12 シャンパンサミット
WEDNESDAY–THURSDAY, 22–23 JULY
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7月22日水曜日の朝、ポアンカレはペテルゴフからほど近い（ロマノフ家の基準からすれば）質素なレンガ造りの邸宅、ヴィラ・アレクサンドリアに、皇室を訪問するよう招待された。ポアンカレは、4人の若い大公妃、オルガ、タチアナ、ﾏﾘｱ･ﾆｺﾗｴｳﾞﾅ、アナスタシア・ニコラエヴナが「その完璧な素朴さが楽しい」と感じた。10歳のツァーレヴィチ・アレクシスは、血友病の状態を考慮すると、顔色が青白く、姉妹よりもはるかに肌が色白だった。これは驚くべきことではない。

アレクサンドリア号に乗って、その前の週にツァーリとともにフィンランドのフィヨルドを巡航中、ツァーレヴィチ・アレクシスははしごの下段につまずいた。その結果、足首が腫れ、激しい痛みを引き起こしました。彼の母親、アレクサンドラも健康状態が悪く、心臓疾患に加え、子宮の移動に起因する神経障害も患っていた。

これらのよく知られた病気のせいで、ポアンカレは、皇后の悪名高い農民の信仰治療家が家庭内で現れることを半ば期待していた。しかし、結局のところ、ラスプーチンは最近、ポクロフスコエの村を訪問中に若い女性に腹を刺されたばかりで、家族の誰も彼がどこにいるのか、どうしているのかを知らなかった。（後に、ティウメンの病院で彼を手術するために外科医が首都から派遣されていたことが判明した。ラスプーチンの急速な回復は、治癒者としての彼の伝説をさらに高めることになる。）

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　ポアンカレの呼びかけは、病に苦しむ皇后とその息子にとって、嬉しい気晴らしとなった。高級品の世界首都から訪問中の国家元首として、パリからのダイヤモンドの時計ブレスレットの贈り物で少女たちを喜ばせるのは大統領にとって難しいことではなく、少女たちは「大喜びで口を開けた」ほどだった。ツァーレヴィチは、「幼稚な体型を正当に評価された」大十字勲章を授与されるという最大の栄誉を受けた。これはツァーレヴィチがこれまでに受章した最初の外国の勲章である。皇帝ニコライ2世は大統領に深く感謝した（ただし、この贈り物は実際にはパレオローグの発案だった）。

ポアンカレはまた、君主にふさわしいように、将来の図書館用の家具を少年に与えた。大統領が離宮でアレクシスを喜ばせる用意をしていたのは良かった、というのも、足首の腫れからまだ回復中の虚弱なツァーレヴィチ・アレクシスは、その日の午後１時のクラスノエ・セローの軍事練兵場へ向かう列車の旅の代表団に加わることができないかったからである。

　贈り物の贈呈後、ポアンカレはツァーリに伴われてペテルゴフに戻り、フランス戦隊の士官、サゾノフ外務大臣、イズヴォルスキー駐フランスロシア大使、ゴレミキン閣僚評議会議長らとテラスで昼食会を開いた。名誉ある賓客の中には、騎兵将軍であり帝国勲章首相でもあったフレデリックス伯爵も含まれており、ロシアの上級貴族の間で「あらゆる好意と贈り物、あらゆる叱責と罰」を与える彼の役割に関連する他の多くの敬称があった。伝説的な魅力を持つフレデリックスは、誰の目にも明らかな戸惑いを感じていたヴィヴィアーニを元気づけようと自ら引き受けた。ホームシックとカイヨー夫人に対する不安に加えて、首相は消化器系の問題を抱えており、肝臓のことを心配していた。ロシア人は彼が一種の神経衰弱を起こしているのではないかと心配した。しかし、ツァーレヴィチ・アレクシスとは異なり、ヴィヴィアーニは午後のプログラムをキャンセルすることができなかった。彼はできる限りそれに耐えなければならなかった。

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　午後3時半、一行はペテルゴフ駅から帝国列車に乗り、クラスノエ・セローまで30分の旅に出発した。ヴィヴィアーニを除く全員にとって、首都を離れることは気分の緩和をもたらした。外交業務は完了した。

今度は軍事パレードと乾杯の時間だった。パレオローグがその光景を描写したように、「灼熱の太陽が、黄褐色の波打つ広大な平原を照らした。」。。地平線は樹木が茂った丘に囲まれています。。。。サンクトペテルブルク社会のエリートたちがいくつかのスタンドに詰めかけた。女性の明るいトイレット、白い帽子、日傘がスタンドをツツジの花壇のように見せていました。」

