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９. English desinteressement in the Austro-Serbian conflict; the mistake made by Grey .

　ロンドンではどんな影響があったのか？言われているように、グレイは前日からオーストリアの最後通牒の内容を知っていた。 24日の朝、メンスドルフがその文章を彼に伝えたとき、同日に彼の電報がブンゼンに伝えたように、グレイはこう言った。

大公の殺害と、セルヴィアに関するオーストリア・ハンガリー間の覚書に記載されている状況の一部は、当然オーストリアへの同情を呼び起こしたが、時間制限が、しかもこれほど短い期間が導入されたのは非常に残念だと思った。この段階では、この最後通牒は、１つの国から独立した別の国に宛てられたものとして、私がこれまで見た中で最も恐るべき文書に思えた。 No. 5 の要求は、オーストリア・ハンガリー政府がセルビア領土内で権限を持つべき役人を任命する権利を有することを意味する可能性があり、これはセルビアの独立主権の維持とはほとんど矛盾するであろう。

　しかし、私はオーストリア＝ハンガリーとセルビアの間の紛争のメリットを議論するためにこれらのコメントをしたわけではありません。それは私たちの関心域ではありませんでした。私がこの問題に関わるのは専らヨーロッパの平和の観点からであり、（この観点から）私は大きな不安を感じました。私は他の大国の意見を聞くまで待たなければなりませんし、困難を軽減するために何ができるかを知るために彼らと相談すべきであることに疑いの余地はありません。

　オーストリア・ハンガリー大使は、セルビア側にあまりに先延ばしが多く、時間制限が不可欠であると述べた。大公殺害から数週間が経過したが、セルヴィアは同情も助けも示さなかった。もし殺害後にセルヴィアが手を差し伸べていたら、現在の状況は避けられたかもしれない。

　私は、セルビアが返答を先延ばしにしていたら、後の段階で時間制限が導入されていた可能性があることに気づきました。実際のところ、オーストリア・ハンガリー政府は48時間以内の返答を要求しただけでなく、返答の条件を指示したのです。２（BD. XI, 91）

　したがって、グレイはオーストリアの最後通牒の深刻さを十分に理解していたのだった。

私たちは今、彼が24日の午後にフランス大使ポール・ガンボンを迎えた際に、その結果をどのように回避する準備をしていたのかを見なければならない。同じ日に彼がフランシス・バーティ卿に送った報告書には次のようなものがある。

　私は.カンボンに、24日の午後、ドイツ大使に会う予定であると伝えた。大使は数日前、サンクトペテルブルクで穏健な影響力を行使するよう私に個人的に頼まれていた。

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私はドイツ大使に対して、セルビアに対するこの最後通牒の提示がオーストリアとロシアの間に問題を引き起こさないのであれば、我々はそれについて心配する必要はない、と言いたかった。しかしもしロシアがオーストリアの最後通牒において、セルヴィアに関心のある大国なら取るだろうと私には思われた見解をとったなら、私は最後通牒の条件の前では、適度の影響力を及ぼすには、まったく無力になるはずである。

調停あるいは適度な影響力が行使される唯一の可能性は、セルビアに直接の利害関係のないドイツ、フランス、イタリア、そして我々が、ウィーンやサンクトペテルブルクで、同時に平和のために協力することだ、と言えると思う。 1(BD. XI, 98)

　明らかに、グレイは時間の要素を完全に無視していた。しかし、賢明で経験豊富なガンボンは、最後通牒の内容を知ってすぐにロシア人の同僚にアドバイスを受け、以下の提案をする目的でやって来た。

重要なのはウィーンでの調停で時間を稼ぐことです。これが受け入れられる最も可能性が高いのは、ドイツが他の大国に提案することだろう。

そこでカンボンはグレイにこう指摘した。

ロシアが何らかの意見を表明するか何らかの行動を起こすまで、我々はサンクトペテルブルクでは何も言えない。しかし、セルビアがオーストリアの要求を受け入れるはずがなかったので、二日が経過するとオーストリアはセルビアに進軍することになった。ロシアは世論により、オーストリアがセルビアを攻撃するとすぐに行動を起こすことを強いられるため、オーストリアがセルビアを攻撃してからではいかなる調停も手遅れとなる。

　私（グレイ）は、オーストリアとロシアの間に問題があるに違いないことが明らかになるまで、サンクトペテルブルクで何が言われているか考えていないと言いました。私は、オーストリアが実際にセルビアに進駐し、ロシアが動員した場合、調停を待って四カ国がオーストリアに進軍を阻止するよう促し、ロシアも自軍の進軍を阻止するよう要請することが可能であると考えていた。しかし、そのようなステップを成功させるためには、ドイツが参加することが不可欠である。

　カンボンは、オーストリアが一度セルビアに対して動いてからでは手遅れになるだろうと語った。重要なのはウィーンでの調停で時間を稼ぐことだった。これが受け入れられる最も可能性が高いのは、ドイツが他の大国に提案することだろう。

　私（グレイ）は、これはオーストリアとセルビアの間の調停を意味していると言いました。

　彼（カンボン）はその通りだと答えた。

　私（グレイ）は、今日の午後、この件についてドイツ大使と話すつもりだと言いました。 2
2　カンボンの至急報の文面には、以下の文章は省略されている。「もしロシアがセルビア人の役割を果たせば、ロシアはオーストリア侵略の主導権を握ることになり、ドイツはオーストリアを支援する義務を負うことになる。それは全面戦争になるだろう。最後通牒の効力を停止する会議の提案はベルリンから得ることが賢明である。すでに手遅れのように見えますが、試してみる必要があるようなこの遅延装置に対するグレイの気持ちを私はあなたにお知らせします」。　電報は 24 日の夜、ストックホルムのヴィヴィアーニに宛てて発信されました。しかし、それからは何も生まれなかった。

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　メンドルフ、特にポール・カンボンとの会話の中で、グレイは自分が定義し発展させるべき立場を取り上げた。

