Mozart's　Requiem by Wolff1
1. HISTORICAL PERSPECTIVES:
THE COMPOSITION， COMPLETION， AND EARLY RECEPTION OF MOZART'S REQUIEM

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Fiction，Faｃｔ，and Open Questio
モーツァルトの死の環境は、当初より、ミステリアスなファンタジーを持っていた。彼の死の床で、最大の天才は常に作曲をしていた。死者のためのミサ曲は、未完に終わった。最初のレジェンドは、モーツァルトの死の直後から起こった。レクイエム創世とモーツァルトの病気と死の環境をめぐる出来事は混同された。こうした説明は、ミステリーで彩られ、しばしば、奇妙な軌跡が、物語のポピュラーかつ偽りの学術的な見方で見られた。

逸話がレクイエムの歴史にまとわりついている。たとえば、モーツァルトの死のためのレクイエムを依頼した「見知らぬ灰色メッセンジャーの話など。こうした話がいろいろ出たり引っ込んだりしていた。

Lorenzo da Ponteあてに書かれたと思われる、イタリア語のフィクションでない手紙にあるように、彼は、絶えず悩まされる見知らぬ男のイメージをぬぐえなかった。

モーツァルトは、死が迫っていることをいまさらながらに知った。そして、自身の葬儀の“( il mio canto funebre")hymnを完成させなければならなかった。なぜなら彼は、まだそれを書き上げていなかったから。

モーツァルトがライバルのサリエリに毒殺されたといううわさは、彼の死の直後から出回り始めた。われわれの時代は、その他の物語を作り出している。あぜなら、このよう考えを記述するよりよいtermはないからである。コンスタンツェはジュスマイヤーと関係を持っていた。（１791 年の７月にFranz Xaver Wolfgang Mozart,が生まれた）。（中略）

しかし、最初の完全なレクイエムは、Constanze Mzartandと childrenのために、Baron Gotrfried vanS wietenによって、1793年1月2日に、ウィーンのJahnホールで演奏された。

Mozart's　fragmentはすでに、それより早く、彼の死や葬儀数日後に演奏されていた。（中略）

葬儀は、モーツァルトの死後、１週間以内に行われたが、レクイエムの完成部分のみに限られていた。


The Requiem Controversy (1825-39)
いわゆるRequiem Controversy は、1825年にGottfreied Weberによって出版された“Uber die Echtheit des Mozartschen Requiem”の記事が出発点であった。それはカンカンがくがくの論争となり、モーツァルトの作品全体の真実性についての疑問を引き起こすこととなった。

私たちの栄光のモーツアルトによる作品のうち、彼のレクイエムとして、多くの一般的な賞賛、敬意を表して、あなたが楽しむものはほとんどありません。
しかし、これは驚くほどのことで、なぜなら、レクイエムは、すべての彼の作品のうちで、鈍い、完璧でない、未完成なものとしていうことができます。実際、モーツァルトの作品とは言い切れないほどです。

Jacob Gottfreied Weber(1779-1839)は弁護士であり、同時に、ダルムシュタットの控訴裁判所職員でもあった。彼は音楽理論も解し、彼の記事は、先立つ25年間に明らかになった矛盾に光を当てることになった。作品の創世の物語は、一般的に、ある種の神秘的な、非常に残酷な曖昧さを持っていた。

　四半世紀の間、モーツァルトのレクイエムは、(Leipzig，1800)のスコア、vocal　score　(Offenbach，1801）、parts (Vienna，1812).の出版を通して、多くの地で演奏されるようになり、よく知られたものとなっていた。

しかし、非常に初期の頃から、寓話は作品にミステリアスなベールを引いていた。Leipzigの版に関係して、ジュスマイヤーは、Breitkopf & Hoertelに、作品の最終形における彼の決定的な役割を書いて送った。

その手紙は、1801年に、Allgemeine musikalische Zeitungにおいて発表された。にもかかわらず、彼の名前は、作品の校訂のどこにも記されなかった。オリジナルなソース素材がはっきりしないため、以下のような疑問が不可避であった。レクイエムは未完で残されたのか？あるいは、モーツァルトが事実上、完成させたのか？（中略）

　一方、Franz Xaver Niemetschek (Prague，1798)による最初のモーツァルトの平易な伝記が作られた。それは、レクイエムを依頼した人からの伝達者が「到着し、その不完全な状態での作品について尋ねた、そして、その作品は彼に渡された」26。

26　モーツァルトの最初の伝記（Schlichtegroll "Mozart Leben")におけるレクイエムへの簡単な言及は、これが未完であることを記している。言及は、ハイドンのL.モーツァルトに対する証言を引用する。「神に誓って言おう。私は、あなたの息子が、私がこれまで会った中でもっとも偉大な作曲家である、と。モーツァルトは、その人生最期の費に、レクイエムを完成させることはできなかった。その表現の荘厳なるパトスは、作曲者の妻と子どもへの援助演奏の際に、人々の心を動かし、委託者の崇拝を得た」

他方、Friedrich Rochlitzのより詳細な伝記もまた、1798年に出版され、以下のように書いた。

モーツァルトは「自身の葬儀のために書いていた」ことを信じていた。本人は、納得はいっていなかったが。それゆえ彼は、”キリストの変容”を描いたラファエロのように働いた。彼の死が近づき、ラファエロのように、彼が創造した産物は、彼自身の変容であった27。

27 Allgemeine musikalische Zeitungにおいて、Rochlitzは後に Weberに対して、1796年に、レクイエムの演奏のために、コンスタンツェがライプツィヒを訪れている間、Rochlitzは、”彼女の質問をし、「レクイエムの作成について、私が見積もることができ、興味を持った全てについて、ノートに記述した」としている。

さらに、モーツァルトは、彼の依頼主が、彼の死について警告を送ったことを信じていた。モーツァルトはそれゆえ、自分の名前を記念しようとした。彼はこの信念のもとで働き、その結果が作品の完成であったことは不思議ではない。彼は、しばしば、消耗でうち沈み、働くほどに、意識不明となった。彼の死の４週間前に、彼は完成させ、眠りについた。

ｐ9
一般的な混乱は、モーツァルトの未亡人の証言についての異なる説明に基づいた著者の記述で大きくなった。

　Weberは、論文を連続して出版し、レクイエムの信憑性についての疑いに対する背景を描いた。しかし彼の論議は、一般的に、後のモーツァルト研究においては、あまり信頼はされなかった。例外はOtto Jahnで、彼は、Requiem controversy全体の議論に理解を示しただけでなく、Weberを「正直な追求」でもって信じていた。たとえ彼のレクイエム批判が、批判的過激さによって不当に毀損されたとしても。Weberは、以下のような前提を基礎としていた。

私たちは、Rochlitzを信じ、モーツァルトは、彼の死の前に彼の白鳥の歌を完成させていた、と受け入れよう。我々はさらに、Gerberとともに、モーツァルトの死後、その作品の写本は完成していたが、いくつかの細かい点においてはともかくとして、見知らぬクライエントに渡された。我々はさらに受け入れよう。見知らぬクライエントは発見される、オリジナルな写本は彼に渡され、それ以来、行方不明となった。誰もがこのことに発言はしない。

　しかし、作品の著者がそれを注文通りに仕上げ、写本を完成させる前に、その草稿、アウトライン、スケッチ、ebauches,croquiesを最初に書き留めておく習慣があったことは、一般常識である。声楽作品の場合は特に、作曲家が４声パートを書き下ろす際に、ラフな草稿が存在するであろう。彼はそれから写譜をし、総譜がそこにあった。写譜者は、作曲家が器楽パートを書き入れる譜表部分を空白にした。

要するに、完全なスコアが書き下ろされる前に、作曲者は最初にスケッチを作り、状況によって、その他の準備した作品を作るのである。

　こうしたスケッチの性質が、モーツァルトの手稿に残され、おそらくはごちゃまぜになり、彼の未亡人からジュスマイヤー氏に手渡された。彼にて和されたものが、現在我々が所持しているレクイエム作品なのである。

　この流れによる説明は、ジュスマイヤーとRochlitzの説明の矛盾を解決し、RochlitzとGerberの矛盾も解決するだけでなく、レクイエムがどのように知られざるクライアントに手渡されたのか、ジュスマイヤーによって発見されたモーツァルトの手稿がどのように残されたのか、という謎も解決する。

　結果は、前述の、我々が知るレクイエムの真贋性に関する非常に基本的な疑問において、我々は今、出版者に対するジュスマイヤーの手紙が主張するように、その同じレクイエムは、１つの楽章さえも純粋にモーツァルト作ではなく、その大部分がジュスマイヤー作であるということ、モーツァルトによって作曲された真のレクイエムは未だに日の目を見ていない、という論争に直面している、ということである。


p10
　こうした前提は、作品全体についてのWeberの重大な美学的疑いを裏書きする。彼はそのために、ジュスマイヤー自身の証言に反し、Kyrie，“Tuba　mirum，" “Confutatis，" “Quam olim Abrahae" fugueのような楽章のオリジナル素材が、これまでよりもモーツァルト作の部分が少ない、と言う結論を導いた。ジュスマイヤー自身が作曲した楽章(Sanctus to Agnus Dei）におけるより大きな割合を、彼は持っていなければならなかった。ゆえに、Weberは、 Breitkopf & Hartelによって1800年に出版され、その後25年間にモーツァルト単独の名においてフォローされていた完全スコアの信ぴょう性に大きな疑問を抱いた。

Weberの詳細な批判は多くの場合、頑固かつ不当に厳しいものであった。

　モーツァルトがキリエの第18小節以降のコーラスにおいて、このような喧噪をするのを信じることは、私には苦痛になることだろう。。そこには、歌手からも批評家からも来るような悲鳴があることだろう。もしもこのようなGorgheggi （喧噪）がロッシーニの名のもとに現れれば、おそらく、それ以外の作曲家は、モーツァルトよりも敬愛されなくなるだろう。32

