| Music and Reformation 1 |
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| イングランドにおけるトマス・クランマーの教会に おける亡命宗教改革者たちの貢献についての一考察 ｐ1 I Music and the English Reformation Memorandum 1549年3月13日、昨年の11月24日以来、ウェストミンスターで開かれていた議会は閉会となった。・・・議会のこのセッションで、ひとつの統一書が、英国のこの地域で使われていた聖餐式やその他の秘蹟の奉仕を伴う礼拝のために上梓された。次に来るペンテコステの祝祭後に遵守され、議会の法令によるように、同じ侵犯に対して現れる・・・ 1549年のエドワード６世の第１統一令(Act ofUniformity)は、教会音楽化に対する決定的重要性を持つものとして、英国の宗教改革の１段階として位置づけられた。無論、この統一令以前に、多くの重要な出来事があった。 宗教改革の初期、すなわち、1529年の王権軽視罪（Praemunire）の法令のもとでのWolseyの禁令の時代に、改革の実践的な努力は、教会の軽視のもとで、王権を高めることとなった。 ”宗教改革”の議会の４つのセッションの間、４つの反聖職者法が通過していた。Act for the Submission of the Clergy,特に、1534年の国王至上法において、ヘンリー8世は、英国教会の唯一の至上の頭”として認められた。 この最後の法令は、ヘンリー8世に、教会を支配する力を与えた。そうした力は、英国君主がかつて持っていなかったものであり、王はそれを速やかに行使した。 p2 翌年、ヘンリーはトーマス・クロムウェルを司教総代理（Vicar-General）に任命した。王は、カンタベリー大司教Thomas Cranmerの助言において、彼に、英国のすべての教会で遵守されるべき禁令を取り扱う権限を与えた。これは、当時としては、急進的なもので、すべては、王が、会議召集の協力をする前に行われた。この新しい力のもっとも重要な示威は、教会財産の全体的な再配分において見られた。その過程は、1536年に始まり、50年以上の間、さまざまな局面において、続いた。 最初のもっとも壮大な段階は、4年間で終わった。その短い間に、800以上の修道院の施設が解散させられた。これらの大部分は小規模で、その年収は200ポンド以下であり、12人以下の共同体であり、多くの施設で、音楽が毎日の礼拝における重要部分となっていた。 大きな施設ではしかし、技能の高い聖歌隊が維持され、もっとも少なく見積もっても、50人を下回ることはなかった。そして、Table1が示すように、ほぼすべてが跡形もなくなくなっていった。 ヘンリーの宗教改革の間、毎日の礼拝は、ラテン語で唱えられ、歌われた。徐々に属人にもわかるようにはなっていったが。 王室禁止令(1536年）の最初の７項目は、各教区教会に、新しく権威づけられた英語聖書を購入するよう求めている。1543年以降、Matins とEvensongでの朗読は、英語でなされるようになった。説教が奨励され、すべての説教者が有資格であることになった。そして、ヘンリー統治の晩年には、あらゆる種類の偶像崇拝の遂行に対抗して、キャンペーンが行われた。多すぎる休日は中止となり、像や遺品は破壊された。巡礼は奨励されなくなり、ローマ教会のみせかけの司教は廃止された。 ｐ3 時間が経つにつれ、さらなる改革、特に母国語典礼が差し迫ったものとなった。1537年終りから1538年はじめにかけて、ヘンリーはルター派や、交渉を始めるためにロンドンに到着したルター派代表団との同盟の考えにとらわれた。 ｐ4 クランマーとクロムウェルは、新しい典礼のための提案を書き始めたが、交渉と提案は、日の目をみなかった。行動の時代が続いた。”異端的”な書は禁書となり、多くの数が焼かれた。それらの多くは、後にサマーセットの統治において居をかまえることとなったリベラルなプロテスタントによるものであった。焼かれた書のひとつは、CoverdaleのGoostｙ psalmesであり、ルター派領域で有名になったgeistliche Liederを基本とした、祈りの言葉と音楽の収集書であった。 当時、広範囲におよぶ宗教改革は、とてもあり得そうもないことであった。Wriothesleyは、彼の日記に、Te Deumの英語版が、教皇主義者から新しいセクトと呼ばれた進歩派のロンドングループの会合でしばしば歌われたことを記録している。 しかし、彼がこれを書き留めようとしたまさしくその事実は、出来事がまれなことの証拠となる。