■令和1年８月６日 一挙両得か、二兎を追うものは、か
今、文大統領は、自らの不手際が原因となって、逆境にある。お隣の経済大国は、かつての勢いはないとはいえ、そこと張り合ったところで叶うわけがない。 それをわかったうえで、文大統領は、国民からの批判が自分に来ないよう、現在必死である。そのための方策のひとつが、北朝鮮との連携、なのだろう。 もともと、左派の文大統領の究極の目的は、朝鮮半島の南北融和であり、できうれば、南北の統一である。自分を大統領へと上げてくれた人たちも、こういう思いがあったからこそ、と考えていることだろう。 そこで彼は考え付いたのだ。そうだ、北朝鮮を利用しよう（利用する振りをしよう）。そうすれば、少なくともこれまで自分を支持してくれた連中の顔は立てられるし、（潜在的には南北統一は韓国国民の総意でもあるのだから）、自分への批判をかわす方策にもなるだろう、と。 確かに、これでたとえば、懸案の開城工業団地再開となれば、文大統領にとっては、まさに怪我の功名、さらには、南北関係がうまくいって、日本からの輸出管理構成を乗り切れば一挙両得、となる。 だがとてもこんなにうまくいくとは思えない。そもそも北朝鮮には、南と仲良くする意志はないだろう。本日（6日）もまた、飛翔体とやらを2発もぶっ放しているし。 さらに、開城団地くらいでとどまっているのならまだしも、話がもっと先に進んでしまったら、韓国は、かつて東独を吸収編入した西独どころではない苦悩を味わうことだろう。そもそも、自らの地位が危うくなるそのような事態を、何より、あの金正恩が許すはずがない。 見方を変えれば、文大統領は、ここまで追い詰められているのだ、ということだ。少なくとも現時点で実現不可能な南北経済協力にまで言及せざるを得ない立場にある、ということだ。 結局のところ、文大統領は、一挙両得どころか、日本と北朝鮮との関係改善という二兎を追って、一兎も得ることなく（日本とも北朝鮮ともうまくいかず）、最後は国民からも自らの非を見透かされ、前大統領と同じ運命をたどるのではないか。 | |
■令和１年８月９日 ガン統計の意味合い
 ↑2016年の10年生存率比較図 Dr.町田作成 ●がんが”治る”とはどういうことか こんなことを言うと怒られるかもしれないが、堀ちえみさんが主治医から『がんはもはや治る時代なのです』と言われた意味は、、堀さんが受け取ったイメージとはやや意味合いが違うと思う。それをここで説明したい。 一般的には「がんが治る＝身体からがん細胞がなくなる」と考えられるだろう。 しかしながら、そもそも、病気が治るとはどういうことなのか。 たとえば肺炎が治るとは、肺炎を引き起こした病原体に身体の免疫細胞が打ち勝ったことを意味する。病原体がおそらく体内には相当残っているが、それが身体に悪さをしないのなら、それで治癒とするのである。 がんの”治癒”も、そうしたイメージにある。つまりがんが治るというのは、身体にある程度のがん細胞は残っていても、それで生命が脅かされてはいない状態なのである。 つまりがんを治す目的は、身体からがん細胞をなくすこと（無論、それができれば一番良いことは間違いないが）ではなく、人間が元通りの生活を続けられるかどうか、ということである。 ●5年生存率の意味-前立腺がんの場合 一般人でも医療人でも、がんが発見されて5年間生きていれば、だいたいそれでがんは”治った”と判断されている。しかし実は、物事それほど単純ではない。 たとえば前立腺がん（甲状腺がんも）。このがんは、ステージIIIまでに見つかった人の相対5年生存率（がんのみで死亡しなかった人の割合）は100％なので、がんとは言っても、それでは死なないがん、なのである（統計にはないが、甲状腺がんも同様だろう）。 さらに興味深いことは、それは治療を受ける・受けないにもほとんど関係がない、ということ。つまり、少なくともステージIIIまでの場合、放置しておいても、予後は変わらない、ということだ(下図)。  点線；放置 青・赤線 手術、放射線療法 ところがここまで予後がよいがんなのに、ステージIVになると、5年生存率は約7割となる。注目すべきは、10年生存率の低さで、4割を切っている。つまり、前立腺がんの場合、5年生存率は当てにならない、ということ。 これを他のがんと比べてみると、乳がんを除いて、その他のがんは5年生存率≒10年生存率となっている。だからこその5年生存率なのだ。 ではなぜこういうことが起こるのか。それは、そもそもがんには大雑把に、たちの悪いやつとそうでもないやつの2種類あるからである。前立腺がん（甲状腺がんも）は特にこの両者が顕著に違うのである。