p410
4. Greys' urgent appeal to Germany; Mens dorff informed of the concentration of the British fleet.

　こうした環境の影響を受けて、26日夜にロンドンに戻ったグレイは、午後早くに手紙を送ってきたリヒノフスキーに対し、同様の言葉で話しかけた。リヒノフスキーは午後少し前に、グレイに送った手書きのP.S.において「私の政府はあなたの提案した四カ国停案を受け入れます」と言っていた。そしてグレイに、サンクトペテルブルクへの影響力を利用して戦争を局地化するよう依頼した。2 （BD. XI, 145: 本書p. 343参照）

グレイは27日の昼前にリヒノフスキーに会い、セルビアの返答は、オーストリアの要求に完全に満足を与えた、と彼に告げた。彼には決して可能だとは信じられなかったやり方で。

...もしオーストリアがこの返答に満足しなかったとしたら、あるいはこの返答がウィーンで平和的交渉の基礎としてみなされなかったとしたら、あるいはオーストリアが完全に無防備なベオグラードの占領を進めたとしたら、オーストリアはセルビアを潰す口実を探していただけだった、ということが絶対的に明らかになったことだろう。

しかし、セルビアを通じてロシアも打撃を受け、バルカン半島におけるロシアの影響力も打撃を受けるだろう。ロシアが無関心ではいられず、それを直接の挑戦として受け止めなければならないことは明らかだった。それはヨーロッパがこれまで見た中で最も恐ろしい戦争を引き起こすことになるが、そのような戦争がどのような結末を迎えるかは誰も分からなかった。

グレイ氏が言ったように、私たちはサンクトペテルブルクで穏健な影響力を行使するよう、グレイ氏に繰り返し要請を行っていた。彼は常にこれらの訴えに喜んで応じ、彼は、前回の危機の際に、自分を我が国の側に置きすぎ、彼らの側にあまり当てにならなかったというロシアからの非難を受けていた。

今度は彼は、ウィーンに対する我々の影響力を利用して、ベオグラードからの返答を満足のいくものとして、あるいは交渉の基礎としてみなしてもらうよう我々に訴えた。彼は、適切な代表によって問題を解決するのは我々の手に委ねられており、我々二人がそれぞれの同盟国に対する影響力によって再びヨーロッパの平和を確保することに成功すれば、それは将来にとって良い兆しであると考えられるだろうと説得させられた。3
3　DD. I, 258。ゴシェンへの電報での会話を要約すると、グレイはリヒノフスキーに「ドイツがロシアに対してオーストリアを支援するとしたら、その理由は、ドイツはオーストリアが打ち砕かれるのを見るわけにはいかなかったからだ。」と言ったと述べた。オーストリアとセルビアの間の紛争に取って代わり、他の列国を巻き込むであろう他の問題が提起され、その戦争がこれまで知られている中で最大のものになるかもしれない。(BD. XI, 176.) これは、リヒノフスキーの至急報には含まれていないベールに包まれた脅威である。しかし、同じ日付のその後の電報でリヒノフスキーは、「セルビアの問題全体が三国同盟と三国協商の間の力試しにつながっている」という感想を述べた。この機会を利用してセルビアを潰すというオーストリアの意図がさらに明らかになるならば、イギリスは自国グループの精神的、軍事的敗北を容認するつもりはないことを示すために、フランスとロシアによって無条件でセルビアの立場を取るだろうと私は確信している。「このような状況で戦争が起これば、我々はイングランドを敵に回すことになるだろう」（DD. I、265）。

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　これはグレイがベルリンに宛てたウィーンでの新たな正式な調停要請であり、より明確ではあるが、以前に提出されたものと本質的に異なるものではなかった。しかし、その厳粛さと温かさはリヒノフスキーに深い印象を与えた。これは、その結果を検討するときにわかる。

　27日の午後、グレイはメンズドルフに会った。グレイは朝のリヒノフスキーとの会話の内容を彼に話し、そして非常に残念な表現を使い続けた。

　私は、オーストリア政府は、セルヴィア側の返答の後でも、いずれにせよ、ロシアを紛争に巻き込むリスクなく、セルヴィアに対して戦争を行うことができると信じているように見える、と言いました。彼らがセルビアと戦争をし、同時にロシアを満足させることができれば、それはそれで良いことだろう。しかし、そうでない場合、その結果は計り知れません。

　これは、イギリスの政治家が自由なヨーロッパ国家の主権と独立の問題を考えるやり方とは到底言えない。グレイは最後にメンズドルフにこう告げた。

　私たちの艦隊は今日解散する予定でしたが、解散させるわけにはいかないと感じていました。現時点では予備役を招集することを考えるべきではありませんし、艦隊に対して行ったことには何の脅威もありませんでした。しかし、ヨーロッパで大火が起こる可能性があったため、現時点では軍隊を分散させることは不可能でした。私はこれを、感じられた不安の例として挙げました。セルヴィアの返答は、私がこれまで国が受けてきた中でセルヴィアにとって最大の屈辱を既に含んでいるように私には思えたが、その返答がオーストリア政府によって白紙の否定文と同じくらい満足のいかないものであるかのように扱われたことは、私にとって非常に残念だった。 1

　これはメンズドルフにとって新しいことではなかった。月曜日（27日）の朝の報道機関は、ポートランドに集中している第1艦隊が分散しないよう命令を受け、第2艦隊がバランスクルーの近い位置にある母港に留まるようにとの命令を受けた、とのコミュニケを発表した。これについては、当時のFirst Lord of the Admiraltyウィンストン・チャーチルが書いた説明が残っている。彼の物語の中で、彼は注目に値するエピソードを記録している。ファーマナとティロンの境界線に関する7月24日の閣議で結論が出なかった議論の終わりに。