メンズドルフ、特にポール・カンボンとの会話の中で、グレイは、検討する必要がある根本原理を定義し、その後の外交活動で発展させる立場をとった。

グレイは、オーストリアとセルビアの紛争はイギリスにとって差し迫った関心事ではなく、両国間で紛争を解決するのに任せるべきだという仮定から出発した。

しかし、オーストリアとロシアの紛争は、ヨーロッパの平和に対する脅威となるため、別の問題となるだろう。そして、オーストリアとロシアの紛争の可能性があったため、4カ国は、対立する2つの当事者の間に介入する手段を同時に講じるべきではなかった。

グレイは、オーストリアのセルビア侵攻とロシアのセルビア支援への動員を阻止するのは不可能ではないにしても難しいと考えた。しかし、オーストリアにはあまり前進しないよう訴えられるかもしれないし、両国ともそれぞれの国境を越えないよう訴えられるかもしれないが、英独仏伊の調停への時間を与えるよう訴えられるかもしれない。ドイツがその気になれば調整は容易だったろう。

だがそれは、最後通牒によって引き起こされ明らかにされた状況に対する、グレイの完全な理解の欠如を示す政策であった。

　そもそも、オーストリアとセルビアの紛争を英国には無関係とみなし、オーストリアとロシアの紛争から切り離して考えられると考えるのは、政治的に不道徳ではないにせよ、愚かで危険だった。

1908年以降に起こったすべてのことは、オーストリアとセルビアの関係がヨーロッパの根本的な問題の一つであることを証明するものであり、それはオーストリアとハンガリーの将来、そして間接的にはコンスタンティノープルからペルシャ湾に至るバルカン半島と近東におけるドイツの拡大にも関係していた。このため、また共通の利害関係の理由から、この紛争はロシアの懸念事項であった。ロシアはセルビアの鎮圧とトルコにおけるドイツの政策を結びつけ、数ヶ月前から、リーマン・フォン・サンダースがトルコ軍を再編し指揮するドイツの将軍任命をめぐって開戦を検討していたのだ。

バルカン半島におけるDeutschtumの勝利がヨーロッパやそれ以外の地域にもたらすであろう影響を考慮すると、イギリスも同様に最後通牒によって提起された問題に無関心でいられない理由があった。それを別にしても、ロシアとセルビアの関係は、一方の紛争（オーストリアとセルビア）をもう一方の紛争（オーストリアとセルビア）から切り離すことができないほどであった。

オーストリアとロシアの間の戦争を防ぐ唯一の方法は、（英国が）オーストリアとセルビアの間に直ちに介入することであったが、これはグレイが棄権したことだった。本来であればそうすべきであったが、彼はウィーンと全く意思疎通を持たず、列強側が調停に影響を与える措置を講じる時間を与えるために、彼が必要な強制力と粘り強さで期限の延長を迫り始めたのは、7月24日の早朝ではなかった。

2つの問題（オーストリアとロシア、オーストリアとセルビア）を分けておくことで、グレイは紛争の局地化というドイツの主張を支持することになったが、ロシアはそれを決して受け入れなかっただろうし、その結果、火を消すのではなく火を煽ることになった。

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　火をあおったもう一つの動きは、オーストリアとロシアの抑制の試みだった。だがそれは動員することからではなく、かつて彼らが動員したことからだった。

すでに知られているように、そしてこれから説明するように、ヨーロッパ戦争はドイツの戦争につながったロシアの動員から直接生じた。 そして、この動員は即時に戦端を開くものであったため、戦争の勃発をもたらした。

グレイが、他の多くの人々と同様に、ドイツにとっては動員と戦端行動の開始は同じ行為であるという事実を知らなかったのは理解できるとしても、ロシアとオーストリアの動員がどれほど危険なものであるかを彼が認識できなかったのは信じられないことである。それは本質的なだけでなく、同盟システムへの影響においても同様である。

これまで見てきたように、この危険性はサンクトペテルブルクの英国大使も、そして根底にはサゾノフ自身も十分に認識していた。

確かに、サゾノフは部分的な動員を、ウィーンとベルリンを秩序立てさせ、可能な限りの無用の脅しとして意図しただけだった。しかし彼もまた、自分自身と平和の大義を破壊に導く軍事機構を始動させるというひどい間違いを犯した。

しかし、グレイの盲目はサゾノフのそれを完全に上回り、イギリスのマスコミのみがそれに匹敵していた。その論評、特に自由党機関の論評は、セルビアとロシアを敵視するのと同じくらいオーストリアに好意的であった。

　グレイが犯したもう一つの重大な間違いは、そのような種類の最後通牒を送る前に、ウィーンは必然的にドイツの承認を得る必要があり、したがって（英国が）神への畏れをドイツに植え付け、紛争を局地化するという考えを放棄させようとする以外の手段でベルリンに協力を求めるのは、愚かな時間の無駄であるということを認識しなかったこと、あるいは疑うことさえしなかったことである。

（独墺）同盟を発動させるというあからさまな脅しがグレイの目を開かせ、カンボンに示したのとは異なる方針でリヒノフスキーと会話させたのではないかと想像する人もいるだろう。だがまったくそうではない。ホレス・ランボルド卿に対し、彼は7月24日にリヒノフスキーに語った内容の要約を電報で送った。

　私は、セルビアに対するオーストリアの最後通牒がオーストリアとロシアの間に問題を引き起こさないのであれば、そうした問題に関心はないと言いました。サンクトペテルブルクからはまだ何も聞いていなかったが、ロシアがこの状況に対してどのような見方をするのかは、非常に懸念していた。
私はドイツ大使に、数日前に必要があれば私がサンクトペテルブルクで穏健な影響力を発揮するよう努めたいという個人的な希望を表明していたことを思い出させたが、オーストリアの最後通牒の極めて厳格な性格を考慮して、今はこう言った。許される時間の短さ、そしてセルビアに対する要求の範囲の広さから、私はロシアに関する限り全く無力であると感じ、いかなる大国も単独で影響力を行使できるとは信じていなかった。

