1. Ljuba Jovanovic’s disclosure that the Serbian Government had foreknowledge of the plot; Pasic’s tardy denials (p. 89).
　サラエボ事件の責任をセルビアに負わせ、最後通牒を送る際に、オーストリアが「黒手組」の役割に言及しなかったという事実は、セルビア政府にとって幸運であった。

ウィーン当局が「黒手組」を告発する代わりに告発したのは、テロ行為としては咎められていなかったNarodna Obranaであった。

これは、ベオグラード政府がそれで一切の責任を免れたということではないし、また、ディミトリビッチが個人行動でしたと言うことも正しくはない。W. Seton-Watson,が言うように、ディミトリビッチは裁判で、セルビア（政府）を問題から引き離すために、タンコシッチに対しても同様の主張を行った [1（ It. W. Seton-Watson, Sarajevo , p. 143.）]

ディミトリビッチは軍で高いポストに就いており、 1903年の陰謀（国王殺し）では、セルビアの公的指導的人物であり、軍内の強い流れを代表していたので、セルビア政府は、彼らが危険であることを承知しながら、彼とその社会を監視し続けるべきであったという反論がなされるかもしれない。

パシッチと彼の同僚が陰謀に加担していないと仮定すると、彼らは必要な警戒を行っていたのだろうか？それとも逆に、彼らが「黒手組」とその首領が何を企んでいるかの情報を知っていたと仮定すると、それを挫折させるために必要な措置を講じることを意図的に戒めたのだろうか？

この問題に関しては大量のインクが書き込まれており、明らかになった真実は依然として一部の人によって否定されている。

p90
戦争が終わった後、勝利とユーゴスラヴィア連合の喜びの中で、セルビアの政治家や広報担当者が心の底から暴露と自信に耽っていた瞬間があった。しかし、このようにして引き起こされたスキャンダルはあまりにも大きかったので、スキャンダルを破った声の影響を完全に元に戻すことはできずに、起こったことすべてに再び沈黙が訪れた。

　すでに見たとおり1（p71）、1923年にStanojevic教授は暴挙の起源をめぐる謎のベールを剥がし、ディミトリビッチ（アピス）と「黒手組」を直接告発し始めた。これらの告発を行った彼の目的は、セルビア政府とナロドナ・オブラナの活動が政府によって把握され承認されていたことの完全な無実を証明することであった。

しかし、1924年に、1914年に教育大臣だった Ljuba Jovanovicは、欧州戦争10周年を記念する出版物への寄稿を約束していたが、何の準備もしていなかったので、彼の報告書の断片を送ってきた。この出版物の最初の記事は、「Krv Sloventsva (スラブ主義の血)」と題されていた。Ljuba Jovanovicは、他人事のように、以下のように語った。

（Ljuba Jovanovic）
　5月末だったか6月初めだったか覚えていないが、ある日パシッチ氏が私たちにこう言った（彼は特に当時内務大臣だったStojan Proticとこれらの問題についてもっと話し合ったが、彼は残りの者たちにこれだけ言った) 。

（パシッチ）
「フランシスコ・フェルディナント公を殺すためにサラエボに行く準備をしている人々がいた。公は、Vidov Danの儀式に参加していた。」

後で彼らが私に語ったところによると、陰謀はベオグラードで、秘密裏に組織されたグループと愛国的なボスノ・ヘルツェゴビナ人学生のサークルの中で生まれた。

M. パシッチと私たちの残りは、ドリーナ川の辺境当局に、暗殺の目的のためにすでにベオグラードから出発していた若者たちの渡河を拒否するよう指示を出すべきだと主張し、内務大臣Stojan Proticも同意した。

しかし、辺境の「当局」自身が（暗殺）組織に属しており、内務大臣Stojan Proticの指示を実行せずに、彼に対して、命令は遅れて到着したために、すでに暗殺者たちは国境を超えていた、と報告した。

