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平成２０年ミニコラム

■平成２０年１月２６日　親バカなれどもバカ親となるなかれ
－親の愛はいつでも盲目ではあるけれど・・・

「現金返還」と棄却　埼玉医大卒業謝礼金訴訟　除籍学生の母親敗訴（２００７年１月２５日）

「卒業謝礼」名目で現金を渡したにもかかわらず、卒業できなかったとして、埼玉医科大学（入間郡毛呂山町）の元医学生男性(４５)の母親(７７)＝春日部市在住＝が同大学の丸木清浩理事長ら三人を相手に謝礼金四百五十万円の返還と慰謝料八百万円を求めた訴訟の判決が二十四日、さいたま地裁川越支部であった。峯金容子裁判官は「被告らから現金が返還されており、請求理由がない」などと訴えを棄却した。

　判決によると、男性は一九八五年、同大学に入学。三度留年した後、数回の卒業試験に不合格となった。九六年夏、在学年限の満了などを理由に自主退学扱いとなり、翌九七年三月に除籍処分となった。退学を知った母親が同月ごろから九八年十二月ごろまでの間、理事長宅や大学などを訪れ、理事長ら三人に数回にわたり現金計三百十万円を渡した。

　男性は九八年一月と九九年一月の二回、再入学試験を受けたが、不合格となった。現金を受け取った三人は九九年十一月、母親の自宅ポストに封筒に入れた現金三百十万円を投かん。半年後、現金は拾得物として母親が受領した。

　理事長らが現金を受け取る直前の九七年二月ごろ、母親は教授らから「卒業でよかったね」などと言われ、男性の卒業が決まったと思い込み、その謝礼として現金を渡したと訴えたが、判決はこうした教授らの言動を「証拠がない」と退け、現金の交付は「男性の卒業を強く希望する母親が積極的に行った」と認定した。

　原告の母親は「悔しいという気持ちと残念という気持ちが交錯しています。判決文をよく読んで控訴するか考えたい」と話している。

【WEB埼玉ホームへ】

　
こんな記事がありましたよ。

この母親、わが子かわいさのあまり、己れの行動のあさましさ、おろかさ、反社会的行為にまったく気づいていないんだね。

できの悪い息子を何とか医者にしたい、いくらカネを積んででも医者にしたい、と母親なら思うのだろうか。しかも、カネで解決できないとなると、今度は裁判で相手を訴える・・・。

よくこんな母親の弁護を引き受けた弁護士がいたものだと思うよ。そして、こんな裁判をしなければならなくなった裁判官はどんな思いなんだろうか。

私は、親というもの、親バカであってもいいが、バカ親であってはならないと思う。子どもを医者にしたいという親の気持ちはわかるけれども、だからといって、カネの力で試験の結果をひっくり返そうとしてはいけない。

親が親バカでなければ、子どもはかわいそうだ。親の、子への愛は無限であり、時に盲目であってよい。多少能力に疑問があったとて、親からすれば子どもは天才なのである。ほめてほめてほめまくれ。それが親バカだ。「お前はできが悪い」などと言ってはいけない。ほめられれば、子どもはやる気を起こす。能力以上のことができるかもしれない。

しかし、親バカは子どもにブレーキをかけることもできる。医者になる能力がないとわかれば、さりげなく他の道へ導く。親バカに育てられれば、それはスムーズにいくはずだ。

親がバカ親なら、子どもはかわいそうだ。バカ親は子どもかわいさで、まったく回りが見えなくなる。そして、非常識・反社会的行為を引き起こす。しかも己れのそうした行為に気づいていない。最近はやりのモンスターペアレントもまた、バカ親の一つの類型だろう。

バカ親に育てられた子どもは将来必ずバカにしか育たない。まちがって親になってしまえば、バカ親ないしはモンスターペアレントになる。この母親もきっと、バカ親から育ったのだろう。

