのであろう。さらにポツダムでは、カイザーがベートマンに命令を出し、ベートマンはそれに従ってリヒノフスキーの電報をチルシキーに送った（リヒノフスキー→ベートマン→チルシキー）と述べている。これらの命令は、ヤーゴ→セジェーニの内容と矛盾するのだろうか？

p450
　その可能性は非常に高いと思われる。そして、ヴィルヘルム通りの記録にダブルゲームの痕跡を残さないという意図があったことは確かだ。

こうした事実は、英国の調停案がおそらく（最終的に）pass onされる可能性があるというヤーゴのメッセージ（27日午後9時15分に彼が電報を打った）を聞くためにセジェーニが呼び出され、同時に、ドイツ政府はこの提案には関与していないことを正式に保証し、実際にはその拒否を勧告し、グレイの希望を尊重して提案を通しただけであるとの保証を与えた理由の説明になる。（Mc Meekin JULY1914　Count down to war p236）

この作戦の賢明さに関するすべての不安は、間違いなく、リヒノフスキーのその後の電報が2通届いた27日午後 8 時 40 分（p443）には消え去ったに違いない。電報はチルシキーに送られ（PM11:50 DD. I, 277）、ウィーンで偽のdemarcheを行うよう指示があった。同時に、別の至急報がリヒノフスキーのもとに送られ、こう知らせた。

　エドワード・グレイ卿が望む意味で、我々は直ちにウィーンで調停行動を開始した。英国の提案に加えて、私たちは直接議論を望むベルヒトルト・サゾノフ伯爵の希望にも応じました。 1（DD. I, 278）

　リヒノフスキーは完全にだまされてしまい、28日に急いでグレイに嬉しい知らせを書き、「英独協力のおかげでヨーロッパの平和を救うことが再び可能になったことを期待し始めている」と誠意を込めて付け加えた。だが、オーストリアの対セルビア宣戦布告を知った直後、彼はこの希望が根拠のないものであったことを悟ったに違いない。

そしてここで、現在提唱されている仮定を裏付ける、すでに行われた観察に立ち返る必要がある。

セルビアからの返答を満足のいくものとして、あるいは交渉の根拠として受け入れる（p442、448）どころか、オーストリアは28日か遅くとも29日に宣戦布告することになることをベートマン首相はすでに知っていたので、ベートマンの当初の要求は、もし彼の調停の動きが誠実なものであったのであれば、宣戦布告の延期を求めるべきではなかったか？

この点に関する彼の完全な沈黙は、彼がヨーロッパに既成事実fait accompliを突きつけられるよう、宣戦布告を望んでいたことを示している。彼の計算では、グレイはドイツの善意の表明に満足し、グレイは既成事実fait accompliで妥協し、オーストリアとロシアの紛争を構成することに集中するだろう、というものであった。この問題はベルリンも心の底からいだいており、その実現に喜んで協力するだろう。「紛争の局地化」が達成されるのであれば。

　これが一連の推論であったことは、同じ夜にベートマンがリヒノフスキーに送った別の特異な電報からも推測できよう。

7月27日から28日の夜は、ベートマン首相にとって素晴らしい活動日となった。、これまで見てきたように、27日午後11時50分、彼はウィーンへの調停を申し出た（p444）。 28日午前5時、彼はこのことをカイザーに伝え（p444）、この2つのメッセージの間に、歴史家からはほとんど注目されていない別のメッセージをリヒノフスキーに送った。

p451
オーストリアがセルビアの返答を満足のいくもの、あるいは交渉の基礎とみなすべきであるというグレイの願いについて、ベートマンは次のように書いている。

　前者の要求（オーストリアがセルビアの返答を満足のいくものとする）は現実的ではありません。我々は、最初の瞬間、そして我々が見ていないうちに彼ら（オーストリア）が不満足なものとして拒否したセルビアの返答を、その後ウィーンに裁可するようアドバイスすることは到底できない。

2番目の要求（交渉の基礎とみなすべきである）に関しては、我々は、調停措置を講じることにより、英国との会談に向けて大いに前進してきました。私は英国が、我々がオーストリアの希望に応えるためにとった一歩を正当に評価してくれることに、間違いなく信頼している。 セルビアの返答が可能な限界に達しているかどうかは、まだ私の手に渡ったばかりなので、まだ検討できていない。 セルビアが、自国が返答する前に動員したのは疑わしい事実である。それはまるで良心の呵責を感じているかのようだ。

　オーストリアがセルビアを打倒する計画を持っているというエドワード卿の仮定は、オーストリアが領土的野心を持たず、セルビア王国の一体性を侵害するつもりはないとロシアに明示的に宣言しており、その宣言がロシアに対して効果をもたらしたことを理由として、私にはますます根拠がないと思われる。

一方、オーストリアは、最終的にサラエボ犯罪に現れた汎セルビア人の扇動によって自国の存在がさらに損なわれることに対する安全を望んでおり、またそれを求める権利だけでなく義務もある。それは威信政策や三国同盟と三国協商の対決とは全く関係がありません。

　英国と完全に一致してヨーロッパの平和を維持することが我々の努力であり、英国との一層の協力が望まれるが、我々はロシア、さらには三国協商が、セルビア人の陰謀を支持して、オーストリアに有利な側につく権利を認めることはできない。