　このようにして、陰謀の実行を阻止しようとする政府の努力は失敗に終わり、ウィーンの我が国の大臣、M. Joca Jovanovic氏がビリンスキー大臣とのインタビューで自らの主導で大公の致命的な旅を思いとどまらせようとした努力も、失敗した。こうして、サラエボでの試みは、予想されていたよりもひどいやり方で実行されることになり、当時誰も夢にも想像できなかった結果をもたらしたのだ。 2

　これらの文章は、陰謀の正確な再構成を示しており、辺境当局もこの組織に属していたボスニア人学生と共謀して秘密裏に組織された人物グループによって計画されたことが裏付けられる。

p91
Ljuba Jovanovicがほのめかした組織は明らかに「黒手組」であった。彼自身が1925年3月22日のベオグラードのPolitikaに書いており、この団体はセルビア政府に不満を持つ分子によって設立されたと付け加えた。

しかし、Ljuba Jovanovicの証言によれば、この組織は秘密だったが、パシッチは組織が何を企んでいるのかは知らされており、同僚たちにこの問題を提起する必要があると感じていたという。

彼らは陰謀者のボスニア入国を阻止しようとし、決断力があり、ディミトリビッチと「黒手組」の敵だった内務大臣Stojan Proticがその決定を実行しないはずはなかったが、残念ながら遅すぎた。

共謀者たちが国境を越えてきたという事実を考えれば、パシッチは彼らの行為を阻止する別の手段を試みるべきだった。彼が実際に何をしたか、Ljuba Jovanovicは何ら説明していない。彼は続けて次のように述べている。

（Ljuba Jovanovic）
　私は主な共謀者のガブリル・プリンチプと個人的に知り合いでした。私の部署で彼を二度か三度見たことがありますが、そのとき彼は私に会いに来て、最初は五番目のクラス、次に六番目のクラスの「ギムナジウム」での試験を個人的に受けさせてほしいと頼みに来ました。

　次にLjuba Jovanovicは、この暴挙を聞いたときの自身のショックと不安の感情を語った。

これらの暴露を行う際に、それをLjuba Jovanovicやセルビア国内の誰もが大して重視していなかったが、彼は、特にセルビアに友好的な海外の特定のサークルにおいて、その暴露が原因となって起こるであろう憤りや怒りは、ほとんど夢にも思わなかった。

そうした暴露に含まれた唯一の新しい要素は、サラエボ事件の直後にすでに間接的に述べられていた事実をより明確にしたことだった。実際、間もなく取り上げることになるが、早くも1914年6月30日には、セルビア政府が、サラエボで大公に対抗して準備されていた企てをオーストリア政府に対して適時警告を与えていたことが、権威をもって述べられており、1923年にStanojevicによって繰り返された。

こうした警告を発することができるのであれば、セルビア政府が陰謀に関する情報を持っていたことを示すことになる。

Ljuba Jovanovicは今度は、陰謀がベオグラードで企てられ、陰謀者たちが阻止されなかったことを明らかにし、問題をさらに進めた。

戦後、セルビアでは、起こったことを誇り、南スラブ人の解放と独立国家としての彼らの団結をもたらした犯罪を美化する傾向があった。イタリア人はこうしたことをよく理解していた。彼らは Guglielmo Oberdanの功績に敬意を表し、通りや広場に彼の名前を付け、記念碑を建てていた。

実際、ベオグラードでは、暴露に関与したパシッチも含め、Ljuba Jovanovicの記した内容が非難されようとは誰も夢にも思わなかった。実際、Ljuba Jovanovicはスクプスティナ議長、選挙委員会委員長に任命されたが、その他のことはパシッチの意志によってのみ起こり得ることだった。

p92
　しかし、当時のセルビアと後のユーゴスラビアには影響力があり、信頼できる友人や保護者がいたが、同時に憎むべき敵もいた。その中にはイギリス人女性のMiss Durhamも含まれており、彼女は1924年末にLjuba Jovanovicの暴露について講演や記事、さらにKriegsschuldfrageでも問題提起をし始めた [1] 。12月24日には、大西洋の反対側で著名な歴史家のフェイが 1924年、リッチモンド（バージニア州）に集まったアメリカ人歴史家の注目をこれらの開示の重要性に注目させ、彼は著作の一部をそれに捧げた。

