| Mid-Fifteenth-Century English Mass Cycles in Continental Sources, vol.
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| p21 Chapter 1 England and Europe: Insularity and Cultural Exchange Introduction 15世紀のイギリス音楽はしばしば「島」と表現されている１。しかし、その大陸での幅広い普及と、その時代の主要な大陸の作曲家へのその強くて長期にわたる影響についても多くのことがなされている2。確かに、イギリス音楽の想定される非島性に挑戦しなければならない。 確かに、この章が示すように、15世紀の間にイギリスと大陸との間には多くの文化交流があった。 長い間、音楽のやり取りはイングランドと大陸はほぼ一方通行のプロセスであった3。そしてその反対の直接的証拠はほとんどない。 しかし、15世紀の英国音楽の大部分は大陸の資料だけで見つかっているので、英国の資料に大陸の作品がないことは驚くべきことではない。 確かに、議論は奇妙にめぐっている。 大陸の音楽はほとんどイギリスでコピーされなかったので、英国の資料の匿名の音楽はすべて英語でなければならない。 ｐ22 この章が示すように、非常に多くの英国の音楽家と作曲家は、世紀を通して大陸に存在していた。そして、彼らが大陸音楽を持ち帰ることは決してなかったとは、ほとんど考えられない。 Antonio Zacara da TeramoとMatteo de Sancto Johanneの2人の大陸作曲家が、Old Hall Manuscriptに掲載されている。これら2人の作曲家の両者にとって、英国のソースの中にその音楽が存在する理由が求められている。 Antonio Zacara da Teramoによるグロリアは、Old Hall Manuscriptで匿名で現存しているが、コンスタンツ公会議（1414年 - 18年；訳注；シスマを終わらせた公会議）を通じて輸入されたと考えられている。一方、Matteo de Sancto Johanneは、1369に彼自身がイギリスにいたと考えられている。 15世紀初頭からの、これらの小さいながらも注目に値する例にもかかわらず、英国で見つかる識別可能な大陸作品はほとんどない。しかし、ザカラのグロリアが匿名で生き残ったことは、他の匿名で保存された作品が大陸起源のものであるかもしれないことを示唆している。 確かに、英国のソースにおいて、大陸に帰されるべき作品の欠如が、15世紀後半のイングランドにおけるそれらの欠如の決定的な証拠ではないことが示唆されている。 これは特に英語のソースの断片の性質である。 ｐ２３ 現在認められているよりも多くの大陸音楽が、15世紀半ばにイングランドへの道を見つけたとしても、現時点では、議論はその逆ではなく、大陸での英国音楽、音楽家および音楽のアイデアの普及に焦点が当たるだろう。 文化交流についてのどんな議論も、英国音楽が大陸に到達したかもしれないルートを見ることから始めるのはおそらく理にかなっている。現存の写本から当時の書法からの証拠まで、さまざまな形の証拠が、これらの影響の経路を証明している。 この章では、一見して最も重要な影響の経路、すなわちブルゴーニュ（1.1）、フランス（1.2）、商人とMerchant Adventurers （ イギリス中世末期から近世にかけて毛織物(未仕上げ広幅織)輸出を独占した貿易商人）の対立（1.3）、外交およびエキュメニカル集会、（1.4）そして宗教秩序と大学（1.5）に焦点を当てている。 大陸のどこでどのように英国の音楽が利用可能になったかを理解することによって、そこへの影響はおそらくもっとよく理解されるであろう。 1.1 Burgundy 間違いなく、15世紀の音楽的趣味の最前線にあったブルゴーニュの宮廷は、多くの点で、議論を始めるのに明らかな場所である。 1445年までに、ブルゴーニュの宮廷の礼拝堂は、「見出すことができた最大かつ最も手入れの行き届いた礼拝堂」と考えられていた。 and many of the most famous composers of the day were numbered among its members. 