同様に、ロンドンのゴシップは、英語形式のミサが、北方の小さな村で少なくとも2回祝福されたことを語っている。しかしそれは明らかに、人々の興味を捕らえた、例外的性質の出来事であった。 ヘンリー時代の改革は、しかし、ひとつの大きな典礼的変化があった。1544年のEnglish Litanyの出版である。その年の夏、英国は、スコットランドとフランスと戦争中であった。ヘンリーは、神の御加護を得ることを感じていた。 （略） ｐ5 processionについての新しい英語の形式が準備されたが、王は、司祭は、実際にそれが使われる前に、人々にそれを教えるべきである、と主張した。そして、そうした説明のためには、１〜２ヶ月の導入の遅れが許されることを指示した。英語の導入の理由は、特に興味深いものであった。王は、そのときまでに、英国の典礼改革の推進力であった基本原理を、明らかに、受け入れていた。すなわち、平信徒は公的礼拝に参加すべき、ということであった。 （略） 連祷あるいは英語のprocessionは、processionについてのいくつか現存するラテン語形式の混合であった。それぞれのケースで、ラテン語のprocessionは、スタチオに向かう瞬間を含んでいた。祝日の、そして種実のprocessionにとっては、スタチオは、教会の内陣仕切り（rood）の前で行われた。Ｌｅｎｔの間は、スタチオは、教会内での祭壇で行われ、必要なときに、Rogation daysにはスタチオは再度祭壇で行われ、ミサの祝祭を含んでいた。 それからprocessionは、もともとの出発点に戻り、versicle,応唱、集祷を歌う聖歌隊のステップで立ち止った。悔悟敵なprocessionの間は、一部を除き、連祷が歌われた。クランマーの英語のprocessionは、４つのラテン語形式に負っていた。必要に応じて変化はしたが。 この後しばらくして、クランマーはその他のラテン語のprocessionの英語版を公式に定めた。王の命令で、それらに対して、クランマーは、彼自身が作曲したいくつかの単純な”プレインソング”調を加えた。残念ながら、音楽も翻訳も残っていないが、procession歌に関して、クランマーが王に宛てて書いた興味深い手紙が残っている。 ｐ6 その手紙は長々とした引用がある。クランマーの意見が、必ずしも一般の教会のそれらであるというわけではなかったことに留意しなければならないが。さらにそれらはパート音楽に言及しているわけではない。こうした事実は、しばしば見逃されるのだが。 ・・・私の意見では、歌はすべて音符で埋められる必要はなく、これまでなされてきたように、それぞれのシラブルに１つの音符が当てられるべきである。そうすればはっきりと敬虔に歌えるようになる。（略） ラテン語の音符は、私が思うに、窮屈である。それゆえ私は、verseを英語にする努力をし、ラテン語の音符を同じように並べる。にもかかわらず、歌うことに秀でている人たちは、なおその上に、より荘厳な音符を求める。私は彼らには、ただ、どのように英語で歌うかを示すだけのことである。しかし、私の英語のversesには、優雅さや容易さが欠けているので、彼らには、より心地よい英語とフレーズの中で同じようにできることを願いたい。 その後、クランマーのより急進的な仲間は、ますます教会のあらゆる音楽が、単一声部だろうとポリフォニーであろうと、もっとも単純なnoteagainst-note styleであるべきである、という主張を行った。 ヘンリー８世の最後の2年間に、クランマーは、ラテン語のBreviaryを改訂し、非聖書的部分をかなりの部分、排除し、８つの聖務日課を２つの礼拝、Matinsと Evensongとに圧縮しようとしていた。しかし、知られていない理由のために、このような計画は実現せず、英国でのprocessionは、ヘンリー8世の38年間の治世の間に是認された母国語での礼拝形式にとどまった。. 1547年のヘンリー8世の死は、クランマーの尋常でない苦悩の原因となった。彼は疑いなく、個人的なロスの感覚を持ったが、さらなる改革を遂行できる可能性を持った人物の逝去を悼んだ。 クランマーの将来への恐怖が明らかになった。なぜなら、ヘンリー8世の継承者は、まだ9歳の少年だったからである。新しい首脳部のトップはサマセット公であったが、典礼改革を成すための確固たる権威にはまったく欠けていた。しかし、改革の急進的政策には、何ら時間を要しなかった。 ｐ8 エドワード6世の戴冠式の6ヵ月以内に、王室訪問が、”ローマ的”な実践やセレモニーの終了を確認するために企図された。ミサにおいては、２つ以上のろうそくが禁止され、鐘は、礼拝の始まりの前のみに鳴らされ、その他の時間にはならなかった。 