| MEDIEVAL MUSIC
第13章 |
| ｐ334(304) ＣＨＡＰＴＥＲ ＸⅢ Sｅｃｕlar Ｍｏｎｏpｈｏｎｉｃ ＳｏｎｇⅢ The Diffusion of Vernacular Song in Other Countories of Western Europa SECULAR SONG IN GERMANY ドイツでは、北フランスのように、トロバドールの影響以前に存在した世俗的な母国語歌が存在した。移民としてのドイツ民族の時代からscopsとして知られた歌い手たちは、社会、軍隊、宗教的生活を活発に営んでいた。より定住した生活を営んだドイツの人々はＳｐｉｅｌｌｅｕｔと呼ばれ、scopsに置き換わっていった。ジョングールの相方、Ｓｐｉｅｌｌｅｕｔｅは、社会階層的には低かったが、ドイツ的伝統の保持やドイツ文化の伝播には重要な役割を果たした。もっとも古い世俗歌は、我々の期待通り、ラテン語で書かれているが、けCsampridge songsにあるような民謡調は、Ｓｐｉｅｌｌｅｕｔの世俗的なレパートリーにも出現している。 こうしたレパートリーのうちの別の部分は叙事詩から成っており、chanson de gestと比較して、ドイツの人々のキリスト教以前の神話や古代伝説を保存している。ただし、こうした初期のレパートリーはほとんど残っていない。 THE MINNESINGER 古い時代の伝統の存在にもかかわらず、ドイツ語の世俗歌のドイツ語の世俗歌の歴史は実際に、Minnesingersによる抒情詩の発展とともに始まる。彼らはトロバドールやトロヴェールのドイツ人版である。その名前は、宮廷愛（Minne)の主題を反映している。そのコンセプトは明らかに、プロヴァンス語やフランス語の先達あるいは同時代人から受け継がれている。 こうしたnationalityや熱狂主義に依り、ヨーロッパの学者たちは、minnesingersたちがトロバドールやトロヴェールたちを模倣した程度を強調したり軽視する傾向にある。しかし、Minnesingersの芸術は明らかに、フランス語の影響を受けている。宮廷愛にとらわれることなく、Minnesingersたちは詩のいろいろな型式を採用し、技術や形式を模倣した。そして、フランス語やプロヴァンス語の歌のメロディを借用した。こうした重みは無視できない。 我々が観察するトロバドールやトロヴェールの詩の形式の多くは、Minnesingesたちの歌に再現されている。恋人の不義に悩む女性のlamentは、chanson de toileに比較し得る。プロヴァンス語のtensoとjeu partiは、Streitgedichtにその相方を見出す。pastourelleは、主たる感化ではないとしても、春の回帰を祝うような素朴な啓示の描写のような多くの歌に影響を及ぼしていた。 十字軍はKreuzliedを生み出し、多くの歌がその他の宗教的あるいは政治的話題を取り扱った。ドイツ語のLeichは、聖俗の主題の取り扱いにおいてあるいは定型的な性質において、フランス語のlaiに相当する。最後に、宮廷愛がMinnesingersにその名を与えたことは、言うまでもない。 ドイツにおけるフランス語の宮廷愛の概念の受け入れは、少なくとも、その原理においては、騎士道の規定によって生きた貴族的社会の存在に依存していた。そのような社会は１２世紀後半にやってきた。ことに神聖ローマ皇帝のホーエンシュタウヘンの宮廷において、フレデリック赤ひげ王(1152-90)、その息子ヘンリー６世(1190-97)、そして孫のフレデリック２世(1197-1250)の時代である。 1156年、フレデリック赤ひげ王は、ベアトリス1世 (ブルゴーニュ女伯)と結婚した。そのために、フランス人との直接の関係を確立した。少なくとも、一人のトロヴェール、Guiot de Provinsは、ベアトリクスの宮廷（そこはパリのやや南東の小さな町で、ProvinsとProvenceとを混同してはならない）の一員であったことが知られている。 帝國の宮廷には、the Confession of Gliasの著者であり、おそらくは漂浪詩人ではもっとも偉大であるArchpoetのラテン語歌も流通していた。1161-1166年のArcpoetのパトロンは、ケルンの大司教でありフレデリック赤ひげ王の宰相でもあったReginald von Dasselであった。 こうした文化的な交流は不可避的にドイツ語の詩の発展を促した。ヘンリー６世は彼自身、Minnesingerであった。そして、歴史的皮肉のひとつではあるが、ヘンリー６世は、王室のトロヴェールでもあったリチャード獅子心王を、身代金を支払って、オーストリアの公爵の誘拐手による死の淵から救ったのである。 Minnesongのフランスの影響と発展は、しかし、帝國の宮廷に限られない。1161年、Count of Thuringiaは、フランス王子としての教育を受けるために、彼の息子を、ルイ７世の宮廷に送った。その息子たちのひとりhermanは、フランス語視の熱狂的支持者となり、Minnesngerたちの熱狂的パトロンともなった。 Minnesingerの最初の期間はおよそ1160-1220年頃である。同じ年頃、フランスでは、トロヴェールの最盛期を迎えていた。この時代、ドイツ全土での抒情詩や歌の普及に関心を持ち、Minnesingersは多くの異なる場所からやってきた。 貴族の高い階級出身のMinnesingersたちは、彼ら自身の宮廷を持ち、むろん、パトロンには頼らなかった。より低い階級の人たちはしかし、以前にトロバドールたちがそうしたように、たびたび宮廷から宮廷へと遍歴した。 こうした人たちの中で、ベストの詩人が、Walther von der Vogelweide(c.1170-1228)である。