　調停あるいは適性化の影響力が効果的であると私が見た唯一の可能性は、ドイツ、イタリア、フランス、そして我々の四大国が、ウィーンとサンクトペテルブルクで同時に協力すべきことだった。オーストリアとロシアの関係が危険になった場合の適性化を期待して。

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　差し迫った危険は、数時間以内にオーストリアがセルビアに進軍する可能性があり、ロシアのスラブ世論がロシアにセルビアを支援するために進軍するよう要求することであった。つまり、オーストリアに軍事行動を誘発させず、より多くの時間を稼いでもらうことが非常に望ましい。しかし、ドイツがウィーンでそのような行動を提案し参加しない限り、私たちの誰もオーストリアにこの方向に影響を与えることはできません。1(BD. XI, 99)

　グレイ自身が口述したこの要約からすると、彼は、動員は避けられないと考えていたようで、48時間の制限時間の延長すら要求しなかったが、オーストリアはただちに戦争をするべきではないとだけは言っていたようだ。だが今やわかっていることだが、ベルヒトルトには同意する用意ができていたのだった。しかし、リヒノフスキーのベルリンへの24日の至急報は、グレイが次のように述べたと報告した。

グレイは私たちと一緒に、（最後通牒の）期限延長の支持をウィーンに表明する用意があったことだろう。彼はさらに、ロシアとオーストリアの間に危険な緊張が生じた場合には、直接利害関係のないイギリス、ドイツ、フランス、イタリアの４カ国が調停を引き受けるべきだと提案した。 2(DD. I, 157)

　しかし制限時間は翌日午後6時までだった。ベルリン経由で送られた延長要請が間に合う可能性はあったのであろうか？そして、同時に（オーストリア政府が）以下の声明を広めているときに、ベルリンは間に合うように急いで要求しただろうか。

　帝国政府は、本件において問題となるのはオーストリア＝ハンガリーとセルヴィアの間で専ら解決すべきことがらだけであり、列強は直接関係する二国にそれを留保するよう真剣に努力すべきである、という意見を強調したいと考えている。

さらに次のように追加した。

　帝国政府は紛争の局地化を緊急に望んでいる。なぜなら、他国のいかなる干渉も、異なる条約上の義務により、計り知れない結果を招くからである。3(BD. XI, 100)

　この文書に対する次官補エア・クロウ卿の議事録は次のように始まる。

　それについての回答は、オーストリア側の要求の極端な性質と課せられた期限のせいで、紛争の局地化が極めて困難になっているということである。なぜなら、オーストリアの（最後通牒の）用語には、戦争を誘発する意図の性格が表面に表れているからである。

　しかし、次官アーサー・ニコルソン卿は楽観的に次のように付け加えた。

　ベルリンの保守系新聞社が方向転換し、オーストリア＝ハンガリーが引き起こした紛争にドイツが関与していること、そして最後通牒に関して、ドイツが事前に相談されていなかったことに抗議しているという電報がクラブに投函された。

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　グレイは今度は次のようにコメントした。

　もし本当なら、正面から見ると非常に驚くべき変化です。私はリヒノフスキー王子との会話の中で、オーストリアとセルビアの間の戦争は局地化でおさまるものではないと考えていましたから。

　リベラルな Frankfurter Zeitung新聞や社会主義者のForwdrts 新聞は言うまでもなく、Postや the Rheinisch- Westfalische Zeitung新聞のようなドイツの国家主義新聞がこの変更を行ったのは事実であった。しかし、それは決して一般的なものではなく、半公式の Lokal-Anzeigerは全く異なる方針をとっていた。

しかし、反対派は一般的であり、そうした部類のあれかこれかを前にして戦線の変更を望むのは、的外れであった。確かに、グレイがドイツ大使との会話の中で、オーストリアとセルビアの間の戦争は局地化するものではないと想定していたのは事実だが、グレイは、リヒノフスキーがベルリンに次のように報告したような言葉通りにしていた。

　オーストリアがセルビア領土に入れば、欧州戦争の危険が直ちに高まるだろう。このような四大国戦争の結果について、彼は明示的に「4か国」の数字を強調し、それは、ロシア、オーストリア＝ハンガリー、ドイツ、フランスは全く予測不可能であることを意味していた。1

　ヴィルヘルムの欄外メモは「彼（グレイ）はイタリアを忘れている」だった（ヴィルヘルムがイタリアを同盟国として頼りにしていたことがわかる）。しかしグレイがイギリスを”忘れていた”こと、そしてベルリンに対して、もし戦争になったとしても、イギリスは傍観するだろうから、イギリスは不変であり続けることができると信じ込ませたのは、もっと悪いことだった。

10 Grey shrinks from the only effective measure and urges mobilisation and mediation .
　ここでthe narrative of eventsを再開する。リヒノフスキーとの会談の後、グレイはベオグラードのクラッカンソープに次のように電報を打った。

私はリヒノフスキードイツ大使に対し、オーストリアが軍事行動を誘発しないよう強く求めました。セルヴィアは、たとえ従属的ではあっても、あらゆる当局が大公殺害の共犯者であったことに対して懸念と遺憾の意を表明し、それが証明されれば最大限の満足を与えると約束すべきだと私には思われる。 ... 無条件の受け入れ以外のことで、期限切れのオーストリアによる軍事行動を回避できるかどうかはわかりませんが、唯一の可能性は、できるだけ多くの点で（セルビアはオーストリアに対して）好意的な返答をすることです。セルビアの大臣はここで私たちの見解を何らかの形で示すよう懇願していますが、私には上記以上のアドバイスを与える責任は負いかねます。 2

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　24日午後、グレイがオフィスを出る間もなく、その日の夜に駐英オーストリア大使メンズドルフが面会を求めた。電話に出た首席書記官のモンゴメリーは帰宅途中にオーストリア大使館に電話し、駐英オーストリア大使メンスドルフが、オーストリア政府から電報を受け取ったばかりだったことが伝えられた。