親バカではあっても、バカ親にはならないようにしなければ・・・。

■平成２０年１月２７日　野党スピリットを発揮せよ　
豪華な橋を批判＝自民・古賀氏の地元を視察－民主・菅氏
jiji.com2008/01/26-20:21

民主党の菅直人代表代行は２６日午後、福岡県八女市の朧大橋を視察した。これは４０億円以上掛けて山中に建設された豪華な橋で、視察後、菅氏は記者団に「多額のお金を使って、これほどの（少ない）交通量で、役に立っているのか」と疑問を呈した。

　八女市は、道路族の有力者である自民党の古賀誠選対委員長の選挙区で、朧大橋は地元では「誠橋」とも呼ばれている。このため、菅氏は「道路族議員の力のある人のところには橋ができるが、いないといつまで待ってもできない構造の表れだ」と批判した。


私は民主党は好きではありませんが、こういう批判はどんどんしてもらいたいと思いますね。まさに野党スピリット。

とにかく、この手の話は全国にゴマンとあるでしょう。私の知る範囲でも、確かに有力政治家の地元には、明らかに過剰と思われるくらいの社会資本が投入されているのを感じます。

無駄な公共事業が多すぎるんです。それで食っている人がいるから仕方がないようにも思うけれど、産業構造を変え、特に地方は、公共事業に依存しない経済体制作りが必要でしょう。

だから、野党はこの手の批判をどんどんしていってほしい。ただ、古賀さんに反撃されないように、もっときちんと数字の裏づけを取ってね。　

■平成２０年１月２８日　やっぱりＫＹな安倍さん
－野心より、拉致問題に地道に取り組め！
安倍前首相：「戦う政治家として再び全力を尽くす」　下関、長門で新春の集い　／山口　1月27日16時0分配信 毎日新聞

　安倍晋三前首相が２６日、地元・下関市の豊浦町と長門市で新春の集いを開いた。前首相は多くの後援会員を前に「再び戦う政治家として、この地選出の政治家として新たな思いで全力を尽くす」とあいさつした。

　豊浦町の川棚グランドホテルお多福では、山口選出の林芳正、岸信夫両参院議員のほか、後援会員約６００人が出席した。

　前首相は開会中の通常国会に触れ「国民生活を守るという観点から与野党が協力することも必要」と主張。また、祖父の岸信介元首相の故事を引き「（戦犯として収容されていた）６０年前、刑務所を釈放されて政治活動を再開したのがネズミ年だった。今年は同じえと。私も政治家として新たな歩みを始める」と述べた。【取違剛】
〔下関版〕

１月２７日朝刊

安倍さんはまだ若いし、気持ちはわかるけど、それならなぜあんなＫＹなやめ方をしたのかね。

あの時緊急入院し、病名・病状をきちんと発表し（いくら隠したって、どうせあとからバレるんだから）、その後に首相の座を降りておけばよかったんだよ。欲を言えば、中曽根さんや小泉さんの言に惑わされず、参院選失敗のあとすぐに退陣しておくべきだった。

民主党では、ポスト小沢候補として、前原前代表、岡田元代表の名前が常に上る。彼らはやめるべき時にきちんとやめていたからである。（他に人材がない、という面もあるか？）

とにかく、安倍さん、中途半端なあんなやめ方をした以上、残念だけどもう首相どころか、閣僚の芽もない。意欲だけは買うけれど、やっぱりＫＹなんだよなあ。

私としては、「前（元）首相」の肩書きを利用して、ヘンな野心を持たず、ひたすら「ライフワーク」である拉致問題に地道に取り組んでいけばいいんじゃあないか、と思う。地元での会合だから、リップサービスも必要だったのかもしれないが、むしろだからこそ、拉致問題をア・ピールすべきだったのではないか。

２０年後くらいには、安倍さんの功績は必ず評価される。その時まではポストも求めず、ひたすら拉致被害者の家族との対話を続けておればよい。
　
■平成２０年２月６日　自分で自分の首をしめる親
済生会日田病院：小児科、３月から時間外救急を制限　「軽症者殺到」理由に　／大分

　日田・玖珠地方の中核病院である済生会日田病院（日田市三和）の西田敬院長は４日記者会見し、「３月１日から小児科（１５歳未満対象）の時間外救急診療を制限する」と発表した。本来業務の２次救急患者だけでなく、軽症患者が夜間など時間外も殺到。常勤医２人を派遣する久留米大医学部付属病院が「あまりの過重労働で派遣医が倒れる。派遣中止も」と示唆したための苦肉の策で、波紋を広げそうだ。【楢原義則】