他の人たちの広範囲な活躍にもかかわらず、ほとんどの初期のメロディは現存していない。詩のいくつかは、あきらかに、プロヴァンス語やフランス語のモデルの模倣であり、学者たちは、それに相当するドイツ語テキストのメロディをあわせることによって、初期のminnesongsのレパートリーを再構成していった。 こうした過程はいくぶん疑わしい。特に詩の型式が、ドイツ語テキストがcontrafactumであることを指示しているのみの場合は。 さらに疑わしいのは、minnesingerのバージョンへの３拍子の適用である。ドイツ語のprosodyは、プロヴァンス語やフランス語と異なり、それぞれの行において、アクセントのあるシラブルが多数ある。アクセントのないシラブルは、行の最初と内部で、加減される。それゆえ、それぞれの行におけるシラブルの数は一定ではなく、音符は、フランス語のメロディをドイツ語の詩に適合させるような装飾において、つけられねばならない。 こうした困難と、Minnesingersが彼らのメロディをトロバドールやトロヴェールから借用したかどうかという不確かさは、初期のレパートリーの調査をかなりあいまいにしてしまう。 Walther von der Vogelweide作の、完全なメロディを保持する数少ない詩のひとつは、Palestine Songである。Gennrichによれば、このメロディさえも、Ｊａｕｆｒｅ Ｒｕｄｅｌの作品のひとつをもとにしたものだという。実際、ふたつのメロディは互いに似通っており、Gennrichの主張は若干大げさにも思える。我々は、オリジナルなMinnesingerの音を持っていると思われる。 Walther von der Vogelweideは、Minnesingerの活動の”古典的”時期を示している。しかし、彼の詩はすでに宮廷愛の古典的理想からはかけ離れていた。こうした理想の人為化は、Waltherが”その第一原因を取り除くことにより、近づきがたい女性をbreakした”愛の抒情詩の行き詰まり”の元になった。 ラテン語の詩人のように、愛は、相互に人間となった。同様な博愛主義は、Waltherの政治的道徳主義的歌を広め、彼の主たる貢献は、高度に文学的レベルの歌の高揚させることであった、と言われれている。ことわざで知られているように、この手のタイプの歌は明らかに、Carmina Buranaやそれと同じようなトロバドールたちのsirventesのような道徳的風刺的詩に関係している。 13世紀には、ことわざはドイツ人詩人とともにその人気が増加していったが、フランス人の相方のように、貴族サイクルよりもむしろブルジョア的いなっていった。こうした発展とともに、宮廷愛に対する興味は次第に薄れ、他のタイプの歌が出現してきた。ドイツ語のモノフォニックソングは、ルネッサンスのマイスタージンガーへの道中で始まっていた。 宮廷愛の歌から離れる傾向は、Waltherの若い同時代人、Neidhart von Reuentha（c.1190-1236)で明らかである。限られた意味での騎士、Neidhartは、Bavariaやオーストリアの宮廷で歌ったが、彼は、素朴な生活や習慣を描く貴族的視の手法や形式を用いた。 Neidhart の詩の大部分は、夏の歌と冬の歌の2クラスに分類される。こうした詩においては、概して、四季の描写は、詩人がたびたび参加する偶然の実際の物語に先立つ。最後のスタンザは通常、より個人的なことへ向けられるが、ときにNeidhartの名前は、我々が彼の生活について知っているわずかな情報しか与えない。なぜなら、夏と冬の市はたびたび歓喜であり、ダンス様であり、多くの学者たちはその歌はそれ自身、ダンスに対する音楽を指向している、と記述するからである。 多くの理由に対しての仮定は考えにくい。refrainはダンスの本質的特質ではなく、Neidhartの詩におけるこれらの完全な欠落は、すでに疑問が上がっている。さらに、詩の長さや内容やその洗練された詩的音楽的形式はどれもが、当時知られていたダンスソングとは似ても似つかぬものだったのである。 Neidhartの詩は嘲笑的な、おそらくは、上位の聴衆の意識の娯楽に対する技巧的なソリストによる素朴な習慣のセミドラマティックな描写を示している。 それらの機能がどうあれ、Neidhartの夏と冬の詩は、長年続き、多くの模倣者を生んだ流行を確立した。こうした人気の結果、Neidhartは、我々がその多くの音楽を所持する最初のMinneisingerとなった。 彼の作と思われるもっとも大きな歌のコレクションは、15世紀からのものである。それは132項目あり、それぞれはメロディのために譜線が書かれている。そして、初期は４５のメロディを書いている。これらのうち、１５はいっぱんに、真正のNeidhartによるものとみなされている。残りは偽Neidhartとして分類され、後の時代の模倣者によるものである。２～３のより生粋の詩は、メロディを伴い、他の写本資料にも出現する。 夏の歌は、一般的には、Neidhartのより初期の活動期のものとされている。その詩のスタンザは短く、比較的単純な形式であり、これらの詩のための２つのメロディが現存しており、それらはフレーズの繰り返しパターンはなく続いている。 他方、冬の歌は、概して長いスタンザを持ち、入念で３分割形式である。そのメロディは、aabパターン、いわゆるバール形式を取っている。バール形式は、数世紀にわたって、ドイツ語の歌を特徴づけてきたものである。 この形式は明らかに、トロバドールやトロヴェールたちのcansoやシャンソンと関連している。しかし、フランス語のバラードのように、決してrefrainを含む形式を導かない。