馬に乗った皇帝ニコライ2世に先導され、フランス大統領と皇后、4人の大公妃を乗せた皇帝の馬車は、ポアンカレにとって「果てしなく続く軍隊の列」のように見える中を進み、兵士たちは皆「伝統的な叫び声」で皇帝に挨拶した。進行は全部で1時間半ほど続き、その間、哀れなヴィヴィアーニは皇帝のテントの前に立たなければならなかった。唯一の慰めは、皇帝と大統領が最終的に到着したとき、軍楽隊がフランスとロシアの一連の行進曲を演奏する中、軍用機が上空を飛行するグランドフィナーレに彼らも立たなければならなかったことであった。その後、三度の一斉砲撃が夕方の祈りを告げた。「太陽が紫と金色の空の中で地平線に沈んでいった」とパレオローグは日記に書いている、「下士官が大声でPaterを唱えた。「それらの人々は皆、何千人も何千人も、ツァーリと神聖ロシアのために祈った。」長い式典が終わる頃には、ヴィヴィアーニの様子が非常に病んでいたので、パレオローグは苦しんでいるフランス人を検査するために町から専門の医師を呼んだ。２

　一行はパレード場から、近くの騎兵総監ニコラス・ニコラエヴィチ大公の邸宅へ向かった。皇帝ニコライ1世の孫であり、彼の同名であるニコライ大公は、多くのロシア人が皇帝位継承権を握ることを望んでいた血統の王子であった（彼の父親はニコライ1世の三男であったため、父親は順位が3位となり、息子はさらに順位が下がった）。

ニコライ2世に完全に忠誠を尽くしていたが、大公はより強い性格で、身長6フィート6インチで文字通り他の人々よりも高くそびえ立っていた（彼がロシア軍の最高司令官に就任した後、彼は側近たちに次のドアの上に看板を立てさせた） 3

熱烈なフランス愛者であるニコラス大公は、1912 年のポアンカレの以前の訪問のときと同様に、フランス代表団を晩餐会に喜んで招待した。

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　Paléologue は最初に到着したひとりだった。「花が咲き誇る庭園の周囲に、半開きのテントの中に長テーブルが3つ置かれていた」と彼は観察した。ベッドにはちょうど水が注がれており、そこからは新鮮な花の香りが漂っていた・・・その光景を眺めていると、フランス大使はニコライ大公の妻アナスタシア・ニコライエヴナとその姉ミリティーザという二人の「モンテネグロの王女」から「盛大な歓迎を受けた」。テーブルの最後の飾りつけ。最初に皇后をラスプーチンに紹介したのはアナスタシアとミリティーザだった。法廷における彼らの影響力は大きかった。

　二人の王女はパレオローグを見て喜んでいた。宴会のテーブルの片付けを終えるとすぐに、二人は大使のもとに駆け寄り、称賛の言葉を垂らしながら大使に垂らした。ある王女は、2年前に訪れた「占領下の」ドイツのロレーヌ地方の土の入った箱を持ち歩いていた。もう一人は、同じくロレーヌ産のアザミでテーブルを飾っていたことをパレオローグが知った（どうやら彼女は、チュートンが占領していた土壌から採取した神聖な植物を庭に植えていたようだ）。「私たちは歴史的な日々を過ごしています、祝福された日々を過ごしています！」と王女たちは叫んだ後、明日の大公が観閲式を行う予定であることをフランス大使に伝え、「楽団はMarche Lorraine （1892年にルイ・ガンヌが作曲したフランスの愛国歌）とSambre et Meuse以外は何も演奏しない」と伝えた」。

　シャンパンが流れ始めると、気分はさらに高揚感を増した。（ﾓﾝﾃﾈｸﾞﾛ王女でもある）アナスタシア・ニコラエヴナ (1868-1935) は、まるでパレオローグを信頼しているかのように、フランス大使に「戦争が起こるだろう。オーストリアには何も残らないでしょう。アルザスとロレーヌを取り戻すつもりだ。我々の軍隊はベルリンで集合する。ドイツは破壊されるだろう！」と語った。

彼女はただウォーミングアップしていただけだったかもしれないが、皇帝ニコライ二世の「厳しい視線」がこの好戦的な夢想を打ち切った。結局のところ、アナスタシアはロシア軍の最高司令官候補であるホストと結婚していたのだ。「私は自制しなければなりません」と彼女は陰謀をほのめかしながらパレオローグに語った。「皇帝は私に注目しています。」4

