■平成２１年５月２０日 出さねばならぬもの、出してはならぬもの
田原氏があそこまで言い切った以上、あるいは外務省はこの件についての何らかの機密を握っているのかもしれない。 ここで思い出したのが、先日、民主党の岡田克也幹事長が言っていたこと、すなわち「自分たちが政権を取ったら、（外務省の機密事項は）全部出す」と言っていたこと。（平成２１年３月１７日当ミニコラム参照） 岡田氏はあくまでも１９７２年の沖縄返還の際に日米両政府間に存在したとされる機密について語ったつもりなのであろうが、その言い方、趣旨でいけば、そもそも国家間のすべての密約を認めない、と言っているに等しい。かの機密は認めないが、その他の機密なら認める、では、スジが通らないから。 となると、もしも横田めぐみさんの件で、外務省が機密をにぎっているとしたら、民主党政権では、それは一般に公開されなければならない、ということになる。たとえその公開が、家族会に打撃を与え、日朝関係にマイナスになってしまったとしても。 生まじめな岡田氏は、その時きっと悟るに違いない。ああ、やはり国民に秘密にしておかなければならない事柄と言うのは存在するのだ、ウソも方便なのだ、と。 世の中には隠しておいてよいものと悪いものがある。後者の代表は、同じく民主党管直人氏が厚相だった時の、例の「出せ、全部出すんだ」で有名になった、薬害エイズ事件の資料（いわゆる”郡司ファイル”）である。管氏は本来出さなければならなかったものを官僚に出させたことにより、一躍脚光を浴びた。 しかし、絶対出してはいけないものもある。おそらくは、北朝鮮拉致事件の機密事項がそれなのである。この機微がわからない人間を首相にしては、絶対にいけないのである。 | |||
■平成２１年５月２０日その２ 勘違いな自己責任
まあ学校閉鎖がなされる前から懸念されていたことではあったんだけど、やっぱり、っていう感じ。「頭隠して・・・」で、いかにも日本的な中途半端な対策だね。休校にするのなら、生徒たちのその間の処遇も考えておかないと。 中高生なら、教師がきちんと説明すれば、休校の趣旨は十分理解できるはず。それでもこうした事態となったのは、親の問題と、教師が生徒の自由時間について、きちんと対策を立てていなかったことが原因だろう。 休校になった理由がわからない親はいないはずだから、親は子どもに、自宅待機を命じなければいけない。生徒だけでこの際、とカラオケやゲーセンに行くのを許すなんて、とんでもないこと。本来なら、友だちと遊ぶのも禁忌だ。 学校側も、当然自宅待機を口酸っぱく言ったのだろうが、まだ自己責任を取れる年齢ではないので、自宅学習のためのカリキュラムを組むなど、もっと生徒のひまつぶし対策に取り組むべきであったろう。 もっともこうした対策が取れるのも中学生だけかな。高校生なら、特に進学しない子にとっては、休校は天国みたいなもんだから、ひもが取れたタコの如く、自由に飛んでいってしまうだろう。高校生なら、未成年ではあってもある程度は社会に対する責任も取らねばならないし、親もガキに説教するようなわけにもいかないし、まあ、この年頃なら、本人の自覚を待つしかないのかもしれないね。 | |||
| ■平成２１年５月２１日 日本はWHOに右に倣えしなくてもよい -新インフルエンザ対策について 先日、テレビでWHOの日本人専門職員（割と若い女性）が、WHOの新型インフルエンザ政策について話していた。その内容を聞いていたら、どうも日本における政策とはだいぶ考えが異なるようであったが、一緒にいた日本人コメンテーターは、ひたすら、はいはい、うなずくだけであった。 こういった番組の作り方は、かえって日本人を混乱させるだけのように思ったので、ここで私見を述べておきたい。 ●タミフルを使わせないWHO WHOの新型インフルエンザ対策と日本のやり方の最大の相違は、タミフルの扱いである。WHOでは、基本的にタミフルは使うな、と言っている。 新型インフルエンザは致死率も季節型と大差ないのだから、治療する必要はなし、放っておけば治る、という考えである。 ではタミフルは無視しているかといえばそれは逆で、たとえば欧米では、日本以上にタミフルを備蓄している。では何のために？ WHOの考えは、現在の新型ウィルスが強毒型に変異した時の備えとして、タミフルを備蓄せよ、ということのようだ。つまり、タミフルは軽症者の治療用ではなく、ウィルスが強毒化して、重症者が溢れ出した時、その時に使え、ということである。 