その代わり、作曲者たちはすべてaabの構造内に異なった繰り返しフレーズを創造することによって、満足を得ていた。ｂセクションは全体的に新しい。両方のセクションが同じフレーズに接近した結果が、rounded Bar formである。 Neidhartの歌の２つの例が2つのタイプの間で示される（AMM No.48,49)。夏の歌であるIne gesach die heideは、８スタンザからなり、むしろ短い行である。最初の行の2組は、３拍子形式で同じ音楽で歌われる。しかし、それぞれの残りの４行はそれ自身の音楽フレーズを持っている。それゆえに、メロディは、韻律ab ab ccdcによって示された構造パターンを無視する。 冬の歌Owe,lieber sumuerのスタンザはより複雑である。これら１０のより長い行は、abc abcの韻律を持ち、メロディは典型的なバール形式である。この長い形式は明らかであるが、その精妙な内部フレーズの関連は、異なった解釈を導く。 Minnesongsの記譜のドイツ語のメソッドは、同じ写本からの同じ歌の転写における変異のために、たびたび現代の校訂者にとっては、多くの混乱を生じさせている。メロディの下に最初のスタンザがセットされるフランス語のシャンソン集と異なり、ドイツ語の写本はメロディを詩の上の空白スペースに書いている。単一の音符が支配的であり、時に２音の連結符がある。わずかな例外を除いて、音価は非計量的であり、フレーズの終わりは示されていない。バール形式の繰り返し部分は、しばしば省略されている。メロディ様式はほとんど完全にシラビックであり（Neidhartの歌と同様に）、このような記譜法は、現代の校訂者にとっては、問題が大きいのである。音符の数やシラブルの数はほとんど一致せず、そうした一致がなされなければいけない。 その結果、我々は、Minnesingerのレパートリーの出版された版が中世の演奏者が実際に歌った本当のやり方を示しているということを、トロバドールやトロヴェールたちとともに確かめることは難しい。大部分の写本の資料の（研究の）遅れは、不確実性を増すだけである。 にもかかわらず、Neidhartの歌や一般的なドイツ語歌の音楽様式についてコメントすることは可能である。ドイツ語詩の実際の性質は、フランス語やプロヴァンスとは対照的であり、より簡単に規則的な音律を適用することができる。これらの音律が２拍子か３拍子かを決定するのは不確かではあるが。 Neidhartの歌でも一般的なドイツ語歌でも、リズムの固定性とドイツ語歌の硬直性は、フランス語やプロファン巣後のより柔軟な優雅さと鋭く対照的である。ドイツ語歌はまた、概念的に角張っており、音の跳躍や三和音的展開が多い。こうした性質は、本質的に完全に5音階スケールの頻繁な使用と関係している。 他方、Minnesingersたちは、トロバドールやトロヴェールたちよりも、より密接に教会旋法に固執していたことばしばしば言われている。これはある程度は正しいが、しかし、旋法的な純粋さは、後の世代の歌手たちによる改訂の結果であるとも言える。より古いメロディのいくつかは、モード的にはあいまいであり、異なった旋法の間の交代が見られるし、作品の最後の一致もない。NeidhartのIne gesachはその典型である。 我々が概して言えることは、ある種のドイツ的特徴にもかかわらず、トロバドールやトロヴェールたちや初期のMinnesingersたちのメロディは多く共通している、ということである。 MINESONＧ IN THE LATER THIRTEENTH CENTURY AND BEYOND ５０のメロディが、Neidhartのドイツ語の校訂者が劣位の模倣者たちの作品であると考える詩に属している。その後数世紀にわたって注目されることになるステレオタイプ化した音楽形式の傾向が、すでにこれらの作品で明らかである。 ますます作曲家たちはrounded Bar formのマイナーチェンジで満足するようになった。彼らは、こうした形式の原則を使い、第２セクションはしばしばしかし、新しいフレーズで構成されている。 こうした形式のより成功した例は、aabaとして示されるが、よく知られたMaienzitである。この曲は厳密に五音階であり、しばしば音楽的アンソロジーに含まれる偽のNeidhartの歌である。概してしかしながら、形式の使い方は、物的意味合いよりも発明の才の貧困を示している。 Neidhartの無名の模倣者たちに加え、13世紀はその名が知られた多くのMinnesingersを生み出した。ブルジョワ作曲家の優位性にもかかわらず、貴族的なメンバーたちは、14世紀や１５世紀においてさえ、歌を書き続けた。 最後に、Minnesingersの流れはそのもっともカラフルなOswald von Wolkenstein(1377-96)において終わることになる。Wolkensteinとザルツブルクの僧はモノフォニックソングと同様、ポリフォニーも書いた。それゆえ、彼らは中世のモノフォニーを発展させ、ルネッサンスにおけるドイツ語のポリフォニーリートの歴史を始めた。 マイスタージンガーたちの歴史は、ルネッサンス初期に属する。詩人と作曲家のブルジョワの友愛の末裔として、マイスタージンガーのギルトは、歌の質から判断して、あるいは彼らの歌への支配からして、彼らのメンバーの身分を確定する硬直した規則を作った。 こうした規則の不可避的な結果は、複雑な詩形式や韻律をもてあそぶ”不毛で機械的な職人かたぎ”である。Gennrichはそれぞれのシラブルがどこかで”それでも時代精神を反映する好奇心として”の韻を持つMichel Behaimの詩を引用している。 中世音楽の学徒にとって、マイスタージンガーの歌集は重要である。