その内容は、ベオグラードで受け取られた段階は最後通牒ではなく「期限付きのdemarche」であり、この期限内にオーストリアの要求が受け入れない場合には、オーストリア政府は外交関係を断絶し、（作戦ではなく）軍事準備を開始するだろう。というものだった。１（BD. XI, 104）

　別の章では、ベルヒトルトがこの行動をとった動機を検討する。グレイはこれを朗報として受け取り、ジョージ・ブキャナン卿とフランシス・バーティ卿に電報で「差し迫った状況の深刻さが軽減される」と電報を送り2（BD. XI, 105）、そして結局は遅すぎて何の役にもたたなかったのだが、彼はウィーンのブンゼンに対して、「あなたのロシアの同僚がとった措置を一般論として支持する」という指示を送った。その同僚は、「ロシア政府は、オーストリア＝ハンガリー政府が期限を延長すると信じている」とベルヒトルトに言った。グレイはさらにこう付け加えた。

　オーストリア・ハンガリー政府が、既に述べられた期限を変更するには遅すぎると考えるのであれば、取り返しのつかない措置を講じる前に、いずれにせよ、彼ら（オーストリア・ハンガリー政府）はロシアが望む意味と理由で時間を与えるだろうと私は信じている。3（BD. XI, 118）

　24日PM8時、グレイはサンクトペテルブルクから、その日の早い段階でのブキャナンとサゾノフおよびパレオローグの最初の会話を完全に要約した重要な電報を受け取った4（BD. XI, 101）。25日のグレイからのこの電報への返答は以下である。

　非常に困難な状況の中で、陛下の政府の態度について、あなたは全く正しく述べられました。私は全面的に賛成ですが、陛下の政府を代表してこれ以上約束することはできません。
　私（グレイ）は、世論がセルヴィア紛争での我々の戦争を容認するだろう、あるいは容認すべきだとは考えていない。
　しかし、もし戦争が起こってしまったら、他の問題の進展によって私たちは戦争に巻き込まれる可能性があるので、私は戦争を防ぎたいと切望しています。
　オーストリアのdemarcheの無愛想で突然かつ強引な性格により、非常に短期間にオーストリアとロシアの両国が互いに対抗するよう動員されることはほぼ必然となっている。この場合、和平の唯一のチャンスは、他の四カ国がオーストリアとロシアに国境を越えないよう要請に参加し、ウィーンとサンクトペテルブルクで行動する四カ国が問題を調整するよう努めるために時間を与えることだと私には思われる。
　ドイツがこの見解を採用するのであれば、フランスと我々自身もそれに基づいて行動すべきであると私は強く思います。イタリアは間違いなく喜んで協力するだろう。
　いずれにせよ、ドイツの協力は不可欠だろう5（BD. XI, 112）。

　この文書をさらに詳しく見てみよう。ここでグレイはブキャナンに対し、ロシアの動員は「ほぼ不可避」であり、ブキャナンはサゾノフと話す際にはこれを当然のこととして受け止めるべきだと語った。

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サゾノフの精神状態を考えると、これは最も危険な発言だった。これはサンクトペテルブルクを抑制するのではなく、まさにサンクトペテルブルクを前進させるものであった。

サゾノフおよびパレオローグとの会談で、ブキャナンがとった方針に対するグレイの冒頭の言葉に関しては、ブキャナンが意図的に寡黙であったことに注意しなければならない。

ブキャナンは「陛下の政府がフランスとロシアを武力で支援するという確約を伴うような（両国との）連帯宣言をすることには期待できない」と述べたが、ブキャナンは「オーストリアによるセルヴィア攻撃のヨーロッパの平和に対する危険性を、ウィーンとベルリンで強く表明する用意があるのではないかと思った」と付け加えた。そしてそれは

おそらくロシアに介入を強いることになるだろうし、これによってドイツと（フランス?）が戦場に参戦することになるだろうし、もし戦争が本格化すればイギリスが中立を保つのは困難になるであろう。１（BD. XI, 101）

　グレイはこの話に賛成したのであろうか？　それは確かに彼に自分自身で発見していなかった風景を示し、彼が選択すべき一つの道を明らかにし、それがほぼ間違いなく素晴らしい成功につながったであろう。彼をこの道に導こうとしたのは、外務省で最も聡明な頭脳を持ったエア・クロウ卿であり、彼はブキャナンからの至急報について次のように述べている。

　ロシアを牽制するためにフランスの支援を得ることが可能だったかもしれない時期は過ぎた。
　フランスとロシアが、彼らに投げかけられた挑戦を受け入れることを決定したことは明らかである。セルビアに対するオーストリアの告発の利点について私たちが何を考えようとも、フランスとロシアは、これらは口実であり、三国同盟対三国協商というより大きな大義が間違いなく関与していると考えている。
　英国がサンクトペテルブルクやパリでいかなる代表者となっても、この意見に異議を唱えようとしたり、明白な問題を曖昧にしようとしたりすることは、危険であると言うまでもなく、無礼であると私は思う。
　今重要な点は、ドイツが今この戦争を絶対に決意しているかどうかである。
　この戦争で、イギリスがフランスとロシアの側につくのではないかとドイツに不安を抱かせることができれば、ドイツを躊躇させることができる可能性はまだある。
　現段階で私たちに絶対的な約束をすることなく、この問題をドイツ政府に持ち帰るための効果的な方法を 1 つだけ提案できます。オーストリアかロシアのどちらかが動員を開始した瞬間に、陛下の政府が我が艦隊全体を即時戦闘態勢に置くよう命令を下したとしたら、これによりドイツは、もしイギリスが戦争に参加した場合にドイツがさらされるであろう危険の深刻さを認識することになるかもしれない。
　仮にこの決定が今下されるとしたら、フランス政府とロシア政府にそれを知らせるのは正しいことであり、これもイギリスとロシアの間で生じる非常に深刻な状況を防ぐために我々ができる最善の策となるだろう。
　
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　もし戦争が起これば、遅かれ早かれイギリスは戦争に巻き込まれるだろうというサゾノフの意見に同意しないわけにはいかない。明日起こるかもしれない状況で何ができるかを決めなければ、私たちは何も得られません。　
　もしも戦争が起こり、英国が傍観した場合、次の 2 つのうちのいずれかが起こるはずです。
(a) ドイツとオーストリアのどちらかが勝利し、フランスを粉砕し、ロシアに屈辱を与える。フランス艦隊が去り、ドイツがオランダとベルギーの意欲的または不本意な協力を得てドーバー海峡を占領すると、友人のいないイギリスの立場は残るでしょうか？
(b) フランスとロシアが勝つ。それではイギリスに対する彼らの態度はどうなるのでしょうか？インドと地中海はどうですか？
　この闘争では、我々の利益はフランスとロシアの利益と結びついているが、それはセルビアの所有を目的としたものではなく、ヨーロッパの政治的独裁を目指すドイツと個人の自由を保持したい列強との間の闘争である。

