| Musical “Beastliness” in the Roman de Fauvel (BN fr.146): Chaillou’s “addicions” and Sensory Danger2 by Hansel Tan Shen-Wei |
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| CHAPTER 2 THE SIGNIFICATION OF BEASTS AND THE BEASTLINESS OF SIGNIFICATION IN FAUVEL p61 Fauvel as a Slippery, Sensuous Sign Le Roman de Fauvelの始まりで、FauvelについてのGervaisの記述は、彼の意図した聴衆に、純粋な架空のキャラクターではなく、シンボルと緩やかなな‘記号表現 (signifier)の両方として、Fauvelのキャラクターを「読む」ように助言する。 確かにFauvelは、世俗的な悪魔のような意味の塊として提示されている。彼の名前は聖書的な罪の折句 《各行頭の文字をつづると語になる詩》で構成されている。そして、Fauvel自身は前述の重要性を暗示している。 Fauvelの意味論的統一全性は、彼が単純に「それ以上」であることを意味する彼の能力によって問題を抱えている。‘記号表現 (signifier)として、Fauvelは滑りやすく曖昧であり、 可能な限り多くのシニフィエ（記号内容、所記）を導き、いくつかの単一で安定した最終的 な(語の)指示対象を否定した構文経路の結び付いた束である。
確かに、Gervaisは私たちに警告している。「Fauvel」の起源は「Faus-vel(false-veil)」である。「虚偽のベール」は、象徴的な「ベール」として、知的な読書の行為であることを暗示しており、その隠された指示対象を明らかにするために、馬の獣の偽装を貫く必要があった。 GervaisがFauvelについて述べているいくつかの特徴は、シニフィエ（記号内容、所記）から距離を置いたシニフィアン（記号表現、能記）としての彼の記号(論)の状態、彼の重複した性質を明らかにする。 p62 純粋な官能的象徴のように、Fauvelは、理性と意味を欠いた状態である。 虚栄心とその偽りの類似性は、純粋な「シンボル」を完全に誤解していることを示唆している。それは、Fauvelをそれ自体で十分な意味のないシニフィアン（記号表現、能記）的なシニフィエ（記号内容、所記）として誤読し、同様に、「偽の」読者がFauvelのシニフィアン（記号表現、能記）的可能性を短絡し、Fauvelの指示対象への崩壊原因をFauvelのシニフィアン（記号表現、能記）に求めるものである。 そうすることによって、そのような読書行為は、Fauvelの意味論的無意味な繰り返し（FauvelはFauvelはFauvel ...など）を減じ、Fauvelの偽りのベールの下に隠された、より重要な意味のある真実を無視するようになった。 さらに、GervaisのFauvelの解釈学がFaus-velとして読み解くことに失敗すると、間違った読者は、響きのある名声としての「Fauvel」と「Faus-vel」の間できなくなる。、その知的含意の飛躍の理解ができなくなる。 Michael Camille が指摘しているように、fr. 146 でFauvelを描写した光彩は、それ自体が滑りやすく不安定である。Fauvelは、写本のどこでも、ハイブリダイゼーションした半分の馬、半分の人間の獣として、描かれている。しかし、Fauvelにおける人間性と馬的な身体的特徴は、連続した光彩を通して、移り変わり、変異する。 folio 26v of fr. 146では、Fauvelは、columns aとcにおいては挟まれて、２つの光彩にて、ほとんどside-by-sideで描かれている。身体的特徴は、異なっているが (fig. 2.1).。column a内のFauvelは、馬の頭と人の身体となっているが、column c では、Fauvelが、人の頭とその外套の下に隠された馬の太ももを持ったLady Fortune に求愛している姿が描かれている。 (fig. 2.1)  (fig. 2.1)  たとえ光彩に、「目に見えない」精神的な概念を視覚化する能力が備わっていたとしても、Fauvelの視覚的な記号は、読者の視線の下では、完全に安定した開示を逃れるためのピン止めはしにくい。 写本を通して、Fauvelの形は、予想外に変動し続ける。彼は、過渡性と変態が彼の唯一の定義的特徴であるかのように、内在する本質の概念を裏切っているようだ。 視覚的な記号が示す意味で、Fauvelの形態的側面は、記号の固定性とその意味とのバランスと、Fauvelを介して確保された単一の有意な経路を決定することの混乱、滑り難さとのバランスを取っている。 この程度までで、「Fauvel」と「Faus-vel（(false-veil) ）」との間のGervaisの韻の踏み方は、感情的知覚と合理的判断の間の弁証法をカプセル化する。