なぜなら、それらは初期のよく知られたMinnesingersたちの音調を保存しているからである。その音調が真正かどうか、あるいは、マイスタージンガーたちによる特徴的なメリスマによる装飾（Blumenとして知られる）が行われたかは何とも言えないが。 こうした音調のマッチングは、その仮想的なオリジナルなテキストとともに、不確かなプロセスである。そして通常は、メロディのかなりの操作が必要となる。こうして、初期Minnesingersたちの歌のレパートリーは増加していったが、その結果の真贋もまた、重要な問題となってきている。写本の伝統における欠損のために、ドイツ語の歌は、中世の世俗モノフォニーにおけるもっとも謎の領域を残しているのである。それは同時に、もっとも魅力的なことでもあるのだが。 MONOPHONIC SONG IN ITALY ナポリとイタリアの南部三分の一を領有したシシリア王国では、フレデリック2世（1197-1250)の治世時にイタリア詩が誕生した。ヘンリー６世の息子であるフレデリックは、神聖ローマ皇帝となったホーエンシュタウフェン朝の最後であり、よりドイツ人的ではなかった王は、ドイツでは影が薄かった。彼の母親からシシリア島を相続し、フレデリックは、南部で育ち、1211年になるまでドイツを訪れたことはなかった。彼の生涯で、シシリア島と南部イタリアは、フレデリックの主たる関心や行動の場であった。彼の宮廷は、東洋的な派手さにおいて有名で、彼の個人的才能は、stupor mundi(wonder of the world)と称された。フレデリックの宮廷の素材の重大さよりも、あるいは、政治家としての業績よりも、永続的な名声に対するフレデリックの主張は、彼が鼓舞し、参加した知的追及を築き上げた。 あらゆる種類の学者は、シシリア島の宮廷を当時のもっとも文化的な場所であったとみなしている。フレデリック自身も、鳥に関するこなれた論文を書き、抒情的verseの産生において、他の作者たち協力をしていた。 教皇グレゴリウス９世は、より確信的な政治的手段が、フレデリックの一見正統に見える信念を説明することに、かつて不満を抱いていた。こうした非難は、真実をも含んでいたかもしれない。ユダヤ人やムスリムに耐えながら、フレデリックは、アルビジョワ十字軍や異端尋問の恐怖から逃げ惑ったトロバドールたちをかくまった。 こうしたことはプラトニックなサービスとしての愛の概念として各国に広まったのではなく、むしろトロバドールの詩のうぬぼれと慣習的なテーマを導入した。シシリア楽派の人たちは、気兼ねなく、感覚的表現を用いた。不幸なことに、こうした最初のイタリア語の歌のメロディは現存していない。 北イタリアでは、いくぶん異なった状況であった。ここでは、トロバドールの影響が強く、プロヴァンス語は１３世紀の大部分を通して、詩の言語として使われていた。この頃にはダンテでさえ、彼がプロヴァンス語を使ったのかイタリア語を使ったのかで、議論があった。 プロヴァンス語を使ったイタリアのトロバドールについては、もっとも有名で影響力があるのは、MantuaのSordello であった。彼の愛人の数や、そして既婚者の誘惑者として有名であるが、Sordelloは、手の届かない女性への精神的愛の概念に対する執着して、母国語で書いた詩人たちに影響力を持っていた。 Faithnll bllt 丘ｕitless sel ｀゛ｉｃｅ t ｏ ａ ｌａｄy glimPsed bridy ， Pr ｅ応rably ａt Ｍ ａss ill t ｈｅ ｈｏ ｍ ｅｌａｎｄ ｏｆ the t ｒｏｕbado ｕｒs ， ｂｅｃａrｎ ｅ ａｎ ａｃｃｅＰt ｅｄ Ｐｏｅtｉｃ ｃｏｎ ｖｅｎtｉｏｎ･ 一瞥した女性への忠実ではあるが実りのない奉仕は、むしろトロバドールたちの故郷でのミサで、受け入れられた詩的慣習となった。Guido Cavalcantiは彼のＭａｎｄｅｔｔａＭ ａｎ ｄｅtt ａ; Ｄ ａｎt ｅ ， his Ｂ ｅａtｒｉｃｅ; ａｎ ｄ Ｐｅtｒａrch ，his Ｌ ａｕｒａ.を持っていた。 北イタリアの最初の詩人たちは、dolce stil nuovwの演芸として自分たちを考えていた。しかし、愛－形而上学的、幻想的ーは、叙情詩の排他的テーマとして残されている。この具体化されない愛は、作曲家たちにはほとんどインスピレーションを感じさせない。そしてー詩と音楽の損害に対してー両者は、分離した道を歩み始めた。詩人として作曲家としてのトロバドールの伝統は衰退していった。ほとんどのイタリア人詩人は、彼らのverseに音楽をつけることはなくなり、そもそも、歌われることさえ、意図しなくなった。 Canzoniやsonettiは、名前だけになった。14世紀になって初めて、世俗詩（もともとは対して注目も浴びていなかったが）は作曲家たちの注目を得ることとなった。こうした発展は、モノフォニックソングよりもむしろ、ポリフォニーの歴史に属している。 LAUDE SPIRITUALI イタリアはほとんど世俗のモノフォニーを産生しなかったが、laude spiritualiとして知られる150ほどの世俗語歌が残されている。これらの賛美の歌は、もともとは宗教的なものであるが、イタリア語のテキストでは、明らかにそうではない。もともとは奇妙なものである。 1250年頃から1350年にかけて、戦争と疫病の荒廃は、実践的な徴候によって世界の罪を償をうとする、さ迷う悔悟者の連盟を促した。おそらくは、同時ではないにしても、ラウダを歌うことによって。 Cortonaの13世紀の写本中のいくつかの古い歌や民謡風のものは、プロセッションやマーチングの歌として歌われていた。