　会見によると、月曜～金曜の診療時間外（午前１１時半以降）と土・日・祝日は受け付けない。医院などからの紹介患者は月曜～金曜の午前９時～午後８時（土・日・祝日は午前９時～午後５時）▽救急車は月曜～金曜の午前８時半～午後５時－－それぞれ対応するという。

　西田院長は「小児科存続のための緊急避難措置」として、過重労働の最大原因は「軽症患者が時間内外を問わず殺到し、しかも内科医では満足せずに小児科医の診察を求める傾向がひどくなった」と患者側の過度の要求も指摘。０７年の小児科の時間外患者２８１６人のうち、入院患者は１１１人。９６％は一般開業医で十分な軽症患者だったという。

　ただ、市内の小児科医療施設五つのうち、入院ベッドがあるのは済生会のみ。時間外診療を中止し、開業医や当番医も対応しきれない場合、福岡県久留米市など他地域への搬送もあり得る。

　済生会は５日、県や市当局、医師会などと解決策を協議するが、済生会日田病院理事の佐藤陽一市長は「市民の健康を守るため、関係機関と話し合い何とか解決策を探りたい」という。

　◇「専門医志向」背景に

　県内の公的な病院では、津久見市医師会立津久見中央病院で昨年４月、小児科の常勤医がゼロに。同科での入院が不可能になり、現在は非常勤医師が週１回対応しているという。小児科で２４時間救急対応するには、７人以上の常勤医師が必要とされるが、県内でこの要件を満たすのは県立、大分こども、中津市民、大分大医学部付属の４病院のみ。産科ほどではないものの、医師不足の実態がある。

　県医務課は「一昔前は夜に何かあってもかかりつけ医に診てもらったのが、近年は専門の小児科医を求める人が多い。そうしたニーズの増大ほど医師は増えていない」としている。【梅山崇】

毎日新聞　2008年2月5日


　
この記事は、現在の日本の小児科医療の問題を象徴している。

●本当に小児科医は足りないのか
　最近さかんに、小児科医不足が言われているが、本当に小児科医は減っているのか。

　実は、日本の小児科医はわずかづつではあるが、増えている。（参照；危機に瀕する小児科医療　ちなみに、産婦人科医は減っている）　さらに、小児の数は大幅に減っている。（１９６０年の１４歳以下人口２８００万人、２０００年の同人口１８００万人）

　要するに、小児の数は減り、小児科医の数は増えているのだから、本来だったら、小児科医がヒマになるはずなのが、、なぜか小児科医が忙しくなってきているのだ。これはミステリーである。

●小児科医不足の理由
　ではなぜ、最近になって、小児科医不足が言われるようになったのか。いろいろあるが、もっとも重要なのは、親が２４時間３６５日、小児専門医の診療を要求するようになったことである。

　小児の病気は時間外発症が多い。だいたい小児の半分は時間外に発症し、時間外受診者の半分が小児である。

　したがって、時間外に受診する小児をすべて小児科医が診なければならないとすると、受診患者２人に１人の割合で、小児科医がコールされることになる。もしも病院に常勤小児科医が１人か２人しかいない（ほとんどの病院はこのくらいの体制である）とすると、毎晩ないしは２日に１回は必ずコールされる（実際には一晩に数回はコールされる）ことになる。これでは小児科医はたまったものではないだろう。

●昔は全科で対処していた
　ところで、小児に時間外受診が多いのは、最近に始まったことではない。昔からだいたいこうだ。では小児科医不足ではなかった昔はどうしていたのか。いいかえれば、昔はなぜ小児科医不足が今ほど言われていなかったのか。

　これまた記事にもある通り、昔はいろいろな標榜科の医師が小児を診ていた。開業医は専門外の小児診療も行っていたし、時間外でも、今よりは気軽に診ていたと思う。病院にあっても、専門外ではあっても当直医が小児診療を行っていた。医師側も、親の側も、それで当然という雰囲気があった。