そして、たちが良いのが、ほぼ9割以上を占めている。 したがって、ステージIVで見つかった前立腺がん（甲状腺がんも）はすべてこのたちが悪い方、ということになる。はっきり言えば、治療をしようがしまいが、予後は決まっていて、治療では助からないがんなのである。だからこそ、5年、10年と生存率は下がっていく。 見方を変えれば、前立せんがん（甲状腺がんも）は、早期発見は無意味であると言える。ここ20年くらいで、PSAが検診レベルで測定できるようになったため、スクリーニング効果で爆発的に罹病率が増えているが、放置していても9割は問題ないし、たちが悪いやつはいくら早期発見して治療をしてもほぼ予後は変わらない（絶対とは言わないが）から、本当は検診など無意味だ、ということだ（これは甲状腺がんにも同様に当てはまる。だからこそ、福島県で行われている小児甲状腺がんのスクリーニング検査も無意味なのだ）。 ●乳がんの特殊性 実は乳がんも、前立せんがん（甲状腺がんも）と似た傾向がある。すなわち、ステージIVになると、急激に5年生存率が下がり、さらに10年生存率はもっと下がる（前者は3～4割あるが、後者は1割以下となる）。 ただ、前立腺がん（甲状腺がんも）と異なるのはステージIIIもかなり5年生存率が下がることだ。これはどういうことか。 乳がんは、もともと全身に転移がしやすい。それが知られていなかった昔はだから、他のがん同様、大きく切れば切るほど予後が良いと考えられていたため、ハルステッド法といって、大胸筋までばっさり切り、すべて腋窩リンパ節郭清をしていた。その後の医学の進歩で、こうした手術が無意味であることがわかり、手術方法がどんどん縮小されてきた。 乳がんの場合は、前立腺がん（甲状腺がんも）とは対照的で、悪い奴とそうでもないやつとの差はあまりないので、統計的には前立腺がんと似た数値となってはいるが、実態は全く異なり、全身転移がしやすいことからもわかるように、早期発見が極めて重要であり、かつ、適切な治療が生命予後を決めるのである。私は統計的根拠は知らないが、おそらく乳がんこそが、様々な意味で、あらゆるがんの中で、医学の進歩の恩恵を最も受けたがんではないか、と思う。 一昨年に小林麻央さんが乳がんで亡くなったが、彼女の場合、発見時はおそらく、ステージII程度だったと思う。つまり5年生存率は9割以上、本来治せるがんだった。 麻央さんはブログで、最初の主治医に責任をなすりつけていたが、あれはあまりにひどく、彼女は本来、主治医の言う通り、標準治療を受けていれば、間違いなく助かっていた。なまじ金銭的に余裕があったがゆえに、他の怪しげな治療に嵌ってしまい、医学の進歩の恩恵にあずかることなく、命を落としてしまったのだ。ほぼ同じステージで乳がんが発見されたと思われる北斗晶さんが標準治療を受け、現在生存しているのと、対照的である。 ●ステージIVでも生きている人はたくさんいる 統計では、予後不良と言われるステージIVでも、予後がきわめて不良である膵がんを除けば、ある程度の確率で、生きている人はいることが示されている。 こうした人たちのほとんどはおそらく、抗がん剤やピンポイントの放射線治療などを受け、すでにがんと共存共栄状態になっているものと思われる。樹木希林さんはこの状態で長く生きていたし、鳥越俊太郎などもそうだろう。 樹木希林さんは死因ががんであったようだが、こういう状況になると、特に高齢者の場合は、他の病気で亡くなる可能性が高くなり、そういう意味では、つまり、本文冒頭で述べたように、身体にある程度のがん細胞は残っていても、それで生命が脅かされなければ、それはがんが”治った”と言ってもよいだろう。 がんの治療はやはり難しく、現在の治療の主眼は、トータルキル、すなわち、白血病治療のように完全にがん細胞を死滅させることよりも、モグラたたきのように、ある程度ガンと共存共栄して、少しでも天寿に近づくことが、中心となっている。 話題のオプジーボなどにしても、身体からがんを追い出すのではなく、あくまでも、体内のがん細胞の活動をそれなりに抑えることが目標となっている。世間ではよく”闘病”という言葉を使うが、むしろ”共病”が実態に近い。そういう意味で私は、樹木希林さんは理想的ながん治療を受けて、彼女なりの天寿をまっとうしたと思う。 堀ちえみさんにしても、今後の予後はわからない。主治医が言った「がんが治る時代」は、正直、闘病、もとい、共病になるかもしれぬ今後の堀さんへの励ましの意味合いもあったのだろうと思う。 | |
■平成３１年８月１０日 共産党の呼びかけ、野党はありがた迷惑?
