| p265 Matters of Style 最初のGaffurius choirbookでのGaspar と Compereの音楽が、その時期と場所がはっきりしているので、我々は作品自体に直接注意を向けることができる。作品の大部分は韻律があり、多くのソースからのパッチワーク形式で描かれている。設定は、単語の音節的表現と明確に形づくられたフレーズを伴うverse構造を忠実に反映している。 p266 常にフル声部である Missa Galeazescha は別として、テクスチャは、さまざまな長さのデュオと、主に不完全協和音程のつながりで進行する自己完結的な対位法的単位の、非常に優れたsuperiusと tenor周囲に例外なく作られた4声との間で移り変わる。 例2のような長いデュオは、少なくとも最初では模倣を伴う傾向があるが、例外なく、すべてオクターブまたはユニゾンとなる。その他の特に短いものは、例3に示した単純なホモフォニックなリズムのスタイルを採用している。 例が示すように、この種のデュオは通常、長さが同じかほぼ等しいペアであり、最初のデュオの少なくとも1つの声部が、あるいはその後半が、型通りに繰り返される。  特にGasparにとって、このようなバランスのとれたフォーメーション、特に例3bのsuperiusと tenorに見られる動機の伝達を利用するフォーメーションは、さまざまな対称性と繰り返しのプレイによって特徴づけられる拡張スパンのビルディングブロックになる。 例4aでは、1つの特徴的なスタンスをとるために、第19小節から始まる「Perfusac eli」のデュオは、特に文字通り、特に下声部において、その先駆性を再現している。 第35〜37小節の「Desideratus」の2つの短いデュオは完全に一致している。 そして、微妙な繰り返しの戦略は、第23-35小節のデュオを互いに、それらを素材に結び付ける。 第27-9小節のテノールがどのように第23-5小節のアルトをピックアップしているのか、第33-34小節のアルトがどのように第29-30小節のバスと折り合わせているのか、そして、第31-33小節での「Beata celi nuntia」の設定が、どのように低い声部のメロディと第15-22小節のデュオの対位法的裏付けをもたらしているか、そして、第35-7小節を予見しているか、に注目されたい。64  Compereは、少なくとも彼の作である信憑性のある2つのmotetti missalesでは、この種の構造の傾向が少ないことが明らかであるが、例4bと4cが明確に示しているように、彼はそれらの可能性を確実に理解はしていたのである。65  p271 ジョスカンのAve Maria を知っている人なら誰でも認めるように、Gaspar や Compere のミラノモテットとのつながりを列挙したことに関連して私が列挙した事実上すべての特徴は、ジョスカンの作品にも同様に当てはまる。 この作品のテキストは、セクエンツィアの最初のストロフィ「Ave Maria ... virgo serena" a」と有名な祈り「O mater Dei、memento mei」とともに、「Ave cuius conceptio」をはじめとする5つのストロフィが韻を踏んで並んだ部分と、３つの部分に分かれている。66 音楽は個々の単語を明確に映し出し、忠実な表現は詩のより小さな境界線とより大きな境界線の両方を反映し、各行を個別の単位として設定し、各ストロフィの終わりにしっかりとしたカデンツに達している。 模倣的冒頭の後、作品は主に一連のデュオとして展開し、それらのほとんどは、例5のように、ペアでホモフォニックとなっている。比較的少数のフルボイステクスチャが、superiusとtenorの従来のフレームワークを保持している。67  最初の小節で使用された特定の模倣の手順、さらに、テクスチャ全体を通して常に同じ調性レベルでの短い動機の分散は、ミラノ様式とのさらなる接点を確立している。例6が明らかにするように、まったく同じような工夫は、Josquinでは見られないが、Compereの代替サイクルHodie nobis de virgineでは、複数回生じている。68 68 Finscher（Loyset Compere、99）は、例6bの抜粋をすでに選び出している。同じサイクルにおいて、Quem vidistis pastores（loco Agnus）の第23小節初めのパッセージを参照のこと。しかしこれは、すべての声部を通じてた模倣の完成前のモデルよりは多様であるが。Galeazeschaは、 Adoramus te、Christe（ad Elevationem）の第39-46小節において、非常に似た例を含んでいる。(下譜）  Finscherにとって、Compereのこのような書法は、一種の「初期性」を表している。