| ★参政党はサヨクへの防波堤
一般論で言えば、ナチスの台頭は悪であった。ワイマール共和国は、時代を先取りし過ぎる側面もあったせいか、ヴェルサイユ条約の桎梏や世界恐慌において、機能不全に陥って、国民の信頼を失い、ヴェルサイユ条約打破、再軍備、雇用確保を訴えたナチスが躍進した。 それはまさに、現自公政権が、物価高対策で機能不全であり、トランプ関税でアップアップしている状況で、極端な政策を唱える参政党が急進している状況によく似ていると言える。 その後の歴史を見れば、ナチス躍進はドイツに大きな禍根を残したことは間違いないが、たとえば、ナチスが政権を獲得した’33年当時では、ヒトラーはドイツのまさに救世主であり、実際、ナチス政権は実は、さまざまな政策を実行に移し、経済立て直しには大きな貢献をしたことは、事実である。 ヒトラーはもともと、1916-7年に起きたカブラの冬の再来を怖れ、さらには当時の保護貿易の壁に対抗するためにも、自給自足経済の確立を急いだ。そのために必須だったのが、Lebensraumの確保、拡大だった。ドイツ本土のみでは当然、それが不可能だったからである。 自由貿易万能と考えられている現在の価値観からすれば、こうしたオートノミーはあり得ないやばい政策と思われるだろうが、当時は、世界的にこうした政策が正しいと思われていた。日本が満州国を建国したのもこの一環であったし、保護貿易を定めた米国のスムート・ホーリー法は正しい法だと当時は認識されていた。 保護貿易は、ドイツや日本のような持たざる国を痛めつけた。だから、少なくとも、ヒトラーの当初の試みは、間違っていたとは言えない。 だが、こうした拡張政策には、陥穽があった。それは、終わりがなくなる、ということ。 日本は満州国を建国したまではよかったが、結局のところ、国を守るために作った国を守る方策を考えざるを得なくなり、それが華北占領であり、さらにはどんどん中華民国領土に浸潤していかざるを得なくなった。結局、米国資本領域を犯すことになり、日米戦争に引き込まれた。 ドイツにしても、オーストリアまで領土を拡張すれば、さらにはポーランド、チェコへと行かざるを得なかった。さらにその先にはフランスが、となり、結局、英国、ソ連とまで対峙する羽目になった（ヒトラーは英国と戦うつもりはなく、外交交渉で決着をつけるつもりだったが、チャーチルが受け付けなかった）。 話が逸れたが、参政党はさすがに、ナチスのように政権獲得までは行かないだろうが、次回の衆院選の結果次第では、間違いなく与党の一角を占めることにはなるだろう。その頃、小泉・河野といったリベラル派が首相になっていれば、与党は今度こそ本当に、自滅するだろう。 ところで、ナチスの躍進は、あるひとつの役割を果たしていたことは、見逃されがちである。それは共産党の阻止、である。当時のヒンデンブルク大統領がヒトラーを首相に指名したのは、共産党台頭を防止する意味合いもあったのだ。 1932年11月の国会選挙で、議席を減らしたナチ党に対して、共産党は16.8％,100議席と大きく躍進していた。特に財界では、共産党をどうにかしないと、という空気があり、ヒンデンブルク大統領は、パーペン元首相と協力してヒトラーを政権に雇い入れ、用が済めば大統領権限を使用して、放り出せばよいと考えたのだった。 日本でも、下手をすると、山本太郎が台頭する可能性があった。彼にはカリスマ性があり、弁舌もさわやかなので、彼に魅了されるサヨクが多かったのだ。 だが、参政党の急進は、興味深いことに、サヨクを抑えた。れいわは一議席増えたが、共産党が一議席減ったために、結局、選挙で与党は敗北しても、サヨクは伸びなかった（国民民主は保守の部類に入る）。 つまり、参政党は、ナチス同様、サヨクの防波堤となったのだ。だが参政党は、ナチスのように、支持者が限りなく拡がっていく、という状況にはならないだろう。 ＜結語＞ 参政党の躍進は、山本太郎を抑える上で、効果的だった。 | |
★珍しく玉川徹氏が正論を・・・