●常時小児科医要求はないものねだり
　それは、２４時間小児専門医にわが子を診せるのは不可能であるという暗黙の前提が、医師側にも親の側にあったからである。

　日本の総医師数のうち、小児科医の割合は約６％である。この６％のマンパワーで、２４時間３６５日の小児診療をこなせるわけがない。昔は、親の側も常識としてこうしたことはわかっていたから、時間外の診療は非専門医でも仕方がない、と思っていたわけである。

　要するに、常時小児科医にわが子を診てもらいたい、というのはないものねだりなのである。

●銀座の専門店を全国に要求する親たち　
　ところが、昨今の専門医志向の高まりは、こうした常識が通じなくなってしまった。わが子はいつ何時でも、専門医に診てもらわなくては納得しない、そんな親が増えた。

　当直をしている大抵の医師（小児科医以外）なら、「小児科の先生でないのなら結構です」と”診療を断られた”経験を一度は持っているのではないか。もっとひどい親になると、「小児科医を呼び出せ！」とくる。何でも自分の思い通りにならないと気がすまない親があまりに増えた。

　地方に住んでいて、コンビニや大型量販店などに、銀座の専門店並みの品揃えを要求する人がいるだろうか。大抵は自分の住んでいる地域の実情を理解し、あるものでがまんするだろう。それで別に不都合もないし。

　医療も然りである。それなのに、医療だけは特別だ、全国どこに住んでいても、銀座の専門店並みの品揃えが必要だ、という親が多い。

　品物と命を一緒にするな、と怒られそうだが、医療とて、経済性やマンパワーの問題を無視することはできない。こうした親の要求は所詮はないものねだりなのである。

●小児診療の８～９割は一般医でこなせる
　医療に、銀座の専門店並みの品揃えは不可能であると先ほど述べたが、またその必要もないのである。つまり、昔ながらの、よい品物を売る小売店やよろずやが全国に多数いて、そこでお客さんが品物を吟味する力があれば、それでよいのである。

　この記事にもある通り、小児の病気のほとんどは軽症である。もっと有り体にいえば、医療自体が必要のなかった子供ばかりである。

　私事になるが、私には４人の子どもがいるが、ほとんど子供たちを医療機関へ連れて行ったことがない。子供の病気の大半は熱発や嘔吐、下痢であり、これらは自然治癒するから、病院に連れて行く必要がないのである。おかげで、わが子たちは、薬の飲み方をよく知らない。

　このように、特に時間外受診する小児救急患者のほとんどは軽症であり、小児専門医でなくとも十分に診療は可能なはずなのである。だからこそ、昔は非専門医が主としてこうした小児を診ていたわけである。

　本来、小児科医の役割は、こうした多数の軽症患者から選別された重症患者を診ることにあるはずであり、彼らもまたそうした、要するに真に医療を必要とする小児を診ることにやりがいを感じているはずである。医療を必要とせず、寝かせておけば治る小児患者ばかり毎日診ていたら、そりゃあ、小児科医だっていやになるだろう。（実際、それがいやで小児科医をやめて麻酔科医になった医師もいる）

　現在では、このように非専門医でも行いうる軽症小児患者の治療を、親は専門医に要求する。だから小児科医は疲弊し、やる気をなくす。そのために記事にある病院のようなことが起こる。小児科は閉鎖され、親は専門医を求めて、遠くの大病院を求めてさまよう。そこの医師が疲弊する。親もまた、遠くの大病院へ連れて行くことに疲弊する。（大病院では、夜間でもかなり待たされるからね）　こんな悪循環に今、陥っている。

　親の専門医志向が近隣の小児科診療を閉鎖させ、ますます本来の専門医診療が受けられなくなっている。親は自分で自分の首を絞めているのである。

●医師側にも問題はある
　無論、こうした傾向は親の側だけが原因ではない。医師側にも問題はある。

　昨今の医療はあまりに専門分化し、また専門外の診療をしても評価されることはないので、専門外である小児の診療をいやがる医師が増えていることは事実である。昔なら小児を気軽に診る医師も多かったが、今では「小児は最初からお断り」という医師が増えている。