最初にご紹介したWHOの女性職員は以上のような考えを述べ、日本のコメンテーターはなさけないことにそれに、はいはい言っていたわけであるが、実は日本においては、こうした戦略は取るべきではないのだ。 ●日本と欧米のインフルエンザ診療の相違 そもそも、季節性インフルエンザ治療において、日本と諸外国とではまったく状況が異なっていた。日本では、熱発患者が来れば、流行期においてはほぼ自動的に簡易キットによるインフルエンザ検査を行ない、陽性に出れば、これまたほぼ自動的にタミフルやリレンザが投与されている（副作用の問題はここではひとまず置いておく）。 これに対して欧米では、季節性インフルエンザを治療することはほとんどないそうだ。自然治癒する病気をわざわざカネをかけて薬で治す必要はない、という発想である。 WHOがタミフルの使用に消極的なのは、そもそものインフルエンザに対する診療の考えが日本とはまったく違う、ということがベースになっているのである。 ●日本は豊富な備蓄のあるタミフルを使うべき では、日本でのインフルエンザ対策はどうあるべきか。私は、豊富な備蓄のあるタミフルを、今こそ使うべきだと思う。 そもそも、治療薬があるのに使わないバカはいないだろう。実は風邪には治療薬はない。だから風邪薬は、風邪を治すという点において無力なのである（風邪薬は病院処方のものも含めて、風邪の症状を抑えるだけ） しかしながら、タミフルはウィルスを殺すことはできないが、その増殖を阻止する作用がある。少なくともタミフルを服用しなかった人に比べ、確実に排出するウィルス量を減らすことができる。インフルエンザの専門家である菅谷憲夫氏は、新型インフルエンザ流行時において、タミフルの使用において、入院・死亡患者を三分の一に減らすことができると述べている。（http://journal.kansensho.or.jp/Disp?pdf=0800010008.pdf参照） かつて、インフルエンザは風邪同様、治療薬がなく、対症療法薬を飲みながら、ひたすらウィルスが消えるのを待つだけであった。その社会的損失は、塵も積もれば何とやら、で決してバカにはできなかった。（自然経過にまかせるのとタミフルを服用するのとでは、トータルの社会損失は前者の方が大きいというデータがある） リレンザ、タミフルの登場は、まさにインフルエンザ治療の福音であった。幸い日本の経済力、そして平等な医療体制は、多くの人をその福音の恩恵にあずからせることを可能にした。こんなすばらしい薬を使わない手はないのである。 ●耐性ウィルスの問題はあるけれど・・・ せっかくこのようなすばらしい薬があるのに、WHOはなぜ使わせないよう指導しているのか。それはむろん、耐性ウィルス出現を恐れてのことである。 その懸念は確かにないとは言えない。しかし、当たるも八卦的に使われてきた抗生物質と異なり、タミフルは現時点においては、確実にウィルスに作用させることが可能な状況で使われている。その使用により、ウィルスの絶対量は確実に減っている。少なくとも現時点では、耐性ウィルスを発生させるリスクより、ウィルスを減らすベネフィットの方が上回っている、と判断してよいだろう。 確かに耐性ウィルスは出現して来てはいるが、今のところ、タミフルの使用量との因果関係ははっきりとはしていない。（もともと耐性ウィルスは、タミフルをあまり使用しない国で発生している） また、ウィルスと細菌（抗生物質のターゲット）とでは、耐性獲得メカニズムがまったく違うので、抗生剤使用で起こったことを単純にウィルス治療へと当てはめることはできないという意見もある。 ●WHOに惑わされず、日本は日本独自の対策を！ こうして見ると、さまざまな勢力から批判を受けながらも（たとえば平成１７年１１月２５日当ミニコラム参照）、タミフルを大量に使い、タミフルを大量に備蓄してきたこれまでの日本のインフルエンザ対策は、決してまちがっていたわけではない、と言えよう。 WHOの政策に惑わされることなく、日本は日本で、日本の実情にあった対策を立てていくべきである。タミフルを大量に消費するのは、決して恥ずかしいことではない。国民の健康のためにそれが正しいと判断すれば、政府は断固として、日本独自の政策を推し進めていくべきである。 | |||
■平成２１年５月２２日 不足がホンネを引き出す