エドワード・グレイ卿の静かで重々しい声が、外務省からちょうど持ってきた文書を読んでいるのが聞こえた。それはオーストリアからセルビアへの声明だった・・・このメモは明らかに最後通牒でした。しかしそれは現代では決して書かれたことのないような最後通牒だった・・・ 6時頃に海軍本部に戻りました。友達に言いました・・・本当に危険があり、戦争になるかもしれないと。

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同じ金曜の夜（24日）の夕食会で、チャーチルとハルデーン陸軍国務長官は、ドイツ系ユダヤ人の実業家の第一人者の一人、ハンブルクアメリカ汽船会社の責任者アルバート・バリンと会談した。同氏は以前にもドイツ政府によってデリケートな性質の交渉に利用されたことがあった。彼はドイツから到着したところだった。

　彼が話した最初の数語（チャーチルのナレーション）で、彼が快楽的な使命を持ってここに来たわけではないことが明らかになった。彼は状況は深刻だと述べた。

「覚えているよ」と彼は言った、「ビスマルク老は亡くなる前年に、いつかバルカン半島での愚かな出来事から欧州大戦が起こるだろうと私に話してくれました。」

この言葉は現実になるかもしれない、と彼は言った。すべてはツァーリ次第だ。もしオーストリアがセルビアを非難したら、彼はどうするだろうか？・・・「ロシアがオーストリアに向かって行軍するなら、我々も行軍しなければならない。もし私たちが行軍するなら、フランスも行軍しなければなりません。そしてイギリスはどうするでしょうか？」私は、英国が必然的に何もしないだろうと考えるのは大きな間違いであるという以上のことを言う立場にありませんでした。そして私は、英国は出来事が起こったときに判断するだろう、と付け加えた。

彼は非常に真剣な口調でこう答えた、「もし我々がロシアとフランスと戦争をしなければならなかったとしましょう。そして我々がフランスを破ったのに、ヨーロッパではフランスから何も奪わず、フランスの領土を１インチも奪わず、その補償してくれるのはいくつかの植民地だけだったとしましょう。それはイングランドの態度に変化をもたらすだろうか？　我々が事前に保証を与えたとしたら！」

　このベールに包まれた提案は、最も深刻な疑惑を引き起こすものであった。チャーチルはこれをどう受け止めたのであろうか？彼自身が私たちにこう語っている。「私は、英国は出来事が起こったときに判断するだろうという私のフォーミュラに固執しており、何が起こっても我々がそこから立ち去るべきだと考えるのは間違いだ。」１　しかし、バリンは別の印象を残して立ち去った」。ホールデーンはこう語る。

夕食後、彼はグレイと私に、英国の立場と、英国とドイツとの関係について別々に話しました。私たちは二人とも、これまでのところこれら（英国の立場と、英国とドイツとの関係）は非常に良好であるが、その維持はドイツがフランスを攻撃しないことに依存していると話しました。このような場合、ドイツは我が国の中立性を考慮することができませんでした。

8月4日にイギリスがドイツに宣戦布告する直前、バリンはメッセンジャーを介して、私に夕食会のことを思い出させる手紙を送ってきた。そして、私たちが言ったことを想像して、もしドイツがフランスを「飲み込もうと」しなければイギリスは中立になるだろう、という希望を表明した。

戦争が勃発する前日に届いたこの手紙に、私は返事をしませんでした。この件に関する唯一の重要な点は、状態を定義するときに私たちが実際には「攻撃」と言ったのに対し、バリンはグレイと私が「飲み込む」という言葉を使ったと表現したということでした。 2

　しかし、バリンの伝記作家によれば、

7月27日にベルリンに戻った彼は、ある程度熟練したドイツ外交官なら、イギリスやフランスと合意に達する可能性が十分にあり、そうすれば平和が保証され、ロシアの戦争開始を阻止できたかもしれないという印象を抱いた。

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英国の主要な政治家たちは完全に平和主義者であり、フランス政府は戦争をする気はほとんどなかったので、彼の表現を借りれば、ロンドンにおける政府の代表は「非常にわずか」で、彼らは、戦争を防ぐためにあらゆることをするつもりだった。

しかし、イギリスは、いわれのない攻撃を受けたフランスを支援すると約束しており、確かに我々は、（ドイツが）古い戦争計画を使ってベルギーを行進することを絶対に許さないだろう。・・・しかし、内閣がいかに平和の維持を望んでいたかは、チャーチルが別れ際にバリンに泣きそうになってこう懇願したという事実によって確実に示されている、「親愛なる友よ、私たちを戦争に行かせないでください」1。

　このエピソードで重要なことは、それがバリンの帰還後つまり、7月29日だったということである。その日、ベートマン・ホルウェグは、イングランドがバリンが概説したまさにその条件に従って中立を保つべきであると提案した。そして、これらの条件はグレイによって不名誉なものとして憤慨して拒否されたため、彼とホールデンが数日前にそれらの条件を考慮に入れることができた可能性はほとんどないと思われる。

バリンは、自分の立場を明確にしていなかったと結論付けるしかない。しかし、彼が十分に率直に語られなかったこと、そしてドイツに深刻な警告を与え、ドイツが抱いていた幻想を払拭するこの良い機会が利用されなかったことも認められなければならない。