だから立憲、国民両党は、共産組織票が、喉から手が出るほど欲しい。だが、その政策となると実は共産は困る、というのが本音であろう。そこはまた、自民党から、選挙のための野合だ、と突かれた点でもある。 野党共闘はこの矛盾をまずは何とかしないと、自民のみならず、有権者からもますます見捨てられることとなる。 しかるに、共産党は、こうした立憲、国民両党の懊悩を知ってか知らずか、やる気満々と見える。私は単純に、、志位さんはこんな野党の懊悩は知らないのだと思う。 今回の参院選は、共産党は一議席減らしているが、その減り方は、意外にも少なかったと言える。 これまでの共産党の戦術は、とにかくやたら候補者を立てまくり、その宣伝効果をもって、比例票を得る、というものだった。したがって、共産党独自候補が大幅に減った今回の選挙では、比例票の得票はもっと減るものだと私は思っていた。。 このように、共闘の傷が意外と少なく、また一定の共闘効果は出たがゆえに、共産党もまた、ここまで強気なのだろう。 当然のことながら、共産党は、自分たちの考えこそが正しいと思っているので、たとえ連立であっても、政権に入れば、必ずや、安保廃棄、天皇制廃止まで訴えてくるだろう。それでこそ共産党なのだから。 だがそれでは、仮に野党連立政権が成立しても、すぐに足並みそろわなくなり、あっと言う間の瓦解の原因になることだろう。それは、2009年の民主党政権で、すぐに社民党との軋轢が出現したことでもわかる。あるいは1993年の細川政権でもそうだった。（その点、その後の自社さ政権はずいぶんとうまくやったものだと思う）。 立憲、国民両党は当然、こうしたことは織り込み済みだろうから、できれば志位さん、何も言ってくださるな、と思っていることだろう。。 | |
■令和1年８月１２日 このままいけば山本太郎は都知事になるかも
山本太郎が都知事になれる可能性は、決してゼロではない。何せ今回の参院選では、全国から100万票も獲得したのだ。前回の初出馬の時でさえ、浮動票だけで67万票も獲得したのだ。
地方自治体の首長選は、大統領選挙と同じであり、またきわめて短い選挙戦で勝負するため、とりわけ、東京、大阪のような大都会の場合、政策よりもまずは知名度と組織がカギとなる。特にやはり知名度であろう。 同じ東京の選挙でも、複数人が当選する参院選などの場合は、組織がやはりモノを言う。言い換えれば、組織がきちんとしていれば、吉良よし子や武見敬三程度ののタマでも”合格”となる。 だが、一番しか当選し得ない知事選の場合では、組織だけでは勝てない。地方と違い、膨大な浮動票が存在するから。 組織票に加えて、この膨大な浮動票を取り込んだ候補者が勝つ。そのために必要なのが、ビッグネームなのだ。 こうした直接民主制に近いやり方なので、”民主主義の失敗”も起こりやすい。過去の例で言えば、横山ノック大阪府知事、青島幸男東京都知事、そして小規模兼ではあるが、東国原英夫宮崎県知事。 浮動票は、理性ではなく、まさに風で動く。昭和40年代に次々と革新知事が誕生したのも、当時は左寄りの風が日本中に吹きまくっていたからだ。 現在の日本は、安倍政権できわめて安定してはいるが、それを良しとはしない勢力もまた、根を強く張っている。また、今回参院選で選挙に行かなかった有権者の半数は、もしもそれが反安倍に動けば、日本は転覆する。 まあ国政レベルでみれば、それはあり得ないが（革新自治体ブームの時でも、ついぞ社会党政権はできなかったように），東京都レベルなら決して不可能ではない。 無論、そうはさせじと、山本太郎が立候補するとなれば、自民党もそれなりのタマは用意することだろう。山本太郎よりはまし、と小池都知事を担ぐかもしれない。それでも、あの東国原英夫程度の男が都知事選に立候補した時でさえ、あれだけあたふたくらいだから、山本太郎が立候補となれば、上へ下への大騒ぎとなることだろう。 山本太郎は石原慎太郎や小池百合子と違ってまだ若いから、もしも都知事になれば、今度は必ずや国政の長に立つことに狙いを定めることになるだろう。 無論、今の日本は、ベルサイユ条約下のドイツのような不安定な世の中ではないから、れいわがナチスになることは絶対にないとは思う。 