32. Weber，“Uber die Echtheit，" Weberが使った”喧噪”“Gurgeleyenは、モーツァルトの歌についての Niemetscheのコメントへのあてつけである。そこにれは、「モーツァルトはイタリアの歌手たちに挑み、あらゆる使えない、無性格な”喧噪”、装飾、トリルを禁止した」とある。

ｐ１１
これは、ベートーベンが“Giftfried"Weberという男にうんざりした最初の機会であった。彼は、縁に「Ｏ　you arch-donkey」などと書き込んでいる。33

33　Beethoven's copy of Caciliaにある。Requiem controversyはまた、ベートーベンの会話ノートにまで影響をしていたのである

モーツァルトの天才の完全性よりも勝るものはない。そして、音楽界全体が、見方の変化を表現するように喚起された。もっともウェイトの高い反応は、Abbe Maximilian Stadlerからのものであった。彼は、モーツァルト一族の長い友人であり、助言者であり、Ｖｅrtheidigungder Echtheit des Mozart'schen Requieｍ(Defense of the Authenticity of Mozart's Requiem）等を書いた人物であった34。

34　Stadlerは、1826年2月６日付のベートーベンから送られた手紙を複写し、「あなたがすばらしいエッセイを通して、モーツァルトの名前を公正にしたことは大変よかった」と紹介している。

Stadlerは、Weberの議論への反論において、オリジナルな素材に最初に言及していた。同時に彼は、レクイエムはヘンデルのいくつかの動機を含んでいるという自身の一言についての燃料を投げ入れた(次ページ、Wolff2参照。）

Weberのリアクションは、それゆえに問題の楽章が、モーツァルトによるものであった、と推察された。Weberの意見は、広い信用を得た。Robert Schumannさえ、モーツァルトのレクイエムに関して、「単に崩壊しただけでなく、一部の楽章を除いて、全体的に、真正ではない」と見做していた。

ｐ12
　Andreによる版，Neue nach Mozart's und Susmayr's Handschriften berichtigte Ausgabeの1827年のRequiem版は、ジュスマイヤーの名前を冠した最初に編纂したものであった。改良版での彼の願いからの推察において、Andreはまた、作品の歴史を明らかにすることを求め、本質的な導入を含んでいた。それらは真面目な事実の情報を含んでいたが、レクイエムをＫ427と結びつける試みのような粗野な仮説の余地もあった。

この版は、モーツァルトとジュスマイヤーの担当部分のはっきりとした分離の困難さをわかりやすく示している。問題は、1829年に分離して出版されたセクエンツィアとオファトリー（モーツァルト自身によって書かれたものと、Abbe Stadlerによってモーツァルトの実譜から正確に写譜されたもの）においてより明らかになる。にも関わらず、1827年 と 1829年のAndreの版は、最も入手可能な情報源に基づく版への道のりの最初の不可欠な道しるべである。

　Requiem controversyの初期の頃には、論争者たちは、作品におけるモーツァルトのパートの確かな証拠を求めることができなかった。Weberが嘆いたように、オリジナルな写本は、なかった。それは、何らかの理由で所有者がそれらを差し控えていたので、一般に知られていなかったためである。しかしその後、非常に早くに、１つの作品が一度に、日の目を見ることになった。Stadler自身は、1826年に、セクエンツィアの自筆譜のスコアの所有をすることになった。そのスコアは、“Lacrymosa”が欠けており、1829年頃には、ウィーンの宮廷図書館に売られた。

1826年かそれよりは先に、“Lacrymosa”は、オファトリーとともに、アイブラーの所属となった。彼は、1833年に、両写本を、宮廷図書館に寄贈した。しかし、Stadlerも Eyblerも、これらの自筆譜がどのように手に入れたのかを説明しなかった。Stadlerはただ、ミステリアスな”友人”について述べ、その友人が彼に、1826年3月22日に素材をくれた、と言及しているのみである。しかしながら、Stadlerの自筆譜素材への言及は、Requiem　controversyの次の段階において、ある効果をもたらしたが、“Lacrymosa"と Offertorはまったくモーツァルトによるものであり、それゆえに、ジュスマイヤーの役割が減ったことにおいて、素材が重要な役割を果たしたということである。

ｐ１３
　レクイエムについての論争において、それは最も直面している人々の輪をはるかに超えて広がった。その問題は、Goethe と Zelterにも及んだ。43

4３　「ついに我々がモーツァルトのレクイエムのスコアを手にし、オリジナルは写本でそれを但し、論議を高め、今や、我々がいつも知っていたことを我々は今知っている。あなたは定期刊行物Caciliaを知っているだろうが、あなたは、ダルムシュタットのウェーバー氏の、遺作の真贋性に対する辛口で冗長な反論をよく知るようになったにちがいない。

彼は、レクイエムはモーツァルトの作ではない、と主張していた。あらゆる意図と目的にとって、モーツァルトのペンから発したモノに対する、それは最も弱い、否、もっとも罪深いことである。

「要するに、モーツァルトは作品を未完で残したが、その死後、ジュスマイヤーはモーツァルトの楽想を汚し、彼の不完全な理解により、作品は穢された。モーツァルトの死後、世界は驚くべき状況であり、それは今でも続いている。この遺産への幻滅は、その作曲のおとぎ話によっており、誰も、傷つくような芸術的な偽造作品の欠陥に光を当てる勇気がなかった。それは、Weberの空想である。」1827年6月16日Zelterの手紙のゲーテへの手紙

しかしそれは、1791年にレクイエムを委託していた故Walsegg伯爵（1826年に死亡していた）に属していた音楽のあいだで、1838年に、完全に”オリジナルな”スコアが発見された時に、誰もが驚くような新しい展開となった。

伯爵の前財産管理人だったNowackを通して、このスコアは、ウィーンの宮廷図書館に寄贈された。そして、1838年の終わりに、図書館主任司書であったMoritz Count Dietrichsteinによって、50デュカで買い取られた。それは、モーツァルトのもともとの契約金額であった。44

当時の音楽収集物の破産管理人であったHofrat Ignaz von Moselは、レクイエムの論争において、予期せぬ儲けものの重要性に気づいた。すぐさま、筆跡学チームが立ち上げられた。彼らの専門的な結論は、いくつかのブダペストのSussmayrの自筆譜と、スコアを比較した後、それはすなわち、モーツァルトとジュスマイヤーの二人による作品だった、ということであった45。

45　ジュスマイヤーの草稿は、モーツァルトのオリジナル（K514　p45参照）の彼のホルン協奏曲も含まれていた。

ｐ１４
全会一致の評決を受け、Moselは、モーツァルト未亡人Constanze Nisse（外交官Nissenと再婚していた）に対して、1839年2月７日に、レクイエムの作品におけるモーツァルトの書いた部分についての決定的な情報を出すように尋ねた。彼の唯一の関心は、ジュスマイヤーの貢献についての正確な説明を得ることであった。しかしながら、コンスタンツェは、直接の回答を避けていた。彼女は簡単に、モーツァルトは写譜者を雇い、レクイエムにおいてもそれは同様であり、手短に言えば、ジュスマイヤーはこの作品に対しては、何ら創造的役割は果たさなかった、と答えた。

　モーツァルトの死後、コンスタンツェは、レクイエムについてはっきりとした意見を持ち、彼女の不正直な意図を責めることは不可能となった。モーツァルトの周囲の誰ものように、彼女は、モーツァルトの冠作品としてのレクイエムの名声が汚されない希望を第一に突き動かされていた。彼らはすべて、作品の完成における疑問は、二次的な重要性の問題としての認識しかなかった。彼らの誰もが、その完成について、ジュスマイヤーも含めて、尋ねることはなかった。彼らの目において、モーツァルト自身からのレクイエム作品の分離がいかに困難であるか、そしていかに彼らがモーツァルトとともにその完成をしたかについて、彼らの名前がモーツァルトのほこらに並ぶことを求めるに過ぎなかった。

　コンスタンツェは1842年3月8日に死んだ。その日は、歴史的なRequiem controversy終了の目印だった。なぜなら彼女は、モーツァルトの死後に起こったことを直接体験した最後の生存者だったからである。諸文書が示すように、この小さなグループ、モーツァルトの親密な仲間たちは、繰り返し工夫をし、名誉な理由により、歓迎されない質問をするすべての質問者の気を引く工夫をしていた。その結果、今日の我々にも不明のことが遺されている。


Ｔhe First Edition and Sussmayr's Testimony
Requiem controversyがどのように発展していったかを考えると、レクイエムの起源については、1820年代に知られていたことが、その四半世紀前の（1799-1800）年の最初の版とは本質的に異なっていたということを認識することが重要である。しかし、暫定的にその情報に疑念が生じていた。

ｐ１５
1800年にライプツィッヒのBreitkopf & Hartel社は、オッフェンバッハの進歩的な出版社アンドレに対し、モーツァルトの音楽財産を得るための競争力を失っていた。しかし、同年、同社はレクイエムの初版の出版の一撃に出た。コンスタンツェは、Breitkopfの計画を知っており、作品を依頼していた見知らぬ人物からの出版への許可を獲得する必要性に直面していた。そのニーズは、彼女に利益にかなうために、出版の必要性が増したのである。彼のことは知らず、彼女の最初の考えは、新聞に広告を出すことで、彼を追うことだった。しかし最後に、彼女はこのプランを実行しなかった。