（ "Zum Verhaeltnis von Imitationstechnik und Textbehandlung）、「ある種の小規模な薄くてむしろ機械的なテクスチャー」を生じている。ある種の小規模なカノンテクニックとは、刈り込まれたカノンとして表現される。 異なるコンテキストでの観察は、同じ不承認メッセージだけでなく、技術的な緊急性意味も伝えている。「模倣の普及が始まると、それとデュエットの書き方の間で妥協点に達する。各声部は、次の声部が入ってくるとすぐに停止する」（Loyset Compere 98）。 これは根拠のないものとして私には思えて、実際にGaleazeschaによって直接矛盾するように見える。Elevationがこのサイクルにおいて上記のAve Maria に似たパッセージを含んでいる場合、 Offertory, Ave sponsa verbi summiは、ともすればFinscherが見過ごしたような持続的なポリフォニーへと拡大した、等間隔の模倣的エントリーで始まっている。Compereの能力レベルが、非常に短い期間で劇的に変化したのであろうか？ おそらく彼の答えは、より根本的な概念的な問題のように、音符ごとをを互いに合わせる能力ではない。 綿密な精査により、Ave sponsa verbiでの模倣は、contratenorsでの同じ動機の予見されてのstatementによって、superiusとテノールの模倣デュオに分けられる。それは、連続して動機が入る作品の一般的手順である。 一方、例6のようなパッセージは、たとえ短かいとしても、その動機パートの合計から構築された統一世界とともに、このモテットの残りの部分を統一している音楽空間の伝統的な層化に取って代わっている。 この観点から、Finscherを悩ました非常なむき出しは、より前向きな次元をとっており、対法的な当座凌ぎとしてではなく、新しい作曲原理の主張として理解可能になる。 確かに、ジョスカンのモテット（Misss est Gabriel angelus とDomine, non secundum peccataの最後のところ）の中でのAve Maria冒頭にもっとも近いものは、最初の動機の後、声部をアクティブに保ち、もはやsuperius-tenotの極性に依存しなくなったAve sponsa verbiのように、表面的には完全なポリフォニックテクスチャを作成する。しかし、これらの例を、以前の研究の欠陥の兆候とみなす人は誰もいないと思われる。  p272 全体的に、このモテット（Compere Hodie nobis de virgine）は特にGasparの作品を連想させるシンプルさと明快さを示している。ジョスカンは対称性と規則性への彼の傾向でこれらを乗り超えているが。すなわち、ジョスカンのフレーズ構造は、GasparやCompereのそれのいずれよりも、一貫性のある周期性を示している。彼はデュオを単一のレイアウトに制限し、常に2つの上声部を2つの下側の声に当てはめている。そしてそれらと同様、テノールとsuperius 、そしてアルトとバス、あるいはさらなる組み合わせることはなかった。69 より主観的な音符では、ジョスカンは、GasparまたはCompereが達成したよりもより雄弁に、彼の書法に入れていたことを、確かに感じるかもしれない。しかし、これは音楽の様式的な文脈については何も言っていない。 Ave Mariaとミラノ（のモテット）のぴったりしたフィット感を和らげるのは3点だけである。モテットの始まりは、セクエンツィアAve Maria ... virgo serenaでは、一般的ではないヴァリアント（通常では、四度上昇よりもむしろ、２つの繰り返し音符で始まる）を採用しているが、motetti missales cycle であるAve Domine Jesu Christeは、最も普及している形態に近い解釈でのチャントからの引用を含んでいる。 これが地域の慣習を反映しているとしたら、なぜジョスカンが従っていないのか疑問に思うかもしれない。70 Bonnie Blackburnはさらにジョスカンの中心的なテキスト「Ave cuius conceptio」は、「ほぼ、聖務日課のフランス語の書にのみ書かれている」を見い出したと報告している71。 70 Bloxam, "'La contenance italienne,' " 64. Benoit-Castelli ("L' 'Ave Maria' de Josquin des Prez," 192-94)は、チャント写本のソースの、60例を３つに分けている。 ①もっとも汎用されたもので、近代のVariae precesの版であり、冒頭語の２つの繰り返し音符、podatus  、あるいは"gratia" や "Virgo"の最初のシラブルb-c②同じ冒頭だが、podatus での単一のｃ（いくつかの写本での移調された記譜ではｇ）③ジョスカンで使われた形式で、最初に四度上昇を伴うが、その他は②に従う。