しかし、かのドイツは、かのハイパーインフレ後には相対的安定期を経験したにもかかわらず、世界恐慌が遅い、それがナチスを必要とすることになった。あの時代、’24年後数年間のドイツは、だれもがこのような安定した時期が未来永劫続くものと思っていた。”相対的”だとは当時はだれも思っていなかったのである。 今のアベノミクス時代も、いつまで続くかは分からない。再度リーマンショック級の不況が襲うやもしれない。そんな時に、”山本太郎”が出てくれば、彼がナチスになることは、あり得ないことではないのだ。 | |
■令和1年８月13日日 捜査はするが、法の適用は厳格
この件で思い出したのが、かのリクルート事件である。無論、事件の規模や性質はまったく異なるが、共通することがらがある。結局、大山鳴動して鼠一匹だった、ということである。 リクルート事件は、その規模の大きさも凄かったが、その後の日本の政界、否、日本の歴史にも多大なる悪影響を残した。だが、その割には、司法判断は冷静であった。あれだけ多数の自民党議員（竹下登首相、長谷川峻法相、宮沢喜一蔵相、小渕恵三官房長官、原田憲経企庁長官、小沢一郎官房副長官、安倍晋太郎幹事長、渡辺美智雄政調会長、愛野興一郎前経企庁長官、中曽根康弘元首相、橋本龍太郎元運輸相、梶山静六元自治相、森喜朗元文相、中島源太郎元文相、砂田重民元文相、塩川正十郎元文相、加藤六月元農水相、大野明元労相、栗原祐幸元労相、山口敏夫元労相、坂本三十次元労相、藤波孝生元官房長官、加藤紘一元防衛庁長官、渡辺秀央元官房副長官、原健三郎前衆院議長、浜田卓二郎代議士、伊吹文明代議士、愛知和男代議士、大坪健一郎代議士、有馬元治代議士、野田毅代議士、堀内光雄代議士、鈴木宗男代議士、尾形智矩代議士、椎名素夫代議士、志賀節代議士、藤田正明参院議長、遠藤政夫参院議員、倉田寛之参院議員、鈴木貞敏参院議員）が収賄の疑いをかけられたにもかかわらず、起訴、有罪となったのは藤波孝生のみであった。藤波のみが起訴されたのは、たまたま彼が、収賄罪の法的根拠となる”職務に関して”に該当（就職協定に関する職務にあった）したからで、まあ、流れ弾に当たったようなものだろう。 この事件は、もともとは、朝日新聞の、若干の飛ばし記事が発端となった。当時、収賄罪で起訴するためには”職務権限”の壁があり、冷静に考えれば、あのような大事件に発展する必然性はなかったのである。当時NHKにいて事件の初期に関わったという池田信夫氏も、「あそこまで大事件に発展するとは思わなかった」と述べている。 だが当時は今と違って、「自民党の政治家は悪い人」、「自民党は悪人のオンパレード」的な雰囲気が強かった。今のようにネットもなく、当時の日本人は（政治家でなくとも）、マスコミの餌食になってはどうにもならなかった。 当時、一番の権力を持っていたのはマスコミだった。結局、マスコミからの圧力に屈する形で検察も捜査をせざるを得なかった。検察はプロだから、これら多くの政治家の法的責任が問えないことはわかっていただろうに。 ●マスコミは世論の味方だったのか ここで思うのが、はたして当時のマスコミは、世論をバックにしていたのか、ということ。 鶏が先か卵が先か、的要素はあるが、通常はやはり、世論はマスコミが形成する。少なくとも、マスコミのバックに世論があることは間違いない、と信じられてきた。 かの満州事変の朝日新聞の報道から始まって、おそらくは、昭和の時代までは、マスコミ≒世論であったことは間違いない。しかし、おそらくは平成に入ったあたりから、両者には乖離が見られるようになった。 一部を除き、マスコミが相変わらず反権力一辺倒であったのに対し、世論と権力は逆に、融合していった。それは、権力が徐々に国民ひとりひとりのことを考えるようになったこと、国民生活が向上し、国民が安定を求め、権力もそれに応えるようになってきたこと、などが理由である。 ネットが普及し、国民のホンネが直接語られるようになったことも大きかった。私は、ネットが普及し始めた頃、特に２ｃｈなどでの意見が意外にも権力擁護的なものが多いことに、驚いた経験がある。 