　Breitkopf & Hartelは、出版社として、モーツァルトが実際にレクイエムを完成させたかどうかの問題は、1800年以前には重要なこととなっていた。

コンスタンツェとの応対が始まったとき、彼らは後の問題や苦悩を避けるために、程よい時期に問題の解決を得ることを強いられた。彼らは、コンスタンツェから得たスコアの写譜を所持していた。それは、一番最近では、1796年のライプツィッヒでの演奏会以来のことであった。しかしそれは、写譜者の手にあった。彼らは、コンスタンツェの指示により、ジュスマイヤーと接触し、ジュスマイヤーも1800年2月８日の手紙で応じ、レクイエム完成における彼のパートの詳細な記載を示した。

ついに、1800年の秋に、公証人の監督下で、関連するソースが比較された。それは、コンスタンツェが、契約の履行において1792年にWa1segg伯爵に渡したスコアも含まれていた。Breitkopf & Hartelによるレクイエムの出版が作品における彼の権利に影響を及ぼすことを恐れて、そのcountは干渉をうけた。彼は途方に暮れたが、ついに、彼が1791年と1792年にコンスタンツェに支払った料金を取り戻す希望を持った。

ｐ１６
　初版とWa1segg伯爵所有のオリジナルなスコアとの比較は、ウィーン人弁護士Sortschanのオフィスで行われた。コンスタンツェはNissenとStadlerとともに、この手続に加わった。スウェーデン人の外交官Frederik Samue1 Si1verstlopeもそこにいて、照合の環境の証拠を遺した。

それは、モーツァルトの写本についての特別な知識を持っていたStadlerに決まり、モーツアルトによるものではなかったオリジナルのスコアのすべての素材を、彼の能力の最高を使い、マークしていった。彼がモーツァルトのオリジナルではないパッセージであると同定した場所にはどこでも、彼は、鉛筆で囲みを行った。写譜の基礎として、Stadlerは記録を残し、こうした区別は、1827 年と1829年のＡｎｄｒｅの版で採用された。そこでは、ＭとＳの文字が、それぞれモーツァルトとジュスマイヤーを分けるために使われた。ブラームスは、同じ文字を同じ目的のために1877年に彼のレクイエムの版において使用した。

　Breitkopf & Hartelの1800年２月８日の手紙において、ジュスマイヤーは、丁寧にレクイエムにおける彼の仕事の記述をした。モーツァルトの名前に”ふさわしくない”として。重要な点は以下である。

①コンスタンツェは、作品の完成のための”いくつかの問題点”を最初に尋ねたが、さまざまな理由によって、これらは受けられなかったか、あるいは、それらはモーツァルトの側での準備がなかった

②要求は、最後に彼に来た。なぜなら、彼はモーツァルトの最後の数週間の間、たびたび、モーツァルトと一緒に音楽を歌い、演奏していたからである。そしてモーツァルトは「しばしばこの作品の詳細について私に話し、どこをどのようにオーケストレーションするかについて、私に説明した」。

③“ Requiem [i.e.，Introit] with Kyrie‘，Dies irae' [i.e.，Sequence and ‘Domine Jesu Christe' [i.e.，Offertoryについては、モーツァルトは４声のヴォーカルパートとチェロバスを完成させた( “Lacrymosa" after the line“qua resurget ex favilla"を除いて)。その間、モーツァルトは、オーケストレーションにおける「あちらこちらのモチーフのアイディアのみを示した。

④彼、ジュスマイヤーは、セクエンツィアを完成させ、Sanctus，Benedictus，Agnus Deiはほとんど全体が彼によるものである

⑤より大きな作品の統一性を得るために、彼は“cum sanctis tuis”において、最初からＫｙｒｉｅのフーガを繰り返した。

　この手紙は、長いあいだ、レクイエムにおけるジュスマイヤーの役割に対するもっとも重要かつ信頼性のある証言とみなされてきた。しかし彼は1803年に亡くなり、それゆえ、さらなる示唆を与えたり、25年後に起きた論争に参加することができなかった。ゆえに、この手紙は最後の証言であると言える。

レクイエムの創世への鍵が最初からあり、全体のストーリーが最初に起こったウィーンで見つかった写本のとまさに同じ注目すべき束

この2世紀に光の当たった唯一の新しい写本は、Berlin Staatsbibliothe(Mus. ms. autogr. W. A. Mozart zu: KV 620）におけるレクイエムスケッチである。


The Original Requiem Score
モーツァルトとジュスマイヤーの手稿のレクイエムスコアの各部門は、ウィーンの宮廷図書館に、1830年代以降、所蔵されている。番号はMus. Hs. 17561.である。1839年以来、写本は２冊に分けられており、Codex aとCodex bとなっている。この分け方はその起源とさまざまな写本の機能があいまいで、混乱の元であり、以下のような補充が必要である。
Codex a[l] 　a[2] 　Codex b[l] 　 b[2]

　Codex a[ 1 + 2]は、1792年にコンスタンツェからWalsegg伯爵に渡された全部のスコアが含まれている。そして、1838年に宮廷図書館に収められた。Codex a[l] は、モーツァルトの手によるものであり、(fols. 1-10)のナンバリングとなっている。もともとは、自筆譜の最初を形成していたものである。Codex a[2]は、すべてジュスマイヤーの手によるものである。

　Codex a[ 1]の最初のところには、"di me　W : A: Mozart mppa. I17 92”という、作曲者の名前が書かれている。この署名は、長らく、自筆譜とみなされてきた。そして、“1792”は、モーツァルトがこの年に作品を完成させる予定であったと考えられてきた。

　しかし、より詳細な精査では、それがジュスマイヤーの手によるものが示され、熟考された偽造に違いない、とされている。この例においては、彼の手稿は極端にモーツァルトのそれに似ているのである（モーツァルトに似せて書く彼の能力は、おそらくは、コンスタンツェが彼にスコアを完成させようとさせた理由の一つであったのだろう）。しかし、レクイエムの全体のスコアは、ジュスマイヤーがモーツァルトに似せて書くことには苦しんだことが示されている。なぜなら、彼の通常の書き方は、はっきりと区別がされるからである。

　自筆譜のように権威あるものを渡すという発想は、モーツァルトの作品としてのレクイエムに、疑いの余地のない真正性のシールを貼りたいというコンスタンツの願いに戻るだろう。それは、最初からの彼女の意図であった。そして彼女は、ひたむきな一貫性で、自身のゴールをめざしていた。この内容では、著しく強調されたフォーミュラである”dime”(by me)が重要である。モーツァルトは決して、このようなフレーズは使わず、これは実は、ジュスマイヤーの作品にしばしば現れるのである。

ｐ19
ジュスマイヤーの名前はレクイエムの写本中にどこにも出てこない。おそらく合意によって、あるいはおそらく経済的的誘因によってかもしれないが、その理由は完全には説明されていない。59
59　1800年の初版では、作曲者としてのモーツァルトの名前しか出ていない

　ジュスマイヤーは、非常に意識的に、モーツァルトの名前をスコアに書き込んだ。それは、レクイエムが”モーツァルトの作品であった”ことを示さんがためであり、彼は、自身の役割を、完全に従属的な地位としていたのである。

彼がBreitkopf & Hartelに正直に話したように、彼は、自身の仕事を「彼の名による無価値なもの」と感じていた。1792年の日付は、真実以外の何物でもない。当時、すべての人は、知っていた。モーツァルトはその日までは生きられない、と。本当に正しくはないこと、そして記入のミスリード部分は、”mppa"（manu propria";＝私の手によって）というところである。しかし、それもまた、真実の献身の証と解釈することもできる。この偽りは、便宜的に表れたものであるから。白は決して黒にはならないのである。

　Codex b[1]は、Codex a[1]の(fols. 11 一32）のもともとの続きである。すなわち、それは、ジュスマイヤーの写本とともに、自筆譜の一部であり、Walseg伯爵のためのスコアを意図していた。　Codex b[1]は、Codex a[ 1]から1792年に分けられ、1829年頃にStadlerによって、ウィーンの宮廷図書館に預けられた。しかしそれは、1800年にWalsegg弁護士であるJohann Nepomuk Sortschanのオフィスにおいて起こった重要な照合のために役だった（その頃にはコンスタンツェが所有していた）。それは、モーツァルト部分でない部分が鉛筆マークによって証明されている。

Wolff Mozart's Requiem p20

Codex b[2]は、Codex b[1]の続きである。そして、1792年に同様にCodex a[1]から分離された。これは、アイブラーから宮廷図書館に、1833年に贈られた。この自筆譜の最後の部分は、別の写本とは完全に異なっている。そのページは、すべてがモーツァルトの手tによる四声ヴォーカルパートと器楽バスのみであり、他者のまじりけがない。唯一のまじりけは、“Lacrymosa，"におけるもので、ソプラノパートは第9－10小節において、アイブラーの作ったものが続いている。それゆえ(Codex b[２])は、キリエからオファトリーまでのスコアの形状を保ち、それはモーツァルトの死の時まで存在していたものである。（後略）

重要なことは、ジュスマイヤーはイントロイトとキリエを、彼の自筆譜のリストから、省略しなかったことである。これらは長らく、全体がモーツァルトによる自筆譜であると受け入れられてきた。Leopold Nowakが、キリエの器楽部分は、モーツァルトではなく、その他の二人によるものであることを発見するまでは。二人の手は、モーツァルトのものと混同されてきたのである。Nowakは、colla parteの弦楽器、管楽器の伴奏が、モーツァルトの弟子であるFranz]acobF reystadtleｒにより、トランペットとティンパニはジュスマイヤーによっているという、信じるためのもっともらしい事例を作った※。
※L.Nowakは、Kyrieの器楽部分は、Jacob Freystadlerが書いた、と提案している。しかしこの説は割り引く必要がある。Maunder Mozat Requiem p125-9