Fauvelの名前は、男色や妖婦のように、同じコインの異なる側面を分かち合うように、その官能的な、音の要素とその読者の暗示との間を激しく混乱させている。 Fauvelを意味する適切な看板として評価するためには、学のある読者は、Fauvelを寓意的に読む必要がある。つまり、FauvelとFaus-velの間の近親性の音の斬新さを越して読むことである。そうでなければ、読者は、Fauvel自身の「虚栄心」を再現する - 実際には実行することになる。シニフィアン（記号表現、能記）としてのFauvelは、シニフィエ（記号内容、所記）のための鏡に変身し、記号のナルシストは表面に現れた同じ言葉の繰り返しの鏡を通過していくことなく、官能的な自身の屈折した美を眺めている。読者は、解釈の戦略（またはその欠如）を通じて、虚りのFauvel自身になる。 たとえ洞察力のある読者が、Fauvelの意義を受け入れるためのGervaisの同調の奇妙な罠を通過したとしても、Fauvelが何を、あるいは誰を意味するのかを正確に確かめる作業は、 テキストの知的感覚とそのテキスト以外の協力者を理解するために、数多くの外的な権威（権限の形象）からの知見のほのめかしや、引用をしたFauvelの長話を認めねばならない平均的読者にとっては、困難である。 例えば、ほのめかしは、人気のある獣叙事詩「Renart the Fox」（Roman de Renart）に対して行われている。同様に、Guillaume de Lorrisの、そして Jean de Meunの13世紀のRoman de la Roseのように。130 fr. 146 に含まれるシャンソンやモテットもまた、Ovid（彼の Ars Amatoria (Art of Love)は広く読まれていた）やルカヌスやホラチウスのような著者からの自由な引用であり、中世後期のFlorilegium Gallicum（Ovide、Cicero、Seneca等のアンソロジーの抜粋がある）やDisticha Catonis.のような数多くの "引用文"の集大成によって急速に増やされたことは間違いない131。 Jean-Claude Muhlethalerの後を受けて、 Emma Dillon は、引用のこうした例について、以下のように、書いている。 Gervaisの文章を権威化すること。しかし、著者が直接的にプロローグ形式で話すストック学術大会の呼びかけは、重要な略語としての役割を果たし、特定の文献的枠組みの中に入れることで、それに続くテキストについての具体的な期待を設定する。132 Emma Dillon, Medieval Music-Making and the Roman de Fauvel (Cambridge: Cambridge University Press, 2002), 71 p66 操作すべきテキストに関するそのような「期待」の「設定」については、しかし、読者が外部の引用の出所を認識することができる能力を持っていることが前提とされた。あるいは前述の参考文献の微妙な部分が失われてしまうことが想定された。 Fauvelによって提唱された引用的な「手がかり」の認識の失敗は、“Faus-vel,”の半透明な性質を繰り返すことになるかもしれず、。十分な教育を受けた個人にのみ透過的で、無教養の（文盲の）人には不透明である。 「読者は、このように二重の課題に直面している」とDillonは書いている。 [彼または彼女は]書籍の構成要素の政治的な説明を解明しなければならない。 そのような言い回しを周囲の物語の寓意的な文脈に再結びつけることで、物語の disjunctionの問題を解決する。 このように、内挿の意味を理解することへの挑戦は、個々の構成要素の政治的な文脈に照らして、新しい道徳的な緊急性を要する。政治的意味へのアクセスは、現在、これらのフォリオをどのように読むかに全面的に依存する。 言い換えれば、危機に直面しているのは、単なるフォリオの政治的、道徳的なメッセージではなく、読むことの本質である。133 Ibid., 89. 実際に、リテラシーの問題は、教育された者の領域からは除外されており、中世後期の読書家の間において、読書することは、すぐに作家、本の製作者、光彩家、教育を受けたエリートの間の風刺の話題となった。 14世紀には、識字率が著しく高まり、書籍や敬虔文学が大幅に普及した（一部は盛んな敬虔的文化によって増強された）が、識字率と書籍所有率は必ずしも一致しなかった。古くから、書籍の収集や所有に値する高級品としての書籍の地位のために、実際の識字率にかかわらず、聖務日課の本のような聖書の内容を含む飾られた本は、中世の貴族や裕福な人々の間では、一般的であった。利用者の実際の識字率とは無関係に、収集または所有に値する高価な豪華な品物としての本の状態によっていた。 このように、本は別のタイプのシニフィアン（記号表現、能記）であり、その内容を読んだり、分かりやすく知っていることとは別に、所有者の富や威信を反映した金銭的な象徴であった。