徐々に、こうしたネット上の意見こそが国民のホンネであり、反権力のマスコミは実は、世論を代表してはいないのではないか、という疑惑が出てきた。それは、安倍政権以降は、真実に変わった、というか、疑惑ではなくもともと真実であった、ということが判明した。 現在、おかしな左翼的論調はすぐさま、ネット「〇〇」などといった表現で、否定されている。この”ネット”こそが、現在の日本の正しい世論であると言える。 ●リクルート事件時にネットがあったら・・・ こうしてみると、はたしてリクルート事件当時の、マスコミのあれほどのバカ騒ぎは、はたして世論をバックにしていたのか、という疑問が生じる。私は、あの頃にネットがあれば、国民があれほどマスコミに煽られることもなく、マスコミもまたあそこまで大きく取り上げることもなく、ゆえに検察の捜査もあそこまで深くは入らなかったのではないか、と思っている。 騒がれた与党政治家は、結果的にほぼ全員が不起訴だったわけだから、騒いだマスコミには正義がなかったことになる。 であれば、当時、マスコミ≒世論であったなら、世論もまた間違っていたということになるが、はたしてそうだったのか。 これはしかし、微妙である。当時すでに大人であった世代としては、確かにあの当時にはまだ、与党政治家憎し的風潮はあったと思う。その後の参院選で、土井たか子率いる社会党が大躍進したことが、その何よりの証拠であろう。マスコミが煽っただけでは、さすがに選挙結果は動かないだろうから。 ただ言えることは、少なくとも安倍政権以降の日本は、マスコミがアナクロニズムで、そうしたマスコミと対抗する世論の多数派が正義である、ということだ。ネットで鍛えられた国民は、マスコミには騙されなくなりつつあるのである。 橋下徹氏が、8月11日付けの読売新聞への投稿で、「政権が倒れるような話はいくらでもあった」と書いているが、これは眉唾である。 森友事件にしても、結局はくすぶりで終わったのは、何といってもネットの力が大きい。無論事件の性質上、ネットがなかったとしても、リクルート事件のようにまでなったとは思わないが、朝日・毎日的発想だけが世の中を覆っていれば、少なくとも麻生大臣辞任くらいにはなり、そうなればあとは本丸一直線となり、政変となっていた可能性もある。 ネットでの客観的情報が、安倍政権、ひいては日本を救ったと言えよう。 日本の’９０年代は、リクルート事件で有能な政治家が軒並みパージされてしまい、「リクルート汚染」されていないことがポストの条件となり、結局は、江副氏が相手もしなかかったような小物がポストを得て、大物が背後でそれを操る状態となり、その後の日本の停滞を招いた。被疑者が軒並み不起訴になったのに、まったくおかしな話だ。 リクルート事件は、マスコミ以外にも野党も噛んでいたが、幸い森友事件は、野党の空騒ぎで終わった。何よりだった。 | |
■令和１年８月１４日 一番大事なのは自衛-被害者側の落ち度も大きい
煽り運転を撲滅する啓もう活動は無論重要だが、それと並行して、こうした被害に遭った時にはどうするべきか、の啓もうの方が、はるかに重要である。 それはつまり、いじめ問題と一緒で、いじめをなくすことよりも、いじめに遭った時にどう対処するかの方が大事なのと一緒である。 一般的には、こうした煽り運転を受けた時には、①高速道路の真ん中では絶対に止まらない、②決して窓を開けない、が原則であろう。この被害者はこのどちらの原則にも従わなかった。恵氏はこうした点をかなりぼかして話していたが、私はこのことは、言いにくいではあろうが、被害者側の落ち度として、もっと啓もうすべきだと思う。 無論、①はなかなか難しい。この事件では、加害者の側の女がのこのこ出てきてケータイでの撮影をしていたが、私なら、その女を轢きに行ったと思う。必ずや逃げるであろうから。そして十分に気を付けて、走行車線に逃げる。この時、相手とぶつかっても、正当防衛が成り立つのではないか。 また相手が前方をふさいだ場合、自分ひとりなら、相手の車とぶつかってでも逃げると思う（同乗者がいる場合は、危険を伴うのでケースバイケースだが）。