　専門医ばかりが重宝されるようになり、ゼネラルに、小児から老人まで、頭のてっぺんからつま先まで、まんべんなく診ることができる医師が極端に減ってしまった。親の側が小児科専門医を求める背景に、こうした事実があることも否定はできないのである。

●ではどうすればよいのか
　ここまで、現代の小児診療の問題点を述べてきた。ではここで、私なりの解決策をお示ししたいと思う。それは以下３点である。

①小児診療は小児科医だけではなく、医師全体で診る、という雰囲気を医療者側が作る
②親もまた、２４時間３６５日小児専門医に診てもらう、という発想をやめる。また、ちょっとした熱発、嘔吐・下痢などくらいなら、医療機関へ連れて行かない。
③国は多数の総合医の養成に努め、速やかに総合科の標榜を認める

　こうしたことが可能になれば、日本の小児科医不足の問題は解決するのであり、またこれしか解決策はない。医師自体が減少し、刑事訴追問題が絡んでいる産科医不足問題より、小児科医不足の問題の方が、はるかに対処しやすいのである。

●わが解決策の問題点
　私の解決策は、別に難しいことでも何でもなく、誰でも気づきそうなことである。しかしそれができてこなかったのは、それなりに問題があったからである。最後にそれを列記してこの稿を閉じたい。

①に関して。これは、そもそも小児科医全体がこうした考えを持っていない、ということが問題なのである。おそらくは、ほとんどの小児科医は、「小児は小児科医が診るべきである」と思っている。彼らは、小児を総合医に診せようとしない。前述した通り、数字を見れば、それは絶対に不可能であるのに。そのために、自縄自縛状態に陥っているのに、それに気づいていない。

②に関して。これはすでに述べた通りであるが、やはりなかなか難しく、とにかく啓蒙をしっかりと行い、時間外小児受診患者、あるいはそもそも小児の受診患者そのものを減らしていくしかないだろう。もっとも、すべての親がこのことを実行すれば、日本の小児科医の大半は食いっぱぐれることになるのであるが。

　また、小児の病気すべてに精通している小児科医はほとんどいないこと（小児科医は小児科の中でまた専門を持っていることが多い。また小児のケガの治療は、普通は外科医や整形外科医に委ねられる）、小児の腹痛などはむしろ外科医の方が的確な判断をすることが多いこと、ちょっとした病気などは一般医で十分なこと、などをもっと啓蒙すべきだろう。

③に関して。これは、７５歳以上の老人に関しては、すでに国が実行しようとしていることであるが、医師会の反対などもあって、なかなか話が進まない。私は、国の「総合科」構想そのものには賛成であり、むしろこの構想をさらに進めて、総合医は老人だけでなく、小児もまた診るようにすべきだと思っている。

　そのためには、研修医時代からの徹底的なゼネラリストとしてのトレーニングが必須である。医師会は開業医を研修すればそれで十分としているが、真のゼネラリストを養成するためには不十分である。どうあっても、研修医のうちから研修を行わねばならない。”鉄は熱いうちに打て”である。

　
　
■平成２０年２月７日　中途半端な東京地裁判決

「君が代で起立せず」不採用の元教諭勝訴　「裁量逸脱」

asahi,com 2008年02月07日20時21分

　都立高校の卒業式などで職務命令に反して「君が代」の斉唱時に起立しなかったことを理由に、都が退職後に嘱託職員として採用しなかったのは違憲だとして、元教諭ら１３人が都に慰謝料などを求めた訴訟の判決が７日、東京地裁であった。中西茂裁判長は、都による不採用の判断は「職務命令違反をあまりに過大視しており、裁量を逸脱している」として、１３人に計２７００万円を支払うよう命じた。

　一方で中西裁判長は、君が代斉唱時に起立を命じた職務命令は、憲法が保障する「思想及び良心の自由」に反せず合憲だと指摘。起立しなかった教師の処分を含め、都教委が国歌・国旗の取り扱いを定めた０３年の通達についても、「教育は不当な支配に服しない」とした旧教育基本法に違反しないとの判断を示した。