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　ポアンカレはほとんどの時間をツァーリとの会話に費やしていたが、パレオローグ大使ほど興味深い夜は過ごさなかった。しかし、大統領もまた、その美しさだけではなく、モンテネグロの王女たちに注目していた。

夕食会の前後に、彼女らはオーストリアとバルカン危機について「絶えず質問をし続けた」。残念なことに、ポアンカレは彼女らに対して特に何も答えず、自分も同じように不安であることだけを伝えた。

その日早く、ポアンカレは、イタリア情報機関を通してローマの大使から、「「ドイツはオーストリアを抑制する努力をしない。ウィーンでは、ロシアがセルビアを侵害することを許容するだろうと信じられている」という不穏な報告を受けていたが、そのことは彼女らに対しては伝えなかった。5

ロシアの消極的な姿勢が予想された中でのオーストリアの傲慢を示すこの報告への信憑性を持つ中で、アナスタシアと妹エレナ・デル・モンテネグロは、臆病で弱いと信じていたサゾノフについて大統領の耳元で警告をささやいた。

これらの提案は、ポアンカレ自身の懸念とよく一致していた。首脳会談の大半をツァーリとの会話に費やしたこともあり、大統領はロシア主権者ニコライ２世の方が、セルビア防衛の方針について外相サゾノフよりも「断固たる決意を持っている」と信じるようになった6。

ポアンカレと王女たちは、前日の夕方、サゾノフが駐露ドイツ大使フリードリッヒ・プルタレスを通じてウィーンに対して「最後通牒の話をしてはならない」と明白な脅迫を行っていたことを知らなかったのだ。

　翌朝、フランス代表団が移動住宅の中で目を覚ますと、仏露陣営内で高まっていた好戦的な雰囲気にさらに激しい衝撃が加わった。田舎の空気で元気になったヴィヴィアーニも２３日木曜日には気分が良くなった。その朝に行われる観閲式は、ある意味、首脳会談全体の要点であり、同盟の力と団結を示すものであった。アナスタシアがパレオローグに、バンドはフランス行進曲だけを演奏すると約束したとき、言い間違えはなかった。パレオログ大使は日記に次のように記録している。

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今朝クラスノイエ・セロでのレビュー。 6万人が参加した。力強さと威厳に満ちた壮大なページェント。歩兵はサンブル・エ・ムーズ川沿いとロレーヌ川沿いを通過して行進します。

　全ロシアの皇帝が、ロレーヌの息子である同盟共和国の大統領の前で発動させたこの軍事機構には、なんと豊かな示唆が含まれているのでしょう！

　ツァーリは皇帝の天幕があった塚のふもとに座っていた。ポアンカレはテントの正面、ツァリスタの右側に座っていた。

彼が私と数回視線を交わしただけで、私たちの考えが同じであることが分かりました。7

　レビューの後、全員が皇帝の移動住宅に戻り、ロシアの前菜とキャビアの盛大な昼食をとった。ロシア皇帝は、ニコライ大公がロシア軍の「より重要な将軍数人」を大統領に紹介するよう主張し、一行がペテルゴフに戻ってしばしの休憩を取る前に、ニコライ大公はそれを実行した。

２３日午後6時、ニコライ2世はフランス代表団をヨット「アレキサンドリア」に乗せ、帰国の航海のためにクロンシュタットに停泊しているフランス号へ護送することになった。この度は、フランス号上でツァーリのお別れ晩餐会を主催したのはポアンカレだった。.

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　設定は素晴らしかった。「瞬間的なスコール」で生け花はダメージを受けていたが、テーブルにはフランス人乗組員が集められる限りの優雅さでレイアウトされていた。

パレオローグは、甲板は「4基の巨大な304mm砲が客の頭上に巨大な銃口を突き上げており、ある種恐ろしい壮大さを持っていた」と述べた。

前夜の会話を大使に思い出させるかのように、「アナスタシア大公妃は何度も私に向かってシャンパングラスを上げた」とパレオローグは注目し、「彼女の腕の一振りで、好戦的なタックルが私たち全員に巻き起こったことが示された。」。

いつものように、皇帝と大統領は夕食の際、一晩中会話に夢中だったその後、橋の上で二人は「永遠のように思えた」間一人で残されました。彼らが何を話しているのか誰も確信できなかったが、それが何か重要なことであることは明らかだった。