石破首相が退陣することになり、本来ならこれは、野党勢には千載一遇のチャンス。減税でまとまれば、衆議院では過半数を持っているのだから、政権交代が起きる可能性もある（1993年の時みたいに）。 仮に、自民党が下野すれば、経済政策は一気に減税へと進むだろう。その時日本はどうなるか？ 非常に興味深いが、私は、玉川徹の言う通りになると思う。 まず、現野党は、財源確保に苦労するだろう。確かに、税収は上振れてはいるようだが、恒久財源が必要なわけだから、はたしてできるのか。できなければ、結局、かつての民主党の失敗を繰り返すことになる。 また、国債価格の下落も始まることだろう。英国は、トラス首相の早期退陣で何とか出血を最小限に食い止めたが、日本も同じ手を打つしかない。つまり、すぐに自民党政権の復活、ということ。 興味深いことに、この記事へのコメントは、玉川発言への批判一色のようだ。コメントのまとめでは「減税政策を通じて内需拡大や経済活性化を図るべきだと考えています。自民党の長期政権による日本の衰退を懸念し、新しい政治勢力の台頭を期待する声もあります」などとある。つまり世論の多数派は、玉川発言には抗って、現時点における減税は正しいと判断している。 現在日本は、輸入インフレ状態にある。プーチン政権への経済制裁と円安で燃料価格が上昇し、それがあらゆる物価を押し上げている。内需拡大や経済活性化は良いが、それはつまり、ディマンドプルインフレが追加されて、インフレが加速されることになることになるわけだが、多くの人はそれに耳をふさぐ。 またさらに、現野党の連立政権ができれば、社会保険料も下げられることになろう。なにせ、「手取りを増やす」わけだから。 では保険給付の方はどうなる？共産党やれいわは、公費負担を増やすことで, 保険料欠損を補え、という。え？でも減税するんでしょ？さらに、保険給付は増やせ、という。そして、保険給付削減を訴えた維新は議席を減らしている。 要するに、現時点での減税は、ポピュリズム（もっと言えば、衆愚政治）の極みである、ということ。玉川発言が理解されない時点で、現在の日本は残念ながら、2009年同様、有権者の8割があの鳩山由紀夫総理を支持した時と同様、衆愚政治を繰り返すことは明白だろう。 | |
★実は、保守は負けてないなかった-パートII
不信任案は衆議院が提出するが、その議席内訳を見ると、自公に加えて参政党３議席、保守党２議席あり、226議席は必ず否決する。逆に、必ず可決に回るのは、立民148＋令和９＋社民１＋共産８の166議席であり、結局、維新と国民民主が絶対に乗ってこなければ、可決には至らない。野党はバラバラなので、それはまずムリだろう。 仮に可決されて解散、総選挙になっても、今のままでは参政党がますます伸びるので、かつ、自民党ばねも効くだろうし、さらに今の立民の勢いでは確かに、せっかくの148議席を減らすことになるだろう。国民民主も無論伸びるだろうが、基本的に彼等は”保守”であり、少なくとも、立憲民主と国民民主とは水と油である。 はからずも、今回の参院選では、保守の勢いとサヨクの退潮が明白になってしまった。国民は自民党からは離れても、保守からは離れなかった。だからこそ立民は、今回の参院選を、謙遜ではなく、本当に「敗北」と総括したのである。  | |
| ★のぶはなぜ、八木一等兵を記事にしたのか？
国民民
朝ドラ「あんぱん」では、同郷高知県出身の、ガード下の女王と呼ばれていた代議士薪鉄子を取材するために、嵩とともに東京に出かけた。そこで偶然、薪と出会った（ここらあたりはいかにもドラマだが）のぶだったが、ほぼ同時期に、子どもたちに、パンをあげながらも、勉強を教える八木上等兵に出会った。 両者を取材したのぶは、本来は薪を取材しにいったにも関わらず、八木上等兵のことを記事にした。それはなぜか？ 八木上等兵のひとことに答えがあった。子どもたちを食わせるだけではだめだ、と彼は言った。 薪は高知の名望家に育っていた。ようは、能力はあるがお嬢様だ。お嬢様ゆえに、全国初の婦人国会議員にもなれたのだろう。 むろん、彼女の目の付け所は正しかった。ドラマの設定では、当時の政府は国全体の復興で精一杯であり、戦争孤児の救済が後手に回っていた。子どもたちを助けたい一心で、薪は私財を投じて、子どもたちに食糧を与えていたのだ。麻雀に勝ったら子どもにここを明け渡せ、とやくざ連中と話していたが、それだけの度胸と政治力が彼女にはあった。だが、彼女をそこまでしたには、やはり、実家の財力だっただろう。 それが彼女の限界で、したがって彼女はとにかく、子どもたちを食べさせてあげればいい、と考えていた。 