いずれにせよ、高速道路の車線上に停車し続けるのは、非常に危険なわけだから、そこから逃れるためなら、多少の物損、人的損害を起こしても、十分に正当防衛は成り立つべきであろう（そのためにも、今の時代は、ドライブレコーダーは必須だろう）。 次に②について。①については、かなり危険を伴うが、窓を決して開けてはならないという原則は、自己の意思だけでできるのだから、かわいそうではあるが、この事件の被害者は、この点は、大きな落ち度があったと言わざるをえない。（恵氏はかなり被害者をかばっていたが）。 相手がいちゃもんをつけてきたら、いかなる場合においても、窓は開けてはいけないのだ。 要は、いちゃもんをつけてきた相手は、いまの韓国のようなものだと思えばよい。まともに相手にしてはいけないのだ。今の安倍政権のように、相手を無視し、とにかく警察に連絡をする。 一昨年の6月に東名高速であれだけ悲惨な事故が起きたというのに、いまだに煽られて、相手とまともに話し合おうとして窓を開ける人がいることが、私には、不思議でならない。今回の事件だって、窓を開けずにさえいれば、けがをすることもなかったのに。 相手が何かを言っていて、それを聞き取ろうとして被害者は窓をあけたとのことだが、なぜ無視を決め込まなかったのか。 被害者が気の毒なので、被害者を非難する人はあまりいないが、私は、今回の事件ははっきりいって、被害者側の落ち度も大きいと思う。かわいそうとは思うが、遠慮することなく、それはもっと報道されてしかるべきだ。 | |
■令和１年８月１５日 泣く子と地頭には勝てぬ、なんだよ
昔から「泣く子と地頭には勝てぬ」などと言われているように、赤ちゃんは泣くのが仕事なのである。
むろん、あやすこと、は必要ではある。またなぜ泣いているのかを見抜く”親力”も、親には必要である。その点において、「泣くのはいいけど、（親は）放置しないでちゃんとあやしてね」「泣くのは（乳児が）不快だからなのに、『泣いてもいいよ』という文言は何か違う」といったクレームが来るのは仕方がない。 ただ、赤ちゃんが泣くのは、必ず何か理由があるからだろう、などと考えるのは、子育てをしたことがない人だと思う。確かに、おっぱいが欲しいから、お尻が気持ち悪いから、などという場合は赤ちゃんは泣いてそれを訴えるし、親はそれを感じ取らなければならない。 だが、赤ちゃんが泣くのは、こうした理由がはっきりしないことも多い。おむつも濡れていないし、おっぱいも与えているし、それでも泣く、子供を育てた経験のある人なら、こういう経験は、必ずしていることだろう。赤ちゃんは感情のままに泣き、それを親がコントロールするのは不可能なことは多々あるのだ。 自治体のステッカーはこうした状況を想定してのことなのである。言い換えると、それを理解できない大人があまりに多いから、自治体としても、こうしたステッカーを作らざるを得ないのだろう。 このような背景には、少子化社会で、子育てを経験したことがない大人が増えていることは間違いない。 悲しいかな、人間とは経験の束なので、自分でこうした子育てをしたことがない人は、それが肌ではわからない。それでも多くの人は、理性で理解をしようとするが、残念ながら、それができない大人が一定数いる。そういう人が、「どこまで寛容を求めるの？ いい加減にしてほしい」などといったクレームをつけてくる。赤ちゃんの泣き声を我慢するには、寛容が必要なのか、と突っ込みを入れたくなるが。 自らの意志で子供を持たなかった元NHアナウンサーの下重暁子氏が、家族性悪説の本を書いたように、人は、自らの経験のない領域のことに関しては、それがうざい、うるさい、メンドクサイ、という雰囲気があれば、本能的に嫌悪感を持つのだろう。経験をすれば、本質は逆である場合が多いのに。 かつてシルバーシートが登場した時、こうしたモノがなければ、お年寄りに席を譲る人はいない世の中になったのか、といった批判があったが、いつのまにか世に定着した。こうしたステッカーもまた、そうなることだろう。できればこうしたモノなど要らない社会が望ましいとは思うが。 |
主な検察審査会の判断と地検の説明