　自筆譜のFolios 11-32 (Codex b[ 1]) は、Freystadtler と Sussmayr によるフォリオ1-10(Codex a[I])とはまったく異なるものとなっている。これらのFolioのオーケストレーションはJoseph Eyblerによるもので、Joseph Eyblerは彼の補筆についての視覚的外観には何の配慮もしなかった（表1、図1、図2：Diag。1：III II、図3）。 NowakはSussmayrの仕事のモデルとしてEyblerの作品を記述したが、Sussmayrのスコア（Codex a [2]の1-20）はEybler'sの忠実な写しと改訂にすぎないと主張する。ここでは、Sussmayrの変更がさらに悪い内容なっており、Eyblerは、結局のところ、2人のうちではより経験豊富な音楽家であることが実証されている。 1つの例がまず、Sequenceの最初の小節で見られる。ここでは、Eyblerの和声的かつリズム的な管楽器の処理は、Sussmayrの単純化(Exx. 1. 1 a nd 1. 2). によって低下してしまっている。 BreitkopfとAndreへ、Constanzeは、Sussmayrが持っている [Codex b[ 1]]では、内声部は全体に異なっている、と書き送っている。彼女は、 ジュスマイヤーの版が、Eyblerのバージョン以上のものではないことを知らなかった。


p23

　いくつかの点で、Eyblerのオーケストレーションの編集についてのSussmayrの関係する状況は、Offeroryの2つの楽章で繰り返されている。Maximilian Stadler がレクイエムを完成させた可能性は、Stadlerの手 (Mus. Hs. 4375A in the Osterreichshe Nationalbibliothek) で写本を研究することによって支持されている。これにはSussmayr版の基本的な形を示すスコアリングを伴う "Domine Jesu"と "Hostias"が含まれているからである。トロンボーン部分の未完成状態は、Stadlerの作業がより早期のものであることの1つの兆候である(Figs . 8 and 9; cf Table 1， col. 2; Diag. 1: III / 2) 。確かにStadlerは、Eyblerとは違って、Mozartの自身のスコアに彼の補筆を書着込むことをしなかったが、最初にMozartの草稿を写譜し、それにオーケストレーションを書き込んだ。最後に、SussmayrがこのOffertory (fols. 24-33 ， Codex a[ 2])の草稿版をSequenceの草稿版とまったく同じように改訂した（24-33頁、Codex a [2]）。

　彼らの急ぎの作業にもかかわらず、参加した音楽家たちは、彼らの共同作業をうまく整理した。これは3つのことを示唆している：（1）彼らはレクイエムを完了するための音楽的能力を託していたに違いない。（2）委託料の半分が既に支払われており、残りの委託料の期限が来ていた。 （3）統一された「オリジナル」全体の外観を提示するためのスコアが必要とされた。

　コンスタンツェ自身は、モーツァルトの弟子の音楽的能力を詳細に判断する能力は全く持っていないかもしれないが、レクイエムを完成させるために "巨匠"を探したかったのである（Sussmayrの1800年2月8日の手紙が「何人かの巨匠」を指しているのは、ほとんど偶然ではない。）。コンスタンツェの姉ソフィー・ハイブルは1825年に死亡し、モーツァルトは死の床で、彼が非常に尊敬し、彼の意見では "神の目の中で"Dienst"あった"と評価した皇帝宮廷のオルガン奏者Joann Georg Albrechtsbergerについて語った。 "Dienst"（礼拝）という言葉は、聖St. Stephen大聖堂の宮廷楽長の肩書を参照する必要があるが、モーツァルトがレクイエムの完成を考えていた可能性はある。しかし、コンスタンツェは、まず、モーツァルトのウィーンでの弟子の中で最も経験の豊かであり、さらに彼の教師（モーツァルト）と同様の腕前を持っていたはずのFranz Jacob Freystadtlerに向かったと考えられる。Freystadtlerは最も簡単なパート、Kyrieフーガのcolla parte の伴奏を手がけた。それは、1791年12月10日の、レクイエム断片での典礼的演奏への準備のためであった。 Freistadtlerはその後、知られていない理由で作品の補筆を放棄した。 時間が足りなかったためか、仕事の難しさに恐怖を感じたかどうかは分からない。両方の理由―作品のプレッシャーとモーツァルトに対する彼らの才能を測る”数人の巨匠”―が、Breitkopfへの手紙の中でSussmayrによって引用されている（文書17）。

　コンスタンツェは、30歳のFrestadtlerの後で、モーツァルトの弟子の一人である26歳のジョセフ・アイブラー（Joseph Eybler）に、依頼をし、年配の原則を守っている。 Eyblerは勤勉に仕事に取り組んだが、Sequenceの5つのセクションを編成した後に、諦めた。 Eyblerの場合、1791年12月21日の文書（文書6）には、レクイエムを完成させるための委託料の受領を認めている。写本自体を離れ、これは、Constanzeが公式に他の作曲家による完成を委託した証拠である。

　Eyblerが放棄した後、次はSussmayrに直接渡されたのではなく、Abbe Maximilian Stadlerに渡されたことが考えられる。 彼は、モーツァルトがすでにその内容を示していた、offertoryのオーケストレーションを完了させていたかもしれない。 Mozartの弟子ではないが、Stadlerは1780年代初頭からモーツァルトと関連していた。後に彼はモーツァルトの音楽財産を分類する上で主要な役割を演じ、未完成の他の作品を完成させるために多くの死後の作品に取り組んだ。 Stadlerは、「彼は eventsの全過程を厳密に追跡していた」（文書22）。そして、モーツァルトの死後まもなく、1791年12月25－27日頃、オリジナルな写本から、Introit 、Kyrie, そして、“Lacrymosa”までのSequence 全体を筆写した。

Stadlerは、スコアを完成させるのに採用された方法に影響を及ぼした可能性もある。 彼は、Eyblerが行ったように、Mozatの自筆譜に直接書き込まなかった。彼はOfferoryで作業していたが、最初にそれを忠実にコピーし、後で作業の基礎として役立たせた（図8）。 このようにした1つの理由は、Eyblerがモーツァルトのスコアにおけるセクエンツィアに粗雑な補筆をしたことにあるかもしれない。いずれにしても、Offeroryのセクションの自筆譜草稿は、他の人の手には渡っていない。

　写本Mus. Hs. 4375Aは、Stadlerがレクイエムを完了するのに手を差し伸べたことを強く示唆しているが、逆の証拠は、レクイエム論争中に、Stadlerによる事実が何ら言及されていないことである。 それは、アイブラーが彼の自伝で言及することを拒否したように、彼は世界のことを思い出したくないのかもしれない。奇妙なことに、1827年までに、コンスタンツェさえもが、どのようにしてアイブらーが関与したかを忘れてしまった（文書6a、nd 28 ）。 最後に、StadlerがSortschanの事務所の照合に貢献したことは、元の写本の詳細な知識を裏付け、モーツァルトとアイブラーを区別することになった。

　Stadlerの正確な貢献が何であれ、Sussmayr'sがRequiemの仕上げに本当に重要な役割を果たしたことは間違いない。彼はモーツァルトの助手として、モーツァルトの人生の最後の数ヶ月の間にともに活動し、特定の作曲作業を写譜して、特にDie ZaubefluteやLa Clemenza di Titoにおいて活躍した。 このように、Sussmayrは、Sequenceの最終章と、残りのレクイエムに残されていた、（すなわちそれらは断片としてあるいはor“scraps of paper"の存在としてだが）、Sanctusの楽章を完成させた。、 さらに、彼は照合しなければならず（必要な場合には）、前任者の貢献を改訂し、最終的にクライアント全体の公平な筆写譜を作成しなければならなかった（文書28）。それはすなわち、本物のように見える写本の必要条件を満たすものである（p.17参照）。

　（Sussmayrに加えて）、レクイエムを完成させるために自筆譜によって明らかにされた人々の誰の名前（ジュスマイヤーによって、何人かの”巨匠”といわれていた）も記されていないことは、注目すべきである。それは、レクイエムの論争の間にそうするチャンスがたくさんあったにも関わらず、Frestadtler、Ebler、Stadlerのいずれも、 すべての証拠は間接的なものであり、コンスタンツェへの絶対的な忠誠心、モーツァルトのための無制限の畏敬の念を込めたものである。 モーツァルトの作品としてのレクイエムとジュススマイヤーの従属者としての役割に対して、他の共同者の誰も言及する価値がなかった。

　上記の3点のうちの2番目のポイントは、クライアントの締め切りに間に合わせることであった。時間がないという事実は、関係するすべての人に拍車をかけていたに違いない。レクイエムは依頼され、コンスタンツェは25ducatを受け取っていた。彼女が、Eyblerが仕事を終えるべき日として "レントの半ば"を明記するのは、正当な理由があったに違いない。（文書6）　スコアがWalsegg伯爵に手渡されたことには直接の証拠はないが、1792年3月4日に、コンスタンツェは、数多くのスコアを、ウィーンのプロイセン大使に送った。そこにはレクイエムのコピーが含まれていたが、彼女は450フロリンス（100 ducats;文書7）を支払われていた。こうして、3月初頭までにWalsegg伯爵のためのスコアが準備されただけでなく、少なくとも、２つの写譜が作られていた。それはひとつはベルリンのためのものであり、もうひとつはコンスタンツェ自身のためのものである。