しかし、予想通り、それらを最も集中的に利用したのは、Ljuba Jovanovic によって明らかにされた事実をベルサイユ判決の修正を求めるキャンペーンに取り入れたドイツ海軍だった。 2

　この作戦により、戦時中セルビア政府の完全無実を主張し、Ljuba Jovanovicの暴露にはほとんど信憑性を示さなかったセルビアの親友であるR. W. Seton-Watsonが、告発を取り消そうとしたセルビア政府からの保証と証拠を得ることを期待して介入することを余儀なくされた。

1925年2月16日のタイムズ紙への手紙の中で、R. W. Seton-WatsonはパシッチとJovanovicに対し、「サラエボの犯罪を予見し、意図的に黙認していた」という告発を晴らすよう公に求めた。

　パシッチは返答しなかったが、ベオグラードの新聞に、セルビア政府が戦争の起源に関する別のブルーブックの発行を決定したという発表を掲載させた—ただし公式報道局によるものではなかった—。この発表により、R. W. Seton-Watsonは、数週間後にタイムズ紙に、これらの文書が公開されるまで判決を保留すべきであるとの書簡を再度書き送った。

一方、1924年に急進党のより穏健派を率い、国王から組閣を要請されていたLjuba Jovanovicが、党首としてパシッチの後を継ぐのが順当であるように見えたこともあった。しかし彼の悪名高い記事が海外で引き起こしたセンセーションは、ベオグラードの報道機関に彼の政治的立場を揺るがす暴力的な攻撃の口実を与えた。

そのため、1925年の3月と4月に、彼はセルビアの政界で30年以上演じてきた役割を扱った一連の記事をNovi Zivot と Politikaに発表したが、本当の問題、つまりパシッチがサラエボ事件を事前に知っていたかどうかという問題を回避していた。そして、陰謀を企て、Seton-Watsonが自分の発言を誤って報告したとして非難した。その後1925年4月17日の『ポリティカ』に掲載されたインタビューでヨバノビッチは次のように述べた。「人々は信じ込まされているので、私は何も暴露しなかった。私は単に 1914 年にセルビアで誰もが知っていたことを書いただけです。」 3

p93
　この一文はSeton-Watsonを満足させず、Seton-Watsonはこの問題を解決するためにユーゴスラビアを訪れ、1925年5月13日付のZagreb Nova Evropa 紙に公開書簡を掲載した1。

書簡には、彼が、Ljuba Jovanovicが与えた詳細についてベオグラード政府に発表を求めてから2か月以上が経過したが、まだ返答はないと述べられていた。

彼はまた、Ljuba Jovanovicを調査し、パシッチが陰謀の存在を同僚閣僚に知らせたことについて自分が書いたことを確認したかどうか、明白な陳述を求めた。もし彼がそれを否定しなかったとしたら、それはパシッチ自身が「率直に発言し、事実を真の光の中にさらす」ということだった。

しかし、パシッチは沈黙を押し通し、ブルーブックは出版されることはなかった。したがって、1925年末にSeton-Watsonは著書『サラエボ』を出版し、その中で彼は、8か月が経過してもブルーブック出版の兆しがないことを批判して世間の注意を促した。この批判は、騒ぎが収まるまで批判者たちをなだめるための単なる戦術的なものである可能性が高いと思われた。 2（ Seton-Watson, Sarajevo , p. 156）

　しかし、世界中、特にドイツの世論では、Ljuba Jovanovicの暴露によって引き起こされたセンセーションは長く続き、セルビアでの論争を引き起こした。

1926年2月26日、スクプスティナの予算常任委員会の会議で、セルビアの元駐ウィーン公使Jovan Jovanovic（リュバ・ヨヴァノヴィッチと混同しないでください）は、セルビアの名誉のために率直に発言するようパシッチに懇願した。