　チャーチルの話に戻ると、チャーチルは次のように語っています。

　翌朝（土曜日）、私はFirst Sea Lordとこの状況について詳しく話し合いました。しかし、しばらくの間は何もすることがありませんでした。過去 3 年間で、これほど完全に準備が整ったときはありませんでした。試験的な動員は完了しており、即時予備役を除いて、すべての予備役はすでに給料を支払い、故郷へ向かっていた。しかし、第 1 艦隊がさまざまな演習のために戦隊ごとに分散するとき、および第 2 艦隊の艦艇がバランス乗組員を降ろすために母港に向かうときに、第 1 艦隊と第 2 艦隊の全軍は戦闘に備えてあらゆる面で準備が整い、ポートランドに集中し、月曜日 (27 日) の朝 7 時までそこに留まり、第 1 艦隊はさまざまな演習と訓練のために戦隊ごとに解散することになった。したがって、月曜日の朝までは、海軍本部の無線マストからron Duke号に即座に送信された一言で、主力部隊を団結させるのに十分であった。 2

　　土曜日の午後、チャーチルはグレイの例に従い、週末を家族と過ごすためにクローマーへ出発した。ベオグラードからセルビアが最後通牒を受け入れるというクラッカンソープの楽観的な電報に彼が安心したのは間違いない。しかし、彼は何度か海軍本部に電話し、日曜日（26日）の午後にロンドンに戻ることを決めた。

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　（バッテンバーグのThe First Sea Lord）ルイ王子が海軍本部で私を待っていました。。。。 The First Sea Lordは、私たちの会話によれば、艦隊に解散しないよう指示したと私に言いました。 ...それから私はエドワード・グレイ卿のところへ行きました。。。。外務省のウィリアム・ティレル卿以外には誰も彼と一緒にいなかった。。。 .私は彼から、彼がこの状況を非常に深刻に捉えていることを知りました。 ...私は、私たちが艦隊を統合し続けていると公の場で表明することが有益になるのか、あるいはその逆になるのか尋ねました。彼もティレルも、できるだけ早い時期にこれを宣言すべきだと主張していた。それは中央同盟国を冷静にし、ヨーロッパを安定させる効果があるかもしれないからだった。 1

　そして実際、我々が見てきたように、27日月曜日には、グレイはこのニュースを利用してメンズドルフに警告し、また彼に「ドイツとオーストリアの人々の間には、いかなる場合でも我々（英国）は脇に立つという印象が蔓延している」と苦情を言ったロシア大使ベンケンドルフを安心させた。それはその瞬間までは確かに真実だったが。

　グレイは、たまたまポートランドに集中している第一艦隊に対して、演習休暇のために分散しないよう我々が与えた命令は、この印象（英国の中立維持）を払拭するために必要であると指摘したが、ロシア大使は、私の言及を、我々が外交的行動以上のことを約束したという意味と受け取ってはいけないと指摘した。 2

　グレイの心はゆっくりと動き始めていた。この動きはベンケンド・オルフの至急報で追跡できる。遅くとも26日には、ベンケンドルフはサゾノフに絶望的な手紙を書いていたが、ニコルソンがちょうどブキャナンの第25日の至急報を見せ、グレイがそれをまだ読む前に自分とサゾノフとパレオローグとの会話について伝えたという内容であった３。グレイは、自分の言葉遣いがベルリンに英国の中立性を期待する根拠を与えてはいないという主張を未だに強く抱いており、調停提案の成功に依然として自信を示していた。

ポール・ガンボンは不運にもまだロンドンに戻っておらず、ベンケンドルフは、グレイがイギリスのマスコミから支持されていないことを恐れて、彼自身にあまり深く関わることを恐れていると考えていた。しかし、保守系新聞は動き始めており、反セルビア急進派の新聞ですら、ロシアの態度や三国同盟そのものに対する批判の言葉はなかった。

　しかし、戦争への道のりには遠いです。したがって、私の意見では、すべての躊躇があります。英国は、アルスター問題への没頭からゆっくりと目覚めつつあります。昨日以来、英国は戦争が近づいていることを知り、不安を感じ始めているが、英国自身が戦争に巻き込まれるかもしれないということを、英国人の遅い想像力はまだ受け入れていない。残念ですがそういうことです。外務省が他の国よりも早く目を開いていることは明らかです。私は今でもグレイにマスクを外してもらいたいと思っていますが、それを約束することはできません。 4

　日曜日の夕方にグレイに会った後、27日のベンケンドルフの至急報はさらに陽気になった。そのうちの1つは、同日にグレイがリヒノフスキーに語った内容を示しており、ベンケンドルフはグレイに対し、英国が中立を維持するつもりだという印象をまだ抱いていたドイツ政府の目が開かれるかもしれないという希望を表明した。

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　グレイは、明確な約束をする立場にはないが、今日はその印象を打ち破るのに十分に明白な態度をとったと思う、と答えた。同氏は、英国艦隊に発せられたばかりの命令は誰にも脅威を与えることなく問題を解明するのに役立つだろうと述べた。彼はセルビアの返答に基づいて下院で声明を発表するつもりだと私に語った。彼は多くの質問があるだろうと予想していた。

もし何が起こっても英国は中立を保つのかと問われれば、彼はこう答えるだろう。「確かにそうではありません。」

艦隊への命令がその日の出来事に言及しているかどうか尋ねられたら、彼は「はい、確かにそうです」と答えるだろう。１

同じ日の駐英ロシア大使ベンケンドルフからのその後の至急報は、より確信を持っている。

　今日以降、グレイの言語はより明確になり、これまでよりも明らかに決定的になりました。彼は、今朝発表され土曜日の夕方に決定された艦隊への命令によって生み出されるであろう印象に大きく依存していた。昨日の夕方届いたブキャナンからの電報は、非常に有益な印象を与えたと思います。 いずれにせよ、イギリスの中立に対するベルリンとウィーンの信頼はもはや何の根拠もありません。 2

