p528
1. Sazonov’s optimism on 26 and 27 July (p. 528).

2. The conversation between Sazonov and Paleologue after the Austrian declaration of war on Serbia (p. 534)

3. The problem of Russian mobilization and the pressure from the Russian generals (p539 )*
　実際のところ、少なくとも部分的には戦争が終わった後に書かれたこのような回想録の正確さに関しては、少なからず留保を付けなければならない。しかしそれは、この長い説明から出てくる結果を変えるものではなく、その正当性は、次の重要な結論につながるということである。

つまり、もしサゾノフが重大な責任を負い、外交が取り返しのつかないほど失敗する前に動員に頼るというひどい間違いを犯したのだとしても、フランスもイギリスもドイツも、サゾノフが行おうとしていた致命的な一歩を引き止める影響力を行使しなかったのだ。

p540
パレオローグは、サゾノフのするがままにはさせないようにしたが、グレイは（サゾノフのするがままに）ロシアがオーストリアに対して動員するのは当然であり、許されると考えた。

これに追い打ちをかけたのがオーストリアのセルビアに対する宣戦布告であり、オーストリアは自制心と状況の制御を失い、事態は軍の手に渡った。これについては十分な証拠があり、ドブロロルスキー将軍はこう書いている。

（ドブロロルスキー将軍）
　7月25日、26日、27日は楽観主義者にとって拷問の日だった。当初その中には外務大臣のS.D.サゾノフもいた。。。。 7月28日、オーストリア・ハンガリー帝国がセルビアに対して宣戦布告した日、サゾノフは一気に楽観主義を放棄した。 彼は全面戦争は避けられないという考えに囚われており、ヤヌシケヴィチに対して、わが軍の動員をこれ以上遅らせてはいけない必要があることを示唆している。ヤヌシケヴィチの言葉によれば、サゾノフ外務大臣の考えの中には、動員がもっと早くに着手されていなかったことへの脅威が、目に見えていた。 1

　ドイツ語版に追加されたプルタレスのコメントの中で、彼は次のように述べている。

（プルタレス）
　サゾノフ大臣の機嫌の悪さは、ロシアの恐れていた（threatening）態度がオーストリア＝ハンガリーの対セルビア宣戦布告を阻止するのに無力であることが判明した7月28日に初めて起こった。間違いなく、ウィーン内閣のこのdemarche が何よりもサゾノフの気分の嫌悪の原因であった。 2

　これらの会話で何が議論され、決定されたのかは直接的には知られていないが、その夜に書き留められた記録と、さらにサゾノフが送った通信により、ある程度の結論に達することができる。ロシアの電報には発信時間と受信時間の記載はないが、以下の内容はサゾノフがペテルゴフから戻った後に送られたものと思われる。彼はベンケンドルフに次のように電報を送った。

（サゾノフ→ベンケンドルフ）
　オーストリアのセルビアに対する宣戦布告の結果、私とオーストリア大使との直接の話し合いは明らかに無駄となった。英国は調停を視野に入れて迅速に行動を起こす必要があり、オーストリアはただちにセルビアに対する軍事措置を停止する必要があるだろう。そうでなければ、調停は問題の決定を遅らせる口実を提供するだけであり、その間にオーストリアがセルビアを完全に殲滅することを可能にするだろう。 3

　Charge d’Afiaires at Berlinブロネフスキーに対しては、以下のようなメッセージであった。

（サゾノフ→ブロネフスキー）
　オーストリアのセルビアに対する宣戦布告の結果、私たちは明日、オデッサ、キエフ、モスクワ、カザンの軍管区への動員を宣言する予定です。このことをドイツ政府に知らせ、ロシア側には、ドイツを攻撃する意図はないことを強調してください。 当分の間、ウィーンの大使はその職から召還されない。 4

p541
　これらの電報は両方とも他の大使に回覧され、任命されたそれぞれの政府に伝達するよう指示された。 1

どちらの電報においても、主な考え方も明確である。それは、（サゾノフの）屈しない決意、部分動員の発表によってドイツに圧力をかけようとすること、英国kへの新たな訴え、である。

したがって、戦争が起こる可能性が非常に高く、事実上避けられないと考えられていたが、サゾノフは最終的に戦争を引き起こす一歩を踏み出しながら、それを回避しようと努めていた。