当時の宮廷からの現存資料の相対的な不足にもかかわらず、明らかにブルゴーニュのレパートリー（世俗的なものであるにもかかわらず）は、フランス（ Loire Valley chansonniers）からナポリ（ Mellon and Escorial Chansonniers）までの様々な地域からの写本で見つけることができる。 。 ｐ24 15世紀の初めの、ブルゴーニュの支配者はPhilip the Goodである。 彼の統治の初期の頃、彼はフランスに対してイギリスと同盟していたが、これらの良い外交関係は1436年から9年に戦争に変わった。 イギリスの海賊がオランダとフランダースの商人を襲撃した後、フィリップ・ザ・グッドは自分の土地でイギリスの商人を逮捕し、彼らの財産を没収することで報復した。しかし、敵意は再開されず、ブルゴーニュは英国との戦いでフランスに加わらなかった。 Philip the Goodの規則kが大部分、英国に対して中立であったにも拘わらず、イギリス生まれの作曲家Robert Morton は、1457年から彼の宮廷チャペルのメンバーであった。興味深いことに、David Fallowsは、Mortonの作品の中で、英国式の痕跡をほとんど見いだしていない10。 モートンはブルゴーニュで彼のほぼ全経歴を過ごしたので、これは驚くべきことではない。そしてイングランドの進化する作曲傾向から遠ざかったにちがいない。確かに、彼を英国とブルゴーニュのどちらの作曲家と見なすべきかは難しい。 ｐ25 ブルゴーニュ、特にPhilip the Goodの規則ら現存する写本はほとんどない。 彼の宮廷への明白なつながりを持つ3つの写本は、 ①chansonnier E-E V.111.、②hansonnier fragments D-Mbs cgm 、そしてMus.Ms.9659である。. 写本にはBedynghamによるもの、Dunstapleによるもの、そしてMortonによるものがある。 これは、この時点で、イギリスからの影響が大きいことを特に示すものではない12。これらの写本にある作曲家の多くは、ブルゴーニュ出身である。 しかし、Charles the Bold（1467-77）の統治によって、イングランドとブルゴーニュの関係は劇的に変化し、両国の間の文化交流の量は大幅に増加した。13 1465年に、流暢な英語を話せるCharles the Boldがイングランドとの条約に調印し、それが1468年に Margaret of York との結婚につながった。15 この結婚式のために、イギリスの作曲家Frye、Plummer、Coxによるミサ曲からなる写本BrusBR 5557の最初の核が書かれたようだ。 15 Sylvia Kenney, Walter Frye and the 'Contenance Angloise' ｐ14 ｐ26 写本の最初の4つのgatheringsを構成する Brussels Choirbookの核は、 婚姻との関係を持つと信じられている5つイギリスのミサ曲で構成されている。 Wegman が論じたように、これらのミサ曲の始まりを飾る歴史的イニシャルは、写本の本来の目的についての驚くべき洞察を与える。 5つのうち2つの光彩でさえ、結婚式に特別な言及をしているように見える。 PlummerのSine nomine（M1）のKyrieの頭文字Kを飾るイルミネーションは、Charles the Boldの個人的な印、York家の白いバラの横にある「Fusil細長い菱形」、および夫婦の信仰の紋章であるDachshundを表している。  http://depot.lias.be/delivery/DeliveryManagerServlet?dps_pid=IE9377246 同様に、フライのFlos Regalis（M30）のグロリアのイニシャルEの光彩は、貴族とユニコーンを示している。 ユニコーンは処女によってのみ調教されると信じられていたので、ユニコーンのイメージは極めて一般的な結婚の贈り物であった。  http://depot.lias.be/delivery/DeliveryManagerServlet?dps_pid=IE9377246 写本の光彩からの証拠と同様に、ミサ曲と結婚式の機会の間の多くの音楽的なつながりがある。 核の冒頭のミサ曲は、Summe trinitati をcantus firmusとして使用している（ 2v-10r）。 この responsory は三位一体の祝祭のためであり、しばしば王と女王のレセプションで使われた - おそらくCharles the Boldの有名な王室の野心への言及である。