Ave Domine Jesu Christeの解釈は、②である。 p275 最後に、その2番目のストロフェの設定Ave cujus conceptio,solemni plena gaudio,celestia, terrestria,nova replet letitia.は、オクターブやユニゾン以外の音程での模倣の使用においては、ミラノでの標準からは外れている。例７に見られるように、バランスの取れたデュオの組み合わせの効果、上下声部の対立、そして低い五度での模倣は、後のジョスカンの様式や、Moutonや Fevinのような若い世代の様式を予見している。こうしたタイプのふるまいは、公的言語の礎石を作り上げているのである。  しかし、これらの考慮事項のいずれも決定的なものとして私に響くことはない。現在入手可能な証拠では、Ave Domine Jesu ChristeのセクエンツィアのバージョンAve Maria .. virgo serenaは、Josquinのようには、特にミラノでの使用法を表す兆候を示していない。どちらも、ドイツと南オランダでのみ文書化された伝統に属している。 p276 したがって、おそらく、motetti missales の作曲家は、彼の育成または訓練から彼に知られている形でチャントを単に引用した。 Josquinが同じことを行わなかったと仮定する理由はない。 p277 モテットのテキストは、少なくとも実質的な程度にまで、ミラノとの絆を弱めることにも失敗している。その構成要素の起源が何であれ、テキスト全体は概して、複合構造へのミラノの嗜好に対応している。 また、「Ave cuius conceptio」とフランスの関係は、Blackburnの言葉が暗示しているほど排他的ではない。 Jennifer Bloxamによれば、「Ave cuius conceptio」はフランスだけでなくドイツでも広く播種した。そして彼女が書いているように、「イタリアでの流布の範囲は未定であるが、Galeazzo Maria Sforzaのフランス愛好家の傾向を考えると、北で用意されたhoraeは、この宮廷で流布したこの詩を含んでいる。」 実際、Bloxamは、フランス語の聖務日課祈祷書とミラノの「Ave cuius conceptio」の両方での有望なリードを見つけている。 彼女はまた、「各スタンザをあいさつで開始し、聖母マリアの喜びを列挙するために進む韻律詩は、ラウダの詩と音楽の重要な要素であり、いくつかのmotetti missalesは、このタイプの詩を採用している」とも述べている。76 76 For the foregoing, see Bloxam, "'La contenance italienne,' " 85-86．.Bloxamはまた、ジョスカンが「Ave vera virginitas」を設定した標準的に処理されたメロディーで、イタリア特有の特徴を見い出すと公言している（pp。86-88）。一方、Graueは、Ave Mariaチャントへの暗示を示唆している。 例7に関しては、まず、このパッセージがモテット内では別個のものであり、作品の全体的な特徴ではないことに注意する必要がある。 この点で、実際には、後のその音楽よりも、ジョスカンの初期の作品にはるかに近いものとなっている。彼自身と若い作曲家の作品の両方は似ているようだが。77 77 So far as the sources allow us to tell, the use of paired duos with transposed imitation remains sporadic in Josquin until about 1500.（←意味不明） p278 例7は、内部的にも同様に、後の作品とは異なる。こことAve Mariaの他の場所で、ジョスカンは、次の、同じ韻を踏む行に、応答のデュオを設定している（Ave cujus nativitas→nostra fuit solemnitas）。これは特にGasparを連想させるが、後の作品ではあまり見られない手順であり、圧倒的にテキストと音楽を一緒に繰り返している78。 78 Gasparについては、例３ｂと４aを見よ。 最後に、四度、五度の模倣自体は、ミラノだけでなく、15世紀の終わりの数年前のほぼどこでも、起こることはほとんど稀であった。 ジョスカンの直前の世代の作曲家の間では、Caronだけがかなりの頻度でそれを使用していたようだが79。 79 私が知る限り、模倣の音程と時系列の関係は、文献では本質的に未調査のままである。ただし、Finscherは、ユニゾンまたはオクターブでの模倣を「旧式」と呼んでいる（Loyset Compere 95） 。 