Walter Frye and the Contenance Angloise 2

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Part I　The Historical Background
CHAPTER 1
The Role of English Musicians in Europe during the Fifteenth Century

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＜15世紀の音楽に起こった様式的革命＞
15世紀の音楽に起こった様式的革命は、劇的なものであった。それは、シャンソン、ミサ曲、モテットの3つの主要なカテゴリーを完全に変えた。広範に特徴づけられて、変化は独創的な芸術から、真の対位法あるいはパート別書法が普及したものに変わった。

シャンソンでは、伴奏されたソロソングのスタイルは、 discant-tenor coupling に道を譲り、最終的には、すべてのパートが同時に考えられたスタイルになった。シャンソンは、様式的には15世紀の主要な形式であり、音楽全体の進化のさまざまな段階が最も明白である1つの形式である。

15世紀初頭のモテットとミサ曲の形式は不明瞭であり、その様式は多様であり、機能を持つあらゆる種類の特定に欠けていた。モテットは、時々、バラードやカッチャのような世俗的な形式を借りて、パートにおける14世紀以来のイソリズム技法を使い続けた。そしてしばしば、13世紀の起源以来、その形式を特徴づけていた polytextuality を保持していた。モテットは、 cantus firmus の基礎に基づいて、通常はすべてのパートのための単一のラテン語の典礼テキストを持つ、全体的な声部、対位法作品となっていた。

15世紀の革新は、ミサ曲作曲の分野で特に重要である。世紀の前半には、ミサ通常文の個々の楽章は、かなりの数で作曲されていた。しばしば様式的に、世俗形式のモテットのようであった。

時には、2つの楽章はペアとなり、特にGLORIASとCREDOSが、同じcantus firmusの使用によって一緒にペアにされた。しかし、1475年までに、すべての楽章を統一した循環的なミサ曲が、しっかりと確立された。

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　これらの流れに沿った区別は、1440年以前に書かれた作品と1460年以降の作品との比較において容易に描き出すことができるが、その間の年代では、フランドル楽派の形成に貢献したと思われる多様な要素のため、むしろ謎の画を描いている。

この様式は、ネーデルランドでは1450年頃に始まり、大陸と英国の両方の伝統に根ざしていた。現在、大陸の伝統がより徹底的に探求されており、イタリアの音楽に非常に早く晒されたGuillaume Dufayの役割が注目を集めており、同時代人のGilles Binchoisは、英国人と提携していたが、最近のWolfgang Rehmの仕事までは、ほとんど比較されることはなかった。

英国音楽の研究は数々の解釈を生み出した。そのいくつかは正反対となっている。何らかの意見が一致した唯一の点は、1453年のダンスタブルの死が、15世紀の音楽における英国のリーダーシップの終わりを告げたに違いない、ということである。ただ、今ではそれさえも、疑問を呈する必要がある。

最近まで、約1450年以降、大陸で活動している英国の作曲家はほとんど知られていなかったので、1450年からRobert Fayrfax (1460 ー1521)の間に、イギリスにはほとんど関心が持たれなかった。 DunstableとFayrfaxのギャップは、The Elon Choirbookのようなレパートリーの出版、Carver写本、Fryeやその他のDunstableよりも若干若い世代のイギリスの作曲家の作品によって急速に満たされている。英国の音楽活動は、英国自体でほとんど確実に衰えず、 great collegiate や修道院の財団からの決定的な刺激を受けた。どのように、そしてどのような形で、この英国様式が大陸に伝えられたかはまだ研究途上である。

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　ダンスタブルが果たした役割は、比較的はっきりしている。彼は当時、フランスのBedfordの伯爵に仕えていたので、大陸での働きはよく知られていた。

さらに、彼の作品にとって最も重要なソースは、英国ではなくヨーロッパの写本である。 Dunstableは、16世紀の終わりまでにおいてさえ、理論家たちによって、彼らの様式の父の一人とみなされてきた。最初は、1477年の Tinctoris のLiber de Arte Contrapunctiによれば、Ockeghem、Regis、Busnois、Caron、およびFauguesは、すべてDunstable、Dufay、Binchoisとともに研究する名誉を持っていたと書いている。1537年に、Seybald Heydenは、Dunstableは新しいスタイルで最初に書き、フランスのDufayとBinchois、そしてその後Ockeghem、Busnois、Caronが続いた、と書いている。1581年、Vincenzo Galileiは、Dunstable、Binchois、Dufayの研究に100年間さかのぼって、 Franco-Netherlandish様式を追跡した。