ｐ27 Flos regalis（M30 30v-38r）も結婚式の機会に関係しているかもしれないが、このミサ曲のcantus firmusの特定についてはまだ議論がある。 Sylvia Kenneyによれば、それはアンティフォン Flos regalis etheldredaかもしれないとのことである。 Kenneyは、 Etheldreda が守護聖人であるEly 大聖堂の1443 - 4年と1452 - 3年の記録に述べられている 'Walter cantor' はＦｒｙｅと同一視できると信じていた。 彼女は、ミサがそれ故に、もともとフライの家の大聖堂の守護聖人の崇拝のために書かれたことを示唆した。19 残念ながら、このアンティフォンのコピーは見つかっていないので、これを確認することは不可能である。 19 Sylvia Kenney, Walter Frye and the 'Contenance Angloise' ｐ19‐21 Wegmanは、 cantus firmusの別の特定を提案している。 彼は、その代わりに、聖Udalricusの祝祭ためのresponsory Flos regalis sanguiniusを提案している。これは、王室の結婚式の機会と関係がある。聖Udalricusの祝祭日は、結婚式の翌日だったからである。 しかしながら、 そのresponsory は 前夜祭vigilで使用されていたので、実際には結婚式と同じ日に行われたであろう。 Wegman はさらに、最後のフライのミサ曲、 Nobilis et pulcra （M31）と結婚の関係を示唆している。 聖キャサリンの神秘的な結婚と幼児イエスへの関係のせいで、王室の結婚との関係があるアレクサンドリアの聖カタリナの饗宴のためのチャントに基づいた他の2つの英国作品があるからである。 p２８ Walter Fryeは、彼の庇護者が彼女の姉妹であるAnne of Exeterであったので、Margaret of Yorkと個人的なつながりさえ持っていたかもしれない22。 確かに、Walter Fryeの大量レパートリーは,ブリュッセルとルッカのクワイヤーブックだけにある。 Strohmは、後述するように、これら2つの写本は何らかの方法でつながりがある可能性があることを示唆している。 彼は、ルッカクワイヤーブックが、ブリュッセル近くで、もうひとつのブルゴーニュの重要な町であるブルージュで始まったことを納得のいくように証明した。 彼はまた、ルッカクワイヤーブックとブリュッセルクワイヤーブックが同様の音楽を選ぶ一方で、共有されたレパートリーを慎重に避けているという事実にも注意している。23 23Reinhard Strohm, Music in Late Medieval Bruges (Oxford: Oxford University Press, 1985), 141 2つの写本の間につながりがあるのであれば、、Margaret of Yorkの姉妹である Anne of Exeterを介して、ブルゴーニュの宮廷とウォルター・フライの間にさらに関連性がある可能性がある。24 24 Rob Wegmanは最近、「 ‘The Man with the Pale Face, the Shroud, and Du Fay’s Missa Se la face ay pale’, JM, 27 (2010), 386」に引用されているAnne Walters Robertsonとの個人的なやりとりで、ブリュッセル写本の彼自身のdatingに挑戦した。 最初の核のdatingに関するこの新しい情報は、ブリュッセル写本がCharles the BoldとMargaret of Yorkの結婚式を意図していた可能性を覆しているようで、代わりに1462-4年の日付を提案している。この新しい日付の理由は、前述の記事には記載されておらず、それ以来公開されていない。 Rob Wegman との私的なやりとりを通して説明を引き出す試みは、まだ成功していない。したがって、これらの主張の強さを判断するのは困難である。しかし、写本が結婚式のために特別に意図されていなかったとしても、それはまだ両国間の文化交流の証ではある。確かに、それは特定のそして個々の政治的出来事への即時の反応から分離された、より徹底的でそして完全な文化交流を示唆している。 確かに、Margaret of York はここでの重要な人物かもしれない。 