　こうした状況下で、ニコルソンは次のように書いている。

　エア・クロウ卿が提起した点は真剣に検討する価値があり、内閣が状況を再検討することは間違いない。危機における我が国の態度はロシアにとって試練とみなされるだろうし、我々はロシアを疎外させないよう細心の注意を払わなければならない。１（BD. XI, ioi）

　しかし、彼の脚注に示されているように、グレイはクロウが提起した問題を回避した。

　チャーチルは今日私に、艦隊は24時間以内に動員できると語ったが、フランスとロシアに何か声明を出すのは時期尚早だと私は思う。

　この点において、彼は決して悪いアドバイスを受けていたわけではない。クロウの状況分析は極めて正確で洞察力があり、フランスとロシアとの協商政策の論理的必要性をグレイに思い出させたが、クロウが提案した救済策は、フランスとロシアに無条件の連帯の保証を与えるには十分強力ではなかった。一方で、その瞬間にフランスとロシアに無条件の（協商国の）団結の保証を与えれば、彼らは攻撃的になることを奨励しただろう。（訳注;ジョル　第一次世界大戦の起源 p31参照）

ブキャナンが与えた最良のアドバイスは、戦争が本格化すれば、イギリスが中立を保つのは困難になるだろうとドイツに伝えることであった。

　しかし、クロウの議事録に対する彼のコメントとブキャナンへの返答の両方で、グレイは直面する義務がある根本的な問題を回避し、そして彼の行動は、イギリスが紛争の局地化に反対しなかったため全面戦争は起こらず、たとえ戦争が起こったとしても大陸列国のみが関与し、その場合はドイツが勝利するであろう、というベルリンの信念を裏付けた。したがって、ウィーンは道を譲らず、全速力で前進することだろう。

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　後の章では、多くの同僚の超平和主義的な親ドイツ・反ロシア感情を考慮して、グレイが内閣の同意なしにブキャナンが明示的に提案したドイツに対する声明（中立の破棄）を発表することができたのか、それともできなかったのかという問題について議論することになる。それはクロウによって暗黙のうちに行われ、その後すぐに、後述するように駐英ロシア大使のベンケンドルフによっても行われた。

次に、彼は簡単にそうすることができ、実際にそうしたのだが、手遅れになったことを示す。しかしこの時には、彼はロシアとオーストリアが動員した後、4カ国による調停という自身の考えに粘り強く固執し、7月25日朝のリヒノフスキーとの会談でその考えに戻った。

　私はドイツ大使リヒノフスキーに、オーストリア大使が期限切れの手続き方法として外交関係の断絶と軍事準備は行うが、オーストリアの一部に対する作戦は行わないことを私に通知する権限がある、と伝えました。私は、これによって実際の国境越えの前に動員の段階が挟まれることになるが、昨日、それを遅らせるべきだと主張したと述べた。
　我々は、オーストリアとロシアの両国が動員されるであろう瞬間に、間もなく直面するはずである。和平の唯一のチャンスは、（英独仏伊）四大国が協力してオーストリアとロシアに対し、両国間で問題を解決する努力をする時間ができるまで国境を越えないよう要請することだろう。
　ドイツ大使が、ドイツ外務省からの電報を私に読んでくれました。１（BD. XI, 116）

　ツィマーマンの電報は以下のように始まる。

外交界では、我々がオーストリア・ハンガリーを扇動してセルビアに対する厳格な文書を作成させ、その草案作りに参加するというのが現在の見解である。噂の発端はカンボンのようです。可能な限り反論してください。私たちは注目の内容に対して何の影響力も行使しておらず、他の勢力と同様に、発表前にそれに関して立場を表明する機会もありませんでした。オーストリア・ハンガリー帝国が自らの主導で厳しい言葉を使うことに決めた以上、ウィーンに撤退を提案できないのは言うまでもない。オーストリア＝ハンガリー帝国の内外での威信は、撤退の場合には最終的に地に落ちてしまうだろうから。2（DD. I, 153.）

　リヒノフスキーはこの通信を読み上げた後、グレイにこう言い続けた。

私が考えたのはロシアとオーストリアの間の調停でした。つまりこれならば別の問題となり、オーストリアは威厳を持ってそれを受け入れるだろうと彼は考えた。私は彼の見解を支持し、セルビアとオーストリアの間には私には介入する権利はないと感じたが、問題がオーストリアとロシアの間のものとなった瞬間、それはヨーロッパの平和の問題であり、私たち全員がそれに協力しなければならない、と述べた。
　私は彼に、オーストリアとロシアが動員すれば、平和のためのあらゆる外交行動にとってドイツの参加が不可欠になるだろうと印象づけた。私たちだけでは何もできなかっただろう。私は現在外遊中のフランス政府に相談する時間がなかったので、彼らの意見を確信することはできませんでしたが、もしドイツ政府が私の提案に同意する用意ができているのであれば、私はフランス政府に次のように言う準備ができていました。それが正しいことだと思いました。１（BD. XI, 116）

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　こうして、当時グレイが同意していたオーストリアとセルビアの間の調停というポール・ガンボンの賢明な提案は、ドイツが決して受け入れないだろうという理由で却下された。（Mc Meekin JULY1914　Count down to war p204）