1926年2月26日、元ウィーンセルビア公使Jovan Jovanovic（Ljuba Jovanovicと混同しないよう）は、スクプスティナの予算常任委員会の会議で、セルビアの名誉のために率直に発言するようパシッチに懇願した。

元アレクサンドル王子の私設秘書でパシッチに献身的に貢献していたJelenic教授は、急進党の中央委員会に対し、Ljuba Jovanovicの話は「最も不誠実なレヴァント地方の嘘」であると述べ、パシッチに反論するよう懇願した。

彼自身の解釈では、犯罪はベルリンで計画され、コノピシュトで最後の仕上げを受け、「ウィーンとブダペストの派閥とベオグラードの黒手組との協力によって実行された」というものだった。 3

この主張は、黒手組の2人の生存者のポポヴィッチ大佐とミロヴァノヴィッチ大佐の憤りを呼び起こし、彼らはJelenic教授に自らの発言を証明するよう促したが、その場合、彼らは愛国心が強かった死んだ同志の汚名を晴らすために、サラエボの犯罪について知っていることを話したことだろう。 4

　この時点でパシッチは沈黙を破り、1917年に内務大臣としてディミトリビッチ（アピス）とその仲間たちのサロニカ裁判で報復役を演じたLjuba Jovanovicを狼に投げる義務があると感じた。

1926年4月、急進クラブの会合でパシッチは、彼が大公に対する暴挙を予見していたことについての疑惑を撤回するよう元同僚（Ljuba Jovanovic）に求めた。「パシッチは内閣でそのような発言はしていない。」

p94
（だがLjuba Jovanovicの）主張は撤回されなかった。そのためパシッチは、彼に帰せられた言葉の数々は、一切話したことなどない、he had received corroboration of this from his colleagues of that timeと、繰り返し述べた。

パシッチは続けた。なぜ Ljuba Jovanovicが自分（パシッチ）のしたことを書いたのか、自身はまったく理解できなかった。だがもしそれが彼のやり方であったなら、彼の行為は許しがたいものであったため、彼は党を去った方が良かっただろう。

　しかし、パシッチによるこの反論は、Ljuba Jovanovicの記事が出版されてから2年も経ってからであり、信憑性を得るには遅すぎた。誰もパシッチの反論をまともに受け止めなかった。Tovan Tovanovicは書いている。

急進党から除名されたLjuba jovanovicは「政治的に葬られた」が、彼の話を撤回することは拒否された。 1

彼は、パシッチが閣議ではなく個人的な会話の中で大公に対する暴挙について話したと述べた、との返信を書いた。彼は、当時のPrime Minister Uzunovic and the then Foreign Minister Nincicが彼の行為に対して全責任を負うのであれば、この主張の真実性を証明する文書を提出すると申し出た。これを彼らは両者とも拒否した。それで物事はそのままうやむやとなった。 2

パシッチは 1926 年 12 月に、Ljuba jovanovicは 1928 年 2 月に亡くなった。

2. Who was telling the truth, L. Jovanovic or Pasic (p. 94)?

あああ

3. Evidence as to information on the plot possessed by the Serbian Government and as to its having warned Vienna (p. 98).
あああ

4. The Serbian Minister to Vienna carries out badly the instructions given him by Pasic (p. 101).
　これらすべては、パシッチが陰謀を知っていたことを明らかにする際にLjuba Jovanovicが真実を語ったこと、そしてウィーンでのセルビアの大臣がオーストリア政府に警告するよう指示を受けたと述べた報道が真実であることを示している。ただし、これは警告が実際に発せられたことを意味するものではない。