ふたつの14世紀の写本中のより後の歌は非常に入念であり、プロのソリストによる演奏を示唆している。 メロディとしては、laude spiritualは、グレゴリアンチャントや、トロバドール、民謡の影響が現れている。有名な要素は、refrainを伴うラウンドダンスのよりはっきりとした公式の性質の由来で明らかである。すべてのlaudeの基本的構造は、それぞれのスタンザ後に繰り返されるオープニングのrefrainを含んでいる。しかし、laudeはそのメロディの内部構成において、かなりの多様性を示す。２つのセクションはほとんど独立している。refrainよりはスタンザは、refrainのメロディとともに終了する。 スタンザが繰り返しかつrefrainのメロディすべてを決定する新しいメロディを始めるとき、その形式はイタリア語のバラータやフランス語のヴィルレー（ＡｂｂａＡ）となる。しかし、laudeの形式をバァータやヴィルレーの固定した形式から由来すると考えることは間違いである。それらはむしろ、efrainを伴うラウンドダンスがその固有性と最後に”固定した”形式を進化させたフランス語の世俗歌で観察された発展段階を代表すべきものである。イタリアにおいては、そうした発展は、 １４世紀半ばになって初めて音楽資料中に姿を現した世俗のバラータより、laude spiritualiにおいてむしろ明らかである。 Cortona写本中で格別魅力的なlaudaは、Laude novella sia cantataであるが、それは処女マリアに向けて書かれたものである。（AMM,No.50)。詩の形式は典型的である。４つの行で構成されるスタンザは、両方の行に同じ韻を持つ2行refrainとともに交代する。スタンザの最初の３行はひとつの韻を使っている。しかし、第４行は常に、refrainの韻に戻っている。 音楽形式は、若干典型とは外れる。refrainのそれぞれの行は、それ自身のメロディーを持っているが、スタンザは繰り返しのフレーズとは始まらない。その代わりに、refrainの最初のフレーズとともに始まり、第２のフレーズとともに終了する。ともに、若干の変化はある。スタンザの真ん中の２つの行のみが新しいフレーズを導入する（下図）。  Laude novellaの形式よりも注目すべきなのはその音程である。ドーリア旋法であるが、フレーズｄを除き、それはヒポリディア旋法の範囲となっている。フレーズaとbは両者ともに5度の上昇音型レーラで始まり、フレーズｃとｄとは、下降音型レーファ、あるいはファーレで始まる。こうしたレーファーラ音の強調は、フレーズ内でも続き、カデンツにおいてより強くなる。そこでは、ラレーラファファレーラレ等で終止する。 こうした構造の注意深いバランスは、１９世紀におけるのと同じように、はっきりと音程の中心を形成する。もっとも巧妙な職人技だけが、この小さなメロディ芸術の傑作にあずかることができるのである。 THE GEISSLERLIEDER 懺悔熱はすぐに、イタリアからドイツへと広まった。それは、黒死病として知られる大疾病が1348－49年にかけてヨーロッパ中を席巻した後に、アルプスの北の毒となった。疾病を回避しようとして、しかしおそらくは、町から町へとドイツ中を旅したGeissler(flagellants鞭打ち人）のバンドを伝染させる結果に手を貸すことになった。同時代のHugo von Retlingenの年代記はＧｅｉｓｓｌｅｒの訪問について記している。そして、６つのGeillerliederの歌詞と音楽を記録している。 他の写本は、歌詞のみを保存している。このような少数のレパートリーは、社会的歴史的興味をほとんど引かない。鞭打ち人たちが宗教的運動を代表するということは信じられないかもしれないが、こうした運動は、中世後期の極端かつしばしば過度な信仰心の表現であった。少なくともGeisslerは宗教的民謡のもっとも古い例といえる。 Hugo von Retlingenによって引用された６つのうちの３つの歌は、プロセッションや旅の歌として使われた。他の３つは、実際の鞭打ちの儀式に付随していた。 幾人かの学者は、Geillerliederにおけるイタリア語のlaudaの影響について述べている。しかしこうした影響は、たとえそれがあったとしても、たいしたものではない。laude spiritualiの洗練された多様性は、ドイツ語の単純な歌とは鋭く対立するからである。 押韻する組は、すべてのテキストの基本的な要素を構成する。そして、音楽フレーズの限られた数は、組として（aabb)あるいは交代として（abab)繰り返される。鞭打ち儀式のための歌は例１３－１において示される。 最初の歌、Nu tret herzuoのオープニングスタンザにおいては、テキストの3行は最初の音楽フレーズに対して歌われる。不規則性は第４スタンザの第フレーズにおいて再現される。詩の残りは全体的に押韻された組であり、最後を除いたすべてのスタンザはフレーズaとｂのみを用いる。最後のスタンザでは、新しいフレーズｃが、４度高くなっフレーズｂとともに交互に出現するようになる（下図）。  第２，３の鞭打ち歌は、最初の歌のメロディフレーズを用いる。３番めは、最初の２つから、テキストや音楽の引用を含んでいる。そして３つの歌すべては同じ最後のスタンザで終わる。 この”refrain”は、音楽と儀式の双方の機能を与える。なぜならそれは、鞭打ち者たちが自身で十字架の形で身を伏せた時にそれぞれ３回出現したからである。 第３の歌においては、例１３－１におけるｄである新しいフレーズは、クライマックスの効果を加える。それ自身が繰り返しであり、フレーズｄはスタンザの途中で３度出現する。その全体の形は、aa ddd b 'b 'b ’となる。  