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　第 1 コースと第 2 コースの間に、ヴィヴィアーニからパレオローグにメッセージが届けられました。明らかに士気が回復したのか、あるいは外務大臣としての要旨を思い出したのか、ヴィヴィアーニは大使に対し、首脳会談の結論を要約した報道機関向けのコミュニケを作成するよう命じた。

パレオローグは言われた通りに夕食のメニューに短い下書きを書き、次のような趣旨のことを書いた。「両国政府は、特にバルカン半島におけるヨーロッパの勢力均衡の維持に対する両国の見解と意図が完全に一致していることを見出した。」

こうしたことを「この種の文書に適した中立的で空虚な表現」の一種とみなして、ヴィヴィアーニが最後のフレーズに異議を唱え、バルカン半島におけるフランスとロシアの利益は「完全に同一」ではないと明記した時、大使は面食らった。

パレオローグは別の草案を作成し、両国の同盟国は「ヨーロッパの平和と勢力均衡に関わるさまざまな問題についての見解において完全に一致している」と主張した・・・特に東部では」（これがセルビアを意味していると疑う人はほとんどいなかったでしょう）。

この当たり障りのない、しかし示唆に富むコミュニケは、大統領、ツァーリ、ヴィヴィアーニ、サゾノフ、イズヴォルスキーによって心から承認された。ポアンカレ自身の別れの乾杯は、フランスとロシアが「強さ、名誉、自尊心という点で同じ平和の理想を持っている」と宣言し、同様に当たり障りのないものだったが、いつものように力強く発声され、ロシア人は「万雷の拍手」で受け取った。 '8

　２３日午後11時にフランス号が出発する前に、帝国衛兵が武器を担いで皇帝が待機するアレクサンドリアへ出港するとき、仏露同盟はすべてうまくいっているように見えた。

ポアンカレは依然としてサゾノフに対する疑念を抱いていたが、オーストリアが彼に何を投げかけようとも、ツァーリは毅然とした態度を保つだろうと確信していた。

一方、ロシア側は、彼らがウィーンに対していかなる強固な態度を取ったとしても、フランスの全面的支援が確信された。次の一手はベルヒトルトにかかっていた。

13 Anti-Ultimatum and Ultimatum
THURSDAY, 23 JULY
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２３日木曜日の夕方、ポアンカレとツァーリがフランス号上で別れを告げていたとき、ベルヒトルトの「無線の沈黙」は機能しているように見えた。週末の駐ロシア・ハプスブルク大使ザパリとの謁見におけるサゾノフの冷静な態度は、リュツォの英国大使への漏洩（c.f.p126)が、少なくとも7月18日土曜日までにはロシアの耳に届いていなかったことを示唆している。ベルヒトルトは、7月21日火曜日に冬宮殿で駐ロシア・ハプスブルク大使ザパリとポアンカレの間で劇的な対立(c.f.p155)があったことを知っており、それはフランス人ポアンカレが少なくともこれから何が起こるかを大まかに把握していたことを示唆していた――しかしその後、駐ロシア・ハプスブルク大使ザパリは、フランス大統領の好戦的な姿勢と、１８日土曜日にサゾノフがとった「控えめで慎重な態度」を鋭く対比させた。（c.f.p156)

確かに、駐ロシア・ハプスブルク大使ザパリはベルヒトルトに対し、サンクトペテルブルクにおけるフランス大統領の出席は「心を落ち着かせる効果しかない」と警告していたが、ポアンカレは短気という評判があった。

ロシアにはフランスに「友人」がいるというウィーンへの警告は、ロシア人に毅然とした態度をとってほしいというポアンカレ自身の願い以上のものを反映していなかったかもしれない。だが、彼らがそうするかどうかは別の問題だった。

一方、２１日火曜日の夜遅くに駐露ドイツ大使プルタレスに対して発せられた、「最後通牒の話をしてはならない」というサゾノフ自身の脅迫（c.f.p158）は、オーストリア人には知られていなかった。郵便で送られた駐露ドイツ大使プルタレスの報告書は、7月23日木曜日の朝までベルリンに届かなかった。そして1週間後に駐オーストリア・ドイツ大使チルシキーに転送された。ベルヒトルトの認識の限りでは、ロシア人はまだ暗闇の中にいた。

