【独自】“首相指名選挙”行う国会召集　与党が再来週前半に遅らせる調整…「統一候補に玉木氏も」立憲が国民に連携呼びかけ
10/8(水) 11:46配信
FNNプライムオンライン

国会での首相指名選挙を巡り、立憲民主党は8日午前、国民民主党と幹事長会談を行い、野田代表への投票にはこだわらないことを伝えて、野党の統一候補の擁立に向けた連携を呼びかけました。

最新情報をフジテレビ政治部・木村大久記者が中継でお伝えします。

立憲の幹部は「野党をまとめるために最大のカードを切った」と話していますが、国民側は慎重な姿勢を崩していません。

会談は8日午前10時半から国会内で行われ、立憲の安住幹事長は次の臨時国会での首相指名選挙について、野党統一候補の擁立に向けた連携を呼びかけました。

立憲民主党・安住幹事長:
我が党も野田にはこだわりません。玉木さんも皆さんがまとまるのであれば我々としても有力候補と考えます。

国民民主党・榛葉幹事長:
異なった主義主張の政党と打算で、数合わせで首相指名を一緒に行動を取るということは考えてません。

一方、指名選挙を行う国会の召集について、政府・自民党は当初来週15日にも招集する方向でしたが、再来週の前半まで遅らす方向で政府与党が調整していることが複数の関係者への取材で分かりました。

多数派の形成に向けて与野党の駆け引きが続くことになります。

３２年前、政界は現在と酷似した状況だった。自公政権が過半数割れをし、野党が一致団結すれば、政権が取れる状況だった。

小沢一郎の暗躍で、それは実現した。細川連立内閣である。共産党を除く野党が細川氏を首班指名したことで、実現した。

しかしながらそれは、小沢一郎がいたがゆえのウルトラＣであり、各党の政策の違いがあまりにも多く、細川氏自身も、長くは続かないだろうと思っていたという（多くが短命に終わった連立政権、「理念共有が命綱」…細川元首相「ビジョン示す必要がある」 : 読売新聞）。実際、8か月で瓦解した。その原因は、社会党だった。

それは、社会党以外の政党sは中道～リベラルであったのに対して、腐っても鯛、最大野党だった社会党がマルクス=レーニン主義の残滓を引きずっていたせいだった。

さて基本的に戦後の政治勢力は、自民党を中心とした右側（保守）勢力、中道（リベラル）勢力、左派勢力の３つに分けられる。’55年体制以降の日本政界は、この3勢力のせめぎあいだった。

保守と中道ならば連立を組めるが、サヨクは対象外（左翼同士なら組める）ということを歴史は示している。安住氏はこうした政治史を知らぬようだ。

●保革対決の時代（’60年代）
’60年代には社共共闘が言われた。共産党が、’60年の六全協で暴力革命路線を捨てたために、社共共闘の素地ができた。この頃はまだ、マルクス=レーニン主義の勢いがあり、かつ、民社党はまだできたばかりで不安定だった。これに対して、共産党はこの時期、順調に議席数を伸ばしていた。世間には、’60年の三井三池闘争の総資本対総労働のイメージが残っており、中道勢力は必要度が低かった。

たとえば、1963年の総選挙結果は、以下のようになっている。

1963年11月総選挙結果

この時期から10年ほど（だいたい昭和40年代）、地方自治体には、革新首長が多数現れ（典型的なのが美濃部都知事）、革新ブームのように言われたが、所詮は自民党の岩盤が強く、その後のマルクス=レーニン主義の退潮もあって、’70年代後半にもなると、革新ブームはしぼんでいった。’79年に都知事が革新の美濃部から保守の鈴木俊一に変わったのが、まさにブームの終焉を完璧に示している。

’60年代は革新勢力の黄金時代であったが、同時に、マルクス=レーニン主義の衰退時期でもあった。欧州がサヨクがマルクス=レーニン主義を見限って、中道～リベラル勢力が一般的になるに伴い、日本にもそうした勢力が根付き始めた。社会党がマルクス=レーニン主義を捨てなかった（形式上、社会党は’85年にマルクスレーニン主義と決別した）ために、中道になりきれなかったためでもある。

●多党化、中道政治の時代（’70年代）
’70年代は、革新勢力退潮に伴う、多党化の時代の始まりであり、かつ、自民党が弱った時期でもあった。昭和34年生まれの私は、この時期から記憶がある。選挙と言えば、自民、社会、公明、民社、共産で、中選挙区制で、それぞれの勢力にしたがって、各選挙区の当選者が生まれていた。注目すべきは、1976年の総選挙で自民党がついに過半数割れをしたことだった。

