こういうところが、いかにも共産党。つまり、とにかく何でもばらまいてしまえばいい。財源など後からついてくる、なあに、金持ちから巻き上げればいい・・・

本当にこれをやってしまったのが、かの悪魔の民主党政権。当時すでに右から極左へと転向していた小沢一郎のもと、とにかくばらまけー、ばらまけー、財源なんか考えずに、とやってしまった。

責任与党だから、結果責任を取らなけばならない。その結果、財源を金持ちからむしりとろうとする不可能性に気づき、禁断の木の実（消費税増税）に手を出さざるを得なくなり（菅（かん）内閣の時）、野田内閣の時に、純化路線を取った小沢一郎とけんかをして、選挙に負けてあっけなく政権を放擲する結果となった。

●働いている医療従事者は１割
当たり前のことだが、すべての医療従事者がCovid-19と格闘しているわけではない。闘っているのは、そうした患者、それも生きるか死ぬかの重症者の治療を引き受けているごく一部の病院の医療従事者だけである。（それもほとんどは看護師、医師のみ）。

中等症患者の受け入れ施設もあるが、そもそも治療法が確立していない病気だから、こうした患者の管理は、少なくとも、医学的にはあまり負担はないはずである。こうした施設でもっとも求められる能力は、中等症患者が重症化していないかどうか（させないか、ではない）の見極めと、重症化した場合の初期対応（急遽気管内挿管をして搬送先を決める）なのである。

Covid-19を扱っていない医療機関は逆に、閑古鳥が鳴いている。私の勤務する病院もそうだが、多くのそうした医療機関は、前年度より減収となっており、特に中小の開業医、ことに小児科など、患者数減が著しい。

その原因は、皆がCovid-19をしているおかげでインフルエンザ流行なども防がれ、上気道感染症の患者そのものが減っていることと、もともとの医師過剰体制にある。

共産党としては、こうしたCovid-19を扱っていない医療機関救済のつもりもあるのだろうが、こうした医療機関への公費補填は、Covid-19を扱う医療機関へのそれとはまったくその性質が異なるので、非常に問題である。

共産党のこの考えを推し進めれば、結局は、前年度よりも収入が減った全産業従事者への補填をしなければ、理屈に合わなくなる。

さすがの共産党も、そこまでは考えてはいないだろう。

●世論を重視するふりしてあざむく共産党
もともと共産主義の出自そのものが、権力の恐ろしさにまみれていた。創始者レーニンは、もともとは貧しい人民の”世論”、つまり、みんながこんな貧乏生活からは抜け出したい、という願望を実現させるために、動いた。彼および彼の一族は優秀で、こうした貧乏とは無縁だったから、その動機そのものは、非常に純粋であったことは、間違いない。

しかし、レーニンは、そうした自らの事業が、世論の支持を受けていないことを、選挙（20歳以上の男女が有権者である、非常に民主的な選挙）敗北で知った。そして、あろうことか、憲法制定会議（そのまま国会になる予定だった）を強権で解散させてしまった。

共産主義は、このレーニンの思想・行動から始まった。つまり、民主主義（選挙結果）よりも高い力がある、それが共産主義であることを、レーニンは証明してしまったのだった。

本来、民意よりも高い力を持っていたのは、ツァーリだったわけで、レーニンはそれが「豊かになりたいという世論」に反する、としてメンシェビキとともにツァーリを倒したのだが、民意を無視するという点では、ツァーリと同じ立場になってしまったわけだ。

ただこれはむろん、レーニンの人間性のためではなかった。その動機からわかるように、レーニンの、社会を変えようという意志そのものは、尊かった。しかし、その手段である共産主義そのものが、牙を持っていたのだ（’91年のソ連崩壊時、当時の不破哲三共産党委員長は、レーニン性善説を唱えたが、それ自体は正しかったのだが、彼は共産党の持つ牙は、それをスターリンの個性になすりつけた）。

レーニン自身にとっては幸いなことに、彼は自らの社会的大事業がそうした牙を持っていたことにはおそらく気づかずに（だからこそ、憲法制定会議の解散ができた）、亡くなった。

レーニンがもっと長生きしていれば、スターリン（や毛沢東）がもっと早死にしていれば・・・とはよく言われる（悪人世ににはばかる）ことだが、もともと共産主義を実現しようとすれば、その牙（秘密警察や弾圧）をもワンセットで実行せざるを得ないという、その矛盾は、レーニンがもっと長く生きていたところで、解消することはなかっただろう。

このよう、そもそもの共産主義の出自は血塗られたものであり、共産主義社会とは、その拡大再生産に他ならなかった。そして、そのこうした出自や体質は、現在の日本共産党にも、脈々と受け継がれている。