彼の手書きの日付によれば、Sussmayrは、モーツァルトの1792年4月6日の草稿をもとに、Horn Rondo in D Major K514、を完成させた。それはレクイエムがそれまでに完了したことを示している。 Sussmayrは、1792年5月4日に行われる予定だった、彼のオペラMoses oder der Auszug aus Agyptenの初演のための準備する作業にも苦労していたに違いない。このための準備は、Schikanederの会社からのものであり、 モーツァルトが死亡してから3か月以内の3月と4月に、レクイエムが完成したことは合理的に確信している。これは、モーツァルトの死後3ヶ月以内に締結された。これは、レクイエム、とりわけSussmayrの担当部分で彼が仕事を余儀なくされた急ぎのもので、彼の業績は驚くべきものである。あらゆる危機、技術上のミス、対位法の能力やインスピレーションの欠如があることは事実であるが、これらは、ジュスマイヤーによる別の仕事であり、レクイエムを完成させることは、彼の能力の範囲を超えた要求と難しさであった。


Mozart's Composition
1791年12月5日にモーツァルトが死ぬ”前”の、レクイエムの歴史を見てみたい。それは、作品の企画や構造に関する重要な情報を得なければならないからである。自筆譜が書かれている紙に関する最近の研究は、自筆譜は、コンスタンツェの声明によって、これまでに多くの人が疑っていたコンスタンツの声明を確認している。すなわち、モーツァルトが1791年の9月の中頃にプラハから帰国して初めてレクイエムを書き始めたという点について。それゆえ、彼は臥床するようになる（1791年11月20日）まで2ヵ月以上も経っておらず、その後は働くことは非常に困難であった。モーツァルトは、1791年の秋には特に忙しかった。9月30日に初演されたDie Zauberfloteを完成させることが最も興味深いことであったが、 "Masonic" Cantata K 623までの他のプロジェクトがあった。それは、11月15日にMozartのカタログに入った最後の作品である。

　彼はZauberflote premiereの後まで、すなわち10月1日以前にはレクィエムの作曲を開始していなかった。彼の作曲の仕方はいつも、頭の中に作品全体の明確な概念が得られて後に、フルスコアを書き留め始めていると考えられている。大部分が完成していた声楽とチェロバス（図27）は、最終スコアの基礎以外には何も表していない。 Niemetschekは、「彼の机の上に座る前に仕事はすでに完了していた」と言う。Nissenによると、「彼は頭の中で音楽の全部を完成させ、書き留めてしまうまでそこに保管していた。彼がそれを解放するために、自分自身の理由があるまで、彼は非常に迅速にそれらを書き出すことができた。」　彼が頭の中にレクイエムを作曲していたなら、おそらくそうであろうが、 本質的に楽章から楽章へと、本来の順序で行うに違いなかった。したがって、これにはいくつかのコメントが必要である。

　関連する文献からは、「Lacrymosa」はモーツァルトが作曲した最後の作品と一般的に見なされている。なぜなら、自筆譜の短いスコアは、8小節の後で突然打ち切られるからである。Offertoryが順序だって後から作曲されているにもかかわらず。fol. 33 of Codex b[ 2] のアイブラーの署名は、その証拠と受け取られている。

“Last manuscript of Mozart. \ Bequeathed to the Imperial and Royal Court Library after my death \ by Joseph Eybler mpa" (F ig. 4).

しかし、Eyblerが図書館に寄贈した資料は、全部で13Folioで構成されていた。問題の署名は、Offeroryを含む冊子に属しているので（fols. 33-45）、最初のシートのみを指すと見なされるべきではない。 "Lacrymosa"の第1－8小節が、Offertoryの2つのセクションより後で作曲されたと仮定するこれ以上の理由はない。

p３０
　しかし、モーツァルトはなぜ他のものと違って、8小節の後でこの楽章の作曲をやめたのか？　考えられる理由は2つある。第１に、セクエンツィア内の「Lacrymosa」のスタンザは、IntroitとAgnus Deiを終了する言葉と同じ言葉、「dona eis requiem」で終了すること、である。それゆえ、作曲家がこれらの同義語間に音楽的なつながりを作るのは理にかなっている。しかしそれには、対応する性質を評価できるように、Agnus Deiの作曲を進めておく必要があった（Introitはすでに書かれていた）。第２に、モーツァルトは、スケッチ（例1.3）によると、 "アーメンフーガ”で "Lacrymosa"を終了しようとしたことが挙げられる。スケッチはフーガの概要の詳細を描いているが、モーツァルトが16小節を要して広範囲のフーガを計画したという結論に至る根拠はない。フォリオの古いナンバリング（fo1s。33-34）は、 "Lacrymosa"を完成させるために24小節分しか確保されていないことを示している。それ以外の理由がなければ、古いフォリオの番号は、モーツァルトの作品計画に影響しないと考えることができる。「アーメン」フーガ部分の割合からすれば、少なくともさらに2つのフォリオを必要としているのである。


（例1.3）

　モーツァルトが「Lacrymosa」を短い楽章にすることを計画していたSequenceの全体的なレイアウトの文脈で、Sussmayrはそれを28小節とした。確かに、Sussmayrは、フーガの代わりに、彼の "Amen"のための2小節のアーメン終止で満足した。モーツァルトが意図したことを知らなかったためではなかった。モーツァルトはしばしば彼と一緒に仕事をしたが（文書17）、彼には、厳密なポリフォニーを標準的に書くほどの信頼性がなかったからである。もしも彼がモーツァルトのスケッチを見ていれば、それは反転、縮小、逆行（といったフーガの取り扱い方）を想定しているのである。モーツァルトのスケッチ（例1と3を参照）によると、「アーメン」フーガの最初の主題は、装飾されていたKyrieフーガの対主題でもあったイントロイトの最初の主題の正確な反転像である(Ex. 1-4)。



　"アーメン"のテーマは、 "Lacrymosa"の冒頭にも関連している。Lacrymosaは、和音とメロディの両方でIntroitと明確に関連している。 しかし、二重の対応とも呼ばれるかもしれないことは、 彼が戦略的に重要な瞬間に達し、強調すべきテキストと音楽の関係を反映する必要があるという認識よりも、8小節後の「Lacrymosa」の放棄が、モーツァルトの影響の衰退とはあまり関係はなかったことを示唆しているように見える。 "Lacrymosa"は、レクイエムの最長部分であるSequenceの最後の部分である。 IntroitとAgnus Deiの両方で聞かれる "dona eis requiem"の再現を伴う作品のおおよその中間点にもなる。

　スケッチそのものも注目されている。 "Amen"スケッチが "Rex tremendae"スケッチの前に来ることは驚くべきことである。後者はより前の楽章に属しているのであるから。 "Amen"スケッチ(lines 3-5)が最初に書かれたことは疑いない。さらに、「Rex tremendae」スケッチ(lines 6-9)は、第７小節から始まるスケッチが、すでに自筆譜に記譜されていたに違いない（第７小節の最初の）２つの八分音符によって作られたニ長調の和音として、短いスコアを書き留める直後の文脈でのみ書かれている可能性がある(Ex.1. 5)。このことから、同時に実行される2つのプロセスを再構築することが可能である。



モーツァルトは、ポリフォニーと他のテクニカルなトリッキーなパッセージ（Rex tremendaeなど）をスケッチし、テーマ別または正式に重要な指示（「Amen」フーガなど）をスケッチした。モーツァルトが（サンクトゥスからの）書き込む時間がなかったためだという、このよう考察は明白であり、以下で議論される。これらの楽章のスケッチは、特定の音楽要素に限定されている可能性がある。テーマ的に困難な冒頭句や中間の楽章への複雑なポリフォニー句である。

　モーツァルトが4声書法を彼の作品の主要な部分として扱い、器楽的要素の重要性を最小限に限定する事実が、レクイエムの概念のもう一つの中心的特徴でもある。 （ウィーンにいた頃から、遅くともなされていた）大規模な作品を作曲する際の彼の通常の過程に完全に合致していて、本質的な音楽の性質（例えば、コンチェルトのソロパート、またはアリアのボーカルパート）を選択する。

レクイエム・スコアの自筆譜を詳しく調べると、4声書法がモーツァルトの中心になっていることが分かる。それは、モーツァルトのポリフォニー構造（ハイドンセットなど）について同様に考察される過程である。レクイエムの音楽的特徴とザルツブルクのモーツァルトの音楽的特徴との間には大きな違いがあり、レクイエムと1783年のC-minor Mass K 427 の間にはスタイルとテクスチャの明確な違いがある。以前の作品は、より均質でない声楽の基礎の上に置かれ、オーケストラ書法はそれに対応して、よりウェイトが高く、本質的である。

ｐ３3
　1791年7月17日付のモーツァルトのCorpus Christi のモテット「Ave verum corpus」K 6I8は、この透明でコンパクトな四声書法の最初期の作品である。前後に見える様式要素のdeclamatoryなgesture ， textures， integration のようなレクイエムの観点は、Ave verum corpusよりも、はるかに強力に変化し、明確化しているが、レクイエムは、モーツァルトがこのモテットにおいて最初に探求した作曲の方向をそのままに発展させている92。

92　Alfred Einsteinは、モテット「Ave verum corpus」K 6I8について、以下のように書いている。「時代の流れに通暁し、”第２の”単純性、転調の完璧さ、声楽のリード、最後に強化されたポリフォニーがこれ以上は認知されようもない、ということは、よく知られている。教会と個人の要素はともに流れている。様式の問題は、解決されている。」

まるでモーツァルトが意識的に、教会音楽（ザルツブルクを出て以来規則的な仕事をしていなかったジャンル）を開拓しようと決めたかのように、他のジャンルで新しいフォーム（オペラ、交響曲、協奏曲、カルテットクインテット、トリオ、デュオ、ソロ）を1780年代半ば以後、意欲的に働いた。

p３６
その意味で、“Ave venlm corpus" やレクイエムの合唱（流動的、高貴、かつ豊かな表現）は、モーツァルトが追求することが許されなかった「古典主義者」のイニシアチブの間にあるとも言える94。これらは偶然にも、伝記的には「最後の作品」となったが、美学的観点から言えば、それらは後期の作品」ではない。

