合流新党代表に枝野氏選出　党名は「立憲民主党」に 9/10(木) 14:15配信 6404 　立憲民主党や国民民主党などが合流してつくる新党の代表選の投開票が10日行われ、立憲民主党の枝野幸男代表が、国民民主党の泉健太政調会長を破り、初代代表に選出された。新党の名称は枝野氏が提案していた「立憲民主党」となった。同党には衆参計149人の国会議員が所属する。 【動画】合流新党の新代表は枝野氏　党名は「立憲民主党」に（2020年9月10日） 　代表・党名ともに149人の議員投票によって決定。枝野氏は107票、泉氏は42票だった。党名は、「立憲民主党」が94票、「民主党」が54票だった。 　代表に選出後、枝野新代表は壇上に立ち、「当選させていただいた喜びとともに、身の引きしまる緊張と重い責任を痛感している。いよいよプレイボール。ここから本当の戦いが始まる。みなさんと力を合わせて暮らしの声を届けていく戦いをここから進めていきたい」と語気を強めながら語った。 　枝野氏は投票前の演説で「命と暮らしを守るために、いま明日の暮らしに困っている人のために、理不尽な壁に苦しんでいる人のために。国民のために国民と共に戦う政党を、戦う仲間を、戦うチームを作っていこう。私は先頭に立って、日本の政治を必ず変えていく」などと訴えていた。

枝野氏票が3桁に届かないといけない、と言われていたので、まあちょうどよいところに収まったと言えようか。その主張は間違っているにしても、日本の有権者の約２～３割はこうした考えのヒトがいるので、衆参計149人は、その受け皿としてはまあ妥当だろう。

党名は、「民主党」にしなくてよかった。「立憲民主党」は、枝野氏の頑張りで、立党以来、一定の評価は得てきており、サヨクの間では、コアな政党でやってきたから。

もともと「立憲民主党」は、リベラルな人たちから”排除”され、行き場がなくなった者たちの吹き溜まり的存在だった。したがって右の壁がはっきりしており、かえってまとまりがあった。

これに対して「民主党」はやはり、以前の悪いイメージがあまりに強い。もしも党名を「民主党」にすれば間違いなく、昔の民主党とごっちゃにされて、名前で損したことになっただろう。

ただ、その党首は昔の民主党の幹部であり、ここらが今のサヨクの限界だろう。

ただ、枝野氏の対抗馬が、旧国民民主党議員だったことはよかった。国民から枝野党に移ってきたメンバーは、昔でいえば社会党右派であり、左右のバランスをうまく取ったと言えよう。泉氏の得票数もまあ、妥当だったのではないか。

枝野氏らサヨク色が強い人たちがかつて、希望の党から排除されたことからもわかるように、日本において、リベラルとサヨクの間には深い溝があり、この溝が、常にアンチ自民の人たちにはネックになっていた。

もとを正せば、この溝は、旧同盟と総評に行き着く。旧ソ連の崩壊を受けて、'92年に両者は連合となったが、今回、もともと同盟系だった、どうしても立民に移れなかった人たちの存在は、結局、連合とは名ばかりで、旧同盟と旧総評は"連合”できなかったことを示している。形だけ”連合”しても、実質は伴わなかったわけで、いかにこの溝での政界・経済界の断層が強いかがわかる。

民主党政権時代も、アンチ自民の風に乗って、何とかこの溝を糊塗していたが、内閣がこの溝をまたいで形成されたため、結局はバラバラなままで、最後は小沢一郎にとどめを刺された。

立憲に行かなかった玉木雄一郎氏は、是々非々で立憲と協力すると言っているが、共産党にまでウィングを左に広げた立憲とでは、政策を一致させることは、困難だろう。

●立憲は早期の世代交代を図れ！
自民党総裁選のメンバーがが60代、70代であるのに対して、野党のトップまたはトップ候補は皆、若い。枝野幸男56歳、玉木雄一郎51歳、泉健太46歳、である。自民党などは、小泉進次郎を別格としても、総裁選でで名前が挙がった一番若い河野太郎でさえ、57歳であるのに！

なのに、世代交代が必要なのは、実は野党側なのだ。なぜか。

昔の民主党と断絶する必要があるから。当時の民主党政権の中心メンバーは、今の野党と同様、若かった。中心は40～50代だった。若い彼らが日本の中枢に座れたのは、そもそも、民主党第１世代（小沢・鳩・菅）が、若くして党を築くことができ、民主党政権を担った次の第2世代（岡田・野田・前原・玄葉・枝野etc）が、その果実を得ることができたからである。

民主党ができた（旧'96年、新'98年）のは、旧ソ連の崩壊を受けて社会主義が死に、その影響が日本の政界・経済界にも及び、マルクスレーニン主義から完全脱皮できなかった社会党が滅び、小沢一郎が自民党を割って新党を作り、壊し、といった坩堝のように”溶けていた”時代がようやく、民主党として結晶化してきた時期だった。

当時は、世襲で縛られた自民党が老朽化してその生命を終わると見られ、そのために、若くて能力ある人たちが野党に集っていた。社会党・民社党が没落したために、野党には自民党のような古い世代が跋扈することもなく、若い世代が活躍できる素地があったのだ。2005年に43歳の前原誠司が民主党代表になったのは、まさにその象徴だった。

当時はあたかも、明治維新、大東亜戦争後、の日本史上3番目の、若者が活躍できる時代が来た、と思われた（若者が社会の中心となっていた時代参照）。

しかし、前2者ではその若者が、時代の要求に見事に応えられたのに対して、第3の機会を得た若い世代は、ものの見事に失敗をした。若い世代はリベラル～サヨクが中心だったためであった。

そしてその後の日本は、また、自民党の時代になった。だが自民党は、坩堝の時代以後、小泉純一郎内閣による"構造改革”を受けていた。小選挙区制は派閥をほとんど無意味にし、官邸の力が強い”中央集権”政党となり、民主党が失敗した”政治主導”をものの見事に成し遂げることになった。

結果的に、小泉→安倍と一気に若返ったが、その安倍首相も、65歳となった。新総裁候補が60～70代なのは、すでに述べたとおり。

結局、自民党はまあうまくやったために、年寄りが多くとも世代交代を必要とせず、野党は失敗したがゆえに、年齢構成が若くても世代交代が必要となったのである。

●与野党ともに、”つなぎ”的なトップが誕生する
枝野氏の任期はわずか2年とのことで、2年後にはまた代表選が行われることになる。したがって私はその際には、枝野氏は勇退し、次世代に譲るべきだと思うのだ。

確かに、自民党の中心メンバーと比べて単純な年齢では、枝野氏はまだまだ若いが、民主党政権の失敗が身に染みついている。

枝野氏が生き残ったのは、希望の党から排除された人たちの中で、早々と「この指止まれ」をしたからである。当初はリベラルの方が多数派になると見られていたが、希望の党が失墜するにつれ、相対的にサヨクである立憲の立場が上になり、結果的に枝野氏の存在感が大きくなった（ただし、枝野氏自身の資質による面も多い）。

しかし、2年後は、立民はもう、枝野党から脱しなければならない。そして、国民の玉木氏と同様、昔の民主党政権の失敗には何ら責任のない世代がトップに立つ必要がある。

与党は71歳の菅氏が総裁となろうが、彼は基本的には安倍政権のしんがりで”つなぎ”であり、その次にはかなり長い政権を目指すことだろう。

野党も同様、枝野氏は”つなぎ”であり、まっさらな世代への交代となることだろう。

http://machikun.la.coocan.jp/shortessay404.htm