ブルゴーニュで暮らしている間でさえも、英国の音楽が彼女の人生の重要な部分であったかもしれないことを示唆するのは明白なようである。 p29 ブリュッセルクワイヤーブックと彼女の結婚式との関連は、彼女がイギリス音楽に興味を持っていたことを示唆しており、写本がかなり広く使われていたことを考えると、彼女がクワイヤーブックを使うための英国チャペルを持っていた可能性は魅力的である。 確かに、自分の礼拝堂を雇った貴族の例がある。 Katherine of Valoisは、少なくとも1422-34年に彼女自身の礼拝堂を守ってきたようで、1427年 - 36,27年にイギリスのJoan女王のために働いた。 そして、Margaret of York自身の妹、Anne of Exeterは、長年、Walter Frye を雇っていた。 しかし、上記の例を見てみると、15世紀のチャペルの性質と貴婦人の立場の両方を考慮に入れることが重要である。宮廷礼拝堂は、祈りと同じくらい権力と示威に関係する重要な公共施設であり、支配者の領域である。 女性貴族を支配する女性貴族でさえも、公の目に現れることはめったにないので、 Margaret of York に付属する礼拝堂は、個人的な献身のための個人の家庭礼拝堂であり、聖歌隊を収容するのに十分な大きさではないであろう。 これを念頭に置いて、上記の例を再評価するのが賢明である。 興味深いことに、これらの各ケースに共通する重要な要素が1つある。 p30 最初にKatherine of Valoisが礼拝堂を守ったと記された日付（1442年）は、彼女がヘンリー五世の死後、窮地に陥った女王になった日である。同様に、DunstapleをJoan女王が雇っているという言及だけが行われている。 さらに、Walter Fryeが1450年代後半からAnne of Exeterに雇われた可能性があると示唆されているが、その証拠となる文書は存在しない32。 確かに、Anne of Exeterとの彼の雇用の唯一の証拠は、1464年後期、まさに彼女が夫と別れた年から支払われた年金しかない。 礼拝堂を守っている貴婦人の件は、夫の死後または離婚後にのみ発生するようである。 そのような時には、彼女らは、夫の後年の役割の公共の顔の要素を受け継いでいたことであろう。 Margaret of Yorkが自分の礼拝堂を続けていた可能性は、1477年の Charles the Bold の死後にしか起こらなかった可能性があることを念頭に置きながら、あまりにも早く拒絶されるべきではない。 これは、ブリュッセルクワイヤーブックの後半の部分に匿名のミサを追加する（ff。90v – 99r）ための魅力的な新しい文脈を提供している。Kirkman は、このミサと Lucca ChoirbookのＦｒｙｅによるＫｙｒｉｅミサとの間に驚くべき親和性を示した。彼はさらに、それがフライのスタイルに一般的に近いことを指摘し、説得力を持ってそれを彼のものとしている。34 34 Andrew Kirkman, ‘The Style of Walter Frye and an Anonymous Mass in Brussels, Koninklijke Bibliotheek, Manuscript 5557’, EMH, 11 (1992), p216. p31 最も興味深いことは、 Wegman が、このミサ曲は、およそ1466–76年に紙にコピーされたことを示唆していることである。Wegmanは、写本の関連する層が、最初の核部分の後にコピーされたと示唆しているので、それは1469–76年の日付でなければならない。 Wegmanはさらに、紙は、透かしの証拠によって示唆された日から4年後まで使用されていた可能性があると指摘している37。したがって、ミサ曲は、Margaret of York が，特にCharles the Bold が1477年1月に死去して以来、ブルゴーニュ宮廷礼拝堂を継いだ頃にコピーされた可能性がある。 ブリュッセルクワイヤーブックがブルゴーニュ宮廷の礼拝堂で使用され続けていた場合、写本に追加された他の唯一の英国作品が この頃コピーされたことは、興味ぶかい。 ブルゴーニュでの英国の典礼作品の明らかな使用に加えて、英語のテキストによる世俗的な歌の証拠もある。 もちろん、この論文の焦点はMass cyclesであるが、英語の世俗的な歌が上演されていたという証拠は、英国文化への深い関心と音楽が、ブルゴーニュに入ることができる経路の存在を強く示唆している。 