94Blumeは、モーツァルト的ではないとして、レクイエムの器楽の”統一性”に反対、批判をしている。「レクイエムにおいては、教会音楽の性質についての非モーツァルト的概念が働いていた。それは真面目すぎ、合理主義的、喜びのないものである。後期のモーツァルトの情熱に関する高貴な潔白と穏やかな欠如と考える衰えゆく世紀への傾向、モーツァルトのその他すべてのオペラに対する「皇帝ティトの慈悲」に対する好みが強い傾向は、その教会音楽の屈折を見出す。」refiection"“ ( Requiem but No Peace，" 160; cf also n.98，below)

”単純さ”と”まったくの高貴さ”の美的概念は、Niemetschek によって、「皇帝ティトの慈悲」の特質として賞賛されている。しかしそれらは、「魔笛」のSarastroの領域rfiote(The March of the Priests，“o Isis und Osiris，" etc）にも等しく当てはまる。" Ave verum corpus，" とRequiemは、基本的に、モーツァルトの様式の新しい要素を示している。

　モーツァルトが1791年5月に、ウィーン大聖堂で名誉のある宮廷楽長に任命されたことを思い起こさせるために、これらの作品の典礼的な機能を考慮すると、特に関連性がある。多くの未完成の教会音楽は、彼が1789年から1790年にかけてその分野でもっと努力をしてきたことを示している。したがって、レクイエムのための準備は、自然に注目を集める仕事、彼に新しいジャンルで、そして新しい形で取り組むチャンスのために、おそらくもっと歓迎されたことであろう。モーツァルトの死後20年以上経った1814年に書かれた「Alte und neue Kirchenmusik」という著名で影響力のあるエッセーで、E. T. A. Hoffmanが、モーツァルトのレクイエムが聖なる音楽の最高の例であるとして引用していたことは、もっともなことであった。

18世紀後半、増大する衰弱性と病弱的甘さが芸術を圧倒した。いわゆる啓蒙主義とともに。それらは、深い、宗教的衝動を奪い、教会から荘厳さを追い出した。カトリック教会、ミサ、晩課、賛歌等での礼拝に対する音楽さえ、オペラセリアに対するような、淡白で威厳のない性質となっていた。モーツァルトのミサ曲は、委託料を支払われた規定のパターンとして作曲されていたが、彼にとっては、もっとも弱い分野であった。しかし、ある教会音楽においては、彼の最奥の感情を表現していた。そして誰が、熱心な献身、精神的恍惚によって、変わることなく遺されたのか？　彼のレクイエムは、時代が教会に貢献したもっとも崇高なものである。ハイドンの盛式ミサ曲がしばしば優れており、彼の和声的発展し、たとえ非常に魅力的で深いとしても、それらはまだ完全に、教会のスタイルの尊厳には適当ではなく、メロディーもなく、陽気さも、ほとんどない。

ｐ３７
ホフマンはまた、ハイドンのミサ曲の特徴であり、K427で見出されたオーケストラ書法のより大きな光とは対照的に、レクイエムが、声楽書法に与える優位性を強調している。

　声楽の優位性は、作曲家がオーケストレーションを行った原理に影響を与えた。 所定の楽器（2本のバセットホルン、2本のファゴット、2本のトランペット、1本のトロンボーン、ティンパニ、弦楽器、オルガン）が不完全であり、モーツァルトの後期様式であるフルート、オーボエ、クラリネットが抜けていることを指摘することは、彼の意図を誤解することになる。colla parteの伴奏への盲従（つまり、オーケストラ書法が従属的で、オブリガート的ではなく。とりわけフーガにおいて99）は、ア・カペラのパッセージ、あるいは、Kyrieや“Rex tremendae”の最後のような完全五度終止にような古い様式の合唱の終止のように、過小評価されている。Eybler や Sussmayrによって追加されたパッセージには、オブリガート的な伴奏に対するより大きな傾向が浮かび上がっている。興味深いことに、StadlerはSussmayrのAgnus Deiについて、「ハイドンの様式で作られている」と記述している。

99　Similar to what can be observed in，for example，the Mass K 427


Sussmayr's Completion
ここは、モーツァルトが短いスコアで完成した楽章において、アイブラーやジュスマイヤーに残されたオーケストレーションの問題に取り組む場所ではない100。

100　Hessの“Erganzungdes Requiems，"は、ジュスマイヤーのオーケストレーションの詳細について、その不均一、かつ間違いを調査した最初の仕事である。1792年のレクイエムのオーケストレーションについての改良を試みた最近の例は、Beyerの訂正版である。R.Maunderの新しいオーケストレーションは、ジュスマイヤーのスコアを無視している。両者は、モーツァルト後期の作品（1791年のふたつのうペラ、「魔笛」と「皇帝ティトの慈悲」からスタートを始めている。こうした試みは、（オペラと教会作品を）類似させることが不適当であり、レクイエムの世界がオペラ様式とは異なっていることを、無視している。

Beyerによる提案は、この点に関しては、Maunderよりははるかに保守的である。Maunderは、全体的な新しいスコアリングへの理由をそれぞれのモノグラフに分けて論じている。（Mozart's Requiem)　Maunder版で挙げられた問題のすべてについて、彼の本は、モーツァルトの対位法について、決定的な洞察をしている。

SanctusとAgnus Dei、つまりSussmayrの作品全体がモーツアルトの計画と概念をどの程度反映しているか、少なくとも個々の音楽的アイデアが彼を反映しているかどうかという問題が急務である。

　モーツァルト学者が初期に認識したように、Sanctus（HosannaとBenedictusの両方）とAgnus Deiは、声楽を導く際のテクニカルな不公平性と多くの間違いが、高い程度で露呈している。しかし、これらの楽章の中で、声楽が楽器の援助から切り離されれば、モーツァルトが作曲したセクションとの構図の驚くべき相同性が出現する。それだけでなく、私たちはまた、より少ない数の音楽的な誤りしか見つけられない。例えばSanctusの最初の5小節は、完璧な声楽書法を示し、さらにセクエンツィアの声楽冒頭（Dies irae)へのメロディーと和声とにおける際立った関係を示す(Ex . I. 7)。



　Sanctusの問題は、第５小節のテノールのC＃とベースの第６小節のバスのCナチュラル、そしてソプラノと第1ヴァイオリン（第４小節）の間の平行五度に起因する誤った関係から始まる。　 Aminorと Cmajor chords の和音（第５，６小節）の衝突は、粗雑でモーツァルト的ではない。103

103　Breitkopfの最初の版では、第５（６）小節におけるCはC♯に変えられていたが、それで問題が解決したわけではない。小節の最初の半分におけるC♯は、C上の増二度よりは良いことで、さらに、モーツァルト的である。さらに、声楽の和声のホモフォニーから考えれば、バス声部は、第３拍で、その他の声部と同時に入る方がよいであろう。小節の最初の拍は、オーケストラのみとなる。

しかしこれは、Sussmayrが、Ex1. 8のような第６小節の響き（バスはその他の声部と同時に入る）にするようにしたモーツァルトの提案を誤解していた可能性がある。



他の点では、Sanctusが10小節で終わるという、、モーツァルトの他のミサ曲と比較してあまりに短いという事実を除けば、声楽書法には特に大きな問題はない。

　Sussmayrがモーツァルトによるスケッチを誤解し、彼の誤解がHosannaの繰り返しであり、珍しく、本当にばかげた調性の変更（D majorからB-flat majorへ）をもたらしたと考えられる。 変ロ長調の Benedictus（第50小節以降）とホザンナの繰り返しを連結するオーケストラの推移形は、典型的な遷移形であり、二長調への復帰は容易にすることができる（ニ短調の方法で、Ex. I. 9）。

Ex. I. 9

しかし、Sussmayrはこの形式の遷移の可能性を利用せず、変ロ長調の連結（第50-53小節）を残し、その調性でHosannaを繰り返さなければならなかった。その結果、Sanctusは、レクイエムの他のすべてのセクションとは異なり、和声的に最初と最後が異なる異なることなってしまった。

　同様のモーツァルトの楽想の誤解は、Benedictusの不器用な書法のいくつかの理由かもしれない。声楽パートと二重唱、四重唱の通常の配置内容はは、全体としては全く問題がないようである。しかし、導入の２声書法（第４小節以降）とそれに伴うぎこちないオーケストラ書法との間では、質的には比較ができない （しばしば指摘される、モーツァルトが彼の弟子Barbara Ployerのために書いた、K 453bとの類似性はさておいて）。ここでの伴奏の失敗の1つは、声楽素材を期待していることである。声楽は、モーツァルトの草稿で完全に変わっている。これらの理由で、Richard Maunder は、モーツァルトによって提唱された楽想の基礎を持つことができる作品として Benedictusを受け入れることを断っている。しかし、Sussmayrの不器用さが見落とされた場合、オーケストラの導入は、始めから終わりまで、モーツァルト的なのである。エコー効果（弦とバセットホルンまたはバセットホルンとバズーン）を持つ2つの異なる楽器グループ間のオープニング・モチーフの分配は、ジュスマイヤーの素材の扱いよりも、モーツアルトの作曲の仕方に確かに近いであろう(Ex. I. 10)
。


Ex. I. 10

　SanctusとBenedictusと比べて、Agnus Deiは声楽と器楽書法の質のバランスがはるかに優れている。 声楽によるテキストの非常にrhetoricalで homophonous なdeclamationと、オーケストラの動機の対照的な形とを組み合わせたやり方は、「Domine Jesu」で用いられている手法を直接思い起こさせる。バスでの「Requiem」テーマの出現 (Ex. 1. 11)はしばしばコメントされてきたところである。