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　（だが）ベルヒトルトは間違っていた（ロシアはすでに真実を知っていたのだ）。水曜日の夕方、モンテネグロの王女たちがクラスノエ・セローでサゾノフの男らしさに疑問を呈していた間にも、ロシア外相サゾノフは駐ウィーン・ロシア大使ニコライ・シェベコに強いメッセージを送るため急いで町に戻り、7月23日木曜日午前4時に通信を打ち切った。

２２日水曜日の初め、サゾノフは、ローマから不穏な報告を受け取った。それは、「オーストリアは大きな一撃を準備しており、セルビアの殲滅を狙っている」というイタリア外相の信念を伝えたものであった[1]。

サゾノフは、「オーストリアはセルビアに対して措置を講じることを計画している」という信頼できる情報を持っているとシェベコに伝え、「セルビアにとって受け入れられない性格の措置に従わなければならない危険な結果」についてウィーンに「心から、しかし断固として」警告するよう駐ウィーン・ロシア大使シェベコに指示した。(c.f.McMeekin The RUSSION ORIGINS of the First World War p53)

この警告に外交上のより強い主張を与え、サゾノフは大使に次のように伝えた。「 [ポアンカレ]との議論から、フランスも・・・セルビアの屈辱を容認しない、ということが明らかになった。」

サゾノフはまだポアンカレに（あるいはベルヒトルトに）、自身のはっきりとした態度を見せていなかったが、ポアンカレは、サゾノフに自分のことを何の疑いもないように見せかけていた。

サゾノフは駐ウィーン・ロシア大使シェベコに、駐オーストリア・フランス大使も近いうちにボール広場（オーストリア政庁）に同様の警告を発するだろう。言った。

サゾノフはまた、デ・ブンゼン駐ウィーン・英国大使も「同じ意味で話す」ことを望んでいると述べたが、まだ確証は得られていなかった。.2

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　サゾノフがこの警告（「セルビアにとって受け入れられない性格の措置に従わなければならない危険な結果に対して、心から、しかし断固として」警告する）を発したとき、彼は一人で話していたわけではない。サミット中のある時点で――彼もポアンカレもそれがいつだったかは明らかにしていないが――ロシア外相サゾノフはウィーンに対する「反最後通牒の最後通牒」（McMeekin The RUSSION ORIGINS of the First World War p53）の条件についてフランス大統領と合意した。

ポアンカレのバージョンはサゾノフのバージョンとほぼ同じであったが、フランス人の評判通り、彼の言葉遣いはさらに強かった。駐ウィーンのフランス大使アルフレッド・デュメーヌは、「（オーストリアの）報復要求や（セルビアに）押し付けられるあらゆる条件を阻止する手段を無視してはならない」との指示を受けた・・・予想通り、このベールに包まれた脅迫の明白な表現はヴィヴィアーニの好みではなかったが、ヴィヴィアーニは外務大臣として「仕方なく」それをドゥメインに送ることに同意した（ avec peu d'empressement)。しかし、ヴィヴィアーニは２４日金曜日の早朝、クロンシュタットを出発した直後、フランス号の配電盤にいた[3]。

（サゾノフとポアンカレは、ベルヒトルトに対して「結託している」という印象を避けるために、共同作業の「反最後通牒の最後通牒」の提出を時期をずらすことにしたようだ。）４

　セルビアへの最後通牒をめぐって迷っているうちに、オーストリアは自ら出し抜いてはいたが（結局のところは）、フランスとロシアが最高レベルの政府首脳会談で、最後通牒への共同対応を調整することを可能にしていた。フランス代表団が（ロシアを）出立するまでは（最後通牒の通告を）控えるというベルヒトルトの策略により、フランスからの警告（「反最後通牒の最後通牒」）が発せられたタイミング（それはフランス政府が最後通牒を正式に通告される前に発せられた）は、後の抗議とは裏腹に、ポアンカレとヴィヴィアーニが（実は）オーストリアの計画を事前に知っていたことを証明している。

しかし、これはまた、実際にセルビアに最後通牒が与えられた翌日の7月24日金曜日まで、フランスからの（「反最後通牒の最後通牒」の）警告がウィーンに届かなかったことも意味していた。したがって、ベルヒトルトに対して何の抑止効果も持たなかった可能性がある。

　サゾノフ自身からの（「反最後通牒の最後通牒」の）警告はこれより早く届き、7月23日木曜日午後3時にウィーンのロシア大使館によって解読されたが、十分早くもなかった。駐ウィーン・ロシア大使シェベコが街を離れていたために、ロシアの臨時代理大使が彼の代わりにボール広場に駆けつけ、オーストリア外務大臣ベルヒトルトにサゾノフの「反最後通牒の最後通牒」を提出した。悲しいかな、ベルヒトルトの秘書はロシアの臨時代理大使を一蹴し、外務大臣ベルヒトルトは忙しくてその日の午後は会えないと告げた。ロシアの臨時代理大使は翌朝11時には戻ってくるつもりだったのだろうか? 5