1976年12月衆議院選結果

この後は、ほぼ与野党伯仲状態となり、つまりは、野党も結集すれば、場合によっては連立政権を組んで、非自民政権を作ることが可能になってきた（周知のごとく、それは、1993年に実現する）。あるいは、弱った自民党と連立を組んで政権を担うことも可能になった。

そのために当時は、社交民路線、自公民路線などが模索されたが、連立などには至らず、結局は自民党単独で何とか過半数ぎりぎりでやっていた。ただいずれにせよ、政治の中心軸が、自民党一本の右派勢力から、かなり左寄りにシフトしたことは確かである。

●右側回帰の時代（’80年代）→左側への時代（’90年代）
’80年代になると、米国レーガン大統領、英国サッチャー首相、日本は中曽根首相の登場で、世界中が大きく面舵を取ることになった。英国は左寄り政策が長年続いたことで、英国病に悩まされ、米国はソ連との軍拡競争で強い政権が望まれ（その前の民主党のカーター政権が弱い政権で一期で終わった）、日本もまた、中道政治の毒にまみれており、やはり保守、タカ派が正しい、と世界が理解するようになったのだ。

中曽根内閣は5回の国政選挙を無難に乗り切り（そのうち1回は衆参ダブル選挙で圧勝）、またこの時代の日本は、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の時代であり、貿易摩擦も起こり、いずれにしても、戦後経済の頂点の時代でもあった。

しかしながら、’90年代に入ると、日本経済は成長が止まり、メンテナンスの時代となった。同時に、消費税導入やリクルート問題などがあり、自民党は冬の時代に入った。’93年にはついに、政権を野党に奪われ、その当時には自民党でも最左翼である河野洋平が総裁になり、かの悪名高き河野談話の発表となった。

’94年には自社政権成立というウルトラCが生まれ、自民党は天敵の社会党と組まなければ政権を得られない状態であり、またちょうど村山内閣時代に、阪神大震災、オウム真理教事件が起こり、政治が左に傾くとこうも世の中は悪くなるのか、を示した見本のような時代だった。

●21世紀
こうした閉塞感を打破したのが、2001年4月に誕生した小泉純一郎内閣だった。小泉氏自身はノンポリであったが、少なくとも自民党内の左っぽい雰囲気を消すことには成功した。ことに、金正日に拉致を認めさせ、一部とはいえ、拉致被害者奪還に成功し、北朝鮮側の意向に反して、彼らを日本国内で生活させた業績は特筆に値する。

また、郵政民営化はともかく、派閥の解消、クールビズ、中曽根政権を引き続いた小さい政府の実現なども、大きな成果だったと言える。

だがその後がまずかった。第一次安倍内閣は失敗、その後も福田、麻生と短命内閣が続き、2009年の民主党への政権交代で、自民党はとどめを刺された。

当時は、政治のプロほど、もうこれで自民党はおしまいだと感じたようだ。舛添要一などは離党して、新党改革を立ち上げた（結局、14人の現職国会議員と11人の元職国会議員の計25人が離党した）。

だが~~案に反して~~案の定、民主党政権は大失敗、そして、安倍政治が始まった。

安倍内閣は、日本の憲政史上最長の8年近くも続き、きわめて安定していたが、第二次安倍内閣で行われた3回の参院選は、実は自民党単独では過半数議席に達していなかった。これは、同内閣で行われた2回の衆院選が自民党の圧勝であったことに比べると、不思議なことである。いずれにせよ、当時は自民党にとっては、コバンザメ公明党効果が最大限に発揮されていた、と見てよいだろう（小泉内閣においてもやはり、参院選で自民党は単独過半数議席を確保しておらず、このあたりは制度上の問題があるように思う）。

●連立はどうなるか
今回、高市早苗氏が自民党総裁となったため、公明党からの反発が強い。現時点で、連立離脱が示唆されている。参院選においてはとにかく、好調だった小泉・安倍内閣でさえ、自民単独では過半数議席を維持できなかった（自民単独で過半数を維持できたのは、何と1986年の中曽根内閣が最後である）わけだから、ましてや公明党が与党離脱となると、自民党は、よほどうまくどこかと連立を組まないと、政権運営ができないことになる。

高市氏と一番親和性があるのは国民民主だが、連合はもしも同党が自民と連立したら、組織内議員を国民民主から引き上げさせると言っている（連合、国民民主党の連立政権入りをけん制…芳野会長「容認できない」）。確かに、いくら旧同盟系で、労使協調路線を取ってきたとはいえ、使われる人と使う人が同じ政権で同居することはあり得ない、ということだろう。したがって、国民民主が与党入りしたら、同党自体も分裂することになる。

だから、国民民主も、芳野さんのお望み通り、労組系を切ったらどうか？もともと参議院は労組の指定席があって、業界益の温床になっていた。そういうことは、本来、玉木代表の政治姿勢には反するのではないか？