　その上で判決は、職務命令違反を理由に不採用とした都教委の判断について「元教諭らは積極的に式典の進行を妨害したのではなく、起立しなかったこと自体がただちに採用を否定するほどの行為というのは疑問だ」と述べた。

　さらに、「都教委が勤務成績についてほかに考慮した形跡は全くみられない」「過去には不起立の教職員も採用されていた」などと指摘。都教委の選考方法は「客観的な合理性を著しく欠く」と批判して、不採用とした判断が不法行為にあたると結論づけた。元教諭らの損害については、再雇用された場合の１年間の賃金相当額を認めた。

　君が代斉唱時の職務命令をめぐっては、ピアノ伴奏を命じた校長の命令が憲法違反に当たるかが争われ、昨年２月の最高裁判決は合憲との判断を示した。今回の判決もこの判例に従ったものといえる。

　判決について都の中村正彦教育長は「主張が認められなかったことは大変遺憾なことだ。判決内容を詳細に確認して、今後の対応を検討したい」とのコメントを出した。



　こりゃなんと、一昨年９月に次いで、おバカな東京地裁判決に続いてまたもおバカな判決がでたものだ、とタイトルだけ見て驚いた。

　しかし、記事をよく読むと、一昨年の判決とはだいぶ違うことがわかる。すなわち、この判決は君が代斉唱時に起立を命じた都教委の職務命令事態は合憲だ、としているのである。さらに、いろいろ話題となった０３年都教委通達に関しても、その違法性を阻却している。

　このように、都教委の職務命令や通達自体の合憲・合法性は認めた上で、都立高校の卒業式などで職務命令に反して「君が代」の斉唱時に起立しなかった教員の不採用自体は不法行為に当たると判定し、都に対する原告の損害賠償の請求を認めたのである。

　この判決は、あまりに過去にとらわれすぎた中途半端なものであり、おそらくは被告の都教委側はむろんのこと、勝訴したとはいえ原告団からも、不満が出るのではないかと思う。

　そもそも、都教委の一連の行為を法にかなったものと認めておきながら、不採用問題のみを不法行為だとするのは論理的に無理があるのではないか。

　この裁判官はおそらく、一昨年の東京地裁判決同様、高々と都教委の違憲性・違法性を実は謳いたかったのではないか。しかし、その後同種の訴訟における最高裁判決を無視するわけにもいかずに、一応それを合憲・合法とした。しかし、それではいやなので、「過去には不起立の教職員も採用されていた」などと理屈をこねて、こんな珍妙な判決をひねり出したのではないか。

　だいたい、過去にはこんな偏向教諭も採用されていたからこそ、それが問題になり、都教委が新たな通達を出したんだろう。それを過去にこんなことがあったから云々、と言うのは詭弁であり、およそ叡智のかたまりである裁判官が使うような論理ではないだろう。

　この種の訴訟は、早く最高裁判決が蓄積され、サヨクのおかしな言い分を封じたいものだ。それは決して彼らサヨクの思想・信条の自由を侵すものではない。公立校の教員が、自らの信条を理由に教委の職務命令に従わないのは、何としても許されざることだからだ。そんなに日の丸・君が代が嫌いなら、私立校に転職したまえ。そこなら自由にできるよ。

それにしても、明日の朝日社説が楽しみだ。（参照；平成１８年９月２１日その２～２４日付け当ミニコラム）

■平成２０年２月１０日”自然なかたち”での国旗・国歌教育を望む
平成２０年２月９日朝日新聞社説
君が代判決―都教委は目を覚ませ

　卒業式の君が代斉唱で起立しなかったからといって、定年退職した都立高校の教職員らの再雇用を拒むのは、裁量を逸脱、乱用したもので違法だ。東京地裁がこう判断し、１３人に計２７００万円の賠償を支払うよう東京都に命じた。

　東京都では国旗・国歌への強制ぶりが際立ち、抵抗する教職員が次々に処分されている。定年を控えた教職員に対しては再雇用をしなかった。こうした処分に対する訴訟も相次ぎ、今回の判決はそのひとつだ。

　国歌斉唱で起立しなかったことは、ほかの教職員や来賓には不快かもしれないが、積極的に式典を妨害するものではなく、再雇用を拒否するほどのものか疑問だ。これが判決の論理である。