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　タイミングが示唆的だった。 24日金曜日の午前11時までには、最後通牒が予定通り木曜日の夕方にベオグラードに届けられていて(c.f.p122,)、欧州各国政府に正式に通知されるはずだった（計画では24日金曜日の午前10時に通知される予定だった）。

ベルヒトルトがスタッフに対し、24日金曜日の朝までは「敵対的」勢力の代表者に面会を許可しないよう（秘書に）伝えていた可能性はある。ロシアの臨時代理大使がどの程度知っていたかをベルヒトルトの秘書が知っていたかどうかにかかわらず、彼が駐ウィーン・ロシア大使シェベコの代わりの臨時代理大使に与えた言い訳は完全に不誠実だったわけではない。ベルヒトルトはその運命の午後、忙しかったのだ。

最後通牒の時限爆弾は猛烈な勢いで時を刻み、ロシア特使がボール広場に到着してからわずか1時間後にベオグラードで爆発する予定だった。（つまり）計画では、オーストリアが真夜中までには動員を開始できるよう、7月25日土曜日の午後5時までに期限が切れるようにするため、ウラジミル・ギースルが23日午後4時から5時の間にセルビア政府に提出する予定だった。そこでギースルは午後４時半にセルビア首相との謁見を要求した（c.f.「夢遊病者たち」p685)。しかし23日木曜日の朝、ベルヒトルトは、フランス号が予想より5時間近く遅い午後11時まで錨を上げないことを知っていた[6]。

サンクトペテルブルクと中央ヨーロッパとの間に１時間半の時差があるとしても、これは、もしギースルが午後４時半にメモをめくれば、ポアンカレがクロンシュタットを出発する１１時までにベオグラードの政策（démarche）の知らせがペテルブルクに届くのはほぼ確実であることを意味した。そしてそれによって、ポアンカレはサゾーノフやツァーリとともに（新たな）対応調整ができるかもしれない。これを知ったベルヒトルトは土壇場でスケジュールを変更し、ギースルに配達を午後6時まで延期する緊急の電報を送った(c.f.Fromkin, David. Europe's Last Summer p180) 7。

（最後通牒の通告が）これより遅くなると、48時間のデッドラインが動員命令のための25日土曜日の夕方に間に合わなくなり、動員が宵越しになってしまってコンラッドが激怒したことだろう。

それは危機一髪のことだった。23日木曜日の夕方に最後通牒のニュースがサンクトペテルブルクに届くのを防ぐには、たとえ6時でも早すぎかもしれない。それでも、1時間半の時差（そして電報の作成、暗号化、送信、解読に必要な時間）を考慮すると、フランス号の船上でお別れの晩餐会が始まるまで、ニュースがロシアの首都に届かないだろうことを、ベルヒトルトは願望した。

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　ベルヒトルトの頭痛にさらに拍車をかけたのは、木曜日の午後早くにベルヒトルトが参謀長コンラッドと交わした不穏な会話だった。 2日以内に実際の戦争が起こる可能性が目前に迫っている中、外務大臣ベルヒトルトは最後通告計画を実行する前に考えるべき最悪のシナリオについて、最終的な熟考をしていた。

彼はコンラッドに、48時間の期限が過ぎた後、つまりオーストリアの動員が始まった後に、戦闘が始まる前に、しかしながらセルビアが従ったとしたらどうなるだろうかと尋ねた。外務大臣とは異なり、参謀長コンラッドは、すでにこの可能性は検討していた。そうなることは考えていなかったが。

これが起こった場合、解決策は簡単だった。「セルビアは、[我々の]動員費用を[支払うよう要求される]だろう。」

しかし、コンラッドはベルヒトルトの2番目の質問に面食らった。

ボール広場（オーストリア政庁）には何日もの間、イタリア人がベルヒトルトが何をしようとしているかを知っていることを示唆する不穏な報告がローマから届いていた。

7月10日、イタリアの外務大臣アントニオ・ディ・サン・ジュリアーノは、バルカン戦争でオーストリアが獲得した対価（quid pro quo）を指名した。それは、ウィーンはイタリア語圏の南チロル全域（偶然ではなく、コンラッドが田舎の領地を持っていたイニヒェンも含む）を引き渡さなければならない、ということだった。