しかし、最も有益な論評は、ダンスタブル自身の同時代のもの、あるいはそれに近い時代のものであり、1435年から1511年まで生きたJohannes Tinctoris のものである。Tinctoris の生涯のうちで、15世紀初期の様々な矛盾は和解し、著しく特徴的な新しい様式が現れた。それは、その後の150年の間は基本的な変化なしに維持された。（訳注；ルネッサンス音楽の幕開け。1600年頃のバロック音楽勃興まで続いた）。

1467年頃に書かれたProportionale において、Tinctorisはこの新しい芸術を語っている。その中には、「fons et origo ， apud Anglicos ， quorum caput Dunstaple exstitit ， fuisse perhibetur.」とある。 Dunstableは確かにリーダーだったが、Franco-Netherlandish様式の起源と最も密接に関連した同時代人が関わった、英国楽派全体でのことであり、ダンスタブルは、その楽派の最初の、最も才能のある作曲家であった、というに過ぎない。それは個々の天才の問題ではなく、いくつかの特別なやり方での、大陸作法とは別に設定された英国音楽の全体的な伝統であった。

＜英国の貢献＞
　英国の貢献の正確な性質は、部分的にのみ、定義される。 Rudolf Fickerは、ポリフォニー循環ミサ曲は英国由来であり、そのテーゼは、1450年以前のイギリスの作曲家による2つの完全な循環ミサ曲の発見によって確信された、と主張してきた。その2曲とは、， Lyonel PowerのMissa Alma redemptoris mater Missa Rex saeculorumであり、それは、Dunstableにもまた、帰せられている。

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他の学者は、さまざまな技法を、英国の影響に帰している。discantにおける cantus firmus の位置づけ、cantus firmus の修飾、faburden または fauxbourdonの利用等。

しかし、Charles Van den Borrenは、当時の一般的なテノールが、この性質の技法にはほとんど関心が向けられなかったことを指摘している。折りに触れて明快で詳細な説明をしたTinctoris自身も、新しい芸術がなぜ英語に負っていたのかの特定の解釈をしていない。彼は単に新しい音楽の「理解できない甘さ」と「不滅の神々に適した甘さ」に言及したのみである。

15世紀の解説は、ほとんどが技法についての言葉にあるのではなく、DufayやBinchois実践した新しい芸術についてのMartin Le FrancのLe Champion des Damesから引用されている。

Car ilz ont nouvelle pratique
de faire frisque concordance
en haulte et en basse musique
en fainte en pause et en muance
et ont prins de la contenance
Angloise et ensuy Dunstable
pour quoy merveilleuse plaisance
rend leur chant joyeux et notable.

Because they have new practice
to make frisking concordance
in bass and low music
in pause and in nuance
and have taken the English manner
English and Dunstable
for marvelous pleasure
makes their singing joyful and noticeable.

　確かに、ミサのあらゆる楽章において cantus firmus を使用することは、詩人の“ joyeux et notable "のような表現を呼び起こす可能性のある手順ではない。そのような方法で影響を受けることもない。なぜならcantus firmusは、discantに置かれたか、またはシャンソンのように装飾されていた形だったからである。

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TinctorisとLe Francの両者の記述は、まったく新しい響きを含有しており、それは聞き手によって即座に認識され、15世紀の初期のスタイルとは著しく異なっていた。漠然とはしているが、 “ contenance angloise" は、Guillaume Dufayに大きな影響を与えた作風への基本的に異なるアプローチの結果であったに違いない。

1435年までにはデュファイの評判が確立され、ヨーロッパ各地で最高の敬意が払われていた。彼のシャンソンの中には、イタリアのカッチャ様式の模倣で書かれているものもあるが、英国音楽との接触の結果は、模倣ではなかった。それは同化したものであり、彼自身の様式は、根本的な変化を受けた（1450年頃の革命）。

