| 医学常識のウソ パートⅡ |
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１食事を摂っていないときはいつものクスリも飲んではいけない。 特にお年寄りなどで朝昼晩とだいたい食後に定期的にクスリを飲んでいる人が多い。したがってクスリというものは食事をしなければ飲んではいけないと思っている人が多い。しかしクスリを飲む時間と食事というものは特殊なクスリを除いては基本的に関係がないのです。すなわちクスリというものは必ずしも食後に飲まなければならないということはないのです。 それではなぜ多くのクスリが食後の服用となっているかといえば、要するに食後というのが一番飲み忘れのない時間帯だからです。特に定期的に内服するクスリというものはその血中濃度を保つために一日に何回か分けて服用するようになっているのですが、その目印として一番よいのが食事なのです。食事をするのを忘れる人はいないからです。もし時間を決めて内服、ということになれば多くの人はしょっちゅう飲み忘れることでせう。また食前内服とすればクスリを飲むのを忘れて食事をしてしまう人が多数出てきてしまうでせう。したがって一日２～３回食後に内服というのが一番飲み忘れがない飲み方なのです。（但し糖尿病のクスリの一部のように食前に内服しなければ効果がないものなどは例外。そのあたりは処方を受けている医師と相談しませう） したがってたとえば検査などで朝食を禁じられたり、何らかの理由で食事が摂れなかったからといって、クスリの内服も止める必要はぜんぜんありません。ただし空腹時のクスリの内服は一般的には胃への負担が大きいのでその点は注意が必要です。（一回くらいならかまわないが、あまり連続して空腹時にはクスリの内服はしないようにする） ２カゼをひいたときなどで食欲がなくても無理して食べた方がよい。 これもまた年配の方などはこうした考えをお持ちの人が多いようです。昔はもともと栄養不良の人が多かったし、点滴のような効率的な水分（栄養ではない！）補給方法などもなかったので、病人の治療というとまず栄養補給が大切でした。普段の栄養が足りないために病気になりやすい人が多かったからだと思います。だから特に明治大正の頃を間接的にでも知っているお年寄りなどは病人には栄養をつけるべし、という考えが強いのです。 しかし栄養が十分にとれる現在では、もともとの栄養不良で病気となる人はほとんどいないので、病気で食欲がない時に無理して食べる必要はぜんぜんありません。カゼをひいた時などはそのウィルスが胃腸にも繁殖し、小腸の栄養分の吸収能力は衰えています。そんなときに無理して食べても胃腸の負担が増すだけで栄養の吸収はできません。それに人間の身体は水分さえ補給されればカロリー補給がなくてもかなりの年月生きられるというのは周知のことですので（私の患者さんでも数ヶ月、通常の点滴だけで生きておられた方がいます） とにかく食欲がないときに無理して食べさせる必要はぜんぜんないのです。要するに無理に食べさせたからといって病気が早く治るというものではないのです。大事なのは水分の補給です。食欲がないときでも水分の補給は大事です。いっぺんに飲ませると（病人は意外と水を飲みたがる。脱水になっているための本能である）吐いてしまうので、少しづつ飲ませるようにしませう。 ３病院に行けばカゼは早く治る。 当サイトのあちこちで述べているように、カゼウィルスに直接働きかけてカゼを治すクスリはこの世には存在しないので病院に行って”かぜぐすり”をもらってもカゼはよくならない。カゼの症状が緩和されるだけである。カゼで病院に行くのはカゼの症状を緩和してもらうために行くのであって、かぜを治してもらいにいくのではないのです。カゼはみんな自力で治っているのです。また病院でかぜぐすりをもらったからといって肺炎などの合併症になりにくくなるわけではありません。合併症となるか否かはあくまでもご本人の体力勝負です。 ４病院は清潔なところである よく患者さんの家族から「家で見ているのは不安だから入院させて欲しい」というご家族がいます。それはそれでよいのですが、その理由を聞いてみると「病院の方が設備も整っているし、家だとばい菌がいっぱいいるけど病院なら清潔そうだから安心」というようなことが多いようです。 しかしこれはまちがい。実は病院というところは世間一般よりもばい菌がずっと多いところなのです。考えてみれば病院には病気の人が集まっているわけだから、これは当然のことです。だから患者さんによってはかえって入院させることにより、いろいろな感染症をもらってしまうことの方が心配な方も多いわけです。したがってよくご家族には「入院するとかえって肺炎などになりやすいからご自宅で様子を見たほうがいいです」という説明をすることがあります。 無論大病院などではクリーンルームなどのようにきわめて清潔が保たれている部屋があったりしますが、これは特殊な病気の治療のための例外的なものです。一般の患者さんがこうした部屋に入院することはありません。 |
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