ドイツ側はベルヒトルトに対し、イタリアの支援、少なくとも中立を確保する必要があると数週間にわたって警告していたが、これまでのところ何もなされていなかった。

さて、突然、ベルヒトルトはコンラッドに尋ねました：もしイタリアが私たちに対して介入してきたらどうしますか？

その場合、コンラッドは、オーストリア＝ハンガリーは二正面戦、場合によっては三正面戦に直面するので、「まったく動員すべきではない」と答えた[8]。

イタリアの中立を確保するのがベルヒトルトの仕事だった。彼がもしそれに失敗したら、コンラッドへの報告が遅くなったことだろう。

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　最後通牒のニュースがイギリス、フランス、イタリア、ロシアだけでなくベオグラードにも漏れていたことをコンラッドやベルヒトルトが知っていたら、コンラッドはさらに心配しただろう。

遡ること7月15日水曜日、ウィーンのセルビア公使から差し迫った外交行動に関する最初の重大な警告がベオグラードに届いた。 7月17日金曜日、ロンドンのセルビア公使はセルビア政府に対し、「武力攻撃に発展する可能性のあるセルビアに対する外交的圧力に向けた準備が整っている」と通告した。

パシッチ首相はこのニュースに十分警戒し、その日遅くに次のように述べた。彼はオーストリアのギースル公使に「非公式会話で」「セルビア政府は、いかなる警察の捜査要請にも直ちに応じる用意があり、国家の尊厳と独立にかなうその他のあらゆる措置を講じる用意がある。」と伝えていた。

しかし、パシッチはまた、英国のベオグラード公使（ギースルではないが）にも、彼がオーストリアの意図、つまり「オーストリア・ハンガリー政府側からの混合調査委員会の任命要求」について優れた情報を持っており、国家主義社会の弾圧や報道の検閲は、内政や法律に対する外国の介入を意味するため、応じられないことを示唆した形で報告していた。’9

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　オーストリア側にとって不利な予感をさらに悪化させたのは、ギースルが7月23日木曜日の夜、最後通牒を伝えるためにパシッチとの謁見を要求した際、首相が街にさえいないことを知ったことである（c.f.「夢遊病者たち」p685～)。（その時）彼はニッシュ大学にいて再選を目指して運動していたのだった。

もしセルビア人たちがこれから何が起こるかを知らなかったら、パシッチの不在は目立たなかったことだろう。しかし、実際にそうした（パシッチは最後通牒の存在を知りながら、選挙遊説に出ていてしかもすぐには帰ろうとしなかった）のであったから、そこには巧妙な駆け引きがあったのかもしれない。

オーストリア側は、（パシッチの行動を是認することへの）非難を避けパシッチが最後通牒の文面を見てすぐに辞任することを半ば期待していた。

この（非難される）可能性を回避するために、ベルヒトルトはギースルに対し、そのような辞任の場合には「辞任後でも、新しい内閣が成立するまでは依然として（首相は）政務の全責任を負っていることはよく知られている」という理由で最後通牒期間と（首相辞任と）の関連性を否定するよう指示していた。

オーストリア側はパシッチが最後通牒への返答を躊躇するつもりはなかった。パシッチは小刻みに抜け出すことに熱心だった。オーストリアからの差し迫った行動を予期していたかのように、7月22日水曜日、パシッチ首相は、セルビアのあまり知られていない財務大臣代理ラザール・ペーチュ博士に、今後数日間、（自分が）ベオグラード郊外にいる間に自分の代理として行動するよう明示的に指名した。

23日木曜朝、その夜の（首相への）緊急謁見を求めるギースルの要求を受けた（c.f.p170)後、ペーチュが首相にベオグラードに戻るよう求めたとき、パシッチはそれを拒否し、財務大臣に「私の代わりにペーチュを受け入れる」よう命じた10。

ギースルが7月23日木曜日午後6時少し前にセルビア外務省に到着した時点では、オーストリアによるセルビアに対する最後通告は、ヨーロッパにおける最悪の秘密となっていた。

確かに、ギースルが今密封した封筒に入れて持ち歩いていたメモの実際の文面を見たことがあったのは、オーストリア人とドイツ人だけだった。しかし、ロシア人、フランス人、イギリス人、イタリア人などのセルビア人は、それが来ること、そしてその条件が非常に厳しいものであることを疑いもなく、受け入れが不可能ではないにしても困難になるだろうと信じていた。