DufayがDunstableやLyonel Powerの音楽、あるいは他の英国の作曲家の音楽を知っていたかはわからないが、個人的な関係は示されていない。DufayがDunstableに合った可能性はあるが、15世紀半ばのヨーロッパにおいて、他の英国の作曲家と直接結びつけることは困難である。

＜英国からの影響への一部学者からの反論＞
　英国音楽の重要性に関する理論家と詩人の満場一致の証言にもかかわらず、一部の学者はEnglandではなく、イタリアを15世紀の主たる革新の源泉とみなしてきた。

大陸であったの英国人作曲家の活動は一般的にわかりにくいので、英国楽派を放棄することには確かに理由がある。大陸の作曲家が英語の仲間と、いつどこでれんらくを取り合っていたのかは、Binchoisの場合を除いて、いろいろ問題となっている。

さらに、15世紀初頭に、英国人が北フランスとネーデルランドに多数押し掛けたことは明白であるが、同様に、Dufayを含めた多くのフランスやフランドルの有名な音楽家が、Savoy、Medici、Este、Malatestaなどの裕福な公爵の後援を受けて、当時イタリアに行ったこともはっきりしている。

彼らの多くは、DufayやArnold de Lantinsのように、教皇庁に雇われていた。実際には、イタリア行には2種類の期間があった。ひとつは、15世紀の最初の3分の1に、そしてもうひとつは、最後の4分の1に。両者ともに、15世紀の音楽スタイルの発展において重要と考えられていた。

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　Heinrich Besselerは、最初の時代のイタリア行への重要性を考えていた。1928年に、Besselerは、ブルゴーニュのシャンソンが、14世紀のイタリアの２声作品から成り立っており、また、discantの色彩化が、英国ではなくイタリアに関連していたと書いている。 Wolfgang Stephanは、同様に、イタリアのバラータからブルゴーニュのシャンソンのdiscant-tenor様式を導いた。1950年にBourdon und Fauxbourdonが出版されたのに伴い、Besselerはイタリアの影響力の理論を再掲し、1430年代のDufayの作品の詳細な研究によってさらに歩を進めていった。彼は純粋な音の領域で、英国へのDufayの影響を認めた。彼は、三度と六度の恒常的な使用によって達成されたハーモニーの豊かさと、すべての声が同時に奏でるような "conductus様式"に言及した。

　しかし、Besselerはこれらの特性を新しい様式の基本とはみなさず、彼は、イタリアからやってきた変化の決定的な衝撃と見なし続けた。

BesselerとStephanのこれらの理論は、英国の音楽家の重要性を証明した15世紀の目撃の証言とは容易に調和することはできないが、イタリア音楽を芸術的なインスピレーションのソースとして述べてはいないのである。

<イタリアと英国の関係>
　おそらく、イタリア行のもう一つの側面は、英国の音楽家の役割にある程度関係している。 15世紀には、英国の音楽はネーデルランドだけでなく、イタリアでも広く知られていたようである。イタリア人は、当時の創作活動のために一般的には特別視されてはいなかったが、それにもかかわらず、他の国々の革新には注意を払っていた。そしてイタリアは、音楽の支援と演奏に関しては、音楽世界の先駆的な存在であった。 15世紀の中頃には非常に多数の論文がイタリアで編纂されており、これらの文献のレパートリーは国際的なものであった。この期間のイタリアの写本に保存されている作品の非常に大きな部分は、英国の作曲家の作品で構成されている。

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　1938年、Van den Borrenは、1430年代の10年の間に、ロンドンからローマへの軸に沿って音楽家の交流と交換が行われていたに違いないと書いていたが、後の1941年に、彼の Ettudes sur le quinzieme siecle musical では、彼は、文書は何ら、英国人音楽家による旅の痕跡を示していないとして、イタリアにおける英国楽派の重要性の考えを否定した。彼は、英国の音楽が、ネーデルランドの作曲家によってイタリアに持ち込まれたかもしれないことを示唆している。これはいくつかの点では真実かもしれないが、英国ソースとのみ一致するイタリアの写本には、多くの英国作品が存在している。そしてBukofzerは、 Old Hall 写本の研究から、Old Hall写本とBologna、Modena、Aosta、Munich、Trentからの写本からの12作品の一致が見られ、それは、イタリアと英国のレパートリーとの間の直截の関係を示す証拠である、と指摘している。14
14. Bukofzer Studies in Medieval and Renaissance Music (New York. 1950) ， pp. 38-4