八木上等兵は、子どもたちを食わすこと以外の＋αを考えていた。それが教育である。彼は教育＞食わす、だった。学ぼうとしない子どもは食わせなかった。 彼等は戦争孤児だから、おそらくろくな教育は受けていない。今は施しで食いつなぐことはできても、大人になったら、ロクな仕事にもつけないだろう。だからこそ、まず大事なのは学力をつけることである、と彼は考えたのだ。 よくあるたとえで、魚を与えるよりも、魚を取るやり方を教えよ、と言われる。薪は前者を、八木は後者を実践していた。 そしてのぶは本能的に、八木を選んだのだ。そして薪も大したもの、そんなのぶの能力を見抜き、高知新報を叱るどころか、褒め讃えた。そしてそのことが、彼女を東京に引き抜くことをさらに薪に確信させた。 ドラマの一コマとはいえ、こうしたことはなかなか実践できることではない。多くの人は、のぶの立場では、薪を記事するだろう。知名度もある人だし、少なくとも読者は薪を求めていたはずだから。 さらに、八木の原資は闇酒を扱ったカネであり、彼や彼の行為を記事にすれば、闇を正当化してしまう危険もあった。 さらに、薪が並みの人間だったら、怒り狂うことも当然予想された。そして、地元有力者を怒らせたら、高知新報は・・・という事態が予想された。 そうした中で、八木上等兵を記事にすることは、並大抵なことではないわけだ。まあ、ドラマの上とはいえ、けっこう多くに人には、生きていく指針を与えたのではなかろうか。 強いものに媚びるな、強い者を信じて、信念を貫こう。 | |
| ★玉川徹の勝手な言い分-投票率について
消費税増税
当然立民あたりに投票しているであろう玉川氏の持論は、「投票率上がるのはいいことだと思っていたんですけど」ということだろう。そうすれば、浮動票が増えて、組織票に頼る自公が不利になるわけだから。 しかし、記事によれば、玉川氏は、そもそも5割くらいの投票率がちょうどよいと考えているようにも取れる。だから、記事の悪文は無視して、日ごろからの彼の言動を基準としよう。 そう考えると、玉川氏の意見は以下のようになる。 自分は、自公を潰すためにも、投票率はもっと上がるべきだと考えているが、いつもは50％くらいでしかない。だが、今回は投票率は上がったが、そのおかげで、自分の嫌いな右側の政党の勢力が伸びてしまった。これは心外だった。 だからこそ、批判が多く来たのは当然と言える。 玉川氏のようなサヨクからすれば、たとえばれいわが今回の参政党のように急進したのであれば、何の心配もしないだろう。意に反して、右派勢力が伸びたのが、気に入らないのだ。 ただ、ある程度政治判断ができる有権者がそもそも5割程度だという、玉川氏の”持論”は理解できる。 （これまでの玉川氏のように）さまざまな識者が投率率を上げよう、あげよう、と言うが、それは、そもそも投票率は100％たるべきだ、あるいは少しでも100%に近づくべきだ、という考えから生じている。民主主義なのだから、正確な民意を拾うためには、それが必要なのだ、と考えるわけだ。 だが実は、（玉川氏がはたと気づいたように）それは間違い。むしろ、50％ほどである低い投票率は、有権者の半分が、政治判断ができない結果なのだ、と思うべきなのだ。 こんな世の中になって、なおも昔ながらの、わざわざ有権者を投票所にまで足を運ばせ、手書きの投票をさせるのも、そもそも、投票率を上げないためなのである。かつて石破首相は、投票の義務化を訴えたらしい（投票の義務化について――投票率低下の原因を一方的に有権者におしつけるのは間違い｜三春充希(はる) ⭐第27回参院選情報部）が、彼がいかに、政治に向いていない政治家であるのがよくわかる発言だ。 仮に、スマホでポチッで投票ができれば（それは、技術的には十分可能だろう）、投票率はとんでもなく上がるだろうが、その結果もまた、とんでもないものになるだろう。 情弱が投票行動を起こすことは、日本が滅びることなのだ。 | |
★ヒトよりクマが大切な人たち‐ヒトより法が大切な人たち