ブロネフスキーに宛てた彼の電報は、彼が部分動員から生じる結果について全く認識していなかったことを示している。その結果とは、オーストリアが、今度は自衛の必要な手段としてロシアに対して動員することになり、同盟によってオーストリアの援助に向かう義務を負っているドイツがすぐに続くだろう、ということである（ドイツの成功の望みは行動の速さにある）。要するに、ロシア軍の部分的な動員であっても、必然的に戦争が勃発することになるわけである。

その一方で、サゾノフは自分の命令が欧州戦争を忌避する列強の外交を活性化させるだろうとうそぶいていたが、彼は、もはやコントロールできない環境の圧力によって、自分の言葉や行動によって、彼の意図が妨げられていることに気づいた。

セルビアに対し、オーストリアの要求に屈せず、ロシアの援助に頼ることで（オーストリアから）侵略されることを許すなと忠告した後、ロシアはこの小さなスラブ国家が潰されることを決して許さないと全世界に伝えた後、皇帝から部分的命令の権限を得た後、動員を前に、彼はもはや後退することができなくなった。

また、フランスや英国からも撤退するよう勧告されなかった。一方で、この時点でオーストリアが後退することも難しいと彼は認識していたのだろう。そこで彼は、時間を無駄にせず準備をすることにした。

　しかし、彼はオーストリアに対してのみ、準備（動員）するつもりだったのだろうか？　将軍たちが総動員を決定するよう彼を説得するまでは、これ（部分動員）が当初の彼の意図だった。

日記の序文で、シリングは、サンクトペテルブルクはドイツの調停に頼るべきではないことに徐々に気づいた、と述べている。これが理解されると、ヤヌシュケヴィチはサゾノフに、部分的動員から総動員に切り替えることは不可能である、と説明し、（ヤヌシュケヴィチはサゾノフに）「ドイツとの戦争が回避されるという明確な保証」を求めた。もちろん、サゾノフはそれを与える立場になかったので、ヤヌシュケヴィチは、部分的動員の危険性をツァーリに説明するようサゾノフに頼んだ。

シリングの記憶によると、この議論は7月28日に外務省で行われ、ヤヌシュケヴィチは翌日この話題に戻った。2

これはおそらく事実である。ヤヌスケヴィッチは24日の閣僚会議の決定に従い、部分動員計画を急いで準備し、翌日にはツァーリの承認を得た。

🅟542
しかし彼は、この計画を実行に移すのは悲惨な結果になるだろうと悟り、27日と28日に異議を唱え、その議論はすぐにパレオローグに伝わった。シリングは、彼の議論が「S. D. サゾーノフに大きな印象を与えた」と証言している。 1

しかし、（秘密裏に実行できると彼が想像していた）ロシアの総動員は、ドイツの動員を誘発する可能性があり、（ロシアの）部分動員はベルリン自身も同意していたため、サゾノフはベルリンに対し、部分動員しか行われていないと告げ、「これはドイツに対する敵対的な措置ではない」と強調した。2

　これに満足せず、彼は戦争を非常に嫌悪していたツァーリに、30 日（訳注；29日の間違い？）午前 1 時にヴィルヘルムに次の電報を送らせた。この電報は、紛争の平和的解決を求める気持ちに明らかに触発されたものであった。

（ツァーリ→カイザー　7月29日　午前1時）
　返信をありがとう。この深刻な瞬間に、私(ニコライ2世）を助けてくださるようお願いします。弱小国に対して卑劣な宣戦布告がなされた。私もロシアに対する正当な憤りを完全に共有しています。私は、近いうちに私に課せられた圧力に圧倒され、戦争につながる極端な措置をとらざるを得なくなるだろうと予見しています。ヨーロッパ戦争のような惨事を回避するために、私たちの古い友情の名において、同盟国オーストリアの行き過ぎを阻止するためにできる限りのことをしていただきたいと思います。（Tsar Nicholas and Kaiser Wilhelm telegram）３

　ここでも、サゾノフがその晩にツァーリに伝えた、軍からの圧力について言及されている。その背後には、陸軍大臣のスホムリノフ将軍がおり、ロシア軍最高司令官ニコライ・ニコラエヴィチ大公がいたという。4