Dunstableの作品はイタリアで特に好評だったに違いない。なぜなら、彼の作品の主なソースが、イタリア語であるからである。英国の技法、faburden のそれについて話した理論家は、イタリアに住んでいたGuglielmus Monachus であったが、その論文は、15世紀後半のイタリアの北部の筆記者の手に渡って保存されている。

したがって、英国の音楽家が自分自身でイタリアに行ったかどうか、彼らの音楽とその理論がそこに知られていたかどうかは、そしてイタリアに渡ったネーデルランドの作曲家に影響を与えた変革は、イタリア音楽の影響ではなく、英国の音楽との接触が原因かもしれない。

　英国の音楽がイタリアへどのように受領されたのか、言うのは難しい。ウィクリフの異説がすでに、英国教会でのローマカトリックの影響を緩めるようになっていたため、イングランドとイタリアの間の政治的結びつきは、15世紀前半には特に強いものではなかった。それにもかかわらず、イングランドには強い教皇主義の要素があり、1417年にはコンスタンス評議会で、Henry Beaufortは、ヘンリー5世の使者であり、皇帝SigismundにPope Martin V の選挙を黙認させた。Martin Vは、英国の教会の自由化に至り、英国をお願い致します。従わせようとした彼の試みの大部分では失敗したが、彼は常に枢機卿でウィンチェスター司教であったHenry Beaufort の支持を得ていた。

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＜Beaufort司教の影響＞
　Beaufort は、英国の政治の中では強力な人物であり、1403年から1447年にかけてほぼ常に公職を執っていた。1422年にヘンリー5世が死亡したとき、摂政の用意をせず、その役割をしたのは、 Duke of Gloucesterに対抗したBeaufort であった。彼は、GloucesterとDuke of Bedford両者の不在の間、政府を掌握していた。

教皇との彼の関係は、彼のキャリアを通して強く残っていた。彼はかなりの影響力のある人だったので、彼のofficesを通して、英国の音楽がローマで知られていたことは間違いない。彼は特に音楽に親和性を持っていたとは知られていないが、英国での彼の揺るぎない支持者の間には、 William de la Pole や、Binchoisが20歳代でフランスで仕えていた Earl and Duke of Sulffolkがいた。

Beaufort とイタリアとの関係の独特な性質は、英国音楽の存在とイタリア音楽界での英国人作曲者不在のについてを説明する。イタリア人が英国の音楽を手に入れた方法が何であれ、イタリアは、英国の音楽家と1５世紀前半にそこを旅した北部の作曲家の間の重要な連携とみなされるであろう。

＜各学者の見解＞
　14世紀の最後の20年の間のイタリアの影響の可能性は、より多くの学者の注目を集めた。 OckeghemやDufayの様式に根ざさないような、後のネーデルランドの音楽の要素がいくつかある。短い動機、連続性、よりスクエアカットなメロディ構成への傾向の使用は、一般的にオケゲムのスタイルとは異質であるが、Busnois、Obrecht、Isaac、Agricola、Josquinの作品には現れる。イタリアのfrottolaや他のポピュラーな形式との接触が、以前のネーデルランドの作曲家たちのあいまいに定義された、むしろ漠然としたスタイルの中で、和声的で形式的な明瞭さの新しい要素を作り出したと考えられる。

Besselerもまた、この意見に同意している。なぜなら彼は、イタリアへの彼らの旅の結果として、イタリアの影響の観点から、Obrecht、Tinctoris、Gaspar、Agricolaの作品を説明しているからである。

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Otto gombosiは、Obrechtの研究において、イタリアの影響が、1470年以降、スムーズな声部操作の開発、鋭い分割によるセクションの設定、構造的工夫としての模倣の熟考された使用で見られる、とした。