　私たちはこれまで社説で、「処分をしてまで国歌や国旗を強制するのは行き過ぎだ」と主張してきた。様々な歴史を背負っている日の丸や君が代を国旗・国歌として定着させるには、自然なかたちで進めるのが望ましいと考えるからだ。

　今回の判決は都教委の強制ぶりを戒めたもので、評価したい。

　再雇用拒否の当否が争われた裁判では、東京地裁の別の裁判長が昨年、都教委の主張を認めた判決を出している。「一部の教職員が起立しないと式典での指導効果が減る」との理由だが、再雇用を拒むほどのことではないという今回の判決の方が常識にかなっている。

　今回の裁判でもう一つの論点は、起立させる校長の職務命令は、思想・良心の自由を保障した憲法に違反するかどうかだった。判決は「職務命令は原告らに特定の思想を持つことを強制したり、禁じたりしていない」として合憲とした。

　この点については、東京地裁の別の裁判長が０６年、都教委の通達や指導を違憲と判断した。その当否は別として、裁判官によっても分かれているほど判断が難しい問題を、教育の場で一方的に押しつけるのは好ましくない。

　今回の判決を機に、都教委には改めて再考を求めたい。

　都教委の強硬姿勢が際立ったのは０３年、入学式や卒業式での国旗掲揚や国歌斉唱のやり方を細かく示す通達を出してからだ。この通達のあと、延べ４００人近い教職員を戒告や減給、停職の懲戒処分にした。再雇用を拒否された人は、今回の原告を含めて約４０人にのぼる。

　教職員は君が代斉唱の時に、踏み絵を迫られる。立って歌っているかどうかを確認するため、校長だけでなく、都教委の職員が目を光らせる。

　こんな光景が毎年繰り返された結果、残ったのは、ぎすぎすした息苦しい雰囲気である。子どもたちの門出を祝い、新しい子どもたちを迎える場としては、およそふさわしくない。

　あまりに行き過ぎた介入は教育そのものを壊してしまう。今年も卒業式や入学式の季節が近づいているだけに、都教委にはそろそろ目を覚ましてもらいたい。


やはり、おバカ判決をしっかりと支持する朝日新聞社説が出ました。この問題に関しては、例によって産経新聞が正反対の主張をしているので、両社説を比較して読んでみると、大変興味深いです。

様々な歴史を背負っている日の丸や君が代を国旗・国歌として定着させるには、自然なかたちで進めるのが望ましいと考えるからだ。（下線引用者）

朝日新聞はこのように主張しています。しかし、この”自然なかたち”とはいったいどういうことなのでしょうか。

朝日新聞はこう言うのでしょう。強制でないのが自然なかたちなのだ、と。つまり、学校で無理に教え込まなくても、子どもは自然に国旗・国歌に親しむようになる、と。確かにそれはそうでしょう。

しかし、偏向教師が学校で積極的に反日の丸・君が代を教え込んだらどうするのか。これでも”自然なかたち”なのか。

確かに、朝日新聞の言うとおり、お上からの押し付けで強制的に国旗・国歌を教え込むのはあまりよいことだとは思いません。しかし同様に、ニッキョーソからの押し付けで強制的に反国旗・国歌を教え込むこともまた同様によくないことでしょう。

”自然な形”で国旗・国歌を教え込むことが望ましいことなのですが、強制的に反国旗・国歌を教え込もうという存在があるのです。国旗掲揚国歌斉唱を拒否する公立学校教師たち。これが問題。

この人たちは、日の丸や君が代は戦争のシンボルである、国民を戦争に駆り立てた、などとして反対します。それならば、天皇こそが最大の戦争のシンボルであるはずなのに、なぜか反天皇は打ち出さない・・・。

こうした人たちが教育界に巣食っている限り、健全な青少年の教育を行うために、何らかの手を打たねばなりません。その象徴が平成１５年の都教委通達でしょう。

要するに、日の丸・君が代を毛嫌いし、強制してまでも生徒にその思想を叩き込もうとする勢力がある限り、逆に強制してまでも国旗・国歌を敬うような教育を行わざるを得ないのです。