ブルゴーニュの資料では、英語のテキストの曲は現存していないが、これらの写本には、世俗的な曲がより一般的に不足している。 しかし、ナポリのスクライブの独特な習慣は、世俗的な歌を英語で歌うという、ブルゴーニュの宮廷の伝統の間接的な証拠を提供してきたようである。 ｐ３２ 合計で、英語のテキストの名残を残した5つの英語の歌が大陸の写本に残っている。 これらのうちの4つは、ほとんど独占的にブルゴーニュのレパートリーである、 Escorial A とMellon manuscripts写本に現れる。しかしこれらは、それぞれ1460年代半ばと1470年代半ばにナポリで編纂された38。しかしながら、ナポリとイングランドの間の関連、およびナポリの宮廷の歌手やチャプレンの1440年から1503年のアトラスの目録の証拠はない。 それどころか、アトラスは、1460年代のナポリの資料には、主にフランス―ブルゴーニュのレパートリーが含まれていたことを示している。 1470年から1480年代にかけて、次第に多くのナポリ語、スペイン語、イタリア語の曲が増えていった40。したがって、英語の曲はイギリスから直接来たのではなく、ブルゴーニュから来たのではないかと思われる。 興味深いことに、ナポリのスクライブは、コントラファクタを作るよりも、作品の原言語を保存するという点でほぼ独自であるように思われる。その結果、イタリア語、スペイン語、フランス語、そしてオランダ語でテキスト化された非常に多くの作品が生まれた。 この筆記活動のパターンは、他の分野とはまったく異なっている。 確かにこれらの歌が他の地域から写本に伝えられたとき、スクライブは常に、それらに代替のフランス語またはラテン語のテキストを与えた。 この良い例は、BedynghamのMyn hertis lustである。ナポリ以外の様々な資料で、Grant tempsやAve verumとして保存されている。 p33 それゆえ、4つの英語の歌が、ブルゴーニュからナポリに、英語のテキストのままでやって来た可能性がある。ナポリのスクライブが英語を話すことができなかったことは、そのわかりにくい作品のテキストメッセージから明らかである。しかし、ブルゴーニュには、英語を話すスクライブや歌手がいて、そして音楽の文化的背景があったに違いない。これがなければ、作品は確かに、それらがナポリに到達する前にコントラファクタにされていたことであろう。 全体的に見て、ブルゴーニュは中期から後期1460年代にかけて、英国の音楽と大陸との間の重要な接点となっている。ブリュッセル写本では、イギリス音楽が非常に優位な場所を占めている。これは、この時期に残った数少ないブルゴーニュ宮廷の写本の1つでである。 この証拠を、文化的相互作用の短い偶発的な特殊な動きに過ぎないことを示すものとして却下することは可能ではある。しかし、写本に使用されているという明確な証拠は、これ（文化的相互作用）を裏付けています。何年もの間それに新しい資料を追加し続けているから。代わりに、それ（写本）は、ブルゴーニュ宮廷内で長い間使用されていた英国のミサ曲音楽の証拠を提供するようである。 ｐ３４ Margaret of York が夫の宮廷礼拝堂を継承した可能性は、文化的交流の物語をさらに裏付けるものである。ブリュッセル写本が、ブルゴーニュの宮廷礼拝堂で引き続き使用されている場合は、Charles the Boldの死去日前後に、写本にさらに英国のミサ曲を追加することが重要になる。 ブルゴーニュで英語の典礼音楽が使われていたという証拠に加えて、イングランドとブルゴーニュの文化的交流の度合いを証明するものとして、英語のテキスト曲がブルゴーニュ宮廷でさえ歌われた可能性がある。 1.2 France 大陸へのイギリス音楽の入り口の明らかなポイントは、イギリスが保有していたフランス国内の土地である。 フランスの大部分は百年戦争の間に所有主が変わったが、この論文内の議論に特に密接に関係しているのは、戦争の最後の3分の1（1415年から53年まで）である。 1429年にオルレアンが包囲された後（この包囲戦は、ジャンヌ・ダルクの主要な軍事行動における最初の勝利であり、1415年にアジャンクールの戦いで敗れた後のフランスにとって、最初の大きな勝利であった。この包囲戦の結果、その後のイングランドの軍事力は下降線となっていった）、イギリス軍は、GasconyとAquitaineの一部同様、ブルターニュ、ノルマンディー、シャンパンを統治した。年戦争の後でさえ、カレーは1558年まで英国kに統治されていた。