ただそれだけではやはり過半数は無理なので、維新をも取り込むことが必要。そして、次の衆院選で自国維政権が過半数に達しておらず、かつ、参政党が善戦すれば、参政党とも連立を組めばよいだろう。

そうなると政界は、保守と中道の2勢力となり、サヨク（立民・共産）を蚊帳の外に置くことができる。

公明党が26年ぶりに連立から離脱したことで、いよいよ政局は、32年ぶりに面白くなってきた。自民党の当落線上の議員は生きた心地がしないだろうが、これを機会に、本来はリベラルである公明党の力がないと当選できないようなゾンビ議員はめでたく落選していただいて、高市総裁の意に沿った、真に国益を思う人たちに国会議員になっていただきたいと心から思う。

●公明党効果は参議院にあった
下図を見るとわかるように、公明党効果は、参院選で著名に現れている。自民党単独で参議院議席が単独で過半数となったのは1986年の中曽根政権の時が最後で、それ以後はすべて過半数割れとなっている。安倍政権、小泉政権でさえ、そうなのである。

衆議院議員総選挙　参議院議員通常選挙

もともと、55年体制以後昭和の間、、自民党の参議院議席は、衆議院と比べて、きわめて安定していた。衆議院の場合も、昭和40年代までは、革新勢力が一定の力を持っていたとはいえ、野党主力は、所詮はマルクス=レーニン主義を信奉する社会党であったがゆえに、どう頑張っても自民党の半分～２/３が精一杯であり、自民党の過半数維持を脅かすことはなかった。だが昭和50年代に入ると、中道勢力が大きくなって多党化の時代となり、自民党の過半数を脅かすこともたびたびあったが、無所属者の一本釣りなどで何とか対処していた。

両院とも変化があったのは、平成に入ってからである。’89年参院選で、自民党は初めて過半数を割った。この時には宇野内閣であったが、総理の女性スキャンダル、リクルート事件、消費税導入が自民党への逆風となった。

衆議院はやや遅れて、小沢一郎が自民党を割って野党となった’93年の宮沢内閣時に、自民党は、それまでのような、小手先ではどうにもならないような過半数割れを引き起こした。

要は平成に入ってから、自民党だけでは政権維持が困難となり、1999年からの自公連立（当初は自自公）内閣発足となった。そしてその効果は、前述のように、参議院で著名に現れたのである。

もともと、衆議院のカーボンコピー、あってもなくても同じと言われていた参議院だが、平成になり、自民単独過半数維持が不可能になると、政局の台風の目となった。1989年でぼろ負けした宇野政権は短命で倒れ、次の1992年参院選は翌年の自民党下野のきっかけとなり、1998年敗北では橋本内閣が退陣、2007年の敗北は第一次安倍内閣退陣、そして今年の敗北で石破内閣退陣、となった。

少なくとも参議院を見る限り、公明党が離れた今のままでは、自民党は単独では、絶対に過半数を超えることはないだろう。したがって、今後はおそらくは半永久的に、ドイツのように、連立政権が続くことになるだろう。

ドイツの例を見るまでもなく、その場合大事なことは、どの党と連立するのか、ということ。その前に、そもそも自民党政権が続くのか、という問題がある。公明党が連立離脱をした今、1993年の再来は、あり得るのだ。

●今後のシミュレーション
では今後はどうなるか。そもそも、首相が高市自民党総裁になるのか玉木国民民主党代表になるのか、というレベルからの問題となる。

①オーソドックスなケース
一回目の首班指名選挙は基本的には皆、各党の党首に投票するだろう。当然、誰も過半数に届かないから、決選投票となる。

決選投票で、立民は野田代表ではなく、玉木氏に投票をすると言っている。衆議院では、参議院と違って立民は１/３ほどの勢力があるが、それでも両党だけでは175票であり、自民の196票には及ばない。公明党が玉木氏に投票すれば199票となって、自民票191を上回るが、同党は自民と縁切りをしたわけではないので、さすがにそこまで節操のないことはせず、白紙か無効票で望むだろう。

ただこの提案は、玉木氏自身も話しているように、はっきりいって、有難迷惑である。なぜなら彼は、仮に政権を取るにしても、立民と組む気はサラサラないから。両党はもとをたどれば民主党だが、ヒトとサル並みに違う進化を遂げてきた。もはやヒトとサルがHできないように、両党は同居することはできない。

こういう空気が読めないのが立民、就中、安住なのだ。無論、維新が乗れば、3 党で210票となり、玉木首相が誕生するが、まずそんなことはなかろう。維新だって、玉木首相はともかく、将来、立民と連立を組むのは避けたいのだ。それならまだ、高市自民と連立を組むか、単独野党のままでいた方がよかろう。したがって維新もまた、決選投票はおそらく、白票か無効票で望むだろう。