Jovan Jovanovicがベルヒトルトに関して何も行動を起こさなかったのは事実であり、この趣旨に関する彼の発言は完全に信頼できるものである。 Jovan Ipvanovicはウスクブの以前の領事であり、第一次バルカン戦争のさなかの1912年末に駐ウィーン公使に任命された。彼は、ボスニア併合時に混乱を煽り、コミタジのバンドを苦しめたとさえ噂された。したがって、彼はボールプラッツや宮廷でもpersona grataではなかった。駐墺フランス大使デュメーヌは彼について、次のように書いている。

p102
　公的な世界から監視され、踏みにじられ、正当な理由であっても妥協する気のない同僚たちから軽視されていると感じていた彼は、私の歓迎に非常に感謝していることを示した。ベルヒトルト伯爵は、私が彼の言うことを何でも重視するべきだと驚いて、あまりにも奇妙だと私をからかいました。「セルビア人の言葉を誰が信じたでしょうか？」マリア・ジョゼフィーヌ大公妃が真剣に叫ぶのが聞こえた。。。。確かに、すべてのセルビア人がこの寓話の中の子羊のように率直に無邪気だったわけではない。しかし、オオカミの議論の仕方には、ベオグラード政府に対する帝国首相よりも大きな偏見は見られず、私はイライラしていました。1

　一つ確かなことは、Jovan Jovanovicはベルヒトルトとほとんど接触がなかったということである。ベルヒトルトは共通財務大臣であり、ボスニア・ヘルツェゴビナの行政長官であったビリンスキーを好んでいた。したがって、Jovan Jovanovicが大公の訪問に関して自分自身に話しかけたのは、ビリンスキーに対するものであった。 2

このことは、1924年6月23日のWiener Sonn - und Montags-Zeitungに掲載されたH.Y.署名の書簡によって明らかになった。そこには、パシッチが1914年6月18日にウィーンに向けてセルビアの大臣に、以下のような電報を打った、と記されている。

大公にサラエボに行くのを思いとどまらせるため、あるいは少なくとも大公が逃げるべき危険性について警告するためだった。

大臣は、自国に損害を与えずにこのようなデリケートな任務をどのように遂行するかを熟考し、最初に考えたのはベルヒテルドと話すことであったが、その後、ビリンスキーにこの問題を提起したほうがよいと考え、6月21日正午にそうした。

　この手紙の著者は、1914 年 6 月にウィーンのセルビア公使館の参事官であった G. ジョシモヴィッドに帰せられたが、ジョシモヴィッドはシートン＝ワトソンに対し、自分が書いたことを否定した。シートン＝ワトソンは、この作者は反セルビアの宣伝活動家レオポルド・マンドル（p82）だったと考えた。 3 （Seton-Watson, Sarajevo, p, 154）

Jovan Jovanovicがビリンスキーと行った demarcheの書簡で暴露されたことにより、Jovan Jovanovicは 1924 年 6 月 28 日付けの Neues Wiener Tagb/att に、警告は彼自身の主導で与えられたものであるとの書簡を送った。

　私が覚えている限り、私の訪問は6月5日ごろでした。 ...私は大臣に、知り得たことを率直に説明した。すなわち、演習はセルビアのちょうど反対側のドリン川沿いのボスニアで行われる予定であり、大公自身が指揮を執ることになる[実際には演習は他の場所で行われ、大公は指揮を執っていなかった]。私は言いました：...もしこれが本当なら、これを挑発行為とみなすべきセルビア人の間で最大の不満を引き起こすことになる、と確信いたします。このような状況での演習は危険です。セルビア人の若者の中には、空薬莢の代わりにライフルやリボルバーにボール薬莢を入れて発砲し、その弾丸が、大公に当たるかもしれません。

p103
　これらの明確な言葉に対して、フォン・ビリンスキー博士はこう答えました・・・「私はあなたに、彼らが大公に対してどのような結果をもたらしたかを知らせるだろう。私自身はあなたが予見したような演習の結果を信じることができなかったが。」　そしてさらに彼は、ボスニアが完全に静まり返っているという情報を知っていたという。数日後、私はこの件についてフォン・ビリンスキー大臣を訪ねたが、それでも当初の計画が守られ、私の警告にもかかわらず何も変わらないことを知り、恐ろしく思った。 1