（1558年1月7日、ギーズ公フランソワがイングランドからカレーを奪還した。） p35 さらに、宮廷礼拝堂が、彼らの支配者たちと戦うために同行するのは一般的だった44。 44 例えば、Charles the Bold は、彼の礼拝堂を連れて戦った。 Hayne and Basin の両者は、Nanceの包囲戦に、BusnoysはNeussの包囲戦にいた。確かに、Johanne Pietro Panigarolaが報じたように、音楽はしばしば包囲収容所で演奏されていたようである。 『彼（公爵）は野営地にいますが、毎晩、彼は毎晩新しい歌を歌っています。彼は良い声を持っていないが、時には彼の支配権が歌う。 しかし彼は音楽に精通している。』 Higgins（1986）、60を参照のこと。 しかし、Watheyは、「私邸礼拝堂の数がいつでも非常に多かったことを示唆するための、彼らの[壮大さ]を超える存在はほとんどない。」と示唆している45。 彼は、「摂政の礼拝堂は、ノルマンディーにおける唯一の大規模で規則的に構成された礼拝堂であり、英国の音楽家の唯一の本質的実体であったかもしれない」と示唆している46。 46 フランスにチャペルロイヤルが存在することに関しては、確かに重要な証拠がある。Robert Gilbert の指導の下、チャペルロイヤルの歌手がフランスで1415年にイギリスでの勝利を祝った（Flood（1924）、87参照）。 Liber metricus de Henrico Vの終わりにおいては、王が1418年にフランスでイースターを祝うことを全チャペルに要求したと述べられている。 1419年1月、イングランドがルーアンを占領したとき、王の都市への入場は、Robert Gilbertと大聖堂でのJohn Pyamour のもとでのチャペル・ロイヤルの集会で終了した。 ロイヤルチャペルには、1419年の10月にノルマンディーの王が出席し、6人のポリフォニー歌手が彼らに加わるために英国で募集された。そしてPyamourが、礼拝堂に対して、新しい少年を「ノルマンディー公国における王の存在」のために連れて来るように命じられたので、彼らはそこに1420年まで残っていたようである。 確かに、ロイヤルチャペルは同じ年に、Troyesでヘンリー５世とKatherine of Valois の結婚式に関わったことがあるかもしれない。全体的に見て、完全なチャペルロイヤルはわずか2年間フランスにあったが、何人かのメンバーは少なくとも5年間そこにいた。 しかし、王室チャペルやその他の高貴なチャペルは、国家的事件については、離れた存在だったかもしれない。この主張にもかかわらず、フランスには実際には、かなりの数の英語の礼拝堂があったようだ。 最も重要な礼拝堂の一つは、Clarence公でフランスとノルマンディーの中将であったトーマスの礼拝堂であった。 私邸の家計簿は1418年から存続し、一定期間チャペルをたどる機会を与える。 p36 家計簿が始まったとき、私邸礼拝堂（Leonel Powerを含む）は主にまだ英国に残っていたようである。 しかし、礼拝堂の一部は、ノルマンディーで仕えていた。 1419年10月、Clarence公は、彼の妻や彼の残りの礼拝堂のメンバーをフランスに連れてくるのに十分安全な地位を判断した。15ヶ月間、礼拝堂はノルマンディーとシャンパーニュ中で奉仕した。 この間に、全チャペルはフランスで奉仕しただけでなく、少なくとも5人の他の歌手が彼に送られた。1421年、Clarence公が殺害され、彼の私邸礼拝堂は解散された。 Clarence公の死後、 Bedford公は、1432年までに、フランスで英国の司令官となった。Bowersは、Bedford公の礼拝堂も同様に、大陸、特にパリとルーアンで時間を費やしていたであろうと示唆している48。 Dunstapleは、Bedford公爵に従事していたようで、1437年に、以前はBedfordの土地だったノルマンディーの土地を与えられた。 Bowersは、Powerが公爵の奉仕のためにDunstapleとともに参加し、ノルマンディーの礼拝堂にも出席していたかもしれないとさえ示唆している50。 これはフランスでのSarum儀礼に続くモノフォニックとポリフォニックの音楽の背景を提供し、同時に大陸聖職者がこの音楽に出会うことを可能にするので、これは重要な点である。(略） p37 Binchoisはイギリス音楽に特に影響を受けた作曲家であるとしばしば考えられているので、彼がイギリスの奉仕活動をしていたように見えることは重要である。