例１３－１ Phrases of Flagellation Songs,with First Stanza of Nu tret herzuo プロセッション歌のメロディフレーズは、等しく、短く単純である。２つの歌は音楽的には関連し、abcbあるいはabcbcbの繰り返し形式パターンを使っている。 ３番目の歌は、すべて、同じ２つのフレーズに対して歌われる５７の押韻した組からなる。そして、異なったrefrainでフォローされる。それぞれの組の最初の行は、"Kyrie eleyson"と結びつき、２番目の行は”Alleluia:Globet sis du,Maria"と結びついている。この歌の最初の１組は例１３－２で提示している。  ひとりか２人のリーダーが押韻した組の変化したテキストを歌い、全体グループがrefrainｓとともに応答する。こうした演奏形態はラテン語典礼や、よりオーソドックスな機会に歌われた会衆の応答を伴う典礼的チャントへの歌の緊密な関係を強調する。 典礼のより少ない影響については、すべてのGeisslerliederの繰り返し形式において明らかである。こうした形式は、民謡調のメロディであり、Geisslerliederをより丹精な芸術的なlaude spiritualiとは区別される。イタリア語の歌はpopular elementsを吸収したが、それらはより多くを、トロバドールの洗練された芸術に負っている。 THE SPANISH AND GALICIAN=PORTUGUESE CANTIGAS スペインにおけるモノフォニックソングは、イタリア以上に、トロバドールの直接の影響を受けているに違いない。ウィリアム９世の統治から、南フランスの支配階級とスペインのキリスト教王との間の接触は、より頻繁かつ密接になっていた。こうした支配者たちに付随した多くの家来たちには、トロバドールやジョングルールも含まれていた。彼らはまた、自身でもあちこち旅に回っていた。フランス人のトロバドールたちは、スペイン宮廷ではすぐに歓迎され、プロヴァンス語はアルプスの南でそうであったように、ピレネー山脈の南の詩人の言語となった。 13世紀にはしかしながら、イベリア半島の母国語会話における歌が、その存在を表し始めた。もっとも古い例は、Martin Codaxによる７つのcanciones de amorである。現在、６つのメロディが現存している。Codaxはポルトガルのそばのスペインの西海岸のVigoのガリシア人の町からやってきた。彼の詩の言語はガリシア―ポルトガル語であった。テキストと音楽の双方は単純な形式であり、トロバドールたちの洗練された愛の歌よりも民謡素材やダンスからの影響を示していた。 ガリシア語―ポルトガル語のより重要なコレクションは、Cantigas de Santa Mariaである。それは、アルフォンソ賢王の宮廷で集められたものであった。アルフォンソ王は彼自身自身が400以上の匿名歌の収集に貢献した。いくつかのケースでは、Cantigasは、トロバドールの歌が歌われた文化的で貴族的社会が起源であった。 Cantigas de Santa Mariaのより普通ではない観点では、それらの主題の統一とコレクションのシステマティックなアレンジがある。歌の大多数は処女マリアによる奇跡を扱い、ひとつの歌がひとつの奇跡を取り扱っている。 それぞれの１０番目の歌、No.１０からNo.400までは、マリアを讃える一般的な歌の連続を区切っている。こうしたアレンジの規則性は、コレクションの最初で壊された。そこでは第１曲に先立つプロローグが歌われた。またそこでもまた、賛美の一般的な歌であった。 Cantigasの写本中では、歌は注意深く順序づけられている。ルブリックはそれぞれの主題を特定している。そして、異なった楽器を演奏している音楽家のミニチュアは、それぞれの音楽の賛美を区別している。 Cantigasのテキストは、最初に考えられたよりも、トロバドールやトロヴェールの伝統からはるかに離れている。まったく、テキスト自身は関連性を確立している。プロローグはアルフォンソ王自身によって書かれたが、よりよく作曲されるような質をリスト化している。そして、Rosa das rosasの歌の作者は、聖マリアの”trobadorであっただろう。 最後のトロバドール Guiraut Riquierは、１０年以上をアルフォンソ賢王の宮廷で過ごしたが、彼の歌の多くにおいて、処女マリアを祝福していることにさらに注目したい。尋問の便益のために、他の詩人もまた、聖マリアを地上の女性に置き換えることによって、彼らの愛の純粋さを醸し出していた。 しかしながら、我々は、あらゆる偽善を非難する必要はない。処女マリアの崇拝は13世紀には非常に強かった。そして、マリアに対して捧げられた歌の多くは、一般的宗教的感覚の誠実な表現であるに違いない。 こうした感覚は、処女マリアに帰せられた数多くの奇跡のための表現であった。天国の他のあらゆる聖人以上に、聖母マリアは、解決し難い問題のために奇跡を引き起こして、人々の日常生活に入り込んでいた。 彼女の特別な領域の一つは、罪の結果からの過った女性の防護であった。しかし男は彼女の助けを受けた。聖母マリアの奇跡の行いは、アルフォンソ賢王の時代より前に、詩人たちを虜にしていた。おそらくはもっとも有名なこの物語のコレクションは、ベネディクト派修道士でもあったトロヴェールのGautier Coincy(d.1236)のLes Miracles de Notre Dameであろう。Gautierは、自身の物語詩が歌われるとは考えなかったが、しかし、メロディを伴う３７の歌を導入することによって、聖マリアの奇跡の物語を変化させた。