Van den Borrenも、それほど肯定的ではないが、1480年以降、イタリア人は、ネーデルランドの作曲家の上に、かなりの影響力を及ぼした、と考えている。

Gustave Reeseは、 Music in the Renaissance p153において、イタリア行の結果としてのネーデルランド様式に潜んだ新しい要素を説明するために、OckeghemとJosquinの議論の間に、 “The Frottolists and their Contemporaries in Northern and Central Italy" というタイトルの1章を置いている。（訳注；Gustave Reeseは別著Music in the Middle Ageにおいて、「14世紀後半～15世紀前半の英国の音楽が大陸にほとんど影響を与えなかったという証拠は、イタリアの作曲家Zacarのグロリア（第33番）を含むOHの11曲だけしか大陸の写本で見つかっていないという事実から来ている」と書いており、もともと英国音楽の大陸への影響に関しては否定的な見解を持っているようであるhttp://machikun.la.coocan.jp/medievalmusic14.htm参照）。

＜やはり英国の影響か＞
　こうした解釈に反して、フロットーラが1480年以前には、影響力のあるものと見なされるほど重要な音楽的形式として出現しなかった事実がある。しかしこれらの「新しい」要素は、Obrechtが1474年にイタリアを訪れる前に、彼の作品において現れていたのだが。

Ockeghemの様式についての異質な特徴は、1480年以前にもよく現れていたが、Obrechtの作品だけでなく、Barbireau、Hayne van Ghizeghem、Busnois、Binchoisの作品でも、イタリアとの関係はなかった。

したがって、イタリアの影響によってこの新しい様式を説明しようとする様々な試みは、いくつかの点では不十分であった。彼らは、英国の音楽家やイタリアに行ったことのない作曲家の主要な役割を考慮しないで、1440年から1470年の間の、世紀半ばの時期を無視していた。その時期は、最も決定的な時期であったのにもかかわらず。

Besselerでさえ、1430年代に孤立していたDufayの実証に基づいた理論を立てた後でも、この技法が実際に使われたのはかなり遅いことに気がついた。新しい様式は、1460年頃にのみ明らかに現れ、そしてそれはネーデルランドにのみであり、英国には、英国の音楽の実践に広く親しんでいた十分な数の英国の音楽家たちがいたのである。

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＜政治の影響＞
Hainaut州とフランダース地方には、15世紀初めに多くの英国の音楽家がいて、しばらくして、ネーデルランドに浸透していった。英国の音楽だけではなく、英国の作曲家自身の安定した流入は、海峡に接する国々の間の14世紀以来の、商業的および政治的関係に起因していた。

　英国は長い間、織物工業のために、フランダース、ブラバント、そしてオランダとの緊密な関係を維持してきた。これらの領土はブルゴーニュ公爵の手に渡ったが、英国とブルゴーニュの両方が協力して、フランスに反対する力を持っていることが判明した。 Philip the Good（1419-67年のブルゴーニュ公爵）は早くも1419年に、Malinesで、ヘンリーVとの友好関係を確立し、1420年にはTreaty of Troyes に調印し、Dauphinはフランスの王位を奪われた。 Franceはイギリスのmonarchyの手に渡された。 1423年、フィリップは妹のアン・ド・ブルゴーニュを、Duke of Bedfordと結婚させた。

Philipが、彼の治世の初期に、英国とのあいだに締結した同盟（アングロ・ブルギニョン同盟。これにより、百年戦争はイングランドが優位に立ち、ヘンリー5世は1420年のトロワ条約でフランス王位の継承権を手に入れるまでになった）は、疑いなく、1420年代と30年代の英国とブルゴーニュ音楽の交流の大部分を説明する。例えば、Binchoisは、数年間、Duke of Suffolkに仕えた後、1430年にブルゴーニュ地方の宮廷に身を置いて、残りの人生のわずかな期間を除いて、そこで過ごした。

　大陸での英国人の活動が軍事的性格を持っていたという事実は、音楽的な熱意を損なうことはほとんどなかった。そして、彼らの音楽への熱情を傷つけることなどはほとんどなかった。

"Ala guerre、les sonneurs de trompes ne sont pas seul present、les chantres、l 'organiste font partie de l'armee et entredeux batailles,des concerts s'organisent dansles differentes camps.'

