ショートエッセイ１

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No.１＜スペースシャトル事故から＞ 　スペースシャトルが帰還途中で空中分解し、7人の宇宙飛行士が犠牲となった。ブッシュ大統領はすぐさま声明を発し、亡くなった宇宙飛行士に哀悼の意を表明するとともに、宇宙開発は今後も継続する意思をすみやかに明らかにした。 　やはりアメリカというのはすごい国だ。これが日本だったらすぐに責任問題に発展し、「やれ、どこそこの誰が悪い、○○会社が悪い」といった責任者探しや補償問題などになり、国家元首（首相？）がすぐさまこうした前向きの姿勢を示すことはないだろう。そういえば3年ほど前に日本でロケット打ち上げに続けざまに失敗した際は、やれ、何百億円がフイになっただの、もっときちんとした開発体制が必要だ、などといった当事者を糾弾するような意見ばかりが表に出るばかりで（むろんこれは当然必要なことなのだが）、当時の首相から「こうした失敗を乗り越えてでも日本の宇宙開発を進める」などといった積極的なコメントはなかったように思う。 　アメリカはかつて1979年のスリーマイル島における原発事故の際にも時の大統領ジミーカーター氏が事故直後に「こうした事故が起こったとはいえ、アメリカは今後も引き続き原子力利用を推進していく」旨の大統領声明を出している。当時はアメリカでも原発を非難する声がごうごうと上がったらしいが、国家元首はそうした声を理解した上であえて国家目標を再確認し、国民に訴え、国民もまたそれを受け入れたのである。 　今の日本ではどうもこうした国家目標といったものが希薄なような気がする。　 （２００３．２．５） No.２＜男のやさしさとは何か＞ 　妙齢の女性に「理想の男性は？」と聞くと一番多いのが「やさしい男性」とのことである。実はこの「やさしい男性」には二種類あることをぜひ妙齢の女性には知っておいてもらいたい。 　それは真にやさしい男性と見かけ上のやさしい男性の二種類である。そして多くの妙齢の女性はこの二種類の男どもを一緒くたに考え、区別しない。特に後者の「見かけ上のやさしい男性」を「真にやさしい男性」と思い込む傾向がある。 　真にやさしい男性というのは実は見かけ上はやさしくない。そして真にやさしい男性は必ずその内に強さを持っている。しかし多くの妙齢の女性にはその男性の真の姿は理解できない。だからこの手の男性は「この人ぶっきらぼうで全然私にやさしくない！」といって多くの女性から敬遠されがちである。 　この手の男性の典型例はおそらくあの、ノーベル賞の田中耕一さんである。あの人はどうみても人間関係は得意そうでないし、女性にこまやかな気遣いもやりそうにない。しかし実際にはこれと思ったことにはてこでも動かない強さを持っているようで奥さんにはやさしい気遣いを見せている。田中さんは何でも２０回もお見合いをしたそうで、つまり田中さんの真のやさしさを見抜いた女性は２０人に一人しかいないということなのだろう。（まあ、好みの問題もあるのかもしれないが・・・。田中さんを振った女性にいろいろ聞いてみたいもんだね。もっとも田中さんの方からも振った例もあったかもしれないけど、あの人自分でもてなかったって言ってるし、振られた例は星の数ほどあっても振ったことはあんまりないんじゃないかなあ。失礼） 　見かけ上のやさしい男性というのは実は強さがない。女性の扱いは上手だからいわゆる「モテる」タイプであるが、いざという時に逃げ出す。最初はやさしそうに見えるから始末におえない。しかし女性の方は「この人こそ私にだけやさしくしてくれるとってもいい人」と思い込んでしまう。 　まあ、惚れたはれたのうちはいいが、この手の男性は結婚すると必ずそのうち馬脚をあらわして女性は泣きを見ることになる。「やさしくて思いやりのある人だと思ったけど、実は優柔不断のマザコンのプレイボーイだった」などということになる。しかしあとの祭り。 　ではあとの祭りで泣かないようにするにはどうすればよいか。結局は相手を限界状況においてじっくり観察すればよいのだが平和な日本ではそんな機会はなかなかない。（昔は徴兵があって、あれはよくない制度だとは思うけど軍隊という過酷な限界状況の中で真の男が見えたのである）一番いいのは二人で（あるいは何人かでのグループ交際で）山のぼりをすることである。 　山のぼりは疲れる。疲れると人間はつい本音、本心がでる。やさしくて思いやりのある人だと思っていた人が山では怒りっぽい短気な人になったり、逆にぶっきらぼうでやさしくない人だと思っていた人が実は疲労困憊になってもしっかり仲間を見守るやさしい人であったとか、とにかく山に行けばその人の人間性が剥き出しになる。 　今交際している人がいて結婚するかどうかまよっているあなた、恋人を山登りに誘いましょう。それも登るのに苦労するような山を。（実は富士登山が一番いいのです。大衆的でかつかなり歯ごたえがあるから）　ただ楽しくデートしているだけではその相手が真のやさしさを持っているかどうかはわかりません。富士山に登って常にやさしさを失わない男は必ずあなたの良き伴侶となるでせう。 　おじさんのよけいなおせっかいでした。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（２００３．２．５）

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