MobitⅡ型ブロックを起こした女性
現病歴 １９歳女性。GOPO。既婚。妊娠３４週５日に一分以内の失神発作を起こし、当院救急搬入となる。頭部CTは施行しなかったが、様子観察のため入院となる。
既往歴 特記なし。
入院後経過
入院後は失神発作はなく、特に問題なかったが、心電図モニターで一時的にMobitzⅡ型のブロックを認め、これが失神発作の原因と考えられた。しかしその後はsinus rythmに戻ったため、とりあえず一旦退院となった。他院の循環器専門医に今後の方針についてコンサルトしたところ、年齢も若く、自覚症状にも乏しく、一時的なMobitzⅡ型であるので、永久的なペースメーカーの必要はなく、陣痛が始まった時点で一時的なペースメーカーを挿入した方がよい、というコメントであった。
陣発後経過
妊娠３９週４日で陣痛発来あり、当院入院となった。入院と同時に緊急で右鎖骨下静脈より一時的ペースメーカーを挿入した。ペースメーカーのレートは７０とした。その時点では心電図モニター上はsinus rythmであったため、ペースメーカーは働いていなかった。
陣発後、約１０時間で外子宮口全開となったが、その時再度MobitzⅡ型ブロックが出現した。そしてペースメーカーが順調に作動したのを心電図モニター上確認した。初産であったが、分娩は無事終了したが、分娩中にMobitzⅡ型ブロックによると思われる徐脈を認め、ペースメーカ―の作動により、意識消失発作などはまぬがれた。出産の翌々日にペースメーカーを抜去し、通常通り６日後に退院となった。