ラテン語のprocessionは、1544年までに英語のprocessionに代わっていた。修道士の習慣は打ち捨てられた。大聖堂の音楽家たちは、もはや彼らの剃髪を許されなかった。同時に、説教などの必要性が強調された。 王室訪問団は、彼らの仕事を実行し、代わる代わる大聖堂を訪問し、日常で行われていたことや組織の詳細を微細に調査した。しばしば、音楽の問題もまた、彼らの調査の対象となり、より単純で理解できる典礼様式へと向かう動きが示された。 たとえばウィンチェスターでは、訪問者は、セクエンツィアを歌うことを禁じられ、新旧約聖書からのchaptersが、Mass と Evensongの前に毎日、聖歌隊によって唱えられなければならなかった。カンタベリーでは、ミサは聖歌隊が歌うべきであり、祝日の聖母ミサは説教を行うために中断される、と定められた。ヨークでは、1日に1回のミサ以上歌われることが禁じられた。そして小時課では、哀歌や”顕彰”は中断された。応唱で聖歌隊が歌うことも禁じられ、伝統的なラテン語の”アンセム”（応唱）は、英語によって置き換えられた。ウィンザーでは、王室訪問団は、choristersたちが、聖歌隊が歌う前に、Matins and Evensongを英語で唱えることを要求した。こうした通常でない規定は、将来の発展を見越したやり方を示していた。Windsor commissionの教会の代表はSt. Paulの執事であったWilliam Mayで、彼は、進歩的考えで知られた人物であった。 ｐ９ April 14th，1548のリンカーン大聖堂令は、その他のそうしたものよりも、特に音楽についての情報を多く含んでいる。多くの点においてすでに述べられたことに加えて、Visitorは宣言する。 25 聖歌隊は、聖母マリアや聖人について、アンセムを今後歌ってはならない。しかし、主に関しては別である。そして、それはラテン語ではない。しかし、彼らが同じことを英語に翻訳したキリスト教への最もよい響きを選んでよい。平易な音符で、ひとつのシラブルごとに。彼らはそれらを歌うが、彼ら以外は歌わない。その後、King's Majestyやmagistrateの保持のために集祷を読む。それは、英語の参入を含んでいる 令28もまた、音楽の使用の重大な制限を暗示している。すなわち、Lady Matins や Evensongは慣習的に、聖母ミサでの音楽と同様に、祝福された。 28 その意図に対し、Lady Matins や Evensongと呼ばれた教会の礼拝は、King's Majestyの過程や迷信の廃止に従って使われることだろう。Lady Matins，Hoursと呼ばれるものはなくなり、礼拝中もその後も、Evensongも葬送歌も聖歌隊において唱えられない。誰もが、個人的に適度の休息を取ってよい。王の祈祷書にしたがって こうした環境においては、典礼的改革が同様に支持されたその他の教会においてもまた、ラテン語の礼拝音楽の大げさな形式への抑制が行われ、単純な英語のテキストが代わりに奨励されたと考えることは、理由のないことではない。 差し迫った変更の最初の報告はしかし、期待通り、ロンドンの、王室礼拝堂からやってきた。そこでは、新しい英語の礼拝の原型が最初に試みられた。4月11日に、若き王の、ラテン語儀式での”名誉と厳粛さ”を伴ったウェストミンスターでの戴冠式の後2ヶ月以内に、英語での形式のComplineが、王室礼拝堂聖歌隊によって、歌われた。 その年の11月、慣例の礼拝が、Convocation and Parliamentの新しいセッションのオープニングを記念して、ウェストミンスター寺院にて執り行われた。Charles Wriothesleyは注意深く、Gloria ， Creed， Sanctus ， Benedictus qui venit and Agnus Deiの英語版を聖歌隊が歌った事実を、彼の日記に書きとめていた。翌年早期に、ラテン語ミサの英語補遺が出版され、ほどなく、毎日の礼拝の新しい英語版が、St. Paul'聖歌隊で試みられた。同月、ウェストミンスター寺院にて、ヘンリー７世のための恒例の記念礼拝で、ミサ通常文が、英語で歌われた。 当時ロンドンに住んでいた人々に対して、状況は非常に混乱をしていた。礼拝形式確立における変化が常にあった。その変化は明らかに、公的に是認されたものだった。1548年のOrder of Communionは別としても、公的なガイダンスが欠けていた。 ロンドンの外部では、より大きな混乱があった。典礼の統一を確立するために、英語の祈祷書が完成するまで、サマーセット公は、Vice-Chancellors of Oxford and Cambridgeに手紙を書いた。