文盲でもこれらの本を読み解くことができるようにするために、製本者はしばしば、光彩や画像を使用して、テキストによるものではなく、画像読み取りの視覚的な領域を提供した。 p67 p68 書籍とは別に、学者は長い間、ゴシック様式の大聖堂の壁に刻まれた怪獣の実体の謎を指摘してきた140。大聖堂の壁は、本のように "読む"ことができると考えた人もいる。 いずれにしても、獣のイメージは、テキストを視覚の領域に翻訳して、神学的な記憶を補佐し、分盲者のために学ぶ役割を果たした。 一部の教会員にとっては、記憶の視覚的手がかりとしての怪物の兆候の存在は、逆効果をもたらした。 Saint Bernard of Clairvaux’s Apologia of 1125ｄえ,彼は以下の意見を述べている。 そのばかげた怪獣は、何と変形された美しさと美しい変形の驚くべき種類であろうか？ そこにいる汚い猿は何だ？ 激しいライオン？ 巨大なケンタウルス？ 生き物は、ある部分は人で、ある部分は獣なのか？ 縞模様のトラは？ 戦う兵士たちか？ ハンターが角を吹いている？ あなたは1つの頭の下に多くの身体を見ることができ、逆に1つの体の上に多くの頭を見ることができる。 一方の側では、蛇の尾が四方に、他方の側では四頭の頭が魚の体の上に見える。 その上に動物は、前半は馬で後ろはヤギ。 ここでは前方に角がある生き物が背後は馬である。 要するに、驚くべき多くの様々な矛盾した形態が見られる。本よりも大理石（ゴシック様式の大聖堂の壁）むしろそれはあり、神の律法を瞑想するよりも、一日のうちに一人一人を驚かせるということが分かる。 Saint Bernard が指し示す悪は、好奇心であり、曖昧なイメージが精神錯乱を引き起こす原因となる、望ましくない曖昧なイメージの能力の子孫である。それは、中世の記憶の芸術（ars memoria）に依存している。 大聖堂の壁にある一連の荒々しいイメージのある「不思議」は、誤って、敬虔な瞑想からキリスト教徒を逸らし、（視覚的な）シニフィアン（記号表現、能記）とシニフィエ（記号内容、所記）を歪んで結びつける原因となる。記憶を助ける実践の好奇心は、Marye Carruthersが説明するように、どちらも中心の宗教心理学からの「不思議」と精神的な「さまよい」を表していると説明している。 好奇心があるということは、「注意深い」、あるいは「集中している」とは逆の状態である。あなたのイメージが何の手がかりになるのかを見失ったときに起こることは.、 「精神的虐待」のさまよいと色欲への「安定した場所」を見つけることによる好奇心のための糸口となる。142 Mary Carruthers, “Reading with Attitude, Remembering the Book,” in The Book and the Body, Ed. Dolores Warwick Frese & Katherine O’Brien O’Keffe (Notre Dame & London: University of Notre Dame Press, 1997), 17 意思決定プロセスの「安定した場所」の喪失は、その指示対象からのサインの調子を狂わせる。サインをランダムな関連に、「さまようこと」に、そして自由なプレイに投げ込みながら。 埋め込まれた意味の手がかりをつくると、表面のイメージはそれ自身を表す兆候に過ぎず、心は、それが表現するはずの意味ではなく、徴候の感覚的なベールでそれ自身を楽しませる。このような状況において、「Faus-vel」は、テキスト、イメージ、または記譜のすべての兆候が、潜在的な「虚偽のベール」、ミスリードになる可能性があるという警告として読み取られる。 危険は、無学な牧師にとっては、いっそう顕著であった。そしてエリートは、その正確な神学知識が、官能と罪の不安な効果に対する強力な解毒剤となっていた。読むことができないと、文盲の人たちは、彼らが聞いた言葉や受け取ったイメージを正しく解釈する良き忠実さに頼るだけで、テキストの真偽を見分けることはできなかった。 p70 Reading Beasts Reading: An Illiterate Fauvel? 余白の獣もまた、文盲の読者が、知的にその言葉に触れることなく、無意識に読むシミュレーションを風刺する役割を果たした。 中世後期の光彩において本のイメージを調査したLaurel Amtowerは、文盲の読者や知性のない読者を楽しませるために、しばしば獣が頻繁に使用されていたことを示している。.143 Bohun Psalter（folio 46v）の余白にある、写本を読んでいる牛の存在や、 Hours of Mary of Burgundyの雑多な動物の”読者”の存在は、たとえば、 好奇心がある読者の逸脱した集中していない特徴から、朗読の異なった「意味のある」モードを区別しているようにみえる（図2.2）。 Fig. 2.2. A Reading Cow. Bohun Psalter, London, British Library MS Egerton 3277, fo. 46v. (Picture: Laurel Amtower, Engaging Words, 56.)  