"戦争では、管楽器奏者は存在するだけでなく、歌手、オルガン奏者は軍隊の一部であり、戦闘の間には、コンサートはさまざまな野営で組織されている。

しかし、英国とブルゴーニュ地方の関係は、明らかに友好的ではなかった。ヘンリー5世が死亡した後、1424年にグロスター公爵が、英国への領土を得る目的で、軍隊を率いてHainautに向かった。しかし、フィリップ・デ・ルクセンブルグは、1428年の手紙で、Duke of Gloucesterの訪問を通してのカンブレー大聖堂の維持のための損失にもかかわらず、荘厳な礼拝があらゆる壮大なスケールで維持されていた。

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あらゆる可能性において、礼拝は、Duke of Gloucesterに伴っていた英国人音楽家によって、高められた。ブルゴーニュの目録に列挙されているクワイヤーブックのいくつかは、英国人によってHainautから1435年に入手されたことを示している。

Gloucester侯爵やSuffolk公爵と一緒にネーデルランドやってきた音楽家の多くはそこに残らなければならなかった。なぜなら、英国人チャプレンであったロバート・モートンは、フィリップ善良王の付属礼拝堂の名簿に登録されていたからである。

　英国とフィリップ善良王との関係は、心のこもったものでは、決してなかった。彼との同盟は、常に政治的な便宜のために作られたものであり、彼の政策は、本質的にフランス王の臣下のそれであった。Chastellainは書いた。

a deplore pendant toute sa vie qu'il ne lui fut pas permis de combattre du cote francais a Azincourt ， ou tomba son oncle Antoine."

ブルゴーニュ公は、彼の人生のいたるところで嘆かれ、アントワーヌの叔父が倒れたAzincourtでフランス側と戦うことは許されなかった。

フィリップは厄介な臣下を選ぶことになったが、イングランドに拘束されたときに親切に振る舞わなかった。 Montereauで彼の父親(ブルゴーニュ公フィリップ2世（豪胆公））の殺害への復讐を企てていた時に、フィリップが英国と交わした条約は、さらに、彼の統治の初期の年に限られていた。1435年までに、この野望は達成され（アラスの和約。フィリップは、英国と対抗して、シャルル7世と同盟した）、英国はフィリップのために、その有益性を失った。

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＜シャルル (ブルゴーニュ公)の音楽への関心と庇護＞
　フィリップの息子シャルルや、英国への強いシンパシーを伴ったシャルルの音楽への深い愛への音楽史家の関心は非常に薄い。シャルルは、父フィリップが音楽への関心を失ってからもずっと長い間、英国との密接な関係を維持してきた。1435年のアラス条約に続いていたブルゴーニュに対する中立的な英国の政策は、シャルルの時代に、積極的な同盟となっていった。シャルルと英国の関係は、彼の父親の時代からの激しい深化に起因していた。なぜなら、シャルルは、自分自身をフランスの王の臣下であるとは考えていなかったからである。

ルイ11世と戦うための彼の努力の中で、シャルルは、1465年にエドワード4世と友好条約を結んだ後、エドワードの妹であるヨークのマーガレットと（3度目の）結婚し、英国と同盟した。 1468年に、彼は英国とネーデルランドとの間の関係の条約に署名した。これは、30年間有効であり、エドワードに金羊毛騎士団 Toison d'Orを認めさせた。Comminesは、シャルルが英語を流暢にしゃべった、と報告している。英国とブルゴーニュ地方の関係の破綻は、シャルルが死ぬ2年前に起こり、1475年にエドワードとルイ11世の間の条約（ピキニー条約）が締結された。

　シャルルは父親よりはるかに音楽家であり、英国の同盟国の音楽活動に、より個人的な関心を持っていた。彼は早い時期にハープを学んだし、1446年にブルゴーニュ公のチャプレンに任命され、カンブレーの参事会員であったデュファイと音楽を勉強した証拠がある。シャルルがモテットやシャンソンを作曲した証拠もたくさんある。どの作品も、彼の名では現存していないが。