グレイがこの案を落とした理由の一つは、ポール・ガンボンが24日の会見後、リーダー不在のQuai d’Orsayに指導を求めるか指示を与えるためパリに赴き、当面欠席し、27日遅くに戻ってきたことだった。

もしこの経験豊富で尊敬されている外交官がそのポストに留まっていたら、グレイはもっと賢明に行動した可能性がある。現時点でグレイが考えることができたのは、動員されたオーストリアとロシアの戦争を阻止するという、今では強迫観念となっていた彼の考えに対してドイツの支援を求めることだけだった。駐英ロシア大使ベンケンドルフが、四大国調停の朝にグレイがリヒノフスキーに提案したことを知り、懸念だけを示した午後になっても、グレイは諦めなかった。

私の発言は、フランスとイギリスがロシアから孤立しているかのような印象をドイツに与えるだろうと考えた・・・駐英ロシア大使ベンケンドルフ伯爵は、もし戦争が起こったら我々（英国は）は脇に立たないとドイツに思わせるために、ドイツに何らかの示唆を与えるべきだと主張した。
　私は、私たち（英国）が脇に立つという兆候は何も示していないと言いました。それどころか、私はドイツ大使に、オーストリアとセルビアの間だけで紛争が起こっている限り、私には介入する権利はないと感じた、と言いました。しかし、それは直接的にはオーストリアとロシアの間の問題となり、ヨーロッパの平和の問題となり、我々全員に関係することになった。
　実際私は、ロシアがオーストリアに対して動員した場合、セルビアに対するオーストリアの要求を支持していたドイツ政府は、ロシアの動員の脅威にさらされながら、オーストリアに対し、要求の修正を検討するよう要請すべきであると求めていた。

たとえ我々が同時にロシアに行動停止を求めることに参加したとしても、ドイツにとって簡単なことではなかった。私はまた、私はまた、ドイツが、オーストリアとの動員は数時間の問題であるが、ロシアとの動員は数日の問題であると答えるだろうと心配した。そして実のところ、私は、もしロシアがオーストリアに対して動員するなら、ドイツはロシアに対して動員する代わりに、動員を中止してロシアの干渉に協力し、それによって時間の優位性を捨てるべきだと頼んだのである。外交干渉が失敗すれば、ロシアはその間に動員のための時間を稼いだだろう。

確かに、ヨーロッパで紛争が起こった場合に我々（英国）が参加するかどうかについて私は直接何も言っていなかったし、言えなかった。しかし、私がドイツ政府に対して行った提案には、ロシアが文句を言うべき点はまったくなく、ただドイツ政府がその提案を受け入れるのが難しいのではないかと心配していただけでした。私はそれを自分の責任で行ったものであり、平和のために最善の提案であることに疑いの余地はありませんでした。 1（BD. XI, 132）

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　それゆえグレイは、もしロシアがすぐに動員を開始すれば、時間を稼いでロシアに奉仕をすることになるのだと想像したThus Grey imagined himself to be rendering Russia a service by letting her gain time if she began at once to mobilize. 。ロシアが動員すれば、ドイツ政府は腕を組んで待ち、和平調整役を務めるだろうと（グレイが）考えたのはばかばかしい考えだ。一方の動員が他方の動員を引き起こし、それらが合わさって戦争につながるのだ。

それを阻止する唯一の方法は、ベンケンドルフ、ブキャナン、クロウの助言、すなわち同盟国を抑制しなければドイツが被るリスク、つまりイタリアの中立とイギリスの介入のリスクをドイツに理解させることであった。

　グレイは、25日の午後、ドイツへの脅迫ではなく、リヒノフスキーの善良な性格に訴える手紙を送ったときに示したこの認識からどれほど離れていたことか！　

その午後、ベオグラードのクラッカンソープから電報が届いた。その内容は、オーストリアの書簡に対するセルビアの返答は最も融和的な条件で作成されており、可能な限りオーストリアの要求に応えるつもりであると書かれていた・・・セルヴィア政府の意見は、オーストリア政府がいかなる犠牲を払ってでも戦争を望んでいない限りは、セルヴィアの返答で示された完全な満足を受け入れるだろうというものであった。2（BD. XI, 114）

　このニュースに満足して、グレイは以下の希望を込めて、クラッカンソープの予測をリヒノフスキーに送った。

ウィーンで受け取ったセルビアの返答がこの予測と一致するのであれば、ドイツ政府は、オーストリア政府にそれを好意的に受け止めるよう影響を与えることができると感じるかもしれない。３（BD. XI, 115）

　そうすることで、グレイは良心の安らぎを得て、田舎での恒例の週末に向けて出発した。実際、25日土曜日午後6時セルビアに与えられた48時間の制限時間が満了する予定だった。しかし、グレイはオーストリア・セルビア紛争には関心がなく、まだ勃発していなかったオーストリア・ロシア紛争のみに関心を持っていた。つまり、問題は差し迫ったものではなかったのだ！

　グレイがこの局面に及んで自分の身の回りのことを考えて外務省を離れて、いつもの週末のお出かけをしたことほど、彼が恐るべきものを理解していなかったことを明らかにするものはない。もし自分の提案がヴィルヘルム通りでどのように受け止められ、そこで何が起こっているかを垣間見ることができたら、彼は動揺しただろう。

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11. Germany's bogus acceptance of Four Power mediation .