そのケンブリッジへの手紙の中で、影響力が大きいので、大学での意見の不一致や混乱を避けなければならない、と発した。 1548年9月4日、サマーセットからわが盟友Vice-chancellor of Cambridgeへ。そしてカレッジのあらゆるマスターやrulerへ。・・・儀式や教会のセレモニーにおけるさまざまな秩序の多くに関して、大学において、あなた方の間には、意見の不一致や混乱が認められる。その他の悪魔的な例についても、我々は、あなた方に告げるよきことを考えをもっている。そして、王の威厳において・・・ ｐ11 残念ながら、礼拝の形式について述べた部分は残っていない。手紙は、この決定的な時期において、王室礼拝堂が改革の中心となるべきであるというもっとも明瞭な証明をしている。王室礼拝堂は、常に、英国の教会音楽の歴史においても、相当重要な役割を果たしてきた。1534年の国王至上法の間接的な結論の1つはその中心となっている。 音楽は無論、典礼改革においては、非常にマイナーな分野である。にもかかわらず、経済面と宗教面の両面から厳しい批判に晒されてきた。非音楽的側面に対しては、教会音楽がどうであろうと、無関係であるに違いない。しかし、音楽に使用に反対はしない人たちはたくさんいた。逆に、音楽に多くの時間やお金を費やすのは是認できないと考える人たちもいた。 エラスムスは、初期の重要な批判者であった。新約聖書への有名な注釈において、コリント人への第一の手紙14:19 教会では、異言で一万語話すよりは、ほかの人を教えるために、私の知性を用いて五つのことばを話したいのです。を引用している。 聖パウロは教会では、異言で一万語話すよりは、ほかの人を教えるために、私の知性を用いて五つのことばを話したいのです。と言う。今日、人々は教会において、知らない言葉で歌う。あなた方は、生活を改善するように人々に教える説教を、半年に一度も聞かないだろう。今の教会音楽は、会衆が個々の言葉を聞き取れない様にしている。聖歌隊員たち自身が、彼らが何を歌っているのか理解できていない。ただ仔細や修道士たちが、全体をわかるようにしているのだ。なぜ聖パウロの言葉に耳を傾けないのか？ カレッジや修道院において同じことだ。音楽、ただただ音楽・・・ ｐ12 エラスムスの批判は、改革の初期に、何人かの作家によって広まって言った。ことに、William Turnerは、過激なパンフレットThe huntyng and fyndyng out of the Romysh foxe (I543)において、Bishop of Ossoryで Prebend of CanterbryであったJohn Balesは随筆，The Image of Both Churches;、において、そしてＴ．ベーコンは、クランマーとサマーセット公に対して、第１祈祷書の出版時期へのプロテスタントの意見を代表するJewel ofJoyにおいて、批判をした。 ベーコンの教会音楽に対する見方は、利害関係がないではない。それらは明らかに、将来のエリザベス女王の見方とは異なっていた。ベーコンは彼女に書を捧げたのに！ 彼らのチャペルで、高い犠牲のもとで神を考え、めそめそと歌を歌う多くの怠惰な人たちを養うために多くの富を費やす余地はない。・・・・しかし彼らは、知識人を見出すために、神の言葉を説教するために、美徳を急ぐために、悪徳を思いとどませるために、彼らの本領を発揮することはない・・・・ キリスト教信徒のメロディは、聖パウロの精神にて、我々が詩篇やヒム、神への歌などを心の中で唱える間、心にある・・・・ 実際に外に出たメロディのすべてはむなしく、はかない。すぐに過ぎ去り、何も残らない。にもかかわらず、音楽は使われる。それは乱用されてはならない。美徳への手作りとしてそれが行われるのであれば、まだ我慢できる。さもないと、それはあらゆる善良なる人たちにとっては、呪うべき忌まわしきものとなる。だから、音楽は決して優れたものであってはならず、キリスト教信者はまじめにそれを喜べばよい エドワード6世治世の最初の2年間、1547年のChantries Act.のもとで、教会財産の世俗化の第2段階が遂行された。1540年代にはすでにこの方向が取られており、いくつかの重要な聖歌隊が、解散させられた。 ｐ13 1549年の初夏に、第１祈祷書が使われるようになるまでに、解決や再組織のための主なプログラムが完成した。その後には本質的な変化はほとんどなかった。17世紀はじめになって初めて、教会財産の虫食い状の処分が行われたが。それから40程度の英国、アイルランド、ウェールズの大聖堂、教会、チャペルで、フルコーラスの礼拝がおこなわれるようになった。 