しかし、最も大きな影響力を及ぼしたのは、補給総監のユーリー・ダニーロフだった。ダニーロフはコーカサス地方の視察に出ていたが、おそらくは部分動員の提案を危険だと考えた参謀本部の将軍らによって、サンクトペテルブルクに急遽呼び戻された。

10年後にパリで書いた手紙の中で、ダニロフは7月24日にサンクトペテルブルクに戻ったと述べている。しかし、彼はまた、「オーストリアがセルビアに最後通牒を突き付けた（23日）後、彼はサンクトペテルブルクを留守にしていた」とも述べている。5

おそらく、24日に呼び戻され、26日に帰ってきたのだろう。もし彼が24日にサンクトペテルブルクにいたなら、25日と26日の両方で部分動員を支持したヤヌシュケヴィッチに影響力を発揮したであろう。6

帰路したダニロフは次のような状況に遭遇した。

（ダニロフ）
　参謀本部では依然として、疑念と決断力の欠如の雰囲気が漂っていた。部分動員に頼れば、総動員の計画を台無しにする大きなリスクがあると認識されていたからだ。

p543
参謀総長のヤヌシュケヴィッチ将軍は、ほんの数ヶ月前に任命され、動員の詳細を研究する時間がなかったため、部分動員の計画の修正を要求する理由はないと考えた。

一方、彼の部下は採用された計画に反対し、この問題のこの解決法に伴う大きな技術的困難と危険を指摘した。あの辛い日々の間ずっと私の中に消えなかった不安感は、ヤヌシュケヴィッチ将軍に、我々の提案した動員の問題をあらゆる面で再検討し、彼の直属の部下との会議で新たに議論するよう訴えた。

　その会議が開かれた。ヤヌシュケヴィッチ参謀総長は、私以外に、動員課長のドブロロルスキー将軍と軍用輸送課長のロンジン将軍を召集した。その結果、ヤヌシュケヴィッチ将軍は明らかに我々の主張に納得し、2つの帝国命令案の作成を命じることに同意した。1つは総動員用であり、もう1つは部分動員用で、4つの地区[キエフ、モスクワ、オデッサ、カザン]をカバーしていた。

これら2つの草案は、特別報告書を添えて同時にツァーリに提出された。私たちに残されたのは、ツァーリの最終決定を待つことだけだった。1

　ここに、すでに前の章で取り上げた重要な問題があった。2 すなわち、部分的動員の実施は不可能である、という問題である。そのための計画は存在せず、いずれにせよ、部分的動員は無理だっただろう。なぜなら、もし戦争が起これば、ロシアはオーストリアだけでなくドイツとも決着をつけなければならないと認識していたからである。ダニロフは次のように書いている。

　したがって、部分動員はその場のお遊び（improvisation ）に過ぎなかった。したがって、すべてが事前に行われた最も正確な計算に基づいていなければならない領域に、ためらいと混乱の芽を生むだけだった。3

　そして彼は続けている。

　地区だけを動員するという軽率な決定の危険性は、問題を本当に理解している人々の目には非常に深刻で、総動員の計算を狂わせるよりは、当面は総動員を控えるほうがよいという考えにまで至った。

しかし、そうなればロシアはセルビアを悲劇的な運命に委ねることになり、政治的および道徳的理由からも、そうすることはおよそできなかった。他方では、（動員を見送れば）ロシアは軍隊を戦時体制にするための貴重な時間を失うリスクも同様に負うことになる。特に、ロシアの出撃速度が西側諸国に比べてかなり劣っていたことを思い出すと、なおさらである。4

　結局のところ、総動員するか、まったく動員しないかのどちらかなのである。唯一賢明な方法は、待って様子を見ることだっただろう。しかし、これは、戦争は避けられないとの意見を表明し、時間を無駄にせず、直ちに動員したいと望んでいたロシア参謀本部の見解ではなかった。

p544
このような圧力に直面したサゾノフは、動員を拒否すべきだった。たとえ部分動員であったとしても。そうしなければ、彼らの勢いを削ぐことはできなかった。彼はそうしなかったため、最悪の事態が起きた。

　だがそれどころか、（直ちに動員したいと望んでいた）参謀本部の見解への彼の転向は徹底していたようで、28日の夕方、ヤヌシュケヴィッチに、部分動員用と総動員用の2通の命令書を作成するよう命じたのは彼だった。