Amtowerは、「読者の内面の状態、そしてその本との親密さの質は、訓練された獣の官能的に動機づけられた行動から、意味のある活動を分離して重要なことに、彼女は、獣の記号を使って、非知的な読書行為について書いている。 風刺して、読むことの両方のプロセス... [そして]知的職業で読書を乱用する財産。聖職者は、写本の中から適切な役割を果たし、本から歌い、死者のための聖餐や儀式を提供するが、意図的であろうとなかろうと、誤りに対する傾向を表示する。 このようなパロディーは、宗教的思想を支配しようとする聖職者の財産を損なう試みを意味するかもしれない。145 興味深いことに、fr. 146 には、読本としてFauvelの光彩を提示しているところはどこにもない。 一方、 folio 26vのcolumn a（ fig 2.1 上部を参照）に見られるような光彩は、Fauvel を獣の歌手として提示し、 Lady Fortuneを魅了する自然な音楽的本能（またはその欠如）に頼っている。 Fauvelの歌手としてのペルソナは、特に、Chaillouのaddicions魅力によって強化されている。特に、拡大されたRomanの後半において。 Fauvel とLady Fortuneは、歌を通して146、 文献引用を通した論争と説得のモデルを手慣れたモデルは避けながら、数多くの場面での論争をした。しかし、Fauvelの作者名147は、典型的にはfr. 146 の中で数回繰り返される。 彼の本から聴衆に声を出して読んでいる。fr. 146のFolio 10rのb列とc列に見出された2つの注目すべき光彩は、自分の作品を読む作者を描いている（Figure 2.3参照）。 Figure 2.3. Fr. 146, fo. 10r.  146 ”音楽的論争”のこうしたケースは、 column b of folio 15ｒで見られるDouce dame debonaireにおいて、非常に面白い効果で使われている。そこでは、Fauvel と Lady Fortuneは、互いに交互に歌っている。 Fauvelは、Fortuneへの愛を表現しているが、彼女は、常に、彼の言い分を侮辱しており、 “Ja m’amour ne te leirai” (I will never give you my love) を繰り返している。このシャンソンはまた、fr. 146にunicaであることで重要であり、ここでは、2つの音“je’s”は、同じ歌で、ロックインされる。 A transcription of the piece can be found in The Monophonic Songs in the Roman de Fauvel, Ed. Samuel N. Rosenberg & Hans Tischler (Lincoln & London: University of Nebraska Press, 1991), 56-8. 147 fr. 146の光彩の作者が 、Gervais or Chaillouであるかははっきりしない。作者のイメージが作者の想像的位置への単なる代理人であったことは、あり得る。 列bのイメージは、典型的な作者の献身を示している。作者は彼の（神聖な）パトロンの前でひざまずいている。 Gervaisの元のテキストは、Fauvelの最初の本を締結しているが、Chaillouの拡大版では、列cで、宗教的重要性のある神と男へのGervaisの献身的なしぐさに共鳴して、第二作者の肖像画の下に保存される。 ここで私は終わりを尽くしたいと思いますが、私がFauvelにあまりにも近づけば、敬虔に祈りましょう。そして、愛された神と聖なる教会は、私が中止する前に、この小さな本が喜んでいます。 1310年。 聴衆へ本を読んであげている作者の同様の光彩は、folio 11rのページのきわにみられる。ちょうど、Chaillouが、Lade Fortuneと結婚するFauvelの計画と、Fauvelが最後にはVaine Glorieと結婚することを予期しているように。 folio 11r  列aの、読書をしている作者の読者の形象に接して、列bにあるFauvelの姿は、王の衣服に包まれ、その姿は、完全に馬のようなものである。 folio 11r  同じページにある両方の画像のコントラストは動きがない。作者は座って読書をし、folio10rの列cのものと同じ状態を表示して、見る者に向かって、彼の持つエネルギーを指し示す。Fauvelも座って、2頭の獣の頭が備えられた王座に彼の力の誇るべき威容を注いだ。あたかも、力の三頭政治、（非）聖なる三位一体の歪んでひねくれたバージョンを生み出すかのように。 作者の視線が本の活字の部分を見ている間、本のないフォーヴェルは、読者の目のまわりで光彩の枠を真っ直ぐに見ている。私たちの注意が、羊皮紙の葉っぱからの葉っぱを蛇行して、Fauvelの催眠術の視線に合った時、Fauvelのこのイメージが、私たちの読者的な動機を反映する以外の我々の獣性を反映し、敬虔なattentusから好奇心の瞬間を逃したかどうかは疑問である。。 