ｐ17 特にロンドンでは、ときどき、合唱礼拝が試みられた。エリザベス１世治世下では、St. Botolph Aldersgate， St. DW1stan in the West， St. Mary at Hill ， St. Mary Woolnoth， St. Stephen's Walbrook and， some time later ， at St. Giles in the Fieldsでの音楽の記録がある。アンセムと礼拝もまた、Christ' s Hospital の子供たちや Dulwich Collegeで歌われた。 （略） ｐ18 合唱礼拝がどこか他の所，、特に反動的な西部地方でも、まったく聞いたこともないというわけではなかった。 1549年1月21日、第１統一令が議会により批准された。法令は、4ヶ月以内に新しく出版される英語の礼拝書The booke of the common prayer and administracion of the Sacramentes（第１祈祷書）が、あらゆるラテン語の礼拝マニュアルに置き換わるべきことを要求していた。第１祈祷書の無名の編纂者（クランマーはその一人である）その存在を正当化することに苦悩していた。 There was never anything they began by the wit of man so well devised ， or so surely established ， which (in continuance of time) have not been corrupted． 彼らは、彼らの最初の義務が、神の言葉を、礼拝において正しく、目立つ場所に回復しすることである、と信じていた。彼らはまた、公的な礼拝の形式はもっと単純であるべきである、と信じていた。ラテン語の礼拝は、非常に複雑で、「多くの場合、いつそれを読むべきかよりも、そもそも、読まれるべきものを探すことに時間を取られた」状況だったのである。さらに礼拝（内容）は、場所によっても、相当に異なっていた。ある教会はソールズベリー儀礼を用い、ある教会はHereford use ， some Bangor， some York and some Lincolnといった具合であった。 ｐ19 新しい祈祷書は、当初は非常に新しく見えたが、少なくとも、その簡便性においてはそうではなかった。その外見的な斬新さに対し、それは伝統的要素のまさに混合であった。Baptism ， Confirmation， Marriage ， Purification and Burialの礼拝は、それらのオリジナルの直訳だった。連祷は、1544年のクランマーによる英語のprocessionのままだった。聖務日課の８つの時課においては、マイナーなもの、Terce， Sext ， and Noneはともに、廃止された。その他の5つ、Matins， Lauds ， Prime，Vespers and Complineは、English Matins and Evensong (Table 6).に圧縮された。 古いものと新しいものの間には、多くの明らかな類似性があった。聖務日課の翻訳が、英語の祈祷書において長く使われていたものであったことを忘れるべきではない。一番直近のそれは、1545年の王の小祈祷書The King' s Primerであった。 しかし、音楽家に対しては、第１祈祷書は、謎の書であった。1つのカバーの範囲内に、Breviary，Missal ， Manual， Sacramentary， Lectionary ， Epistolary ， Evangeliary and Directoryが存在した。それぞれは聖書からは別になり、日々の礼拝に必要だった。そして大部分は、時折の聖務日課のためであった。 しかし、第１祈祷書は、音楽の音符を含んでおらず、そのルブリックは音楽家にとって、ほとんどガイドとならなかった。たとえば朝課では、詩篇95編は”唱えられるか歌われる”と指示されていたが、音楽はなかった。そして、晩祷のルブリックにおいては、”聖職者たち”についてのわずかな言及しかなかった。 Matins and Evensongにおいて、音楽は、明らかに、許容はされていたが、奨励はされていなかった。音楽がどんな形式で使われるべきかという提案は存在しなかった。 せーラム儀礼においては、3日に1日は、Principal Double，a Greater Double， a Lesser Double， an In ferior Double or a simple feast ofNine or Three Lessonsなどの.