これら2通の命令書を29日の朝に署名のためにツァーリに提出するという決定は、27日に行われたと思われる前述の将軍会議でなされたと一般に考えられてきた。 1
1 歴史家たちは一般にこの会合は7月28日に行われたと考えている。しかし、ヤヌシュケヴィチが28日にサゾノフと協議したとき、彼はすでに部分動員の実施は不可能であると確信していた。

ドブロロルスキが情報提供の要請に応えてKriegsschu/dfrageに送った手紙（1925年5月、323～325ページ）によると、会合は27日に行われたことが明らかになっている。「ヤヌシュケヴィチは最初の数日間は政治家の見解（すなわち部分的動員）に傾いていたが、これは彼が参謀総長を務めたのはわずか5か月で、それ以前は陸軍士官学校の校長だったため、戦略問題に関する彼の知識がわずかだったことで説明がつきます。（origin p294）　しかし、7月27日には、彼はすでに部下の説明に納得し、動員の問題をもはや政治的観点からではなく、戦略的観点から考え始めていました。」

手紙はさらに、部分的動員の計画が存在しないことを知ってツァーリが失望し、計画を準備するように命令したと述べている。「ある日、彼は私を呼び出し、日付は忘れましたが、次のようなツァーリの命令を与えました。『動員課長に伝えてください。…現在の緊迫した危機の終わりに、個々の軍管区の動員を互いに独立して実行できるように動員計画を修正してほしい、という私の希望を。』つまり、皇帝は部分的動員を望んでいたということです。」

しかし、サゾノフとツァーリが総動員に賛成することを期待して、将軍たちがその考えを思いついた可能性は否定できないように思われる。

ヤヌシュケヴィッチが（サゾノフの）許可なく総動員命令書をツァーリに提出することはあり得ない、特に彼は、その件について皇帝とサゾノフの両者と話し合っていたのだから。

ドブロロルスキは、ヤヌシュケヴィチは部分動員の布告の危険性を十分に認識していたが、彼の主張はツァーリに受け入れられなかったと書いている。2

しかし、シリングが語るように、彼の主張は「S. D. サゾノフに大きな印象を与えた」。3

真実は、スホムリノフが述べているように、そして彼は陸軍大臣としてそれを知る立場にあったが、

　政治部門は外務大臣の手に完全に委ねられていた。ツァーリの命令で、7 月 28 日に参謀総長に 2 つの命令書を作成するよう指示したのは外務大臣だった。1 つは部分的動員用、もう 1 つは最終的な総動員用である。4

　ヤヌシュケヴィッチが、7 月 28 日の夜にツァーリとサゾーノフに全面動員と部分動員の両方を考慮させ、おそらく前者寄りではあったものの、決定は最後の瞬間まで保留にされた圧力の理由として、非常に説得力のあるものを提示したと推測せざるを得ない。

　ヤヌシュケヴィチは、7月28日の夜にツァーリとサゾーノフに全面動員と部分的動員を検討させ、おそらく全面動員に傾きながらも決定を最後の瞬間まで保留にさせた圧力について、（彼らに）非常に説得力のある理由を示したと推測せざるを得ない。

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こうして、両方の不測の事態に対する命令書を準備し、署名する必要が生じた。しかし、その早い段階で、ツァーリは、まだ疑念に悩まされていたものの、結局のところこれが最終決定ではなく、まだ24時間で変更できるという考えに慰められ、次の24時間の経験から総動員が必要と思われ、その方針が有利であると思われる場合は総動員を実施するように、というサゾノフと将軍たちの懇願に原則的に同意した可能性が高い。

　ツァーリが原則的に同意したことで、ヤヌシュケヴィチが28日の夕方、すべての軍管区の司令官に「7月30日が総動員の初日と宣言される。その宣言は規則電報で続く」と急いで電報を打った理由が説明できる。1

　サゾノフはペテルゴフから戻るとすぐに、パレオローグに謁見会で何が起こったか、翌日には総動員が命じられる可能性について伝えたに違いない。いずれにせよ、これがパレオローグが28日午後7時35分に送った次の電報の背後にあるようだ。

　総動員の場合には、2人の将校を私の大使館に派遣することに合意した。その場合、私は MM. de Ridder and de Sezeを要請する。彼らはクリスチャニアとストックホルムを経由して出発する。2

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