leftmargin="150"３年後は民主党の時代になる　

あらためて”自己責任”について

　先の人質事件以来、”自己責任”という言葉が世間で踊っていますので、ここでは朝日新聞のある投書を例としながら考えて見たいと思います。

【サービス三流懲りた新幹線】
　主婦　　（岐阜県　59歳)

3月下旬、2泊3日の東京巡りをして、たくさんの楽しい思い出を胸に、東京発「ひかり」に飛び乗りました。空席が多かったので荷物を右の座席に置いて腰を下ろしました。
　
その時、車掌さんが検札に来ました。
私の切符を見て、4千円余りを支払って下さいとの事でした。

グリーン車でした。

財布の中は2千円少々しか入っていませんでした。
　
自由席を3両歩きましたが、全部満席。
疲れが出て、それ以上空席を探す気になれません。

出入り口のドア近くにバッグを置いて腰掛け、足は対面の壁にくっつけて疲れを癒しながら考えました。

切符は、金券ショップの格安店3点を回って買った9300円のものです。
車掌さんは横を通っても声をかけるでもなく、むなしい1時間50分でした。

180円の切符を買っても「ありがとうございます」という言葉をかけてくれる私鉄の駅員さんがいるかと思えば、JＲは1万円近い切符でも空席の案内もありません。

二度とＪＲ新幹線は利用したくありません。
サービスは三流です。
(2002年4月7日　朝日新聞名古屋版)

　

　この投書子には自由席が満席であることが予想されたにも関わらず指定席を取らなかったこと（おそらく経済的理由、要するにケチ）、”楽しい思い出”で疲れたこと、並ぶのがいやで新幹線に飛び乗ったこと、グリーン券を持たずにグリーン車に乗ったこと、空席を探すこと、に対する自己責任がある。しかしそれらをすべて棚上げしてＪＲのサービス性にそれを転嫁している。

　快適な列車の旅をしたいと思うのならば、お金をかけて指定席を取っておくなりグリーン料金を払うなりするか、時間をかけて自由席が空いている列車が来るまで待つか、どちらかを選択するであろう。この投書子はどちらも拒否し、お金もかけたくない、時間もかけたくない、だけど快適な旅をしたい、という単なるわがままなのである。

　このように自己責任を放棄して本来自分で負うべき責任を他人や組織などに転嫁することはわがままにつながるだけなのだ。本当は小学校あたりで学んでいなければいけない自己責任という概念を理解しないまま大人になってしまった人（上記の投書を平気でできるような人、ならびにこうした投書を採用する人）が少なからずこの世の中にはいるようで、左翼系のマスコミや共産党、社民党などがそうした人種の隠れ蓑になっている。

　さて、先の人質事件で左翼系の人たちはなぜ人質たちの自己責任論を否定し続けたのか。理由は簡単、責任をすべて政府や自衛隊に押し付けたいだけだから。そうすることが自分達の普段の信条にかなうから。左翼の左翼たるゆえんは自己責任を認めず、都合の悪いことはすべて政府や権力のせいにすることにあるのである。上記のわがままおばさんと発想は同じである。

　取らせるべき責任を取らせずにそれを政府に押し付けて平然としている人たちはきっとこのおばさんの行為や考えをも否定はしないのだろう。（だから朝日新聞はこの投書を採用したのだろうネ）

　ところで今回のイラク人質事件における自己責任論はあたかも政府や一部のマスコミが言い出したかのように特に左翼系のマスコミや外国メディアからは言われているが、これはちがう。すでに事件が起きた４/９からこの言葉はちらほらネットなどでは見受けられるし、私自身も４/９のマイエッセイでこの言葉は使った。つまり事件が起こった時点で多くの国民は「なぜそんな政府の退避勧告が出ているような危険なところに非武装の個人が行ってたの？」という疑問を持ち、政府が危ないから、命の保障もできないから行くな、と言ったのに行ったのならあんたの責任でしょ、という思いをみんなが自己責任という言葉に託したのである。自己責任論は政府が作り出したものではなく、国民から自発的に沸いてきたものなのである。（２００４．４．２７）

なお、上記の投書はhttp://www.hi-ho.ne.jp/inverse/より引用させていただきました。

補遺１；自己責任を問う声といわゆるバッシングが混同されている向きがあるが（特に外国メディアがこれらをごっちゃにしている）、両者はまったく異なるものでありきちんと区別されねばならない。自己責任は大人としての当然の義務を果たすことであり、今回の事件で人質となった人たちはこれはきびしく問われるべきである。たとえば救出費用の一部として１００～２００万円くらいの範囲でこれを徴収することは自己責任の範囲であると考える。　しかしバッシングは単なるいじめであり、これはやってはいけない。たとえば家族へのいやがらせの電話、中傷、等である。柏村武昭氏の「反日分子云々・・」発言もバッシングである。良識の代表であるべき国会議員としてはこのようなことは言ってはいけない。尚、パウエル発言「３人は誇るべきだ云々」は決して自己責任の放棄を言っているわけではない。彼はあくまでも人質となる以前の３人の活動を評価しているのだ。（パウエルは当然自衛隊の働きもまた評価している）

補遺２；今井君が北海道知事に謝意を述べたそうだ。しかしこれは順序がおかしい。まず政府に謝罪すべきだろう。いったい何を考えていることやら。あきれて物が言えない。それにあとから人質となった安田氏はかなり痛烈な政府批判をしている。これは物議をかもしそうだ。

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