こう考えると決選投票は、高市196票、玉木175票で、オーソドックスに高市総裁が首相となる。ただ、白票・無効票が異様に多くなるので、首相の地位を貶めることになりかねない。それは、首相権限の弱かった戦前に通じることになる。

②オール野党（参政、日本保守を除く）が玉木代表に投票
小沢一郎のような人物がいて、決選投票で、立民、公明、維新、国民民主までを串刺しにすれば234票となり、野党連立政権が誕生する。さすがにれいわ、社民、共産は除外するだろうが、立民はかつてはこれら３党と四党共闘を組み、政策協定まで結んだ過去があるので、こうした政党がブーブー言い出すかもしれない。

ただ、①でも述べたが、四党のうち、立民は明らかに異質であり、公明もそれに近いので、この四党が玉木代表を支持すれば、世間は明らかに野合だと言うだろう（だからこそ、玉木氏も嫌がっている）。とにかく、一時期とはいえ、共産党なんかと共闘していた政党と一緒なんてあり得ない、と維新、国民民主は思うだろう。

したがって、この選択肢は理論的にはあり得るし、歴史的にも現実にはなったわけだが、今回はまず選択されることはないだろう。

なお、このケースの場合、誰をシャッポに担ぐかという問題が出てくるが、玉木氏はかつての細川護熙にはなりたくないだろう。

ところで、玉木代表が、秋波を送ってくる立民の提案に乗らない場合、立民はとんだ恥をさらすことになる。そういうことがわからないんだよねえ、この人たちは。特に安住。

③自民、国民民主、維新で3党連立を組むケース
この場合、国民民主はそもそもポストは求めないと言っているし、玉木代表はそもそも連立には参加しない、と言っているので、かつての村山内閣のように、シャッポを国民民主にくれてやる必要がある。すなわち、玉木首相の誕生である。過半数も制するし、そもそも高市総裁と玉木代表の政治思想はほとんど変わらないので、自民党さえ屈辱に耐えれば、この組み合わせは十分に現実味はあると思う。

このケースは、おそらくは玉木氏にとってはベストと思われる。もともと首相になりたいと公言してきたし、公明党を切った高市総裁の自民党とであれば、少数与党とはいえ、新たな良い関係が作れることだろう。かつての村山富市のように、ポスト欲しさに政党の魂を売った、とは思われまい。

ただ、実際に政権を運営すれば、都合の悪いところだけを自民党から押し付けられる危険はある。そう、まさに石破首相が辞任に至ってしまったように。トップとはそういう役回りなのだ。

●今後の総選挙について
私はおそらく、高市氏が首相になると思っているが、いずれにしても、ある程度早期の解散総選挙が必要だろう。総裁が高市氏になったことで株価がぐっと上がったことでもわかるように、おそらく自民党は今度はおそらくは、2005年総選挙の再来となるのではないか。

やっと安倍政治を継承する総裁が出てきた、自民党が保守に回帰した、とのことで、まずは参政党にやむを得ず投票していた層が戻ってくるだろう。むろん参政は参政で、自民では収まり切れない右ウィングを吸収しようとするだろう。ただし、やや左寄りの自民支持層は国民民主に流れるだろう。

立民以下サヨクは、公明党も含めて、壊滅的な打撃を受けるだろう。実はそうした傾向はすでに、今年の参院選でも現れている。今年の参院選は確かに自民党は敗北したが、周辺の参政党と国民民主は勢力を伸ばし、立民以下のサヨクは振るわなかった。おそらくは自民党ではリベラルである石破首相に飽き足らない層のかなりが、参政党に投票したものと思われる。また、国民民主は確かに野党ではあるが、かつての民主党から進化したきわめてまともな野党であり、自民党とは是々非々でやっていけるものと思う。

高市政権が総選挙に打って出れば、公明党が抜けた穴は連立与党に埋めてもらい、自民党全体が間違いなく伸長するだろう。

サヨクっぽい政治評論家の後藤健次などは、高市政権は短命に終わる、と言っているが、私はそうは思わない。

サヨクを立民以下に押し付ければ、今後は、保守と中道の理想的な、二大政党制に近い体制ができるだろう。政党は複数残るが、サヨクは政界から駆逐される。

かつて、中道の代表として、民社党があったが、結局伸び悩んだ。1960年の浅沼稲次郎暗殺がなければ、もっと伸びたとは言われているが、今から思えば、その後の中道＝リベラルの埋没、潰れかけのマルクス=レーニン主義の蔓延は、その後の日本の針路には明らかに悪影響を及ぼしたと思っている。

今後、自民党が公明党と離れて保守に純化し、もうひとつのリベラルな塊が玉木氏を中心にできれば、日本の未来は明るいことだろう。