次に、ロンドンからの最初の提案に対するヴィルヘルム通りの反応を考えてみよう。25日の○午前1時16分、リヒノフスキーからの電報がベルリンに届き、7月24日のグレイとの会話の説明が書かれていたが、そこでグレイはドイツも英国と協力して制限時間の延長を求め、「ロシアとオーストリアの間で危険な緊張が生じた場合には、直接利害関係のないイギリス、ドイツ、フランス、イタリアの４カ国がロシアとオーストリアの間の調停を引き受けるべきである、と提案していた。

　それは無駄です[余白にあるウィルヘルムの言葉]、私は参加しません。オーストリアが私にそうするよう明示的に要請した場合に限りますが、それはありそうにありません。名誉や重要な質問に関しては、人は他人にアドバイスを求めません。 1（DD. 1, 157）

ヴィルヘルム通りも同様に考え、リヒノフスキーの電報を当面脇に置いた。朝の終わりにHorace Rumbold 卿が電話をかけてきたとき、ヤーゴは、電報が×午前10時に来たと彼に告げた。彼はすぐにチルシキーに「期限延長の」提案をベルヒトルトに渡し、それについて閣下に×「話す」よう指示した。

　残念ながら、ベルヒトルト伯爵がイシュル（オーストリア皇帝庁）にいることが報道により明らかになり、国務長官は、このような状況では時間制限の延長は遅れ、困難になるだろうと考えていたようです・・・彼は、オーストリア・ハンガリー政府がセルビア人に教訓を与えたかったこと、そして彼らが軍事行動を取るつもりであることを率直に認めた。同氏はまた、セルヴィア政府がオーストリア・ハンガリー両国の要求の一部を飲み込むことができなかったことも認めた。
　　
　国務長官は、この状況の心強い特徴は、ベルヒトルト伯爵がウィーンにロシア代表を呼び、オーストリア・ハンガリー帝国がセルビア領土を占領するつもりはないと伝えたことだ、と述べた。同氏の意見では、この措置はサンクトペテルブルクを落ち着かせる影響を与えるはずだという。

私は、オーストリアがセルビアに対して軍事行動をとることで、ロシアの世論を危険に煽るのではないかと尋ねたが、彼はそうは思わないと言いました。同氏は、危機が局地化する可能性があるとの見解を維持した・・・オーストリアとロシアの関係が危機に瀕した場合、彼はウィーンとサンクトペテルブルクで穏健派として協力する四大国に関するあなたの提案に同意する用意ができていた・・・国務長官は、オーストリア＝ハンガリーの最後通牒の内容については全く知らなかった、と再び非常に熱心に繰り返した・・・彼は、この最後通牒には、外交文書としてはまだ不十分な点が多く残されていると個人的に告白した。2（BD. XI, 122）

　最初から最後まで嘘。リヒノフスキーの電報は9時間前に届いていた。制限時間終了後にウィーンに到着するように、それは午前10時でも正午でもなく、午後4時にチルシキーに伝えられた。チルシキーも、そのことについてベルヒトルトに「話す」ように指示されなかった。実際にチルシキーに送られたのは、次のようなコメントが書かれた至急報のコピーだった。

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　私はロンドンで、E・グレイ卿の提案をウィーンに伝えるつもりだが、最後通牒の期限が今日で切れており、ベルヒトルト伯爵がイシュルにいるので延長は不可能だと考えた、と返信した。１（DD. I, 171）

　これはウィーンに対し、この提案には一切耳を貸さず、黙っていように言ったのに等しい。同様の扱いがロシアの臨時代理大使にも適用されたが、ヤーゴは午後5時まで会わなかった。そして、ウィーンで表明するには遅すぎるとだけ伝えた。 2 （ Int. Bez . i. V, 63.）

そしてそれは、セルビア側の返答の予想を知ったグレイの嘆願と同じであった。「ドイツ政府は、オーストリア政府に好意的な見方をさせるよう影響を与えることができると感じるかもしれない」。 26日夜、ツィンマーマンはランボルドに電話をかけて、嘆願書はウィーンに伝えられたと伝えた。

　国務次官は、彼らがオーストリア・ハンガリー政府にこのような連絡を行ったこと自体が、彼らがあなたの希望にある程度共感していることを意味していると考えています。

　この声明は、外務省当局らからの哄笑を受けざるを得なかった。クロウは「ドイツ政府側は非常に陰険だ」と指摘し、ニコルソンは「ヤーゴが同様の行動をとったのはこれが二度目だ」と付け加えた。 3（BD. XI, 149.）

　しかし、7月25日にグレイがリヒノフスキーに対して行った、オーストリアとロシアが動員する場合は他の4カ国も参加し、調停の努力がなされるまでそれぞれの国境を越えないよう求めるという提案は、ヴィルヘルム通りでは歓迎された。これは、24日に、グレイがガンボンの提案において行った（グレイは否定した）ように、もはやオーストリアとセルビアの間の調停について話しているのではなく、オーストリアとロシアの間の調停について話しているという証拠である。

これでオーストリアがセルビア攻撃を逃れている間にロシアの手を縛ることになり、望ましい「紛争の局地化」がもたらされただろう。したがって、ドイツはロンドンに、それを原則として受け入れたことへの多少の満足感を与えることができた。

7月25日、リヒノフスキーはベルリンに少なくとも3通の電報を送り、（グレイの提案の）受け入れを奨励した。その最初の文章で彼は次のように書いている。「私はこの提案の中に、我々がすべてを危険にさらして何も得られない世界戦争を回避する唯一の可能性があると考えています。」そして、「もしフランスが関与すれば、イギリスが無関心でいられるとは信じられない」とも付け加えた。 4(DD. I, 179)

　2 番目の電報は次の警告で終わっていた。

　オーストリアとロシアの間の調停案を拒否したり、あるいはロシアとの戦争を望んでいるという思い込みにつながりかねない非寛容な態度は、おそらくイギリスを無条件でフランスとロシアの側に追い込む結果をもたらすだろう。 5(DD. I, 180)

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　オーストリアの対セルビア戦争の前兆となったウィーンとベオグラードの国交断絶が起きたまさにその夜に、リヒノフスキーの助言を無視してロンドンを怒らせたことは政治的ではなかった。したがって25日午後11時に、ヤーゴはリヒノフスキーにこう答えた。

（ヤーゴ→リヒノフスキー　25日PM11:00）
　サー・E・グレイの、オーストリア・セルビア紛争とオーストリア・ロシア紛争との区別は、完全に適切である。前者については、英国と同じように我々も積極的に介入するつもりはなく、以前と同様、その問題は全列強の棄権によって局所的なものに留まらなければならないという立場をとっている。したがって我々は、ロシアが状況の深刻さとその責任を認識し、いかなる積極的な介入も控えることを緊急に期待する。オーストリアとロシアの間で紛争が生じた場合には、我々のよく知られた同盟国の義務の留保を条件として、他の大国とともに、オーストリアとロシアの間で調停を行う用意がある。1（DD. I, 192）

