p282
Matters of Attribution; Munich 3154
現在の証拠から判断される限り、Ave Maria ... virgo serenaは、PetrucciのMotetti A numero trentatre.でJosquinの名前が示されて初めての1502年に、ソースに帰属がされている。

また、その後頻繁に帰属することもない。そして、作曲家としてジョスカンを名付けたソースの少なくとも一部は、明らかにペトルッチに由来しているため、独立した信頼性はない。さらに、我々が知っているのは、 1470年代には、Josquin des Prezと同一ではないJosquinが含まれていたため、帰属が彼に言及できないかどうかを明確に調べる必要がある。

p283
この可能性は、どのように興味を駆り立てるのか。アーカイブ文書では、複数の人に関連したJosquinの名を使用しているが、音楽ソースは、それをJosquin des Prez.以外の人物とは結びつけていないように見える。

このことを確認する上で、2つの写本はMotetti Aとほぼ同時期であるが、Motetti Aと両写本は明確に独立しているため、ペトルッチの、Ave Mariaの作者としての信憑性への簡潔な指示は、作曲家のフルネームに置き換えられる。すなわち、 Vatican choirbook Cappella Sistina 42において、帰属は「Josquin des pres」と表示され、セゴビアの大聖堂にcall number なしで保存された大規模なクワイヤーブックは、作曲家を「Josqui（n）du Pref。」93と呼んでいる。ソースの信憑性はどうあれ、スクライブたちは、どの Josquin を念頭に置いていたかを正確に知っていた。

p284
　もちろん、3つすべての証人、Motetti A、Cappella Sistina 42、Segoviaの独立は、我々がジョスカンの帰属を信じるべきであることを示唆している。さらに、音楽には彼の作者性に疑問を投げかけるようなものは何もない。確かにAve Maria は、彼の最も特徴的な機能の1つとして他の場所で言及された動機の性質において、どこまでも複雑さと洗練を達成していない。

しかし、それは彼の作品の多くで、明快さと対称性が普及する傾向を示している。特に対称性は私にとって非常に重要である。すでに述べたように、Gaspaは確かにこの傾向にあり、バランスの取れたペアでデュオを並べていることがよくある。しかし、Josquinの対称性の使用は、Gasparの意図をはるかに超えており、私の知る限り、1490年以前の作曲家をはるかに凌いでいる。彼の同時代人や前任者の中で最も「高度な」ものとは異なり、彼はそれを時折、あるいは比較的頻繁な、しばしば対称的な文脈での偶然の出来事として呼び起こすのではなく、彼の構文の指導原則を事実上高める。

他に何もなければ、対称的なペアリングだけに頼ることが、Ave Mariaの原作者性の代名詞となる。全体として、Josquinの作品からモテットを外すことによって我々の当惑を解決することは、できないだろう。

これにより、ミュンヘン3154.97が残ることになる。前に示したように、Noblittによって設定された日付は簡単に道を譲らない。論文の証拠に異議を唱えた人は、単にそれを理解していないと言ってもいいと思う。（略）

　それで、Ave Mariaの論文は、本当に1476年かそれに非常に近いところから来たに違いない。それは、写本の初期部分を主に担当するスクライブ（）NoblittがスクライブAと呼んでいる）によるその制作と取得が、この時期に該当しなければならないと言うことを意味している。（略）

P313
Motet, Mastery, and Yet Another Manuscript: The Ave Maria　and Josquin's Early Development
JosquinがミラノでAve Mariaを作曲したかどうかにかかわらず、明らかに、ほんの少し前に、そのために示されたものとは全く異なる背景に対するその作成について考えなければならない。

p314
しかし、モテットとそのコンテキストからそれを書いた個人に焦点を移すと、驚くほどほとんど変化していないことがわかる。すなわち、作曲の日時が数年新しくなったとしても、Ave Mariaは、Josquinについての我々の新しい描写においても、古い年代とほぼ同じ場所を保持し続ける。

たとえば、ミュンヘン3154は、我々が持っている彼の作品の最も早期のソースである可能性が高い。確かに、David Fallowsの最近のJosquinの伝搬に関する調査は、非常に確実な主張を伴う競合候補には至っていない。