祝日だった。 Grandison司教のExeterでの法令が示すように、祝日のランクは、それを祝うために使われた音楽に影響された。たとえばGreater Double FeastsのＭａｔｉｎでは、音楽家たちは、Hymn， the Third ， Sixth and Ninth Responds and Antiphons ， and the Te Deumでのポリフォニー設定が許可されていた。一方、ランクの低い祝日では、ポリフォニーはまったく許可されていなかった。 ｐ21 1543年に、修道院からの再建後まもなく出されたRochesteｒ大聖堂の命令では、より単純な音楽的区別が、祝日のさまざまなクラスに対してなされていることを示している。 第１祈祷書において、祝日の数は27に減らされ、そのうち６つは、Christmas，E piphany，E aster，A scension，P entecost and Trinity Sunda主要なものであった。音楽家たちは、祝日のポリフォニーと週日のプレインソングの間の伝統の区別の間を彷徨わねばならなかった。 ｐ22 John MerbeckeのThe booke of Common praier notedの出現は、確かに、こうした困難を解決した。それは明らかに、ノーサンバーランド公やクランマーの承諾を得たものであった。彼らからの直接の委嘱があったものではなくとも。 無論、マーベックは、典礼改革の理想に多く共感していた。彼は、1543年にウィンザーで、異端の咎で、同僚とともに拘束された。彼は、カルヴァンの書を研究し、英語聖書の巨大なコンコーダンスを編纂していた。 彼は、火刑に処せられたノーサンバーランド公やクランマーと異なり、罪を免れた。そして彼は、St. George' sで復職し、1585年の彼の死までそこにとどまった。しかし、タヴァーナーのように、彼は、作曲を諦めたように見える。そして、彼が英語の儀式のために何かパート音楽を書いたという証拠はない。彼のThe booke of Common praier notedにおいて、彼は、重要な聖務日課でのあらゆる分野のための単純なプレインソング様式の音楽を供与した。彼の書はおそらく、当時の急進派にも受け入れられた解決法を示した。 マーベックの作品は、それが使われるべき機会はほとんどなく、1回の出版しかなかった。なぜなら、第１統一令が、理論的に可能な限りの法と秩序に戻ったにも関わらず、これまでのような希望がなくなったからである。ロンドンにおいてさえ、ヴェネチアの大使が言ったように、人々は尋常でない不満を持ち、統一令は、その印象を作るために、かなりの時間を要した。1549年6月20日、キリスト聖体節の日に、半分のロンドンの人たちは、その祝祭を公的祝日とすることを決めた。評議会からは反対があったが。 ｐ23 個人ミサは、その月の終りに、St. Paul'でさらに続いていた。Chantry priestsが、5月に年金退職させられていたにも関わらず。ウェストミンスター寺院では、Dean and Chapterが、新しい祈祷書の使用を拒絶していた。"英国の非国教主義者の父”、John Hooper司教が、どのように一般状況を見ていたか、以下の、1549年の12月27日のチューリッヒのHenry Bullinerにあてた手紙がある。 ・・・主の晩餐の一般的な祝福は、我々の主の秩序からは大きく隔たっている。それは両方でなされているが、いくつかの場所では、晩餐は1日3回祝われる...彼らはまだ祭壇の前に祭服とろうそくを保持している。 教会では、彼らはいつも主の晩餐に関連する聖務日課と他の賛歌を、しかし私たち自身の言葉で歌う。 そして、カトリックの教義は失われておらず、ラテン語の中止は余儀なくされていたとはいえ、ミサの司祭たちは、いまだに、彼らが教会でこれまでに慣習となっていたのと同じ調子と詠唱方法を最も慎重に守っている。神は、私たちがこの種の人たちのreasonによって晒されている危機や不安を知っている。 時が経つにつれ、新祈祷書は、一般から受け入れられるようになった。しかし、第１統一令がもはや暫定のものに過ぎず、さらなる改革の途中となっている兆候を読み取ることができた人には、そうした状況は、十分に明らかであった。 Martin BucerとPaul Fagiusは、1549年の夏、イングランドに帰国した際にその印象を新たにした。両者は、（状況を）知るべき良い地位にいた。なぜなら彼らは、Cranmer自身によってLambethで最もよく受け入れらたから。 私たちは聞いている。