それは、モーツァルトの草稿、おそらく声部スケッチに基づいていると考えられており、その機能はより正確には定義されていないが、おそらく すでに（Sussmayrのフレーズにおける）器楽的な "motivic idea"をバイオリンの16分音符（bar 1ff。）の形で使用している109。　

109　Webeｒとの間で、Agnus Deiの素材に対するモーツァルトの関与に同意したA. B. Marx でさえ、次のように述べている。「もしもモーツァルトがこれを書いていなかったなら（モーツァルトが関与していなかったなら）、これを書いた人がモーツァルトなのだ」
(Beｒrliner musikalische Zeitung [1825]: 379)

　特に声楽書法の質を考慮して、モーツァルトが、Agnus Dei だけでなく、Sanctus（Hosannaも含む）とBenedictusのためにも、スケッチや草稿を遺したことは確かであると思われる。このような“scraps of paper" (Doc. 22)は、モーツァルトが演奏したり歌ったりしたが書き留められていなかったものに加えて、ジュススマイヤーに重要な指針を与えていた可能性がある110。

110 モーツァルトの弟子であったIgnaz vonSeyfriedの1825年10月16日の証言もまた、以下のようである。「ジュスマイヤーがしばしば私に話したことによれば、彼は、Hostiasの作業はすべてうまくいった、残りは草稿から・・・これは彼のBreitkopf & Hartelへの手紙手紙の内容とは矛盾しているが、私はジュスマイヤーの前言を信じたい」（Cacilia4　1826ねん２９６]

Breitkopf & Hartel (Doc. 17) へのジュススマイヤーの手紙において、ジュススマイヤーが「こうした楽章がもまた自分自身のものである」と主張したことは事実である。しかし、彼の実際の言葉 “ ganz neu von mir verfertigt" (wholly composed by me) は、これまでの我々が考えた状況とは矛盾している。なぜなら、モーツァルトがこれらの楽章に残したものは、草稿スコアとしてはあり得なかったからである。たとえSussmayrが自分の仕事の基礎となるスケッチやその他の素材を持っていたとしても、作曲の本当の仕事は、彼のものであった111。

111 "neu verfertigt"というフレーズは、「作曲する」という意味である。Stadlerは、「ジュスマイヤーが、Agnus Dei 、Sanctus、Benedictusについて、モーツァルトの楽想を利用したかどうかを証明することはできない」、としている。

結果は、驚くほど良い楽想とそのあまり成功しなかった遂行や発展の興味深いミックスであった。半可通的か全体的に誤解されたguidelineには触れておらず、いずれにしても、Sussmayrのモーツァルトの作品への補筆は、均一なスコアからかけ離れた存在になっている。

　Sussmayrがレクイエムを完了するためにどのように設定したかは、彼のスケッチまたは最初の、より完全な草稿が残っているならば、より正確に判断できる112。

112　ジュスマイヤーは、彼が作ったAgnus Dei 、Sanctusのスコアをコンスタンツェに送っているが、それは、現在は失われている（1800年までは彼女が保有していた）。

彼のスコアの公正な写譜は現在存在しているものすべてであるが、以前のバージョンがあったことは違いないであろう。作業草稿はおそらく、モーツァルトの原作から派生した素材と全く新しい素材の違いを、これらの素材が書き留められたやり方で明らかにするであろう。 Sussmayrは、助手として、経験豊富な作曲家として、多くのスキルを蓄えていたことは間違いないが、本当の巨匠ではなかった。コンスタンツェの目では、彼はモーツァルトの弟子に過ぎなかった。明らかにそれは、未完成のレクイエムを最初から彼に委ねなかった理由だった。数年後、彼女はStadlerに、レクイエムを取り扱って、モーツァルトがSussmayrにどれほど教え込んでいたか、を話した。そして、モーツァルトが彼の弟子（ジュスマイヤー）に、「あなたは雷雨でたたずむアヒルのようだ、あなたはかくも長い間、何も理解していない」と話していたことを引用した。

　Sussmayrがモーツァルトオリジナルな要素を取り込み、それらを自分の作曲であるレクイエムのセクションに統合していた可能性はどうであろうか？スケッチの存在は、たとえそれが２楽章分にしか関係していないとしても、コンスタンツェはStadlerにした別の発言をもう一度見直して、そのスケッチの扱いに伴うモーツァルトの乱雑さに言及している。「ジュスマイヤーが実際に、Sanctus等のためのいくつかのモーツァルトによる断片ものを見つけたとしましょう。レクイエムは決してモーツアルトの作品ではありません(Doc. 28 ).」。

とある機会に、彼女はStadlerに言った。「音楽に関するいくらかのscraps of paper は、モーツァルトの死後、彼の机に残されていました。それをジュスマイヤー氏に上げました。それらがどのようなものであったか、ジュスマイヤーが何を取捨選択したかは、私の預かり関するところではありません」

Sussmayr自身は、モーツアルトについて、職人のように、1791年に作曲された2つのオペラで貴重な助けをしてくれた助手について語った、と話している。Kyrieフーガの最後の繰り返しは、少なくとも、モーツァルトが何かの機会に話したことであろうことは、明白である(Docs. 16a ， 17)。

　“scraps of paper "が何があったのかは分からないが、それらは、モーツアルトのスケッチの典型的なもの、とりわけレクイエムのスケッチの現存シートである音楽的建立のための何かを含んでいたことは間違いないであろう。それは、モーツァルトが荒れの頭の中だけよりも実際に書き出すことを望んでいた複雑な対位法的な展開である。しかし、 Sussmayrが作曲したレクイエムとモーツァルトが作曲したレクイエムのセクションの間には、顕著な違いがあった。それは、Sussmayrが作曲したレクイエムは、困難な対位法の類は避けられていた、ということである。唯一の例外はHosannaのフーガである。ジュスマイヤーによる楽章は、対位法的働きの２つの例が含まれている。すなわち、「Lacrymosa」の第24-28小節とBenedictusの第10-13小節（第23-25,33-34、および38-39で繰り返される）である。両方とも、シュシュマイヤーが完全に解釈して使用することができなかったスケッチを、モーツァルトが残した可能性の高いものである。

　Hosannaのフーガは、難解な主題にも関わらず、規則的なフーガの発展の教科書の例のようになっているが、ポリフォニー的なAmenフーガは、モーツァルトのスケッチから判断する限り、通常のフーガの処理からは、かなりかけ離れている。Sussmayrがスケッチを知っていたかどうかはわかないが、もしそうなら、彼はその困難を再認識し、それらを徹底的に避けていたに違いないであろう。 彼には時間も興味もなかったし、対位法に挑戦するためのテクニカルな備えもなかった。


Original and imitation :
Horn Rondo and Requiem

　モーツァルトがレクイエムに関する“scraps of paper"を遺したこと、そしてジュスマイヤーがそれを利用したことを想定する状況証拠があるのであれば、ジュスマイヤーがモーツァルトのpaperについてのその他のmaterialの草稿を見つけ、それらを使った証明は直接的である。たとえば、数年前にSussmayrの自筆譜の束の中で発見され、モーツァルトのものかジュスマイヤーのものかで混乱をきたしたモーツァルトのRondo for Piano and Orchestra K 386の未完成自筆譜は、確かに、偶然ではなかった。 Sussmayrのレクイエムの写譜（Codex a、[2]、fols.- I7-20結論のfugue;表1参照）の終わりに向けて、モーツァルトが自筆のスコアの一部として使っていた１２段譜表の同じ音楽用紙が見られる事実は重要性を増している。しかし、明らかにSussmayrは、モーツァルトの未使用の音楽用紙に自分自身を委ねるだけでなく、 自分が見つけた音楽素材に打ち込んでいた。

　Stadlerが後で行ったように、Sussmayrは、おそらく、コンスタンツェの提案や要請で、モーツァルトが未完成の作品を完成させるための努力をした。 Sussmayrがモーツァルト様式を学ぼうとした試みの貴重な例は、Concerto Rondo in D Major for Horn に見られる。これは、Requiemスコアの研究に関係するものを、直接比較することができる。作品はSussmayrが作曲したものの、モーツァルトの素材を贅沢に使った。モーツァルトの未完成のHorn Concerto in Dmajor K 412( 386 b)の日付の問題は、1791年として解決されたばかりである。奇妙なことに、私たちは2つの異なるバージョンの協奏曲を持っている（1）モーツァルトによる草稿スコア。ホルンパートは完成しっていたが、弦伴奏は40小節までしか完成しなかった。 （2）Sussmayrによる完全なスコア。これは長い間、モーツァルトの自筆譜と考えられ、それに応じて本物の作品としてカタログ化されていた。（K 514）

　ロンドの2つのバージョン、モーツァルトの不完全な草案K412と完全版K514は、今ではSussmayrの作品として扱われており、共通の重要なことがあるが、その差異は同じように伝えられている。 特に、K514のオーケストラ伴奏は、モーツァルトの草稿版をベースにしたものではないことを示している。 第２ヴァイオリン、ビオラ、バスの部分を見て、モーツァルトの完全で柔軟で興味深い伴奏とSussmayrの初歩的かつ機械的に繰り返される形を比較するだけでそれはわかる（Exx。1.12、1.13）.121