　ビリンスキーは回想録の中でこのことについて何も述べておらず、ただ大公の保護のためにとるべき措置について相談を受けなかったことを嘆いているだけである――このことからわかるように、大公は取り決めを地方総督のポチョレック将軍の手に委ねることを望んでいたのだ――そして大公は、皇帝に意見を述べたという噂を否定したが、これは全く場違いな措置であった。「なぜなら私（ビリンスキー）には、この軍事旅行に干渉する理由はなかったからだ。」

そして実際、犯罪の2日後に与えられた謁見の席で、皇帝はビリンスキーの全責任を免除した。 2

　戦時中にオーストリアの歴史家から質問されたビリンスキーは、このことについてはもう忘れたい、と答えた。 3

しかし、1914年にオーストリア大蔵省報道局長だったP. Flandrakは、1925年4月26日のNeues Wiener Journalで、Jovan Jovanovicが行ったdemarcheについて証言した。Jovan Jovanovicが、セルビア兵の銃弾に大公が当たる可能性について言及していたことは、いうまでもない。さらに、ビリンスキーは、大公がボスニアへの旅をするのは得策ではないと考えていたが、セルビアの大臣の言葉を重視せず、いつものようにベルヒトルトに報告しなかった、とも付け加えた。

おそらく、言葉が一般的すぎて、理由についての言及が少なすぎたのでしょう。さらに、ビリンスキーがフランシス・フェルディナント大公に対して、ある種の憤りを感じていたという事実を完全に看過することはできない。大公はビリンスキーを嫌っていたのだ。

しかし、いずれにせよ、もしJovan Jovanovicがビリンスキーに、セルビア政府が王位継承者に対する陰謀を知っていたと率直に告げていたら、ビリンスキーは確かに無関心で行動を起こさずにいることはなかっただろう。しかし、このJovan Jovanovicはそうはしなかった。

　1932年12月31日付のJ・アイザックへの手紙の中で、Jovan Jovanovicは、自身がイニシアティブを取ったかのように確信し、次のように書いている。

（Jovan Jovanovic）
　パシッチも私も、サラエボで暴挙が準備されていたとは知らなかった。

p104
その後の1933年1月25日の手紙で彼は次のように繰り返した。

（Jovan Jovanovic）
　セルビア政府が何らかの前向きな情報を持っていたこと、あるいはセルビア政府がSt. Vitusの日の悲劇を計画し、参加したことに対しては、1000回、ノー、と言う。

このすべての強調と、パシッチが陰謀に何らかの関与をしていたことへの必要もないような否定――パシッチが関与していると真剣に示唆した人は誰もいなかった――だけでは、パシッチが陰謀を知らずにいたこと、したがってJovan Jovanovicが、その（暗殺）情報をベルヒトルトに伝えるよう電報で示唆する立場にはなかった、という見解を確立するには十分ではない。

セルビアの大臣が、ベオグラード政府の示唆や許可なしに、大公がボスニアに旅行する計画に反対することをオーストリア政府に進言することを自ら引き受けたとは、考えられない。上記のアイザックへの手紙の冒頭で、Jovan Jovanovicが次のように書いていることが真実である。

　私の警告は、ボスニアで一定の措置を講じるよう提案したもので、ご存知のとおり、ビリンスキーはフランシス・フェルディナント公の訪問中に、陸軍当局の反対に対抗して、治安を強化しようとした。

しかし、Neues Wiener Tagblatt紙に対し、Jovan Jovanovicは逆に、ビリンスキーとの会話を、予防策を講じるよう勧告するのではなく、次のような言葉で終えたと明言した。

（Jovan Jovanovic）
　したがって、大公がサラエボに行かないのは良いことであり、合理的です。演習は聖ヴィートの日に開催されるべきではないのです。つまり彼らは、演習がボスニアで開催されるべきではないと主張したのです。 2

　何が起こったのかをより明確に理解するには、1915年にLuciano Magriniが元ウィーン駐在セルビア武官Lesanin大佐から収集した証拠に立ち返る必要がある。Jovan Jovanovicは、すぐにビリンスキーとの会談について知らせた。パシッチがウィーンのセルビア公使館に電報で送った指示の詳細を伝えた後、Lesanin大佐は以下のように続けた。3