彼らがストラスブールの友人たちに書いているところによると、現代の柔弱さを取り入れ、古来の慣習の尊重を破棄して、いくつかの譲歩がここイングランドで行われている、と。 ・・・彼ら、クランマーやその仲間たちは、こうした迷信を抱いていないことを断言している。しかし、まだキリストを学んでいない人々は、突然の広範な改革によって彼の宗教を抱くことを阻止されるべきではない。 p24 多くの聖職者たちは、遅れに耐えられなかった。Holgate-Archbishop ofYork， Thomas Ridley-Bishop ofLondon， and John Hooper-Bishop of Worcesterは、特に、改革をさらに推し進めて行くのに不安であった。 彼らははっきりと、公的礼拝において、合唱は器楽音楽はほとんど価値がない、と考えていた。そして彼らは、音楽を禁ずる処置は特に何もしなかったが、音楽を少しづつ減らしていった。これは、1550年から1553年にかけての命令から明らかである。 これらのうちの最初のものは、1550年2月８日の、St. George's Chapel， Windsorのための命令だった。それは特に音楽について急進的なことは何もなかったが。 27.また、教会の多数の儀式が今や、国王の権威と議会の法令によって捨てられているので、少数のchoristersしか必要ではなく、カレッジは今後、これまでよりも変化をしていく。このカレッジでは10人のchoristersしか見い出されない。 彼らのInformatourは首席司祭および参事会によって選ばれるものとする。 30 また教会ではdescant,prick-songそしてオルガンがあまりにも多く使用され、教会での価値を持っていた。 こうした能力を持つ狡猾な人たちのために大規模な調査が行われた。そこには、誇り、争い、酔いどれ、上級者への軽蔑、または悪徳のように、狡猾で悪魔の状況と結びついた多くの人間がいた。 我々は全能なる神に、穏やかで落ち着きいた静かな心と正直な心を称えさせようとしている。また連邦は都合のよいministersとともに奉仕し、以後、聖職者たちの部屋が空になるときには、首席司祭と教会の教会に奉仕するため受給聖職者の職を受ける司教座聖堂参事会員（prebendaries）は、静かで正直で、ラテン語に堪能な人間を探すことになるだろう。彼らは美しい声を持ち、歌うことができ、勉学にも熱心である。それで、彼らは最初の執事であり、その後に司祭を許される。 音楽の卓越性よりも常に自分の美徳と学習を重視している。 p25 1550年の10月26日、St. GeorgeのDean and Chapterに対して、Injunctionsのさらなるセットが発せられ、以前のものにも増して、Richard Cox（エドワード王の家庭教師）とSimon Heinesによって署名された。 パラグラフIIは、音楽の改革をさらに進化させた。 II John Merbeck and George Thaxtonが、あなたの助成金を得ていることを私たちは理解するが、そのお金は、彼らがオルガンを演奏するためのものなのである。我々は命じる。前述のJohnとGeorge は、そのお金で生活を楽しむよう命じる。彼らがカレッジ生活を続け、教会でオルガンを演奏し続けるのであれば。 2年後の1552年、Holgate大司教は、York Minsterで、首席司祭と参事会への一連の命令を交付した。 15 また、我々は命じる。唱えられる教会においては、どんな礼拝においても、歌われることがあってはならない。平易な音符を使い、そのために、それぞれのシラブルははっきりと発音され、聴衆をあいまいに導くようなreportsあるいはrepeatingsなどはあってはならない. 24 また、我々は命じる。ヨークの教会内で、 Morning Prayer ， Communion ， or the Evevning Prayerでは、オルガンを弾いてはならない。しかし、その演奏はまったく中止となり、教会内での礼拝の時間は残されている。 この最後の命令は、ソロオルガンだけではなく、オルガン伴奏にも同様に適用された。 25 オルガンの演奏は中止されなければならず、ヨークの教会内でこれ以上使用されてはならない。 