若者は過去を生きる。壮年は過去で生きる。老人は、過去に生きる

これが私の信条である。

光陰矢の如し。若い時代は、すぐに過去になる。人生の大部分は、壮年期以降だ（ことに昨今の高齢者社会では）。また、壮年期以降の人生の基礎を築くのが、若い頃に身に着ける経験、スキルである。だから、若者は過去を生きることになる。

だから若い人に言いたいのはあなたは実は今、”過去を”生きているんだよ、ということ。一生懸命勉強した蓄えが、将来的に豊かな過去となり、壮年期を支えることになるのだ。

壮年期は、若い頃に身に着けた経験、スキルを使って生きていく。若い頃にどれだけの蓄積をしたかで、壮年期の生き方が決まる。よりよい人生を送りたいと思えば、若い時に、しっかりといろいろな勉強をすべきである。

この時期から若者のように、一からスキルを身に着けることは、一般的には難しい（実際にはそれができる人はいるが、例外だと見た方がよい）。ふつーの人は、若い時の貯金で生きていくわけで、だからこそ、壮年期は”過去で”生きるのだ。

老人になって、社会からリタイアすると、通常の人は、あまり刺激的な人生ではなくなる。むろん、長期旅行に出かけたり、現役時代にはできなかったさまざまな経験をすることは可能ではあろう。

それでも、老年期で経験したことがらよりも、思い出すのはやはり、若年期、壮年期の長い時期のさまざまなことがらだろう。前者よりも後者の方が、そのウェイトは高いはずだ。だから老年期は、”過去に”生きるのだ。

ことに健康寿命も終われば、その要素はますます高くなる。あとは、棺桶に入る順番待ちの人生となる。