　これは、言い過ぎだった。 29日までドイツは依然としてイギリスの中立を確信し続けていた。 さらに、27日の下院でのグレイの声明は冷淡で無色であり、以下の26日のブキャナンの至急報で彼に求められたような啓蒙的な答えを彼に導くような疑問は生じなかった。

　私（ブキャナン）は、あなた（グレイ）が議会でどのような発言をする場合でも、ヨーロッパの平和が危険にさらされている場合、悪いのはロシアではなくオーストリアであることを示すことができるかもしれないことを願っています。 ...私たちの同情がオーストリアの側にあるという信念がここで広まるのは、最も賢明ではないと思います。実際、我々の立場は非常にデリケートなものであり、外務大臣は昨日私に、陛下政府のあり得る態度に関して私の発言を聞いて陛下が大変遺憾の意を表明されたと語った。 3

　しかしグレイはこの（ブキャナンの）嘆願に耳を貸さなかった。彼の演説は、何が起こったのか、そして危機に対処するために彼が行った2つの提案のうちの2つ目の大使会議について、彼はまだすべての列強から回答を受け取っていないことについての概要を述べた。

グレイは、紛争がオーストリアとセルビアを超えて広がり、他の大国を巻き込んだ場合、ヨーロッパ大陸を襲う可能性のある最大の災難に終わるだろうと述べた。つまり、彼は下院で、オーストリアとセルビア、オーストリアとロシアの間紛争についての言い尽くされた区別を繰り返し述べた。それは、中央同盟国の耳には非常に喜ばしいことであった。「紛争がオーストリア＝ハンガリーとセルビアの間だけで限定されている限り、私たちには介入する権利はないと感じました。」

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そして彼は回想録の中で次のように述べている。「ヨーロッパの平和が破られるよりも、セルビアが譲歩する方が良かった」。 1 この理論は、大国がより弱い国家に加えるかもしれないあらゆる暴力の容認を訴えるものだが、（むろん）道徳的ではなく、現実的なものであり、もしグレイがこれを支持しなかったら、彼は、非常に異なる結果をもたらしたであろう別の行動を取ったかもしれない。
１　Grey Twenty-five Years 1892-1916. 1 vols. p310(London, 1925).　訳者はこのグレイの言葉は正しいと思うが、この反省が、後のミュンヘン会談に”生かされた”のかもしれない。

　マスコミによって知られていた英国艦隊の集中が、グレイの演説に欠けていた何かを付け加えたのは疑いない。しかしロシアでは、駐英ロシア大使ベンケンドルフの報告にもかかわらず、不満は激しかった。イズヴォルスキーは、27日にパリでの夕食会で会ったグランヴィル卿に、自分の信念はこうだと語った。

戦争は避けられず、それはイギリスのせいです。もしイギリスがロシアとフランスとの団結を直ちに宣言し、必要に応じて戦う意向を表明していたら、ドイツとオーストリアはためらっただろう。 2

　すでに述べた7月28日のブキャナンへの私信で、ニコルソンが次のように書いているのは、そのようなニュースに関連していたことは疑いない。

　私（ニコルソン）が非常に頭を悩ませているのは、ある事態の際に我々が何をすべきかというロシアのごく自然な要求に応えることであった。・・・もちろん、私たちはこのような状況下で生きており、世論が十分に支持していると感じずには、どの政府も決定的な方針を取ることが事実上不可能であり、いかなる決定的な約束も与えることができない・・・しかし、いずれにせよ、ドイツもオーストリアも、確かに、英国が中立を維持することに頼ることはできない、ということは完全に明らかになったと思います。もし私たちがこの大火災に巻き込まれるとしても、私たちは友人（ロシア）の側に立つべきであることに何の疑いもありません。したがって、我々はサゾノフに我々の態度がどうなるかについて明確な約束を与えることはできなかったが、仮に我々が分担を求められたとしても、我々が義務を果たすことをためらうべきではないことはほとんど疑いがないことがお分かりいただけると思う。 3

　しかし、本当の問題は、英国が「シェアする」よう求められていると感じるかどうかだった。それはグレイ自身の行為が引き起こした問題だった。一方で、彼はロシアが動員を進めるのを制止しようとはせず、それが必要かつ避けられないとさえ考え、それに伴う危険性を全く認識していなかった。その一方で、彼はドイツの指導者たちに、イギリスは中立を保つというすべての計画の根拠となる確信を残した。 ベルリンに不屈の姿勢を貫かせ、サンクトペテルブルクに動員を命令するよう奨励することで、彼は戦争を引き起こしていた。

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もし彼が間に合うように決心していれば、事実が示したように、ロシアを抑制する権利と手段を持ち、ドイツが後戻りするような警告を与えていただろう。

議会の雰囲気と世論のせいで、より早期に決定を下すことが不可能になり、したがって両党に適時に忠告を与えることが不可能になったというのは本当だろうか？（Mc Meekin JULY1914　Count down to war p280）

こうした主張はグレイの同胞たちと、彼に対して好意的な多くの歴史家たちによって維持されている。しかし、その反対が実際であったことが、事実によってすぐに証明されるであろう。

政府内のグレイの同僚の一人であるジョン・モーリーは、自身も参戦に反対していたが、グレイが率直かつ名誉ある発言をしたのは、7月27日月曜日の閣議であったと記録に残している。その時は、イギリスがフランスとロシアの援助に行くかどうかを決定する時だったのだ。

「内閣が中立を旨としていたなら、彼は自分がそのような政策を実行する人物であるとは考えなかった。」

　それは男らしい発言ではあったが、自国の外務大臣として、状況の主たる調停者であり、そのあらゆる言動が、大惨事の回避に対してその人に向けられる人物に義務として求められた言動にふさわしいものではなかった。