we think it meet that the Master of the Choristers for the time being who ought to play the same organs in times past who can no more do so ， that the said Master of the Choristers do his diligence to his power to serve God in such vocation as he can conveniently and may. Therefore we will and command that the said Master of the Choristers for the time being help to sing Divine Service to the uttermost of his power within the quire of the Church of York ， specially of the Sundays and other Holy-Days. p26 大司教の言葉は多少関わっているかもしれないが、彼の意味は十分に明白であり、彼が彼の地方での他の大聖堂に同様の指示をしたことは確かである。ほぼ同時に、リドリを通して、クランマーはセントポール大聖堂のオルガンが沈黙すべきである、と命じた。 Item ;1552年9月4日は日曜日であった。そして、セントポール大聖堂の聖歌隊は、ケンブリッジの首席司祭から、カンタベリー大司教の訪問の命令を受けた。 それは、オルガン演奏は礼拝ではやめるべきである、ということであり、実際にそうなった。 一方、国全体では、人々は第１統一令の精神に従うのが遅かった。 ケンブリッジ大学の欽定教授Martin Bucerは、1551年のクリスマスで、王にあてた率直な手紙において、この状況の分析を示した。 閣下は、十分な予備的指示なしに、民から偽の礼拝を強制的に取り去ってしまった悪がどのくらい重大であるかを、その体験上、十分にご存じでありましょう。 ...ある人はこの法令で恐ろしい妨害をし、他の人たちは、危機的な暴動を起こしました。そして、いつでも、彼らは新しい問題を引き起こすか、すでに興奮していることを増やすことができます。 いく人かは、礼拝の形式を単なる病的な虐待に変えてしまいます。今は下品な言い草になっていますが、「犠牲者」は、彼らが理解できないぼんやりとした目的を唱え、人々は全く理解したり聞いたりすることを拒否します。 1551年の５月、カトリック教徒で、ロンドンのヴェネツィア大使のDaniel Barbaro は、ヴェネツィア上院に対して、この疑問をレポートしている。 宗教は、いわば、人生が依存する人の心です。 特に君主制では、宗教は、善に対する素晴らしい力であり、全王国と勝利の贈り主としての神を認識するように、人を導きます。 しかし、これはイギリスではそうではないのですが、人々は日々信念を変えてしまっています。 現時点では、カトリック教徒もプロテスタントも同様に皆が不満を抱いています。 ...カトリック教徒には、最近苦しんできた厳しい刑罰にもかかわらず、疑いもなく反逆する指導者がいました。 .. ｐ28 状況は不安定となり、評議会は、さらなる改革を進めた。1552年早々、第２統一令が議会を通過した。そして4月、第２祈祷書が、装い新たにに、発行された。特に、聖餐式は急進的に装いが代わった。なぜならクランマーらは、ツヴィングィリ派やカルヴィニストたちの秘蹟の解釈に、非常に親近感を抱いていたからである。 秘蹟の犠牲的性質よりも記念が強調され、礼拝は、直接人の言葉が増え、神秘的要素が減った。祭壇は”“the table”と記述され、教会の中心部となった。伝統的な東端の部位は打ち去られた。式服や装備品らは劇的に減らされ、”ローマ式”ミサ的な混乱の可能性が避けられた。そして音楽は、典礼を装飾する大部分の神秘的要素は厳しく取り払われ、1552年のルブリックでは聖餐式礼拝が明瞭に示されている。（Ｔａｂｌｅ７） クランマーとHolgateが続けてSt. Paul's Cathedral and York Minsterに提案した音楽的改革は、1552年の祈祷書の意図に十分に、協和していた。 第2統一令は、1552年4月に、に議会を通過した。同年のクリスマスまでに、エドワードの改革は一掃され、メアリーの治下、再度、完全なローマとの交友が始まった。もしもエドワードが生きていれば、英国教会は、ジュネーブに完全に委ねられていたことだろう。なぜなら、カルヴァニストの哲学において、政府の君主システムは嫌われていたからである。 そして情勢は、エドワードの治世の後半3年間に、そのように素早く動いていた。英国教会は、カルヴィニストの礼拝の極端な特徴を多く採用していた。1553年夏までに、英国の合唱の伝統の未来は確かに怪しくなった。それは、カトリックの君主制の立場においては、あまりに非現実的で見るに絶えないことであり、究極の解決はどうなったのであろうか？ |