前述したように、Binchoisの音楽は、イギリスでは、はっきりと知られていた。スケルトンによって2回言及され、2つの異なる英語写本に現れている。 これに加えて、Binchoisの歌Dueil angoissuexは、Bedynghamのミサ曲のためのバスを供与している。56 56 後で見られるように、BedynghamとEast Angliaの間につながりがあるかもしれない（fn。65参照）。したがって、BedynghamとBinchoisの間につながりがあるかもしれません。さらに、それはおそらく、Binchoisの歌の詩としてのconcordanceが、ノーフォークの詩人、スケルトンの著作の中に見いだされていると言っているのかもしれない。 p38 Peter Wrightは、Binchoisと英国の間のつながりについて、広範囲に書いている。借用のいくつかの特殊例を引きながら。 PowerのモテットであるAnima mea liquefacta estは、BinchoisのDe plus en plusから借用していたが、英国起源であると考えられていたKyrieは、2つのBinchoisの歌、De plus en plusとSe j'eusse un seul peu despeperanceからの引用である。 この借用は、一方通行の過程ではない。なぜなら、Tr92-1写本中のBinchois のCredoはRitson Carol Prayから大いに借用しているからである。さらに、Tr92-1のBinchoisの Sanctus-Agnusペアは、何らかの方法で、EgertonのSanctus-Agnusペアに明確につながっている。どちらのペアが優先順位を持っているのかは不明であるが。 Wrightはさらに、Ave regina caelorum（おそらく英国起源）を設定して、おそらくSarum版のchantsとの関係で、Binchoisのテキストの選択とイングランドとの間につながりがあると述べた。 ｐ39 こうした英国の音楽との利害関係をはっきりと示して、WrightはBinchoisの作品の中で、イギリス音楽とのより具体的な様式の類似性に注目している。これに関してもっとも注目すべきは、Binchoisが、英国のイディオムと彼自身の独特の声部の間で維持しているバランスについての彼のデモンストレーションである。 これから重要な点がいくつかある。 第１に、イギリスでも大陸でも、イギリスの後援を受けて活動している大陸の作曲家の明確な例があるように見えること。そしてこれが問題の作曲家のスタイルに明らかな影響を及ぼしたこと。 第２に、双方向の文化交流と作曲的借用の証拠があること。 そして第3に、Bedynghamに対するBinchoisの影響が、たとえこれがかなりめずらしいことであったとしても、イギリスの大陸からのある程度の影響を示していること。 百年戦争は、重要な英国人貴族をフランスに連れて来るだけでなく、他の方法で文化交流を可能にした。最も重要なのは、おそらく、多くのフランスの貴族のキャプチャーによるものである。貴族は音楽の重要な後援者であり、彼らの好みは、彼らの法廷の音楽を形作った。 おそらくその最も良い例は、Agincourtで捕虜となり、25年間イギリスで囚人となっていた Charles d’Orléans公である。この間、彼は比較的大きな自由度を認められ、イギリスの様々な場所に留まっていた63。彼は熟練した作家であり、フランス語で多くの礼儀正しい詩を書いている。 ｐ40 我々にとって重要なことは、これらの詩の多くが、Charles d’Orléans公自身によって書かれたと多くの人が信じている英語の翻訳で現れることである。実際、彼は英語を非常に上手に話した。最も興味深いのは、Bedynghamのような英国人作曲家がいくつかの英語の詩を設定したことである。 Charles d’Orléans公の英国時代は、彼の芸術の実践に重要な影響を及ぼし、それゆえにおそらく芸術への彼の後援にも影響を与えたと思われる。 Charles d’Orléans公を最後に釈放した後の歌手兼作曲家のGuillaume le Rougeが、フライのバラードを基にしたミサ曲を作曲したことは重要かもしれない。 このミサ曲とその考えられる状況については、後で説明される。 百年戦争が終結しても、フランスでの英語使用は続き、カレーは1558年まで英国の統制下にあった。