5. A. proposal put forward by San Giuliano is dropped by Grey and rejected by Vienna .

　イタリア政府も大惨事の進行を食い止める努力をした。 7月24日に最後通牒の文面を受け取って行動を起こした。この行動が何であったかは、本書の第 3 巻 2 で語られることになるが、事件を理解するためには、紛争を解決するためにそれが行った 1 つの努力について今語ることが必要である。

早くも7月25日、協議会事務総長のデ・マルティーノはローマ駐在英国大使のレンネル・ロッド卿に対し、「オーストリア＝ハンガリーは、セルビアによる覚書の無条件受諾によってのみ自制することになるだろう」と語った[3]。

これは真の直観であった。実際、この状況に関するローマ政府の意見を記した外交文書を熟読すると、ローマ政府は中央同盟国の意図が何であったかを他のどの政府よりも迅速かつ明確に把握していたという印象を筆者に残している。彼らはそれに応じて行動していればよかったのに！ 7月27日にローマに戻ったイタリア外相サン・ジュリアーノはローマ駐在英国大使ロッドと会談した。

　同氏は、ドイツが（大使会議の）保留中の軍事行動を一時停止するようオーストリアに要請する意向があるかどうかについては大いに疑問を抱いているが、会議の事実によって、直ちに軍事行動が事実上延期されるかもしれないという期待を抱いていた。

現時点で彼は、オーストリアがセルヴィアへの最後通牒に定められた時点から後退する可能性は考えていないが、もしもセルヴィアが今でもそれを受け入れるならオーストリアは満足するだろうし、セルヴィアが、それを列強諸国のアドヴァイスであると考える理由があれば、オーストリアは行動を延期するかもしれない。セルビアは、会議に招待された４カ国からの助言を受けて、誠実に最後通牒を受け入れるよう誘導される可能性がある。

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そうすれば、オーストリアだけに屈したのではなく、ヨーロッパに屈服したとセルビアに思わせることができ、セルビアの面目を保つことができた。 これは、セルヴィア人エージェントの見解でもあります。 1 ただし、最後通牒の条件の第5，6項目がどのように適用されるかについて、何らかの説明が与えられるとしたらであるが。

　サン・ジュリアーノも27日、フロートウに次のように語った。

　彼の情報によると[彼は詳細を明らかにしていない] 、セルビアは、もしオーストリアの要求がヨーロッパから提示されれば、それに従う用意があったことだろう(カイザーの欄外注：「くだらない!」)。一方、ロシアは、オーストリアがセルビア領土を永久に占領する場合にのみ介入するだろう。 2

　この最後の主張には根拠はなかった。要するに、サン・ジュリアーノは意見を述べただけだった。彼は何の提案もしなかった。しかし、28日の朝、彼はセルビアのリュバ・ミハイロビッチ臨時代理大使と会談した。彼はこう繰り返した（「繰り返した」というのは、ロッドの27日の至急報が、サン・ジュリアーノがすでにミハイロビッチからこの意見を聞いていたことを示しているためである）。

同氏は、オーストリアのエージェントが、（最後通牒の）第5条と第6条に基づいて介入を要求する方法について何らかの説明が与えられれば、セルビアは依然としてオーストリアの覚書全体を受け入れるかもしれないと考えた。

　そこでサン・ジュリアーノは午後にロッドに会い、ロンドンに次のことを提案するよう頼んだ。

こうした話は、議論に参加している諸列強に受け入れられるかもしれない。オーストリアがそうした条件ををセルビアに示すとは予想されていなかったからである。その場合、諸列強はセルビアに無条件で（最後通牒を）受け入れるよう勧告するかもしれない。

　セルヴィアの返答が不十分であると考えられる根拠についてのオーストリアの公式説明の多くの点は、サン・ジュリアーノには「非常に子供じみている」ように思われたが、この説明では、セルヴィアにおけるオーストリアのエージェントの協力は司法面や行政面において行われるものではないと述べられていた。ただし、捜査面においてのみは、彼は以下のように考えた。

地面は整地されるかもしれない・・・何よりも大臣は、すぐに議論を始めなければならない、という彼の不安を私に印象づけた。彼はイタリア大使に対し、彼自身とドイツとの間で同意できるあらゆる点や提案を即座に受け入れる広い一般的自由度を与えていた。 3

　彼は明らかにこの会議がドイツによって拒否されたことをまだ知らなかった。しかし、7月28日午後4時のベルリンのゴシェンへの彼の電報に示されているように、グレイはこれを知っていた。ゴシェンの7月27日の至急報は、「事実上の仲裁裁判所に相当する」という理由で、会議の構想の拒否を伝えていた。

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グレイはゴシェンに対し、自分の返答は正しかったと語った。「それは仲裁ではなく、和解に向けてどのような提案ができるかを確認するための非公式な話し合いになるだろう」。しかし、グレイはこう付け加えた。「オーストリアとロシアの間での直接意見交換が、すべての中で最も好ましい方法であることには、完全に同意する。そしてそれが行われる見通しがある限り、私は他のすべての提案を保留します」。1

したがって、サン・ジュリアーノの提案が28日の夕方に彼に届くと、彼はすぐにこう答えた。

　私はオーストリア外務大臣から、オーストリアはセルビアの覚書に基づくいかなる協議も受け入れないことを理解しています。また、私がウィーンとベルリンから聞いたすべての推論では、オーストリアとセルビアの間での諸列強によるいかなる形の調停も認められないということです。

