それにしても、この青年は言っていることは支離滅裂で、一審判決の時に裁判官に向かってスプレーを撒いたりするなど、おだやかではないが、本来は素直でいい人間なのだろう。
かわいそうに、純真であるがゆえに左翼のヘンな思想にはまってしまった。被告の木村正樹青年よ、恨むなら裁判官ではなく、世の中でもなく、キミを左翼にしてしまった左翼連中を恨め。
左翼の本質は革命である。最左翼、すなわち純粋なマルキストは国家の転覆を図り、革命をめざしている。（かつて内ゲバで殺し合いをした連中と同じ） だが大部分の”左翼的な人”はここまで先鋭的ではない。反戦平和を主張する人たちに、「あなたは革命をめざしていますか」とアンケートをとれば、ほとんどの人は「まさかそんなこと」と否定するだろう。
さすがに革命までめざす人は少ないのだ。昭和４０年代後半の内ゲバ闘争で国民の多くがニューレフトには愛想をつかしたから。多くは”朝日新聞的”左翼段階でとどまる。
しかし、一部の青少年がここまで突っ走ってしまう。彼らの多くが根は純情な青年である。純情であるがゆえに突っ走る。そう、戦前に二・二六事件を起こした純粋な青年将校たちの裏返しだ。この木村正樹青年もまたその１人。
それにしても、親も気の毒だよね。息子が犯罪者になってしまった。執行猶予がついたからムショに入ることはないとはいえ、前科一犯だから、もうこれからまともな職業にもつけないだろう。子どものうちにきちんと善悪の判断のできるしつけをしなかったのだろうか。私も四人の子持ちだから親の気持ちがよくわかる。他人を傷つけたりはしていないとはいえ、手塩にかけて育てたわが子が犯罪者となるのはつらかろう。
東京新聞などは最近の若者は右傾化している、と書いているが、左翼思想にはまり込む青年は今でもけっこう多い。多くはそのおかしさに気づき、足を洗うなり、ある限度までに活動をとどめるが、一部の過激な青年がこのような反社会的行為をする。
ネットを見ていても、とんでもない、信じられないようなことを言っている左翼のサイトがたくさんある。私たち大人からすればそれがおかしい内容だとわかるけれど、若いうちからああしたサイトばかり見ていると、おそらく洗脳されて信じ込んでしまうだろう。
先日もある左翼系のサイトを見ていたら、中学生がおかしな意見を投稿していて、「ああ、こいつすっかり染まっちゃってるな」と思ったものだ。（親も気づいてないんだろうな。息子がとんでもない思想にかぶれつつあることを。おそらく勉強部屋があって、親もほとんど息子が何やってるかわかってないんだろうな）
そんな時こそ親の出番だ。しっかりと子どもを見ていて、もしもヘンな思想に染まりそうになったら、ブレーキをかけてやらねばならない。もっとも親子でヘンな思想に染まっている連中もいて、そうした人たちはどうしょうもないけれども。
いずれにせよ、この青年は加害者というよりはむしろ、左翼思想の被害者であるといえよう。自業自得とはいえ、常識で考えれば負けるのがわかりきっていた裁判に無駄なエネルギーを使い、とてもかわいそうに思う。