この間、カレーは、大陸の他のイギリス人音楽家にとっての接点であったようである。 ｐ41 1483年、イギリスの音楽家Conrad Smyth とPeter Skydell は、ミュンヘンのアルブレヒト4世の宮廷からカレーに渡り、彼らが町にいる間に、ソングO rosa bellaを教えた。 ヨーロッパの他の地域との羊毛貿易の中心地として、カレーは大陸の音楽家との文化交流の重要なポイントであった。 特に羊毛貿易は、英国の音楽が、ヨーロッパにやってきた可能性がある主要なルートの1つとして注目されており68、少なくとも1人の羊毛商人が音楽的であったという主な証拠がある。 1473年12月、イギリスの羊毛商人 George Celyは、カレーのハープ奏者Thomas Redeに、Myn hertes lust, O Freshest Flower, Tojours, O rosa bella, Of such complain, Go heart hurt with adversity , My dely woe.を彼に教えるための支払いをした。 すべての曲は明らかに英語で、O rosa bellaを除くすべての曲は英語のテキストである。 これは、一部の羊毛商人が音楽に熱心であったことだけでなく、イギリス音楽がカレーでも入手可能であったことを示している。 これは必ずしも英国音楽が大陸でより一般的に流通していたという証拠ではない。 上記の英語の曲がRedeではなく、Celyに属していた可能性がある。 Celyは確かに、いくつかの音楽写本を持っていて、 'by off fotyng'（ダンス記法）と 'lellteを始めるためのbyll ffor'（リュートチューニングの指示）を購入していた71。 ｐ42 こうしたことだけでなく、Rede自身も英国人だったのかもしれない。彼は確かに英語の発音名を持ち、カレーの包囲戦の直後には、フランス人のカレーの住人全員が追い出された。 Rede自身がその作品を知っていたとしても、彼はイギリスからそれらを知っていたかもしれず、フランスではそれらを学んでいなかったかもしれない。これが大陸で広く流行していたイギリス音楽の証拠であるかどうかにかかわらず、イギリスの世俗音楽が少なくともカレーに存在したことは明らかである。 フランスでのイギリスによる占領の結果、多くのイギリスの私邸が大陸に住み、そして働いていたことは明らかです。Clarence公の礼拝堂のようないくつかのケースでは、私邸はおそらく、文化交流の程度を制限しているほとんど全体が、イギリス人の音楽家たちで構成されていたようである。 しかし、百年戦争中のイギリスとブルゴーニュの緊密な同盟関係を考えると、おそらく両国の音楽家たちが接触していたと思われる。 確かに、イギリスの礼拝堂の音楽家と占領下の町の音楽家の間にはある程度の接触があったに違いない。 他の場合では、それは大陸の作曲家たちが、英国のパトロンのために働いたことは明らかである。これらの例では、可能な文化的な交換は、明らかに巨大である。 これに加えて、Charles d’Orléans公のようなフランスの貴族のキャプチャーは、芸術の重要な後援者をイギリス文化に浸潤させた。 Charles d’Orléans公の例が重要である。 これから示されるように、彼の私邸へのそして芸術の彼の愛顧と実践への影響は、これの目撃者となるだろう。 しかし、フランスのイギリス占領に内在する文化交流の明確な可能性にもかかわらず、これらの事例の多くはやや短命であったようだ。 フランスの英語礼拝堂のために明らかに作成された現存写本は、英語の統制の喪失後も、長続きする影響として残った可能性がある。 これと同様に、最も影響力のある期間は、それが焦点を当てている世代の直前の作曲家の世代を含む、この論文の焦点を形成するそれより前に発生している。 ここで考慮される時間スケールのより詳細な議論は第3章で概説されるであろう。今のところ、明らかに作曲の実践に関係があるような焦点期間の直前の数年間のイギリスと大陸間の文化交流の経路を考慮することは依然として重要である。 フランスでの英国人による支配の大部分が終わったときに、上で議論された文化交流のすべての点が終わったようには見えない。確かに、カレーは15世紀をはるかに超えて、文化的交流の重要なポイントのままであった。 Charles d’Orléans公に対する英国人からの監禁とGilles Binchoisに対する英国からの後援の影響もまた、１５世紀後半でもまた、特に重要である。 |