したがって、私がここで大使たちと話し合いを始めることは不可能であり、イタリア外務大臣はベルリンとウィーンで話さなければなりません。そこで彼が提案できることがあれば、喜んで受け入れられるでしょう。 2

　この電報は7月29日午後2時45分にロンドンから送られ、同夜の午前０時5分にロッドから送られた電報とクロスした。これは、リヒノフスキーが 27 日にグレイに言った内容との矛盾（「ドイツ政府は四大国によるオーストリアとロシアの間の調停を原則として受け入れること」3、さらにはヤーゴが同じ日にゴシェンに語った内容、つまり「あなたが提案する会議は実質的には仲裁裁判所に相当するでしょう。」）に注意を向けることから始まった。しかし、サン・ジュリアーノはベルリンから以下の理解を得ていた、とロッドは書いている。

困難を生み出す原則はむしろ「会議」であるということ。同氏は今夜ベルリンに電報を送り、ロンドンでの（四カ国の）意見交換の考えを堅持すべきであることを訴え、ドイツ外務長官が受け入れ可能な方式を提案する可能性を示唆している。

外務大臣グレイは、この（四カ国の）意見交換はサンクトペテルブルクとウィーンの間の直接の話し合いと同系に行われる可能性があり、後者が何の成果も得られない場合には、扉を開いたままにするだろうと考えている。同氏はまた、戦争を回避するためにあらゆる手段が講じられないのであれば、世論は政府を容赦しないだろうとベルリンに伝え、この問題ではドイツが協力しなければならないと訴えている。たとえドイツの参加を誘導することが不可能であることが判明したとしても、イタリアと英国がそれぞれ一つのグループの代表として引き続き意見交換を行うべきだと彼は主張するだろう。同氏は、ロシアが本気であるとドイツに信じさせるのは難しいと思われ、ドイツは我々自身との良好な関係を心から望んでおり、英国が（中立ではなく）ロシアやフランスと行動するだろうとドイツが信じれば大きな効果があるだろうと考えた、と付け加えた。 4

　この最後の文には、三国同盟のメンバーからの注目に値する貴重なアドバイスが含まれていた。繰り返しになるが、その重要性を認識していたのは有能なエア・クロウ卿だけであった。

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彼（エア・クロウ卿）の短い議事録は次のようになっている。「最後の段落は重要であり、イタリアからのものである。」つまり、「ベルリンに我々の立場を伝える時期が来た」。ニコルソンが言い得た言葉は「この時期に（四カ国の）意見交換することに何の意味があるのか自問している（それは29日のことだった）。..私は、現時点では外交資源が枯渇していると考えている」ということだけだった。

そして、サン・ジュリアーノでさえ、ほぼ同じ時にロッドに対し、「セルヴィアのメモに基づいてさらなる議論を行う時期は過ぎたと考えている」と語った。 1

　一方、グレイは29日朝、28日夕方、ウィーンのブンゼンから次のような至急報を受け取った。

　ロシア大使から私に、オーストリア・ハンガリー政府が、ロシア・外務大臣とオーストリア・セルビア紛争解決手段について直接協議する権限を駐露オーストリア大使ザパリに与えるべきだというロシア政府の提案を拒否した、との連絡が入った。２

　このニュースにひどく動揺して、グレイはリヒノフスキーを呼び出した。彼らの重要な会談についてのベルリンへの報告は、後ほど私たちの注目を集めることだろう。

現時点で私たちが関心を持っているのは、その終わりに向けてのことで、グレイは、サン・ジュリアーノの提案（サン・ジュリアーノがグレイにウィーンやベルリンについて言及した）を復活させた。 3

ベルリンはすでに 27 日にフロートウから直接、そのことを聞いていた。 4

しかし、その理由についてはすぐに検討するが、ベートマンは30日午前 12 時 30 分にリヒノフスキーからの電報をウィーンに伝え、さらに次のように付け加えた。「直ちにベルヒトルト伯爵に同封して連絡し、我々がセルビア側のこの遵守が交渉の適切な根拠であると考える旨を伝えてください。」5　しかし 30 日の午後、チルシキーから次のような答えが返ってきた。

　セルビアは他のいくつかの点でも留保をしているため、セルビアがオーストリア最後通牒のうちの第 5 項と第 6 項を受諾したからといって、それが完全な受諾を意味すると考えるのは間違いである。セルビアと君主制（オーストリア）との間の紛争の平和的解決が疑問視されている限り、この文書の要求を完全に受け入れるだけで、ここでは十分であるとみなされた。戦争状態が現実的となった今、オーストリアの状況は当然ながら違った形で形成されるだろう。 6

　結局、グレイの提案の失敗に続いて、サン・ジュリアーノの提案の失敗が続いた。歴史家の中には、グレイがイタリアの提案を十分に真剣に受け止めなかったという理由で、この責任をグレイに負わせている人もいる。かつて「Ligue des Droits de l’Homme 」の書記長を務めていたMathias Morhardtは、この提案に対するグレイの態度を「犯罪的だ」とまで表現した。 7

しかし、彼は根拠もなく、7月危機における（英国）外務省の態度を不謹慎な二枚舌のせいだと考えており、その意見を共有することは不可能であると主張する者の一人である。そこで、より客観的な判断を下してみよう。

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　　サン・ジュリアーノの提案が理論上、ヨーロッパ戦争を回避できた可能性のある唯一の提案であったことは疑いの余地がない。しかし、成功するには、適切な時期になされる必要があった。セルビアがオーストリアに返事をする前の7月24日か、遅くとも26日の朝、グレイが別の電話に出る前のことだった。