あらゆる可能性においておそらく、ここでの使用は、地域的または時期的起源の指標としてではなく、ジョスカン自身の作曲の個性の兆候として見ることができる。80 80 バランス上、Ave Mariaとそのミラノの相当物とのわずかな違いは、多くの類似点に対して、ほとんど重みを持たないように思われる。一方、類似性は、この作品以外に視野を広げる場合だけでも、より重要になる。 これらの作品をまとめるイディオムは、当時の大多数の神聖な作品からそれらを際立たせるのに等しく役立つ。それは、ティンクトリスのvarietasの理想に暗示されている様式的規範を守っている。（http://machikun.la.coocan.jp/fromvariety.htm参照。明確に定義されたリズム、対称性、繰り返し、明確な明瞭な表現を意図的に回避することによって、目と耳に印象づけるやり方）。 p279 1500年以前に書かれたすべてのモテットを実証的または推測的に全て調べたわけではないが、1470年代に作られたモテットの間で特に注目を受けることもなかった１作品を考えたい。それはEgo dormioで、この作品は、Vatican choirbook Cappella Sistina 15に、1495年よりすぐ後に伝搬した4声の設定であるが、syllabic declamation, the duos, the octave imitation, the maintenance of the superius-tenor frameworkといったmotetti missalesのすべての目印を示している。 p280 ローマのソースでは作者不明であるが、モテットは「"Antonio a Vmnea Traiect(e)n(sis)";」と記された後、グラレアヌスのドデカルドンに登場する。 その名前は、確かに、1473-74年度にユトレヒトで文書化された聖職者を指し、その後は1516年の彼の死まで、多かれ少なかれ継続的に言及されている。 15世紀の終わりに向けてのガスパールのAve mundi Dominaの音楽の広まりについては、イタリアから遠く離れて活動していた作曲家が、故郷の近くに比較例の伝統をすでに持っていない限り、どうしてこのような作品を生み出すようになったのかと疑問に思う人もいるかもしれない。84 しかし、現在の例では、ガスパールは、1489年の北への旅の頃に、ユトレヒトと接触していたように見えることを思い出すべきである。 さらに、Ego dormioは1490年代以前にどこにも存続していないと考えると、この作品が20年前のミラノモテットの役割を担った可能性は非常に低いと思われる。 p281 その立ち位置は、すべての外見上、排他と孤立のままである。 1476年12月のGaleazzo Maria Sforzaの殺害の直後に、これはすでに変化し始めているかもしれないことがわかる。しかし、少なくとも、それに先立つ数年間に―ミュンヘン3154に関するノブリットの調査結果がAve Maria に割り当てられた頃―ガレアッツォのチャペルに関連付けられた様式が広く流行したという考えは、フランスまたはフランドル地方からの実質的なレパートリーの存在を前提としている。 結果は明らかであろう。音楽やテキストにおいては確かに、Ave Maria と、ガスパールとコンペールのミラノ作品との関係は、 非凡すぎて、近すぎて、包括的すぎてて、直接的な接触以外の仮定の下では説明することはできないと考えられるが、作曲家自身のことではなく、少なくとも音楽ついてならば、音楽効果は同じことなので、明らかに音楽は回っていかなかった。87 87 ジョスカンが、Provenceで、このレパートリーを担ったと考える理由は特にない。 特に、Josquinの冒頭の仕掛けが、直接体験する以外の方法で説明されることは難しいと思われる。ミラノとは関係ない、当時の、またはそれより前の作曲家の作品は、まだ発見されていない。 p282 したがって、(Ave Maria が)1476年までに作曲されたとしたら、このモテットが他のどこからでも実際に来ることはほとんどなかった。 しかし、これは私たちのジレンマに戻る。 ジョスカンがそれを書いたとしても、それは1476年からではほとんど起こり得ないことなのである。－若い作曲家が自分の活動の場から遠く離れた場所で新しく発展した様式の特定のすべてを吸収することを想像する準備ができている人でさえ、きっと、その作曲家が何年も経たない後に、その様式が出現したまさにその場所で発見することの偶然に、きっと疑問に思うことだろう。 そのため、前述の2つのオプションに直面する。ミュンヘン3154でアヴェマリアのコピーの別の日付を見つける必要がある。 または、Josquin des Prez以外の誰かがAve Mariaを作曲したと結論付けなければならない。 |