仮に、共産党が政権を取って（あるいは立民と連合政権となって）、この政策を実行しようとすれば、莫大な金が必要となる。民主主義社会でそれを調達するのは不可能であり、彼らは強権で、狂犬のごとく富裕層に襲い掛かることになり、社会を破滅させる。

幸いなことに、歴史を俯瞰すれば、共産主義革命は、戦争時（ソ連、北朝鮮）か、広大な国土と低い民度の国（中国）か、完全にトップらがいかれた国（カンボジアやキューバ）くらいでしか、成功していない。日本はこうした条件のいずれにも該当しないので、共産党の牙が社会に向けられる危険は、ゼロである。

●専門家による真逆の提言
この両者は、いずれも医療関係者からの提言・要望だが、その内容がまるで正反対であることがわかる。

すなわち前者は、Covid-19をもっと重い疾患であると評価し、でき得れば、緊急事態宣言を発令して欲しい、と暗に仄めかしている。

これに対して、後者、全国保健所長会は、指定感染症の指定解除、宿泊対象者の拡大、濃厚接触者検査の簡略化等を要望している。すなわちこちらは、前者とは真逆に、Covid-19対策をもっと緩めてほしい、ということでまさに真逆の提案がなされているのである。

10年前の原発事故の際にもやはり、同様に、専門家によって真逆のその評価がなされ、世間が混乱したことは、まだ記憶に新しい。

一般人からすれば、１＋１＝２になってしかるべき事象の評価が、なぜこのように分かれてしまうのか、不思議でたまらないのではないか？

●どちらかが間違い
ただ、放射線障害の評価が、片方が（障害を過大評価した方が）結局は誤っていたように、Covid-19においてもやはり、その評価はどちらかが誤っているのである。

私の意見では、誤っているのは前者である。すなわち、Covid-19はやはり、指定感染症の指定を解除してもっと柔軟な治療体制が取られるべきであり、立憲民主党のような野党もそれを提案しているが、緊急事態宣言などとんでもない、ということ。

一例ケースではあるが、マスク着用を拒否したCovid-19患者からマスク＋防護服着用をしていた看護師が感染したケースがあった（令和2年8月4日当ミニコラム参照）。つまり、やはり重要なのは、感染している側（保ウィルス者）の徹底的な感染防御であり、それをないがしろにすれば、いくら医療者側がしっかり防御をしても、感染するリスクが高い、ということなのである。

ここが、医療者側にも徹底した感染防御が必要となるエボラ出血熱などのような真に恐ろしい感染症との違いである。

Covid-19程度の致死率の感染症では、これまで行われてきたような完全防備は、むろんそれができれば越したことはないとしても、そこまでしてもあまり意味がない。

●GoToトラベル停止と同じ発想
つまり、Covid-19いつまでも指定感染症の指定を続けるのは、GoToトラベル停止と、発想が同じなのだ。完全武装をしたところで感染リスクはかわらず、GoToトラベルを停止したところでやはり感染リスクは変わらない。（むろん、それがゼロとは言わないが、少なくとも、GoToトラベルを続ける、あるいは、指定解除の利点の方がはるかに大きいことは間違いない）。

中国が一番成績が良いことからもわかるように、Covid-19対策は、何と言っても、国民の人権を完全に奪うくらいの国家権力の行使をすることが一番効果的なのだ。

かなりのロックダウンをして（欧州）も、あるいは徹底的にPCR検査をして感染者の人権を侵害して（韓国）も、緊急事態宣言を発令（日本）しても、結局はどの国も、今の惨情を招いている。

一時期は感染が抑えられても、結局はウィルスは漏れ出すわけだから、それであれば、あまりCovid-19を敵視しないで、共存共栄していくくらいの気構えが大事なのである。

無論、病床逼迫の危険は続く。しかし、日本は、欧州と比較すれば、感染者、重症者、死者、いずれも文字通り、けた違いに少ないではないか。少なくとも人口当たり病床数は日本はもともと多いわけだし、人口当たりCTは群を抜いて世界一なのだから、少なくとも欧州を基準とすれば、日本がそう簡単に医療崩壊など、するはずがない。逼迫しているとすれば、やはり日本独特の目詰まりの事情があるのであろう。

それについてはここでは取り上げないが、Covid-19に対する過剰な扱い（たとえば、濃厚接触者の定義やその経過観察期間など）も原因として、あげられるのではないか？

いずれにせよ、専門家の意見がこのように真逆に割れていることこそが、以前の放射線障害の問題と同様、国民にいらぬ混乱を起こしていることは、間違いない。