121　同じことが、、アイブラーとジュスマイヤーのレクイエムのセクエンツィアの最初でも見られる。（例１－１，１－２参照）





　2つのバージョン間の関係は何であろうか？Tysonは、Sussmayrは、以前にモーツァルトのバージョンを持っていたが、それを意識的に無視したと考えている。Franz Gieglingは、Sussmayrはモーツァルトのスコアを少し見ていたが、その後は記憶で作業していたと主張している。しかし、2つのバージョンがホルンパートにおいて正確に一致しているという事実は、相違はオーケストラのパートでしか見られないが、3つ目の説明を指摘する。モーツァルトは、他の機会で行ったように、ホルンパートの別の写譜と伴奏のバージョンのスケッチを遺している.これはおそらく、ホルン奏者Joseph Leutgebと作品をリハーサルするためになされたのであろう。彼のためにコンチェルトは意図されていて、 1791年10月8日にモーツァルトとのDie Zauberflote の演奏を試みた。ジュススマイヤーは、モーツァルトの草稿譜の存在を知ることなく、自身のスコアのために伴奏なしのホルンパートを使用していたに違いない（表2参照、この仮想の写本Aが再構成されている）。彼がモーツァルトのスコアを所有していたならば、そのオーケストレーションも使用していたであろう。そのまま、彼はソロパートだけを辿って、単純に一列に並べた（表3参照）。彼は見つけたものすべてを使って、同じ順番でそれを再現した。イ短調の2つのパッセージを含んで、その最初はモーツァルトが下書きした（表3、MS B、4行目）。

　しかし、写本Aには、少なくともK514（第70-79小節、例1-14）で突然出現する、Lamentatioの典礼的なcantus firmusを含む協奏曲には関係しないような素材も含まれていた可能性がある。



この仮説は、モーツァルトの草稿やスケッチでは、同じ紙のシートに複数の作品が混在していることがしばしばあるという事実によって、支持されている。それは、Sussmayrのホルンロンド（MS C）における予期せぬLamentatioの侵入に対する説明となっている。それは、Mozart's rondoにはないものであある（MS B;表3参照）。



このパッセージは、常に、中途半端であると考えられてきており、モーツァルトの「楽器の冗談」として説明されてきた127。現在、私たちはK514は、 モーツァルトのものではないことを知っている。.私たちはそれを、Sussmayrが誤解した、無配慮な猿真似であると、理解している。

127　Grau，“ Ein bisher uber sehener Instrum entalwitz. " An exampl e of the instrumental use of melodies ｆｒom　Lamentations ， which is justified both tonally and expressively ， is found in Haydn' s Symphony No. 26 in D minor (“ Lalamentatione"')

　ドーリア旋法のcantus firmusは、レクイエムの音域をD Major K 514のRondoに持ち込んでいる。そこでは、不均衡に長いイ短調の部分を持つ作品の和声的配置を中断する。ただし、レクイエムとの別の関係について、注意を引く。最初の改訂版であるLamentatioの引用は、Michael Haydnのハ短調のレクイエムのイントロイトにおける“Te decet hymnus " に対する、第１詩編唱歌であるcantus firmus として使われたものと同じである(Ex. I. 15)。



モーツァルトは、1771年にザルツブルク大聖堂で、シュトラッテンバッハ大司教の葬儀に出席し、その際に行われた演奏により、この曲を知っていた。M.ハイドンは、自身のレクイエムに第１詩編唱を導入している。モーツァルトは、もともと、この同じ詩編唱を使うことを考えていたが、後に、tonus peregrinusと呼ばれる第９詩編唱を使うこととした。

　SussmayrのD-majorホルンロンドに関するこの取り組みは、レクイエムのスケッチと草稿の元々の存在の状況証拠を与えるものではない。 それと同時に、1792年春のRondo K 514は、レクイエムのSanctusとAgnus Deiと正確に並行している。Sussmayrは、どちらも基本的に新しいものを作るという仕事に直面していたが、、不完全なまま残された。 どちらの場合も、ガイドとしての役目を果たすことのできるものすべてに惜しみなく腰掛けていた。どちらの場合も、本質的にモーツァルト的楽想を使用した作品であったが、モーツアルトのようなgrammar や idiom は使用されなかった。

　2つのホルンロンドの比較を可能にする素材の現存は、Sussmayrの作曲方法と創造的精神を許容している。Sanctusやレクイエムのその他の未補筆のセクションに関連する資料は、ホルンロンドのものよりもあまり広範囲ではないと仮定しても、類推はそれにもかかわらず、納得ができる。その断続的な輝かしい音楽的発想とともに、SanctusからAgnus Deiへのレクイエム楽章を悩ませた問題は、不完全に統合された。なぜなら、作曲者（ジュスマイヤー）が、師のテクニックを吸収できていなかったからである。レクイエムのSussmayrのセクションの資料におけるモーツァルトの素材は、それが根本にあるように正確に定義することはできない。その存在を否定することはできない。モーツァルトの最も親しい友人たちと、しばしば困惑している行動を信じる方が少し簡単である。とりわけレクイエムの信憑性のすべての強烈さと頑強な防御は、不完全であると認められ、しかし、モーツァルトの霊的財産であると主張されている。たとえ、他者によって補われたパッセージであるにしても。



Epilogue
　音楽の原則に基づくレクイエムの写本ソースの研究は、モーツアルト自身の手と、それを完成させた他の作曲家による明確な区別を可能にする。同じ原則に従った様式的な批判もまた、最も重要な作曲家たち（Franz Xaver Sussmayr）の働き方に一定の洞察をもたらす。その結果、作品の起源に関するいくつかの重要な一般的結論を引き出すことができるが、Sanctus以降のスコアに対するモーツァルトの貢献の正確な指定など、決定的な解決策はまだない。可能な限り多くの純粋なモーツァルトの音楽を聞くことができ、絶対に必要以上なモーツアルト以外のものが混在しないようにするという正当な願望を持って、レクイエムを演奏することの問題である。モーツァルト的なものとモーツァルト的以外の境界は不確定のままである。モーツァルトがすでに設定をしていたOffetoryの楽章では（ "Lacrymosa"の第９小節以降を除いて）、EyblerとSussmayrが行ったオーケストレーションやその他の補筆は、目に見えるものであり、必要ならば、容易に手を入れることができる。130

130 　Franz Beyerは、“Dies irae "ではジュスマイヤーにこだわりすぎて、アイブラー版の優れた点を見落としている。 Richard Maunder版では、「Maunderのモデルは、1791年のモーツァルトの作品や彼のより初期の教会音楽から、賢く選択されている。しかし、彼の基本的な引用の様式、「魔笛」や「皇帝ティトの慈悲」は、レクイエムの様式とはかけ離れている。この期間のそれぞれの作品は、いくつかの点で新しく、個性的であり、木管楽器の使い方のユニークさや厳格さ、一般的な対位法の取り扱いについて、レクイエムほど顕著ではない。どんなモデルも有効でないならば、今あるもので満足せねばならない。しかし、モーツァルトの意図ははっきりしておらず、ジュスマイヤーによって、不十分である。

モーツァルトの素材をより多くを改訂し、かつそれを打ち捨てるリスクを負い、あるいは、ほとんど干渉せず、ゆえにモーツァルトの意図を歪めてしまうという不確実なジレンマに直面しているのは、よりあとの楽章なのである。モーツァルトの意図は非常に大きな仮説の問題である。

　レクイエムの現存の写本の重要な特徴は、モーツァルトが声楽パートを最初に書いたこと、彼が書いたすべての場所で書いていることである。このように、声楽パートは、音楽の残りの部分すべての中核を構成していた。これらの様式的な前提とモーツァルトの検証可能な意図を考慮すると、分析的な注目は、特に、声部に含まれる要素の構築に重点を置く必要がある。しかし、モーツァルトの草稿が存在しない楽章の場合、ススマイヤーのスコアに拠ることになる。この貴重な歴史的文書は、Sussmayrが作り、唯一生き残った、アクセス可能な記録以上のものである。基本的な音楽要素、動機、断片、形、技術など、モーツァルトが発想したアイデアを発見する機会を提供する唯一のソースである。Maunderが最も劇的に行ったようなジュスマイヤーのスコアの完全否定は、モーツァルトのオリジナルの痕跡が残っている可能性を否定することとなる。131

131　Robert Levinは、レクイエムの完成において、新たな再考をもたらした。Amenフーガを利用しただけでなく、ジュスマイヤーの楽章を、批判的ながらも評価した。ゆえに、こうしたものの価値を高めようとしている。今のところ、私は、この種の分析的理解に基づいてモーツアルトにアプローチしようとする試みは、単なる試みであり、それが最後ではないことが完全に理解されている限り、価値があると確信している。 次の仕事をする人もまた、Sussmayrのスコアに戻る必要がある。

その理由だけでも、ススマイヤーのスコアは保存に値するだろう。 132

132　この精神の中で、ジュススマイヤーのスコアをそのまま使用するというヨハネス・ブラームスの決断は尊重されるべきである。 ブラームスは次のように書いている。「編集者は、決して疑ってはならない。彼の唯一の関心が、モーツァルトがどのように彼の仕事を遺したのか、そして彼の弟子が師の死後どのようにそれを完成させたのか、という可能性を実際に描けなければならない、ということを。それを再現するために、 正確な２つの写本が必要である」

最低限は、モーツァルト自身がもはや初歩的な形ではもはや実行できなかったすべてのものの、特に作品の決定的な歴史的、文章的、および音楽的な文書を表すことである。また、注意深い聴き手には、Sussmayrのスコアは、歴史のために、それ以降の版では一致できない美的次元を提供している。Walsegg伯爵に渡された原稿は、モーツァルトの死の直前と直後の時代を支配していた混乱の証拠であり、今日まで残っている。そして、このスコアは、未完成の作品の本質的な音楽の真実を、物理的なファブリックに表現して、具現化する際にユニークである。突然の対立や未完部分と完成部分の不完全な連合において、それは私たちを、1791年の最後の状況に引き込んでしまう。モーツァルトの家族や友人への重圧に対し、彼らは未完のレクイエムを前に、気の重い音楽遺産の扱いの責任に直面した。彼らがそれをすることができなかったことを意識しているだけで。