しかし実際には、（サン・ジュリアーノの提案は）すでにベルリンが拒否していた英国の大使会議開催案の中に紛れ込み、サンクトペテルブルクとウィーンが直接対話を開始しようとしているかに見えたときの29日朝にロンドンに到着した。直接対話については、最初にそれらを提案したグレイ、サゾノフにそれらを推薦したプルタレス、そしてそれらを始めようとしたサゾノフは皆、彼らの最大の希望を置いていた。そうして、ロンドンは、ローマに答える以外に何もできなかった。ローマがそうであったように。

実際、サンジュリアーノのアイデアは遅すぎた。ただたとえグレイがそれを真剣に取り上げていたとしても、それはオーストリアのセルビアに対する宣戦布告とロシアの動員によって一掃されていただろうが。

いや、それ以上に！この提案が成功するには、イタリアが戦争を回避する決意を持っていることを理解させるために、三国同盟のイタリアのパートナーたちとの強力な合意によって打ち出される必要があり、またそれは、ベオグラードとサンクトペテルブルクの双方がそれを受け入れる意欲にしっかりと基づいている必要があっただろう。

サンジュリアーノは、ベルリンにもウィーンにもそれを公式に伝えず、ロンドンに提案するにあたっては、ローマのセルビア臨時代理公使からの多かれ少なかれのはっきりした同意を得ただけだった。そして、セルビア臨時代理公使でさえ、公式の権限を持っていなかったことに加えて、ほとんど価値のない個人的な意見を表明しているだけであった。

ベオグラードではどんな影響があったであろうか？サンクトペテルブルクから遅滞なくすぐに、そうするよう勧告されれば、ベオグラードは多かれ少なかれ、オーストリアからの要求を完全受諾しただろうということはすでにわかっている。このことは、すでに話したように、英国の調停を求めるというStrandtmannが伝えたサゾノフの助言をセルビア政府が拒否したことで証明されている。 1

サンクトペテルブルクはいずれにしてもセルビアの完全な服従に反対し、イタリアの提案に嫌悪感を表明した。 7月29日、ブキャナンは、7月27日のロッドの至急報で具体化され、グレイによって送信されたサン・ジュリアーノの最初の暫定提案をサゾノフに知らせた。

　ブキャナンは、この提案が実行された場合に異議を唱えるつもりかと（サゾノフに）尋ねた。サゾノフ閣下は、自分はセルビア人以上にセルビア人であることはできず、セルビアが受け入れられるのであれば、四大国が取り決めたどのようなものにも同意すると述べた。しかしながら、最後通牒の鋭さは、何らかの補足的な声明や説明によって和らげられる必要があるだろう。 2

　これは提案の拒否に等しいものであった。その根拠はまさに最後通牒の完全な受け入れ（が要求されたこと）だった。それ（完全な受け入れ）が間に合っていればそれだけでオーストリアはとどまってはずである。

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　この一連の推論は、サン・ジュリアーノの提案は、それ自体は価値のあるものではあっても、それが批判され、セルビア政府の同意が得られなかったため、難破したという結論に達する。

サン・ジュリアーノは提案を行う際、頭の片隅にあった困難から抜け出す別の方法を考えていたが、27日クルペンスキーに次のように明かした。「さて、問題は何か？　たとえ同意したことを実行しないとしても、彼ら（セルビア人）に（最後通牒を完全に）同意させよ」1

しかし、この提案を拒否したのはロンドンだけではなかった。この提案はベルリンでもサンクトペテルブルクでもウィーンでも好意的に受け入れられなかったが、パリは依然として地図から外れており、何の意見も表明しなかった。

しかし、それをすべて認めたとしても、グレイの拒絶の態度は、他の大国との関係を特徴づけるほどの敬意や配慮を示していなかった、と言わざるを得なかった。それを伝えるには簡潔な文章で十分であり、「ベルリンとウィーンで話す」アドバイスには、半分皮肉な発言が組み合わされている。「そこで彼が提案できるあらゆる提案が好意的に受け入れられるなら、私はうれしいだろう」。

　実際には、当時の（英国）外務省は明らかに、イタリアを無視できる程度だとみなしていた。 The Outbreak of the Warを扱うコレクションのうちの第11巻の 677 件の英国外交文書では、イタリア大使インペリアリを扱っているものは片手で数えられるほどでしかない。彼とグレイの間で徹底的な話し合いは一度もなかったし、イタリア人の態度がどうであったかについてグレイ側からの質問もなかった。

しかしながら、第 XI 巻には、サンジュリアーノとロッドの間の 2 つの興味深い会話の記述が含まれている。一つは7月21日のペルシャ公使館での晩餐会で、もう一つは22日朝にコンサルタで行われた会話である。これらは両方とも、ロッドからグレイへの 7 月 22 日の手紙に含まれている。

　私は閣下の隣にいたので、少し会話する機会がありましたが、閣下はすぐにオーストリア・ハンガリーとセルヴィアの間に存在する深刻な状況について話し始めました。

彼は、ベオグラードには興奮と自信に満ちた危険な精神が存在しているのではないかと心配していた。しかし彼は、皇帝の既知の平和目的が危機の勃発を防いでくれるだろうという希望をまだ抱いていた。

予想通り、セルビアがロシアの支援を受ければ、ドイツがオーストリアに加わることは疑いの余地がなかった。これは単に同盟国としての義務に依存するものではなく、ドイツはオーストリアがその地位と名声を維持し、成功を収めるためには極めて重要な問題であり、それを推進することがドイツの利益であると信じていたからである。

では、イタリアは何をするのか、義務はどこまでイタリアを拘束するのか、と私は尋ねた。同氏は、三国同盟は純粋に防衛目的であると述べた。出来事がどのような方向に進むかはまだ分からない。明らかに、そのような闘争の当事者になることほどイタリアの願望からかけ離れたものはない（中立への願望）。