　閣下には、これらの見解に従ってあなたの言葉を組み立てていただくようお願いいたします。 1（DD. II, 279）

　したがって、大使会議に関するグレイの最初の提案は実行不可能なものであった。 2つ目に関しては、ドイツ政府は調停の申し出を拒否はしなかったが、ウィーンが調停を受け入れ、セルビアからの返答を議論の基礎とみなすべきとは述べなかった。

それどころか、介入する権利のない三国協商に対して、オーストリアの正当な権利を証明するために一連の議論が提起された。そして差し迫った宣戦布告については一言も言及されなかったが、グレイの提案が、ロシアを紛争に巻き込むことになるオーストリアとセルビアの間の武力衝突を防ぐことが目的であることをベートマンは知っていた。また、ひとたび宣戦布告がなされれば、セルビアの返答に関するすべての議論が不可能になる、とも言われていなかった。

　駐墺ドイツ大使チルシキーは、ベルリンの願いを理解するのに大きな困難はなかった。 28日の朝、すぐにベルヒトルトにベートマンからの電報（27日PM11:50 DD. I, 277）の内容を知らせるのではなく、オーストリアの宣戦布告が午前11時に２（DD. II, 3 u）発令されるまで待って、午後にベルヒトルトに会った。 3 （DD. II, 313）

彼が自らこれを行ったのか、それとも指示に従って行動したのかは分からない。

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しかしいずれにせよ、チルシキーは宰相のダブルゲームに完璧に応えたが、失敗に終わった。なぜなら、パックに折り返して入れられないカードでトランプをしたからである。

しかし、その失敗は、歴史家が真実を攻撃する権利を与えるものではない。一連の文書はすべて、7月27日から28日の夜、「局地化」理論が依然としてドイツ政府の行動を決定していたことを証明している。そのため（ドイツ政府は）、大惨事への衰退路線に歯止めをかけるのに、熱心さでも誠意でも何もしなかったし、その第一線の変化は、その気さえあれば一連のあらゆる致命的結果をもたらしたセルビアへの宣戦布告からオーストリアを引き戻すのに間に合ったであろうあの夜から始まっているわけでもない。

したがってMontgelasが、27日夜のベートマンの電報が誠意を持って送られたという彼の声明や、これに基づいて次のような主張をする根拠はない。「オーストリア・セルビア紛争における不干渉という固定原理は、こうしてドイツによって放棄された。」 1 （Montgelas, The Case for the Central Powers, p. 135.）

　それどころか、首相の動きを次のように正確に要約しているのはカウツキーである。

　また、彼は英国の提案を推奨しているわけではなく、単にそれを伝えているだけであり、状況がそうせざるを得ないという事実について謝罪している。しかしロンドンに対しては、「我々は直ちにウィーンでエドワード・グレイ卿の望む意味での調停運動に着手した」と電報を打った。「調停運動」の結果、7月28日にオーストリアはセルビアに宣戦布告した。 2

　ポアンカレも、27 日の夜のベートマンの行為を非常に正確かつ適切に再構成している。

　結論として宰相はベルヒトルト伯爵に意見を求め、リヒノフスキーとともにエドワード・グレイ卿の望む方向にウィーンで調停行動を直ちに開始したことは自分の功績であると称する。

しかし、サゾノフ氏が述べているように、「当時のベートマン・ホルウェグ氏の主な仕事は、平和を守ることではなく、ドイツが戦争に追い込まれたかのような印象を与えるような出来事を明るみに伝えることであった」。

したがって、帝国宰相は自分自身を隠そうとしているだけなのです。彼が書いているその時間に、彼はベルリンに午後4時30分に到着したチルシキーの電報から、ベルヒトルト伯爵がセルビアへの宣戦布告を送ろうとしていたことを知っていた。

彼は、イギリスの提案が、オーストリアがあらゆる軍事作戦を控えるという重要な条件に基づいて、E. グレイ卿によってなされたものであることを知っていた。それでも彼は、オーストリアとセルビアの間には介入しないという頑固な考えを捨てていない。彼は最初の砲弾の発射を止めるための身振りも言葉も発していない。 3（Poincare, IV, p. 353. 2 Kautsky, pp. 183-4. ）

　Bernadotte Schmitt が適切に観察したように、首相は 28 日になっても考えを変えることはなかった [4]。首相は帝国の他の加盟国の政府へのプロイセン公使に回電を送り、その中で次のように述べた。

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　今月23日にベオグラードの代表を通じてオーストリア・ハンガリー政府が提示した要求に対するセルビア政府の回答は、セルビアの責任ある各方面が、以前の政策と破壊活動を放棄するつもりがないことを明らかにした。したがって、オーストリア＝ハンガリー政府は、大国としての立場を明確に放棄するつもりがないのであれば、強い圧力によって、そして必要であれば軍事的手段に訴えてその要求を強制する以外に選択肢はない。 3

　首相が自分の誤りを確信し、（オーストリアに）退却の合図を送るために必死の努力を始める前には、さらなる進展とさらなる警告が必要であった。その時には、残念ながらもう手遅れだったが。

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