彼が引用する写本のうち、2つを除くすべての日付はおおよその日付にすぎない。そして、学者たちが特定の年を割り当てた人々の位置は、ますます曖昧に見えるようになった。

疑義は、特に、Rome, Biblioteca Casanatense,Ms. 2856と、1479年から1481年の間に明らかに作成されたフェラレーゼの給与記録に記載されている "libro da canto figurato ... a la pifaresca"とのテキストのないソングコレクションの間の関係について膨らんだ。

p315
ジョスカンに帰せられる少なくとも4つの世俗的な作品により、ローマ2856は、明らかにまだ20代だった作曲家にとっての国際的な評価の重要な尺度であることを証明している。そして写本は、Ave Mariaの出現よりもずっと前に、ジョスカンがより広い前線で自分自身を確立し始めたことを示している。160

p316
それゆえ、必然的に、その日付の確立は、我々にとっては通常以上の興味を持たせる。

　Rome2856を、1480年代初期の産生物として受け入れようとする人々でさえ、その冒頭ページの紋章と格闘しなければならなかった。

（略）

p319-21
　Rome2856の作曲家のキャストも異常に見えるようになった。Fallowsが指摘したように、Brumelは、1480年代初期よりも1490年代初期に故郷にいたように見えるだけでなく、最近の伝記調査により、Obrechtと Barbireauはかつて考えられていたよりもはるかに若く、1491年以前のイタリアでのアグリコラの（影響の）兆候は消されるようになった。

さらに、他のソースから判断すると、アグリコラの音楽は、彼がそこに到着するまでは、アルプス位南では、大きな存在を示していなかった。

フィレンツェでは3つの作品があり、そこでは、彼は、1490年代初期の写本で圧倒的優位を占めており、その他の場所の2倍であったが、1480年代半ば以前の資料には彼については、何も見当たらない。

しかし、Rome2856の主体では、少なくとも15個以上が彼に帰属し、それ以上なののは、フェッラレーゼ礼拝堂の指導者だったMartiniだけである。

p322
したがって、アグリコラの最初のイタリア滞在がマントヴァでの滞在から始まったのは、恐らくGhiselinの調停によるものであるのは、偶然以外の何物でもない、と思われる。そして、彼が1491年の晩夏にフィレンツェに移ったとき、Ghiselin以外は誰も見送らなかった。

全体として、その作成が徐々に増加しているように見える記述のある文書にRome2856がリンクしている問題だけでなく、10年以上後の日付を示す兆候も増加しているようである。したがって、写本にジョスカンの作品の伝播について伝えるべき劇的な情報がもはや含まれていないことは疑わしいと思われる。

おそらく、彼の作曲は、彼の世俗的な作品がフィレンツェのソースでより多くの地位を獲得し始めたときに正確に示されるようになったが、もはやイタリアへの彼の音楽の最初の推進力としては役立たない。

p323－4
　言うまでもなく、ソース間の時系列的な優先順位の問題は、伝搬と受容だけの問題を超える意味を持つ。

Fallows and Lewis Lockwoodは、実際、Rome2856を、作曲家としてのジョスカンの進化の非常に早い時期の目撃者として登録した。

Fallowsにとっては、彼がジョスカンを「1470年代のフランスの伝統にうまく適合している」として割り当てた写本の「大部分」の項目は、さらに、様式の類似点により、ローマ2856が提供したコアを、少なくとも10作のグループに拡張した。そのうちの
９作品は、世俗的な作品で1つがモテットである。

これらの作品のうち、さまざまなやりかたで二重カノンを扱っている6つの作品は、「1480年頃」のジョスカンの音楽へのこだわりに特別な洞察を与えるようである。

Ave Maria に対する私たちの懸念が、その可能な様式的環境を中心に展開している程度を考えると、それ以前に書かれたかなりの数の作品はほぼ間違いなく、興味を削がれることだろう。

FallowsがRome2856年の作品の1つを設定し、Adieu mes amoursをAve Mariaの直接の年代順に配置するという点で、関心はますます大きくなる。

しかし、現在認識できるように、 Fallows's の複合作品群の終着点と思われるものは、確実ではないことが証明されている。それだけでなく、カノンの2作を含むグループの少なくとも3作は、疑わしいものとして数えなければならない。

残りのうち、Adieu mes amoursだけが、Ave Mariaと同じ10年間に自信を持って配置できるソースに残っている。そしてここでも、問題の写本のより正確な日付の欠如は、曖昧な2つの作品の間の関係を残す。

p324
Fallowsのリストにある他のすべてのものは、1490年頃になって初めて、流布するようになったものと思われる。

p325
重要なことは、彼が選び出したものと類似した構造のカノンは、ほぼ同じ時期に初めてソースに進出したことである。おそらくこれは、彼のおそらく非常に初期の作品の少なくとも大部分の日付へのより良い手がかりを提供する。