内挿されたFolio 28 bis rectoでは、Fauvelの別の画像に遭遇する。それは、Folio 10rまたは11rに示されているような、読書をしている作者に似ている。 Fig. 2.5. Fauvel the orator, fr. 146 fo. 28 bis recto.  ここでは、Fauvelは、Folio10rの列cに見られた、視覚的に同様のaudienceに呼びかけていると見られる。(refer to fig. 2.3)151 Jean-ClaudeMuthlethalerやEmma Dillonのような学者は、Fauvelのこの話すようなイメージと並置された、作者の執拗な読者との関係のイメージとの間での類似の度合が、我々に、両方のイメージの間、すなわち、本の存在または不存在の間の決定的的相違を詳しく調べさせてくれることを指摘した。特に、Folio 28 bis rectoのイメージにこの本が存在しないことは、Fauvelの口承性を強調し、テキストに頼らないことを強調する。 一方、 Folio 10rと11rの,本を読んでいる作者のイメージは、作者のリテラシーを、本の象徴を通して学のある聖職者として再評価し、一般的な読書の彼の行動は、熟達した雄弁者として確認する。このことは、Fauvelが馬鹿で無識字の獣である可能性を示唆しているのだろうか？また、musicusの罠に不足している思慮がない、不合理なcantorでもあるのか？ fr. 146のFolio 23vで、Fauvelは失敗したLady Fortuneへの求婚を嘆き、彼はVaine Glorieと結婚する。 混乱して、fo. 23v の列cのテキストは、audienceに、"Lors a Fauvel ceste balade / Mise avant de cueur moult malade"（ "それからFauvelは心を病み、次のバラードとともに前に出た）という糸口を与えることによって、Fauvelのラメントを予期している 。153  fo. 23v 列ｃ しかし実際には、正式なバラードが154歌われる前に、 incipit に続いて、Providence, la seneeが入り、 これは、詩の８音韻行からなる3節のvirelaiであり、それぞれの節の最初と最後で、以下のような4行の７シラブルのルフランで挟まれている。155 Providence, la senee A poinnes m’a encline A savoir que destinee M’a desques ci destine. Providence, the wise, has with effort led me to realize that destiny has destined me for this state.156 154 14世紀初期では、バラードは通常、一般形式においてaabCであり、それぞれが同じ（メロディとテキスト）ルフランCを含む、３つの構造的に同一のスタンザaabから成り立っていた。aにおいてcoupletとして使用されている押韻は2番目に繰り返される。両方の等しい押韻のスタンザは、 音楽の最初の部分aは音楽的なouvert,で終わり、2回目は音楽のclos で終わり、第2部分bは、残りの行で歌われる。 155 バラードの formes fixes（詩形）は、 Virelaiのそれとは、ルフランの構造的位置や詩の押韻スキームにおいて、異なっている。 求婚の拒否によって完全に落胆したFauvelはballadeとvirelaiを混乱し、歌のジャンルの音韻、押韻を忘れてしまった。Chaillouや書記が、単に一方のジャンルを間違えてコピーエラーを起こしたと主張されているかもしれないが、 "balade"と "malade"の強い詩的同調は、この誤った関連付けが、意図的ではないにせよ、工夫されて提示されたように思われる。 よくよく考えれば、Fauvelのジャンルの混乱は、Gervais / Chaillouといった作者の figureの架空の制御下で、作者の言葉や作者のincipitの糸口に反してvirelaiを実践するFauvelのperformative agency の間の破裂を招く。 すでに、滑りやすい、不鮮明な‘記号表現 (signifier)であるFauvelは、彼のvirelai "nient raisonnable"を歌って、作者の予言による封じ込めを逃れることさえしている。教育を受けた（音楽の）読者は、Providence, la seneeの詩的で調和のとれた内容を判断することによって、すぐにballadeとvirelaiの間の違いを把握したであろう。しかしながら、Fauvelのようなcantorたちは、ジャンル固有の構造的特徴を徹底的に知ることなしでは、不一致を発見することができなかったであろう。 Fauvel column スタンザ （効果的ではあるが） |