少なくとも部分的には、Les Miracles de Notre Dameは、Cantigas de Santa Mariaに対する文学と音楽の先取りを確立しており、両方の作品は同時代のニーズを明らかに満たしていた。 ８４を下らない写本にGautierのMiraclesが現れることは、その作品の巨大な人気と影響を示している。奇跡の喜びと悲しみは十分に正当であるが、聖母マリアの干渉を呼び掛けたそのボッカチオ様の情勢の詳細は、聴衆が少なくとも解放と同様に罪をも楽しんだ事実を示している。 現代の学者たちは、Cantigas de Santa Mariaを、”中世音楽のもっとも偉大なる記念碑”とみなしている。そしてこの作品を保存している４つの異なった写本は、それらの同時代人にとっても、同様に高い評価を示している。 １つの写本においては、音楽のための譜線は空白で残されているが、他の３つの写本はテキストと音楽の双方を含んでいる。意外とも思えるその計量的記譜法の使用の結果、Cantigas は、モノフォニックソングの大規模なレパートリーとして、唯一のものとなっている。 多くの歌は３拍子であい、ときには6/４や6/８拍子のこおもあったその他は明らかに２拍子である。３拍子の歌は常にリズムモードに固執していたわけではなかった。そしていくつかは、規則的音律さえ持っていなかったが、３拍子から２拍子へと変化をさせていた。逆もまた、しかり、である。 この手の歌はより古く、自由なリズム様式を反映させており、それらはまた、単に、同時代の演奏のライセンスを記録しているだけであった。いくつかのケースでは、Cantigas におけるさまざまな音律は、非計量的記譜法であるレパートリーに対して、同様の音律を適用するために使用されるべきではなかった。 こうした主題の統一に加えて、Cantigasは、この手のコレクションとしては注目すべき、詩と音楽の形式の統一性を示している。refrainを持つ詩の大多数は、それぞれのスタンザの前に、そして再び詩の最後において、繰り返しを受ける。 スタンザ固有の音楽は、refrainのメロディのすべてあるいは大部分とともに繰り返され、決定された新しい１ないし２つのフレーズと共に始まる。多くのCantigasに対する一般的形式、はA bba A bba A,etcとして表される。すなわち、フランス語のヴィルレーのパターンやイタリア語のバラータ、そしてlauda spiritualiのパターンである。 この形式は固定しているように見えるが、より大きいセクション内でのフレーズの関係や配分においては、かなりの自由度がある。それゆえに、個々のフレーズの分析は、基礎形式の多くの多様性を見出すことになる。 Rosa das rosas（No.10)はABccdbABのパターンである。より簡単には、ABa'a'abABとなるが、Aque serven todo'los celestiae(She whom all celestial beings serve)に現れる。 Santa Maria amar（AMM No.51)は、より長いテキストのセッティングの短縮形である。ここでは、３～４の異なったフレーズが、refranや６行の、そして１２のスタンザの音楽を供給している。 ABA' ABC dba' dba' aba' abc ABA' ABC 第３フレーズA'は、リズムの置き換えと音高の変化によって、フレーズAの最初の3音と異なっている。フレーズA'のリズムパターンから、フレーズCで始まっている。フレーズCはフレーズA,A'のカデンツ形式で、5度低く移調されている。 フレーズCの次に、ドーリア旋法となり、フレーズdの注目すべきエントリーは、オクターブ高く始まり、そのスタンザの始まりを際立たせている。フレーズAとdはリズム的には同一であり、最後の2小節は音楽も同一である。フレーズCが唯一、下のレ音で終わるが、フレーズAはそのレ音で始まる唯一のものである。そして、フレーズdは、そのメロディがオクターブ上のレ音まで到達する唯一のものである。こうした音高の極端な使い方と制限された使用によって、無名の作曲家は、単純で微妙に変化し、相互関連したフレーズを形作ったのである。 多くのCantigasに対する一般的な形式の起源とこのようなメロディ様式の元は、研究対象であり、論争が多い問題でもある。しかしながら、Cantigas de Santa Mariaが、後にフランス語のヴィルレーやイタリア語のバラータへと固定していった形式の拡大使用をした最初の歌集であることは強調されなければならない。Cantigasのメロディ様式は単純、完結で、本質的にはシラビックである。装飾的形態はほとんどなく、せいぜい、２～３の音符がひとつのシラブルに付く程度である。であり、 メロディの動きは主として段階的であり、時々3度跳躍がある程度である。大きな跳躍は、通常、フレーズ間のみで現れる。シラビック形式の結果としてのそれぞれの短いフレーズは、はっきりとしたカデンツやリズム、形式の繰り返してき性質によって、明確化されている。 こうした性質のすべては、しばしばダンスのようで、ほとんど人々に膾炙されているメロディを産生するために結びつく。Cantigasにおいては、ミスのないスペイン語の風味が見出されている。通常しかし、こうした風味を創造する調味料は、不特定のまま残されている。どのくらいそれは、スペイン語のテキストの存在に依っているのであろうか。 答えがどうであれ、Cantigasは我々に、モノフォニックソング全体のレパートリーにおいて、もっとも魅力的なメロディを与えてくれる。もしも奇跡のためのそぼくな説明をするための固有の精神を受け入れるのであれば、我々は今日、Cantigas de Santa Mariaがアルフォンソ賢王の宮廷のために差し出した喜びや娯楽を経験することができることだろう。 