Cambraiの図書館の写本の1つにある注釈は、以下のようである

（略）

p15
おそらく、シャルルが、彼の父親には備わっていた政治的駆け引きを獲得することを妨げたのは、彼の音楽への関心だったのかもしれない。いずれにしても、ブルゴーニュ公爵としての彼自身の治世は、短く暴風のようなものであり、歴史家は、ブルンジの帝国主義的政策が最終的にブルゴーニュ公国の力を究極的に破壊した無神経な人物とみなした。

p16
シャルルは明らかに、戦士でも政治家でもなかった。彼は人道主義者であり、彼の関心は音楽への彼の愛には反映されなかったが、彼の庇護のもとでのブルゴーニュ図書館への寄付は、最も価値あることであり、収集物への思慮あることであった。

　シャルルの壮大なチャペルや彼の取り巻きについてのMolinetの言及は、世界中の有名な歌手をじらすこととなった。なぜなら、シャルルの治世の公爵領の目録には、新しい様式で顕著に知られていた作曲家の名前を、ほとんど含んでいないためである。　

Binchoisは、公式記録に一貫して現れる唯一の名前である。Morton and Busnois の名前は、他のソースから知られているほどには頻繁に登場しない。デュファイの名前は、少なくとも1446年以来、ブルゴーニュ地方の宮廷に登録されていたにもかかわらず、宮廷登録簿には登場しなかった。

　こうした虫食い状態のひとつの説明は、ブルゴーニュ公爵として父親を継承する前に、シャルルの芸術の守護者として偉大な活動が起こっていたということである。

確かにBusnoisは、1467年の前に彼に仕えた。シャルルはまだCharolais伯爵の肩書を持っていたが、Busnoisは In hydrisulisのテキストのために、 “illustris comitis de Chaulois indignum musicum." として、自身に言及している。Busnoisが奉仕した能力からすれば、公領の報酬における通常のチャプレンのそれとは異なっていなければならない。シャルルはまた、英国の音楽家のためにいくつかの予見を示している。ロバート・モートン（Robert Morton）はフィリップから、シャルルと一緒に、彼から何ら支払いを受けずに、1464年に3か月間過ごす許可を受けていた。なぜならモートンは、すでにフィリップから、“VlII sols royaulx par jour"を受け取っていたからである。翌年、モートンは再度シャルルに3か月間仕えた。

それは、フィリップではなく、シャルルの会計帳であり、1457年のブルゴーニュ仲間にて、モートンの参加とHayne van Ghizighem のそれを記録している。その名は、シャルルが実際に伯爵になったときの1467年まで公式の公領の登録簿には現れていない。

p17
1467年以前のシャルルの音楽活動の記録は空白なので、Busnois、Hayne、およびMortonによって彼に与えられたサービスの正確な性質を知ることは不可能である。しかし、1454年のように、シャルルが21才の時に、いくつかの大きな田舎の領土のマスターだったことが知られている。このような装備からすると、彼が小さな礼拝堂を、あるいはもう少し大きく、重要な礼拝堂を持っていたことがほぼ確実である。

　シャルルは２4歳で、その当時、音楽についての関心が知られていた。1457年にオランダの司祭によっていくつかの音楽帳が贈られ、同じ年にローマへ行く途中で、スコットランドの聖職者から音楽を受け取っていた。

こうした報告は、シャルルが、それまで考えられていたよりも早く、彼の父親の死に先立つ年から、すでにより活発に音楽に嗜んでいたことを示唆している。

英国へのシャルルの同情的態度や、Dufay、Binchois、Busnoisのような重要な人物との関連性を考慮すると、父親の死の前においては、’1450年代や’1460年代の彼の庇護は、15世紀の第3四半期に行われた芸術的理想の融合における重要な要素であった。

そのころ、シャルルは Count of Charolais であり、自分の主導で音楽家を雇っていて、父親の宮廷から作曲家を借りていたのは、長年のことであった。ブルゴーニュの写本には多くの作曲家が現れているが、名前はどこにも書かれていない。そのうちのいくつかは現在英国人であることが知られており、おそらくシャルルの雇用下であったのであろうう。これらの作曲家の作品は、1450年から1475年の間にネーデルランドの作曲家が直接接触した英国のスタイルを示すため、特に重要である。