　これらすべての考慮事項は、より大きな疑問を提起する。Ave Mariaの前に伝播されたジョスカンの音楽を見つけることができない場合、実際に他の方法で彼の作品をより早い日付に割り当てることができるのか？

確かに、ローマ2856とそのコンテンツをその場から削除すると、競争相手のフィールドは大幅に狭くなる。

p326
より信頼性の高い後世のdatingや不確実さの屈辱を受ける。1971年、Edgar Sparksは、以前にジョスカンの最初の創造的仕事を代表すると考えられていた6つのモテットのグループを公開した。

1986年、Richard Sherrは、1470年代からのものと推定されていた,Illibata Dei virgo nutrix,を、それ以前ではないにせよ、実際にはジョスカンの教皇歌手としての雇用時のローマでの音楽的好みを反映していることを示した。

より最近、1481年または1483年の作とされていたMissa HerculesD ux Ferrarieが、新しい伝記に直面して、その年代が崩壊した。そして、Missa L'ami Baudichonの作者の信憑性について私が表明した場合、共通の同意にもとづき、このジャンルでのジョスカンの最初期の作品は立ち上がるはずである。そして、アヴェ・マリアはさらに別の挑戦者を失うことになる。

（略）

p332
　であるから、Ave Mariaは、作曲家としてのジョスカンの最初の―あるいは少なくとも実質的に最初の一瞥を我々に提供した。これはもちろん、ジョスカンがこれ以前に何も作曲していなかった、というわけではない。あるいは、彼の以前の努力のいくつかが、今日私たちが知っているように、彼の作品群ではまだ認識されていないままであるとさえ言えない。しかし、もしそうなら、それらを識別するための新しい議論をしなければならない。

今のところ、Jessie Ann Owensによって使われた公式を借りても、”ジョスカンはいかにしてジョスカンになったのか”を、語るすべはない。しかしこれは特に我々を実際に悩ますことではない。

Schoenbergは、結局、才能と天才の違いを「学ぶ能力」と「自分を成長させる能力」の違いとして定義したことがある。「才能は、それ自体の外側にすでに存在する能力を獲得することによって成長する。それはこれらを吸収し、最終的にそれらを自身のものとする。天才はすでに最初から、将来の能力をすべて備えている。それらを開発するだけである。単に展開、展開、展開（unwinds, unrolls, unfolds ）するだけである。」

（こうした）概念は、まったくロマンチックに見えるかもしれないが、それでも説得力があるように私には響く。したがって、Ave Mariaを創造するためにジョスカンが研究し、吸収しなければならなかったものに関する暗黙の前提は、すべて的外れである可能性がある。（訳注；天才は才能によって、常人がしない努力で偉大な業績があげられる）

改造された伝記の音楽的意味を探求する上で重要な最初のとどめをしたFallowは、初期のジョスカンを「ほとんどあらゆるものを模倣できる華麗な若者」と見なすことを示唆した。

しかし、我々が見たように、研究の迅速なペースは、この評価でさえも大部分を切り捨てた。それどころか、、Ave Mariaとミラノモテットとの比較は、若い作曲家の「模倣（mimicry）」を示唆している。すでに、あらゆる点でその対称性、明快さ、および経済性に対する正則化の衝動の強い制御力の下にあった。

p333
モテットの伝搬と音楽を正しく解釈場合、他の形の刺激に対するすべての応答性や様式が示される。すでに本質的に満たされた創造的な人格が形成された。 Josquinは、Missa La sol fa re mi、5声のSalve regina, Huc me sydereo,the Miserere, あるいは the Missa Malheur me bat;などで、見事に複雑でありながら明快な構造を作成するために必要な無数の技術的および概念的な詳細を解決する必要があっただろう。

しかし、彼は彼のアイデンティティや輝きに関して、疑いなく、私たちを置き去りにしてしまった。Ave Mariaは、すべてのその単純さのために、焦点の同じ集中力、作品を特徴づける同じ根底にある概念をあらわしている。

言い換えれば、現在の観点からは、JosquinがJosquinとして始まり、スタート時点ですでにトップだったように見える。

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