動物愛護をする人は（一部だとは思うが）、徹底的に自分が好きな動物を守ろうとする。むろん、彼（彼女）のとっては、人命よりも愛護動物の命が大事なのである。 クマが人を襲って殺そうが、襲われた人の命よりも、襲ったクマの命が大事な人たち。さらに、飛行機事故等に備えて、ペットは貨物室にという航空会社の方針に対して、他人の命よりも自分のペットの命の方が大事だ、と考える人たち。 また、一票に格差があるのは憲法違反だからと言って、選挙そのものを無効にしようとして、裁判に訴える弁護士たち。一票の核さを問題にするだけならまだわかるが、済んだばかりの選挙を無効にしようとは、まさに、この人たちの目的は法の尊重ではなく、法を担保している日本国の破壊であるとしか、思えない。 こういう人たちって、まあごくごく一部ではあるのだろうが、それでも、こういう思想を持つ人が、常に世の中には存在することを知っておかねばならない。 ところで、昭和40年代くらいまでは、人の命よりも革命成就が大事だと考える日本人がいた。基地外だとしか言いようがないが、20世紀初頭には、そうした基地外がロシア革命を起こして、政権を取った。彼等の基地外の発想はその後世界各国におよび、70年間暴れまくって、おそらくは億単位のヒトの命を奪った。 こういう極端な人は、生まれるのか、育つのか。さすがに私の身近では見たことはないが、家族にこういう人がいれば、大迷惑だろう。 その昔、あさま山荘事件で、犯人の母親たちが呼び出され、犯人に呼びかけた。「他人様を撃つくらいなら、私を撃ちなさい」と母が言うや、彼らは本当に、母を撃った。彼等過激派にとってはもはや、親の命よりも革命成就の方が大事だったのだろう。 当時は私も子どもだったのでピンと来なかったが、今、子育てを終えた親として、大切に育てたはずの自分の子どもがあのような基地外になり、多くの人に迷惑をかけてしまったことに、彼等の親は何と悲しい気持ちだったのか、と思う。 世の中から、こういう極端な人間が絶滅することはない。バカは死ななきゃ治らない、は本当に真実なのだ。 | |
★開業医はなぜフリーアクセス制限に反対するのか？
それを制限するということは、いきなり大病院への受診などがないようにする、ということである。 以前は、患者の大病院志向がよく言われていた。フリーアクセスを良いことに、たいした症状もないのに、初診から大病院を受診する人が多かったのだ。 だが当然、これでは、重症者に高度の医療を提供するという、大病院の本来の機能に支障が出ることになる。したがって厚労省はこれまで、さまざまな方策で、フリーアクセスの制限を図ってきた。 つまり、フリーアクセスの制限とは、日本においては、患者の大病院志向の制限と同義なのである。 こうしたことはだが実は、患者側にもよく理解されていて、2010年の調査では、患者側も8割がフリーアクセス制限に理解を示している。患者側からしても、自分や家族が重症になって大病院を受診した時に、軽症者が混じっていては困る、と感じていたわけである。 勤務医の立場からも同様で、フリーアクセスで軽症者が開業医をスキップしてどんどん病院に入ってくれば、自らの仕事が増えて疲弊することになるから、当然、その制限には賛成が多い。 では、開業医の立場ではどうか？ フリーアクセス制限をして、軽症者がいきなり大病院にいかなくなれば、自分たちのところに来る患者が増えることが期待されよう。だから彼らにとっても、フリーアクセス制限があった方がよいように思える。それなのに、なぜ反対するのか？ おそらく開業医は、フリーアクセスがあるからこそ、逆に自分のところに患者が来る、と考えているのだろう。 日本の医療制度は、要は売値が公定価格なので、自由に診察料が設定できない。売価の上げ下げで利益を調整することができない。利益を上げるためには、数で稼ぐしかない。 フリーアクセスがなくなれば、おそらくは、受診者そのものが減る。彼らはそれを危惧しているのだ。 もともと日本の医療は、利便性がよい（＝フリーアクセス）がゆえに、受診の垣根が低いと言われている。そのために、膨大な、いわゆる低価値医療が生まれ、これが医療費を相当食っている。 こういっては失礼だが、日本の開業医の大部分は、低価値医療で食っている（だから医師会は、特定看護師、診療看護師などの制度に反対する）。そしてその大前提が、逆説的になるが、実はフリーアクセス制度なのだ。 要するに、フリーアクセス制限とは、低価値医療価値制限であり、それは開業医の首を絞めることになるわけだ。 | |
| ■女性は”無能力”の意味-”無能”ではない |