（Lesanin大佐）
　Jovan Jovanovicは非常に当惑した。二日間、彼は（大公の）旅の中止を得るために、脅迫ともとれるこのデリケートな問題にどのような形で対処するかで頭を悩ませた。さらに、その電報は一般論として、実行犯については特に触れていなかった。 Jovan Jovanovicとベルヒトルトの個人的な関係は悪かった。ベルヒトルトはこの種のdemarcheをどのように受け止め、また解釈を加えたでしょうか?
　
　Jovan Jovanovicは、良好な関係にあり、ボスニア・ヘルツェゴビナの行政を彼の権限下に置いていたビリンスキー財務大臣に意見を表明することにした。

p105
Jovan Jovanovicには、陰謀の存在を主張する根拠がなかった。したがって、彼は一般論として、ボスニアとセルビアの世論の煽りから大公が逃げ出す危険性を強調した。重大な個人的な不幸が彼に降りかかるかもしれなかった。この旅は、セルビアが軽視するであろう事件やデモを引き起こす可能性があるが、それは必然的にオーストリアとセルビアの関係に影響を与えるだろう。

セルビア政府に対しての全く根拠のない懸念であるが、旅行が始まる前にオーストリア政府に伝えておくことが賢明である。彼はベルヒトルトにこの件について直接話さなかった。それは、ベルヒトルトの感情を害さないため、そして、誤解されないようにするためだった。

　公使館に戻ったJovan JovanovicはLesanin大佐に対し、数分間の思慮深い沈黙の後、ビリンスキーがコミュニケーションを重視する素振りを見せず、別れの挨拶をするときに発言にとどめていたという事実を懸念していると語った。そして「何も起こらないことを祈りましょう」と感謝した。 1

　興味深いのは、Jovan JovanovicがL.マグリーニの書いた内容の真実を決して否定せず、彼と最良の関係を保ち続けたことである。マグリーニが何度か彼に質問したとき、彼はその恥ずかしい質問について話すことに消極的だった。彼が以前の発言に縛られ、自分自身の矛盾を避けることに完全に夢中になっていたのは明らかだった。これは、同名の人物とこの件について何度か会話を交わしたが、自分の証言の真実性に確信を持てなかったSlobodan Jovanovicも得た印象である。 Lesanin大佐の発言を思い出したとき、Jovan Jovanovicが答えたのは、自分が言ったことを正確に思い出せないが、おそらくLesanin大佐は彼の言葉を誤解し、不正確に記入したのだろうということだけだった。その後、ビリンスキーとの会話で使用した用語の完全かつ正確な説明を求められたが、彼は1938年1月11日に、で最初のバージョンに戻ったと答えた。

　ビリンスキーが曖昧な表現に感銘を受けなかったのも無理はない。確かに、J・ヨバノビッチは陰謀の証拠を何一つ提出できなかったし、犯人を指名する立場にもなかった。しかし、それ以下であればオーストリア当局に警告するには十分だろう。彼は電報の本文、つまりLesanin大佐の以下の言葉を伝えるだけでよかった。

（Lesanin大佐）
セルビア政府には、大公がボスニアに旅行する際に、その命を脅かす陰謀が企てられているのではないかと疑う根拠があった。

そして、この件について、ビリンスキーではなく、ベルヒトルトに知らせることは、少なくとも脅迫行為ではなかったであろう。セルビア系オーストリア兵が大公の命を狙うのではないか、という理由だけで大公の旅に警告することの方が、はるかに深刻で挑発的だった。

p106
そうすることはまさに君主制の内政に対する不当な干渉であり、ベルヒトルトはスラブ人であるビリンスキーとは全く異なる返答をした可能性がある。それならば、なぜJovan Jovanovicはベルヒトルトを呼び出し、遅滞なく、また自らの責任を一切負うことなく、その指示を遂行するというまっすぐな道をとらなかったのだろうか？

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