もしも、すべての公立学校で”自然な形”での国旗・国歌を敬う教育が行われていれば、都教委もまたあのような通達を出す必要性もなくなり、朝日新聞の言う”自然なかたち”での教育が行われうるのです。

　こんな光景が毎年繰り返された結果、残ったのは、ぎすぎすした息苦しい雰囲気である。子どもたちの門出を祝い、新しい子どもたちを迎える場としては、およそふさわしくない。

朝日新聞はこのように主張する。その通りです。だからこそ、早く教育現場から偏向教師が一掃され、朝日新聞の言うとおり、ぎすぎすした卒業式を世の中からなくしたいものですな。しかし、卒業式をぎすぎすさせる片棒を担いでいるのが、他ならぬ朝日新聞サマなのですが・・・。気づいてないなあ。
（参考；平成２０年２月９日各紙社説）

■平成２０年２月１１日　地方医師不足の処方箋がこれ↓だ！

外科、婦人科も内科診療　士別市立病院　医師不足解消へ４月から試み（01/30 09:00）

　【士別】士別市立病院（十一診療科、常勤医十七人）は、症状の安定した内科の再診患者を四月以降、同病院の外科、麻酔科、婦人科でも診療する方針を決めた。医師が減り続ける内科の外来診療体制を、他の医師で支えるため、「診療科の垣根を越えて病院と地域医療を守る」（吉川紀雄院長）試みだ。

　道医療政策課によると、内科患者を他の診療科で受け持つ体制は、市立病院クラスの道内自治体病院では珍しい。

　同病院の内科は、最大時九人いた常勤医が六人に減り、二○○六年春から午前診療のみに体制を縮小。さらに今春、医師がさらに一人減る見通しだ。このため同病院は、投薬治療などに通う内科患者に同市内の民間医院への転院を依頼。しかし「夫婦で通院中なので不便」などの声が多いことから、通院を望む患者を三診療科で受け持つこととした。

　同病院は「外科だけでも内科患者を一日二十人ほど担当できると思う」（吉川院長）としており、医師減員後、内科の診療待ちが長時間化しないよう努める考えだ。

結局、地方の病院はこの方式を採るべきなんです。すなわち、○○科だの××科だのといった垣根を作らず、総合科として患者を診るべきなんです。地方の医師不足の処方箋はこれしかないのです。

医師も患者も多い都会の大病院なら、細かい専門科に分けての診療が可能だし、またそうすべきでしょう。しかし、医師数・患者数共に少ない地方では、都会型の医療をしていたら、いくら医者がいても、足りません。何でも診る総合医を中核とし、より専門的診療の必要な患者だけを都会の病院に紹介するようにすればよいのです。これで、地方の医師不足は解消するんです。

基本的に、人間の病気のほぼ８割は総合医レベルで診療可能です。これは、離島など、医師が総合医たらざるを得ないケースでの、現場からの実感（私自身のみならず、同様の経験をした医師の実感）から判断した数字です。

総合医レベルで８割の患者の診療をし、あとの２割を都会の専門医に委ねれば、必要な医師数は激減します。当直なども、総合医が行っていれば、ほとんどの夜間・休日診察をいちいち専門医を呼び出すことなしで診療が可能です。

このように、地方の病院は外来を○○科などと分けることなく診療し、医師募集もまた、総合医としての募集にすればよいのです。

こうすることにより、医師不足も解消されるし、都会の大病院もよりスペシャリティの高いより少数の患者の診療に特化できて、”三時間待ちの三分診療”から離脱できるし、一石二鳥です。

地方の小さな病院がなぜ都会の大病院と同じ体制でやろうとするのか、私にはまったく理解できません。こうした方式がニュースになること自体が、そもそもおかしいのです。

ところで、こうした”新方式”が広まるためにも、頭のてっぺんからつま先まで診れる総合医の養成は欠かせないと思います。７５歳以上の高齢者に限定してではありますが、厚生労働省も総合医の養成を謳っています。今度こそ、医師会にこの構想をつぶされずに頑張ってほしいと思います。


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平成２０年ミニコラム