私は今朝再び閣下にお会いしましたが、オーストリア・ハンガリー政府がセルヴィアに対して行おうとしているコミュニケーションが、セルヴィアにとって受け入れがたいものとみなされる条件で作成されているのではないかと懸念する十分な理由がある、と彼は私に言いました。

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ベルヒトルト伯爵がイシュルに行けば、皇帝がその条件をいくらか修正してくれるかもしれないという期待だけがあった。しかし、オーストリアにはこの機会にセルビア潰しを目論む最強党派があった。もちろんセルビアを潰すことはイタリアの利益ではなかった。

　私は、両国（英伊）がいかなる紛争も回避できることを望むと述べました。 私たち自身の直接の利益が関与していない闘争に私たちが引き込まれることはほとんど考えられませんでした。実際、イタリアの場合、イタリアはおそらくイタリア自身の利害関係に対抗する立場にいるだろう。

　サン・ジュリアーノ侯爵は、私たちの両国（英伊）は、状況によっては敵対する可能性が高いグループと結びついているため、この事件の特殊な状況においては、英国議会の議員のような人たちと「ペア」を組むことも十分に考え得ると述べた。

　もちろん、私たちは決して実現しないことが切実に望まれる仮説について議論しているだけでしたが、この対抗保障の新しい形はむしろ彼にとって賞賛されたようでした。 1

　この素晴らしいアイデア（イタリアの中立性）に対して、グレイは返答を保証しなかったが、そのことについては彼を責めることはできない。なぜならそれは、イタリア人の観点からと同様に、イギリス人にとっても非常識だったためである。

英国もイタリアも、ヨーロッパの勢力均衡全体に関わる紛争の外に留まることは決してできなかったであろう。どちらの国にとっても、どちらが勝つかは無関心な問題ではなかった。例えばドイツとオーストリアが勝者であったなら、またロシアとフランスがイギリスの援助を拒否されていたとしても、同様にそうなっていたかもしれないし、イタリア人もイギリス人も棄権の高い代償を払っていたことだろう。

　上記の文書は、サン・ジュリアーノ自身が明確に予見し、英国と同様、イタリアにも重い責任を課す状況に対処する政策を、サン・ジュリアーノが組み立てることができないというもう一つの証拠を提供している。

彼は晩餐会の機会を利用して、英国政府に対して、危険の差し迫った印象を与え、（英伊）両政府が両グループに和平を押し付けるために、両グループの間の仲介者として行動するよう努めるべきである、と提案すべきであった。

この考えは、サン・ジュリアーノが28日の夜、ロッドに「たとえドイツを参加に誘導することが不可能であることが判明したとしても、イタリアと英国は依然として意見交換を続け、それぞれがグループ全体を代表しているeach representing one groupべきだ、と主張するだろう」と語ったときに浮かんだようだ。2

しかしサン・ジュリアーノは、それぞれの国が自身の属するグループを代表しているeach country representing its own groupと考えていたため、この考えが生まれるのはあまりにも遅すぎ、漠然とした形であった。

それどころか、各国がすべきだったのは、自身のグループ内に、平和への自身の意志の重みを感じさせることであった。ロンドンは、サンクトペテルブルクとパリを支援するとしてベルリンを脅す（積極的介入）ことで、その間、サンクトペテルブルクを急激な動きからしっかりと牽制しながら、ローマはベルリンとウィーンに対し、イタリアの国益に反する侵略戦争には参加しない（中立を保つ）、と率直に伝えることで。

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これまで見てきたように、サン・ジュリアーノが 29 日にロッドに対し、「ドイツが、イギリスがロシアとフランスとともに行動すると信じれば大きな効果があると思う」と述べたとき1（c.f.p416)、彼は自分の機敏な頭脳が、グレイが行使できる影響力は何かを理解したことを示した。

イタリアが支援の確実性についての同盟国の幻想を打ち砕くことで（中立の維持）、同様の効果を達成できるということを彼が理解していなかったというのは、なおさら許しがたいことである。しかし、彼自身のある打算により、彼はこの一歩を踏み出すことを望んだり、あえてしたりすることができず、他の理由で英国の反対者と同様に、状況に影響を与えるあらゆる手段を自分自身から剥奪した。

　彼ら（グレイ、サン・ジュリアーノ）が緊密な合意において第一幕からそうしなかった事実ほど、グレイの理解の欠如とサン・ジュリアーノの誤算をよく示すものはない。7月21日という早い時期に、サン・ジュリアーノが晩餐会で、ロッドに、イタリアの中立のある種の事前発表を与えた（p422）ことを見ると、彼はセルビアを潰すことは「イタリアの利益に全く反するだろう」と述べた2が、ロッドも外務省もその重要性を認識していなかった。26日にもロッドは次のように報告した。

　たとえロシアがセルビア支援に介入すべきであったとしても、オーストリアが最後通牒を出す前にイタリアに相談しなかった限り、そしてセルビアに対する攻撃方法によってロシアを建設的に挑発することになる限り、イタリア政府は三国同盟によって企図されていたcasus foederisを俎上に上げることはないだろう。

しかしロンドンでは、このニュースは無視された。ロンドンでグレイは、英国の介入が不可避であるとはまだ認識しておらず、ましてや英国の介入の脅威とイタリアの中立が戦争勃発を阻止するために何ができるかを理解していなかった。そして、最初の火を消す権限を持っていた二人の男のどちらも何も行動を起こさなかったため、火は両国を飲み込むまで広がり続けた。

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