今まで、政府もマスコミも、マスクの効果について、奥歯にモノのはさまったような言い方しかしてこなかったが、いよいよマスク不足となるにおよんで、さすがにホンネを隠し切れなくなったようだ。 もともと、マスクには感染予防の効果はないことは、専門家の間では常識だった。私もすでに６年以上前にそれを書いている。（インフルエンザについて参照） しかし、露骨にそれを言うとマスク業者からクレームを受ける恐れもあったのかもしれない。いずれにせよ、マスクなど、飛沫感染をさせない効果しかないんだから、国民の皆さん、もっと冷静になってください。 |
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■平成２１年５月２６日 北朝鮮シンパの対応は？
個人のブログではまあこんな論調もあるけれど、さすがに今回の北朝鮮の核実験に関しては、日頃から北朝鮮を擁護している人たちも、ぐうの音が出なかったようですな。 たとえば、いつもはチョー保守的なくせに北朝鮮にはシンパシーがとてつもなく強いデヴィ夫人、４月のテポドン発射の際には、とんでもなく北朝鮮を擁護し、ウヨクから付狙われたりしていたけれど、今回はさすがに援護射撃は無理だったみたい。 「北朝鮮で核実験ですって？？？どうして こういうことに なっちゃうんでしょうね。」で終わっている。これ以上、書きようがなかったんだね、かわいそうに。 その他、私の調べた限り、前回のテポドン騒ぎで、テポドンは人工衛星だと言い張って（つまり北朝鮮と同じ主張をして）、北朝鮮を擁護したブログなどは、軒並み沈黙を保っているようだ。もっとも、擁護しようとすると↑のブログみたいな文章になっちゃって、日本国民からは総スカン喰らうだろうけどね。 国会でも、テポドン騒ぎの時には決議に反対したり棄権したりした共産・社民も、さすがに今回は賛成に回ったようですな。ミサイルなら、ありゃ人工衛星だって強弁できるけど、さすがに核実験は、ありゃ原発だ、とも言えないし（原発そのものに両党は反対してるしね）、人工地震だ、とも言えない（北朝鮮自身が核実験と認めている）しね。どうあっても北朝鮮をかばえないと見えて、さすがに決議賛成に回ったんだろ。 それにしても、日頃から北朝鮮のシンパの皆さんは、どんなことがあっても、”共和国”を擁護してあげなければいけないんじゃないの？ | |||
どんな良いと思われる施策でも、必ず迷惑を被る人は出てくるものだ。休日のみ非業者のみ千円でさえこれなのだから、民主党のマニフェストにあるように、業者も含めて全部タダにしてしまったら、日本中大混乱になるのではないの？ ところで、民主党はよく、予算の無駄を見直して新財源を見出す、と言うが、今現在その「無駄」で食っている人たちはたくさんいるわけで、何が無駄で何が無駄でないのか、判断は難しかろう。無駄と判定されて喜ぶ人はいないし、誰もが己が仕事を否定されたら、抵抗するだろう。 高速料金無料にすれば、バスやフェリーに乗る人は当然減る。では、バスやフェリーは無駄な存在なのか？ どこかの業界を擁護すれば、必ずどこかが迷惑する。そこには補償をせねばならない。民主党の政策は、結局はこんないたちごっこになって、結局は予算の無駄遣いがひどくなって、結局は自滅するような気がする。 ■平成２１年５月２８日 シビリアンコントロールを否定する市民団体
どんな組織も、上位からの命令で動く。軍隊全体の命令権者は文官であり、これをシビリアンコントロールという。 軍隊が下克上となり、命令違反を犯したらどうなるか、戦前の日本の歴史がその好例であることは、日本人なら誰でもよく知るところ。 日本人が、あれほど痛い思いをして獲得したシビリアンコントロールを、サヨクはいとも簡単に放棄しようとする。 仮に、派遣部隊が「じゃああなたがたの言う通り、行くのをやめよう」として、防衛省に派遣中止を上申したとする。 これって、立派な命令違反だよね。下克上。戦前の一部の軍隊と同じ。それを推進するのがサヨク。 またこうした命令違反が認められるのなら、当然、たとえば「ソマリア海賊だけでなく、国家そのものへも攻撃して戦争を始めたいと思います」と現場が言い放っても、誰も止めることができなくなる。 つまり、サヨクは日本をシビリアンコントロールの国から、彼らが憎んでいる、戦前の”軍国主義”に戻したいのだ。 もしこのことがわからないで反対運動やってるのなら、そーとーおバカさんだよね。 |