　ドイツは、紛争の局地化を条件とし、「我々のよく知られた同盟国の義務の留保を条件として」調停に応じることで、グレイが考えていたように、ロシアの動員を許可することを意味したのだろうか? 　これは言い換えれば、疑いの余地のない誠実な受け入れだったのだろうか? いや! そんなことはない! 7 月 26 日午後 1 時 35 分、ベートマンホルウェグは、リヒノフスキーに電報を送った。

（ベートマン→リヒノフスキー　26日PM1:35)
　オーストリアはロシアに対し、セルビアで領土を獲得するつもりはなく、王国の一体性を侵害せず、秩序を回復するだけであると公式宣言した。信頼できる情報源からのこれまでのところ未確認のニュースによると、ロシアでは数種類の予備兵の招集が間もなく行われようとしており、これは我々に対する動員にも等しいだろう。

このニュースが確認された場合、私たちは意に反して、対抗措置を講じなければなりません。私たちの今の努力は、戦争を局所化してヨーロッパの平和を維持するためです。したがって、私たちはエドワード・グレイ卿に、サンクトペテルブルクで、この意味での影響力を行使するよう要請します。2（DD. I, 199）

　ベートマン・ホルウェグからのこの電報と、25日の夜遅くにヤーゴから送られた電報は、グレイがイッチェン・アッバスにいた26日日曜日に、リヒノフスキーに届いた。したがって、リヒノフスキーは次のように書いていた。

　親愛なるエドワード卿、ベルリンからの情報から私は、ロシアがいくつかのクラスの予備役を招集するつもりである、との有力な情報源があることを聞いた。この場合、それは私たちに対する動員も意味するので、私たちも従わなければなりません。私の政府は依然として戦争を局地化してヨーロッパの平和を維持したいと考えているため、その意味で（ドイツ）政府は、あなたがサンクトペテルブルクでのあなたの影響力を行使するように要請するよう、私に指示しています。
PS.—私の政府はあなたの提案した四カ国調停を全面的に受け入れます。３（BD. XI, 145）

　皮肉なことに、グレイの提案の受け入れを発表する文書自体が、ベルリンが悪意を持って提案を受け入れたという証拠を提供していた。実際は、ロシアは予備兵を召集しておらず、ドイツはそうするつもりだったということだった。

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しかし、ロシアはグレイの提案に従って、予備役を招集せずにオーストリアに対してどうやって動員できたのだろうか？　実のところ、ベルリンは、たとえオーストリア単独に対してであっても、ロシアに（戦争）準備をさせるつもりはなかったし、実際にそんなはずもなかった。なぜならそうすることで、ロシアは動員のための時間が得られてしまうからである。

グレイの提案は、そうした理由だけでなく、ひとたびロシアがオーストリアに対して動員すると、首相の留保がほのめかした「周知の同盟義務」が発動してしまうため、実行不可能であった。

　もしもドイツによる四カ国調停案の受諾が、さまざまな親ドイツの歴史家たちやアメリカ人Fay1（Fay, II, p. 577 origin p448）によってドイツの善意と、（両国の大使がグレイの提案を不承認とした）フランスとロシアの善意の欠如の証拠として利用されていなければ、この点の証明に長引く必要はなかったであろう。

これらの大使たちは正しかったのである。オーストリアとセルビアの間の調停が先行しない限り、オーストリアとロシアの間で調停を行うことはできない。そして、オーストリアとセルビアの紛争に介入せずにオーストリアとロシアの間を調停することは、中央同盟国の手の内に入ることだった。それはオーストリアにセルビアに対してフリーハンドを与えることを意味した。それは「紛争の局地化」という、ウィーンとベルリンの夢の実現だった。

こうした提案は生まれてまもなく、すぐにさまざまな出来事によって一掃されてしまったが、その出来事とは、グレイの提案に対する純粋に個人的な意見の表明であったフランスとロシアの大使の反対によってのものではなかった。

ベルリンはこれ（グレイの提案）を形式的に受け入れ、誠意の欠片もなく、単にイギリス人の希望を引き立てるためだけに受け入れたのだ。（グレイの提案の）受諾電報を送る数時間前に、ヤーゴは駐独オーストリア大使セジェーニにこう言っていた。

ベルリンは、最終的にセルビアから否定的な返答があれば、我々の宣戦布告が軍事作戦に参加することを当然のことと考えている。ここでは、好戦的な作戦の開始が遅れることは、他国の介入に関して大きな危険とみなされます。私たちは直ちに行動を開始し、既成事実fait accompliを世界に突きつけるよう緊急に勧告されています2。（Oc-U. VIII, 10656）

　したがって、我々は今や、ベオグラードでの最初のオーストリアのdemarcheと同様に、最後通牒後の２日間の英国の外交活動も、何が問題となっているのかを完全に理解できていなかったという特徴を持っていたと結論せざるを得ない。

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同時にグレイは、サンクトペテルブルクに対し、あらゆる動員手段を自制するよう勧告し、紛争を平和的に解決するために自身の影響力をすべて行使することを約束すべきだった。

グレイはこれらのことを何もしなかった。実際には、彼はまったく逆のことをした。彼はウィーンではほんの少しの調査もせず、紛争が局地化する可能性があるとドイツに信じ込ませた。グレイはロシアの動員は予期されたものであると考えていてー実際にそうなったのだがーそれが大惨事の直接の原因となる可能性があることは知っておくべきだったのである。

　25日夕方に問題が高まった時点では、セルビアだけが、オーストリアの要求を無条件に受け入れ、自国の主権の正当性を列強国に委ねていれば、イタリアとイギリスの無策の結果を是正することができたのである。しかし、これから見るように、セルビアは中道を選択したが、悲劇を回避することはできなかった。

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