ベルヒトルトは、自分の計画がヨーロッパ各国の首相官邸にどれほど深刻に漏れていたか、バルカン半島の局地的な既成事実に対する彼の希望を台無しにするだけだったということを知らなかったのかもしれない。あるいは知りたくなかったのかもしれない。ベルヒトルトは外交戦略の失敗から起こるかもしれない、より広範な戦争の深淵を見つめながら、すぐに渦中に飛び込んだ。

　ギースルが到着したとき、皮肉なことにセルビア政府長官の代理を務めたペーチュが、「期限付きの声明」が書かれた言語であるフランス語を一言も話せないことを知って不快な驚きを覚えた。幸いなことに、セルビア外務省には少なくとも一人、スラフコ・グルイッチ事務総長が常駐しており、セルビア政府の首長代理のために、会話を翻訳することはできないにしても、声明の即時翻訳を提供することができた。

ギースルはほとんど時間を無駄にせず、最後通牒のコピー、2ページの別紙、そしてパシッチ首相の代表としてペーチュに宛てた短い書簡を見せた。

彼は財務大臣に対し、期限は7月25日土曜日の午後6時に終了すること、それまでに満足のいく返答が得られない場合は公使館の職員全員とともにベオグラードを離れると通告した。ペーチュは、これが何を意味するのか、つまり戦争を理解するのには、ほとんど通訳を必要としなかった。

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　それでも、セルビア人がこうしたことを理解していると認める理由はなかった。パシッチの不在にはメソッドがあることを示し、ペーチュは書類を受け取ることを拒否し、自分にはセルビア代表としてオーストリアの声明を受け取る資格がないと反論した。

最後通牒（とにかく彼には読めなかった）を一瞥することもなく、首相代理はギースルに対し、「選挙が行われていて閣僚の多くが欠席しており、招集が物理的に不可能になるのではないかと心配した」と抗議した。

ギースルは、まさにそのような言い訳を予想して、「鉄道、電信、電話の時代に、（セルビアの）広さの土地で閣僚が（ベオグラードに）戻るのはほんの数時間の問題だろう」と答えた。

彼はペーチュに対し、今回の会談について何時間も前から通知していたこと、その気になれば容易だったにも拘らず、ベオグラードに戻らないのはパシッチ自身の選択であることを思い出させた。さらに、閣議とその召集の問題は、「セルビア政府に固有の問題であり、彼（ギースル）は何も言うことができなかった」11。

　ペーチュは、この集中砲火にもゲーム的に抵抗した。彼は、セルビア政府を代表して最後通牒を受け入れるつもりはまったくなかったのだ。長く気まずい沈黙の後、ギースルはペーチュとセルビアが「それなら好きにすればいい」と言って、それをテーブルの上に置いておくことに決めた。そしてギースルは向きを変えて立ち去った。彼にはそれ以上何もすることがなかった。12

　このようにして、オーストリア側は不用意な漏洩によって最後通牒の驚愕性を台無しにした後、その配達にも失敗した。 他のすべての大国と同様に、セルビア政府は最後通牒を早期に嗅ぎつけ、技術的な理由で最後通牒をほぼ無力化した。少なくともパシッチはギースルとベルヒトルトから、（セルビアを）追い詰める満足感を奪った。

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　一方、ギースルが部屋を出た瞬間に愚か者のマスクを外したペーチュは、隣の部屋に隠れていた他の二人の大臣と最後通牒の内容を共有した。

彼らはそのニュースを（セルビアに）友好的な外交官に伝えた。当然のことながら、この話を最初に知ったのは、ロシアに伝える前に、ヨーロッパ外交のゴシップ好きであるイタリアだった。 23日木曜日の夕方9時頃（ロシア時間）、サンクトペテルブルクのイタリア大使館の武官は、フランス号の船上でのお別れ晩餐会に遅れて到着し、ロシア外務省近東局長代理のK・E・ブッツォに静かにこう告げた。「ハンガリーはこの日、セルビアに対し全く受け入れがたい最後通牒を突き付けた。」

イタリアの報告の真実性を確認し、コリスター橋（ロシア政庁）の書記たちはほぼ同時に、駐ロシア・ハプスブルク大使ザパリ伯爵からロシア外相サゾノフとの午前中の１時間の謁見の緊急要請を受け取った[13]。

ベルヒトルトは、サゾノフがどう出ようとしているのか調べようとしていた。

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