MONOPHONIC SONG IN ENGLAND 多くの理由により、英国は、中世の世俗モノフォニーの歴史には、ほとんど何も貢献してこなかった。エレアノールはトロバドールやトロヴェールのパトロンとなったが、英国には彼らの芸術はほとんど足跡を残さなかった。12世紀に、英国は、ノルマンディ、アンジュー、アキテーヌの広大な大陸の帝国のごく一部分にしか過ぎなかった。エレアノールの再婚相手のヘンリー２世（115=89)は、彼の治世の過半を大陸で過ごした。 彼らの息子リチャード獅子心王は、彼の王位１０年のうちで、わずか6ヶ月しか英国では過ごさなかった。さらに宮廷の言語はノルマン－フランス語であり、そこで作られた歌は、トロヴェールの文学に属していた。大陸の領地の大部分が英国からフランス王へ移ると、フランス語は、13世紀中と14世紀の大部分の間、英国宮廷の言葉として残っていた。わずかに散見する母国語詩と散文の例が、英国文学の最初の盛隆期、ウィクリフの聖書やW.Langlandのvision of Piers Plowman(c.1370),チョーサーの作品群などが出現する14世紀後半に先駆けて存在する。それゆえ、英語のテキストを持つ歌が、中世にはひとにぎりのものしかないことに関しては、驚くにはあたらない。 メロディと共に残っているもっとも古い英語の叙情詩は、北英国のサクソン人の隠者で1170年に死んだSt.Godricの作とされている３つの歌である。伝説では、それらの歌は、Godricに対して、英語版であるように命じられ、そのためにそれらは母国語の典礼歌である印象が与えられた。２つは祈りであり―ひとつは処女マリアに対し、もうひとつは聖ニコライに対して―３つ目は天使が”Kyrie eleison"を歌う。その前後に、亡くなったGodricの妹の魂によって、天国での彼女の振る舞いについて語られた歌である。こうした歌の記譜法は非計量的であり、それらが模倣した典礼音楽の自由なリズムで、疑いなく歌われている。 13世紀の英国の歌は、（12世紀よりは）若干増えている。もっとも良いものは、何度も出版されたWorldes blisである。大地の喜びの変遷に対するこのlamentの悲観的な音調は、人生の短さを思い起こさせるべつの歌とマッチしている。それは、Man mei longe him live s weneである。 両方の詩においては、スタンザの最初の４行は、韻律abab（訳注；テキストは通常文字で表される）を持っている。旋律は、大陸のcansoやシャンソンを思い出させるような繰り返しが使われている。この繰り返しは、Man mei longeにおいては、正確にabab（訳注；メロディはイタリック体で表される）である。 Worldes blisの最初のフレーズは、abcbパターンであるが、フレーズcは、フレーズaからの動機で、２回繰り返される。 両方の歌は、オープニングフレーズの変形した形で終了する。より純粋に世俗的であり、かつしかしほとんど快活ではないのは、断片的な歌である、Mirie it is while sumer ilastである。 英国のラブソングの一つで、メロディを保有しているのは、Byrd on brere（AMM No.52)である。歌は12世紀の教皇大勅書の裏に筆写されているが、その計量的な記譜法は、これが13世紀後半か14世紀初期のものであることを証明している。longs,breves,semibrevesが明瞭に区別できるが、譜にはさらに問題が残っている。なぜなら、書かれた音価は、必ずしも規則的な音律の結果とは限らないからである。 AMMにおける版は、オリジナルの音価に従い、校訂において何ら音律の統一などは行っていない。 第１スタンザのテキストのみは、メロディの下に書かれている。さらなる困難が、第２、３スタンザのいくつかの行におけるシラブルの数の不一致として見られる。第４行においては、たとえば、アップビートは明らかに、第１スタンザのみに現れている。もしもそれが他で省略されなければ、それは４拍子の最初の拍となるに違いない。 さらなる問題が、"Rewe(mercy)"の言葉で始まるオリジナルの第２の譜線の記譜において持ち上がる。フレーズの中間でのあり得ない短6度の跳躍は、書記が間違ったclefを使った可能性を示している。そうであれば、ここからのメロディは、3度下げらられるべきであろう。 最後に、写本におけるテキストと音楽の配置についてであるが、それは、歌がポリフォニー作品であることを意図されていたことがわかる。"Rewe(mercy)"に対するテキストの最初部分は、その上に引かれた２つの譜線がある。下の部分は空白である。テキストの残りは、その上の一つの譜線のみを使っているが、テキストの2行は他の完全な譜線に適合するように十分なスペースで分離されている。書記が、英国のやり方に従って書かれた２声作品を予想したテキストを写譜したものと思われる。 Byrd on brere（AMM No.52)に関する不確かさにもかかわらず、テキストとメロディの魅力は、私たちに、英語がその愛のムードの音楽的表現をするにおいて、より雄弁であったことを願わせしめるのである。 まったく、現存する歌の性質から、英国は13世紀において、母国語の音楽文化の高いレベルを楽しんでいあたに違いない、ということは明白である。どれほどの作品が失われたのかはわからないが、現存する作品のどれもが、未熟な作曲家によるものであるということではない。我々がこうした明らかに豊富な遺産をほとんど持っていないことは、不幸なことである。 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